今日は朝から名古屋に移動し、東海オープンに参加してきました。結果は3勝1ドローでの優勝でした。3連勝後、米満くんとの試合は勝ちにいくべきと判断した局面も完全に互角で、最後は少し危なくしてしまったのを反省です。入賞者の皆さん、おめでとうございます!
どのゲームも少し冴えない判断がありましたが、3試合目の岡部くんとの試合は新しいことにもチャレンジでき、終始楽しく指すことができました。今夜はこちらの試合をご紹介します。
この数年、Ruy Lopezは黒番でのみ指していましたが、この日は白番で指してみました。岡部くんとは先日の全日本選手権でも指しており、その時のKing's Indianのゲーム展開から少し変えることが目的でしたが、南條くんの全日本での素晴らしい指し回しに感化されたことも要因です。8. d3のAnti-Marshall は独特の変化も調べていましたが、8. h3に後に手順前後します。
このあたりで8. h3のゲームと合流し、GMの実戦例もいくつか見つけられるようになりました。黒がd7-d6を保留し、d7-d5と一気に突きたいことは予想できていたので、それをどう封じて優位を保つかを考えます。
e3のマスでビショップ交換に応じた場合、Re1-Re3-Rf3の攻撃が早いのが気になり、かと言ってa7での交換もルークの位置が一時的に悪くなって躊躇われます。c7-c5と突くのは予想の範囲内で、このポーンを将来的に弱点にできないかと考えました。
直前のg6にクイーンが移動する手を考えておらず、どうしたものかと思いましたが、g4でのクイーン交換はd3の負担が消え、d5が全くアタックされなくなるというメリットもあることに気づきます。
20... Qd6! 21. Qe4と進めるほうがおそらく黒にとっては良く、d5のポーンをどうするか、白はもう少し神経を使います。c3-c4と突いて守るのは簡単ですが、b5-b4と突きこされた際にポーンの形をこれ以上変えることが難しくなり、柔軟性がなくなることを気にしていました。
e4にルークが上がってしまったため、a8のルークが浮き、ここでポーンを取り返せないのが黒の痛い見落としでした。b5に刺さったポーンは勝負を決める大きなポイントになります。
プロモーションを止めようとするビショップを強制的に交換するアイディアは、2018年のオリンピアードのUAE戦や、Giriとの同時対局で体験しています。
最後は49. Qxg6+ Kf8 50. Bg7+ Qxg7 51. Qxg7+ Ke8 52. h7 Kd8 53. h8=Q# が早いメイトですが、クイーンを交換して新たにクイーンを作り直すのも分かりやすいアイディアです。
1st Place Kojima Shinya 3.5/4
2nd Place Yonemitsu Kohei 3.5/4
3rd Place Okabe Yuma 3/4
Tokai Open 2023 Final Standings
2nd Place Yonemitsu Kohei 3.5/4
3rd Place Okabe Yuma 3/4
Tokai Open 2023 Final Standings
どのゲームも少し冴えない判断がありましたが、3試合目の岡部くんとの試合は新しいことにもチャレンジでき、終始楽しく指すことができました。今夜はこちらの試合をご紹介します。
Kojima, S - Okabe, Y
Tokai Open 2023 (3)
1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. Re1 b5 7. Bb3 O-O 8. d3!?
この数年、Ruy Lopezは黒番でのみ指していましたが、この日は白番で指してみました。岡部くんとは先日の全日本選手権でも指しており、その時のKing's Indianのゲーム展開から少し変えることが目的でしたが、南條くんの全日本での素晴らしい指し回しに感化されたことも要因です。8. d3のAnti-Marshall は独特の変化も調べていましたが、8. h3に後に手順前後します。Tokai Open 2023 (3)
8... Bb7 9. Nc3 h6 10. a3 Bc5 11. h3 Re8 12. Nd5 Nd4
このあたりで8. h3のゲームと合流し、GMの実戦例もいくつか見つけられるようになりました。黒がd7-d6を保留し、d7-d5と一気に突きたいことは予想できていたので、それをどう封じて優位を保つかを考えます。
13. Nxd4 Bxd4 14. c3 Ba7 15. Nxf6+!
15. Ne3と退き、Ne3-Nf5も考えましたが、黒もd7-d5から早めの反撃ができるためにさほど有効とは思えませんでした。ここは単純にナイト、黒マスビショップとマイナーピースの交換を狙い、白マスビショップの働きの差で十分戦えると判断します。15... Qxf6 16. Be3 c5
e3のマスでビショップ交換に応じた場合、Re1-Re3-Rf3の攻撃が早いのが気になり、かと言ってa7での交換もルークの位置が一時的に悪くなって躊躇われます。c7-c5と突くのは予想の範囲内で、このポーンを将来的に弱点にできないかと考えました。
17. a4 Bb6 18. Bd5!?
客観的には18. Qg4のほうが良いのかもしれませんが、私はa3-a4を仕掛けた以上、Qd1-Qb3からb5を狙うのが有効だと考えました。d5でのビショップ交換の評価は以前であればできなかったですが、意外とd5にできるダブルポーンは攻撃されづらく、e4のマスを開く効果があることも今では理解できます。18... Bxd5 19. exd5 Qg6 20. Qg4!
直前のg6にクイーンが移動する手を考えておらず、どうしたものかと思いましたが、g4でのクイーン交換はd3の負担が消え、d5が全くアタックされなくなるというメリットもあることに気づきます。
20... Qxg4?!
20... Qd6! 21. Qe4と進めるほうがおそらく黒にとっては良く、d5のポーンをどうするか、白はもう少し神経を使います。c3-c4と突いて守るのは簡単ですが、b5-b4と突きこされた際にポーンの形をこれ以上変えることが難しくなり、柔軟性がなくなることを気にしていました。
21. hxg4 e4?
時間切迫で勿体ない見落としでした。21... Reb8としておけば、黒はb5,c5,e5と気になるポーンはまだ複数あるものの、すぐに何かが落ちるということはありません。劣勢でもこうしてタフにディフェンスすべきです。22. dxe4 Rxe4 23. axb5 a5
e4にルークが上がってしまったため、a8のルークが浮き、ここでポーンを取り返せないのが黒の痛い見落としでした。b5に刺さったポーンは勝負を決める大きなポイントになります。
24. g5 Re5 25. gxh6 Rxd5 26. Rad1 Rxd1 27. Rxd1 a4 28. Rxd7 a3 29. bxa3 Rxa3 30. Rb7 Ba5 31. Ra7
c3を見捨ててもルークを交換し、勝ちが分かりやすい同色ビショップエンディングを目指します。31... Ra1+ 32. Kh2 Bxc3 33. Rxa1 Bxa1 34. b6 Be5+ 35. g3 c4 36. b7 c3 37. Bf4
プロモーションを止めようとするビショップを強制的に交換するアイディアは、2018年のオリンピアードのUAE戦や、Giriとの同時対局で体験しています。
37... c2 38. Bxe5 c1=Q 39. b8=Q+
クイーンを先に作らせましたが、こちらはビショップをいただいたうえ、プロモーションと同時にチェックで手番を取れています。少し時間はかかりますが、パペチュアルチェックに気を付ければすでに白勝ちです。39... Kh7 40. Bf4 Qc5 41. Qb1+ g6 42. Qb2 Qh5+ 43. Kg2 Qd5+ 44. f3 f6 45. Qxf6 Qa2+ 46. Kh3 Qa7 47. Be5 Qd7+ 48. g4 Kg8 49. Qh8+
最後は49. Qxg6+ Kf8 50. Bg7+ Qxg7 51. Qxg7+ Ke8 52. h7 Kd8 53. h8=Q# が早いメイトですが、クイーンを交換して新たにクイーンを作り直すのも分かりやすいアイディアです。