1. e4 に再び挑戦しようと思った際、悩んだのはCaro-Kann 対策です。2010年から私の黒番でのメインレパートリーを務め、IM タイトル獲得にも大いに貢献してくれた心強いオープニングです。白番でこれを迎え撃つにあたり、黒番でどの変化が苦手だったかを見直しました。Advance Tal Variation (1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. h4!?) も有力でしたが、最終的にはTwo Knights で行きつきました。
imsk (2557) - Keanu_Greaves (2459)
lichess Blitz
1. e4 c6 2. Nf3 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Nf6!?
Two Knights で近年流行しているラインで、私も黒番で指したことがあります。メインラインでは1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Nf6!? 5. Nxf6+ exf6 がよく指されており、このダブルポーンは黒にとって大きな問題にならないと近年は考えられています。それをTwo Knights にも応用しており、ナイト交換の際に生まれるf6 のポーンがNf3-Ne5 を防ぎ、Nf3 の位置に対抗しやすいというアイディアです。 lichess Blitz
5. Qe2!
ナイトの交換を許しても、f6 にポーンは置かせません。
5... Nxe4 6. Qxe4 Nd7 7. d4!?
7. Bc4 Nf6 8. Ne5 e6 9. Qe2 b5 がポピュラーなラインですが、それを避けてd4 にポーンを置く、スタンダードなCaro-Kann の試合展開を目指します。7... Nf6 8. Qf4 g6 9. Bc4
本譜の流れでも悪くないのですが、9. Bd3!? はBc8-Bf5 の展開を防ぎ、黒に白マスビショップのマスを与えない選択として、次回試してみたいと思っています。
9... Bg7 10. O-O O-O 11. Re1 Nd5 12. Qh4 Bf5
白のeポーンと黒のdポーンを交換し、黒がキングサイドにフィアンケットするのは、Alekhine Defence、Scandinavian などでも一部のラインで見ることができます。白のプランはシンプルで、開いたeファイルを抑え、e5 のマスのコントロールやe7 へのプレッシャーを武器に戦います。13. c3 e6 14. Bg5 f6 15. Bd2 g5 16. Qg3 h5?!
ここでクイーンを追う必要はなく、かえって黒は自陣を弱めてしまいます。代わりに16... Qb8 くらいでクイーン交換を目指せば手堅いポジションです。
17. h4 g4 18. Nh2 Qe8 19. Nf1 Qg6 20. Ne3 Nxe3 21. Bxe3
2つ目のナイトを交換できたのはありがたく、白はBc1-Bg5 からfポーン突きを誘い、結果として弱くなったe6 を攻めやすくなっています。21... Rfe8 22. Bf4 Be4 23. Re3 f5?!
黒のアイディアはe4 でがっちりブロックをしてe6 を守ることだと思いますが、このポーン突きはe5,g5 といった黒マスを弱めることにもつながります。また白が勝負に出るアイディアを軽視している可能性もあります。
24. Rae1 b5 25. Bb3 a5 26. a3
私は慎重を期しましたが、大胆に行くならばこのあたりでエクスチェンジを捨てても良かったでしょう。26. Rxe4! fxe4 27. Bc2! と進んだ場合、白はe4 でポーンを回収した後に、c6,h5 といった白マスの弱いポーン、さらには黒キングへの直接的な攻撃のチャンスで十分に代償がありそうです。26... a4 27. Ba2 Kh7?
上記のエクスチェンジサクリファイスのチャンスを消すのであれば、27... Bd5 が唯一の手でした。しかし、白マスビショップを交換しても黒のポーンストラクチャーには弱点が多く、白を持ちたいポジションです。