2018/05/02

Japan Chess Championship 2018 Day4


全日本も4日目に入り、終わりが近づいてきました。私は午前のラウンドで、日本のジュニアチャンピオンに何度かなった大多和くんとの対戦です。大多和くんは、3月のオーストラリアとこの全日本で大幅にレイティングを上げ、6月のFIDE レイティング更新では日本のトップ10 に入るかもしれません。

Otawa, Y (JPN, 1895) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Japan Chess Championship 2018 (7)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 a6 5. Qc2 g6 6. Bd3 Bg7 7. Nf3 O-O 8. O-O Bg4 9. Ne5 Be6 10. b3 c5 11. Ne2



大多和くんが3. Nc3 4. e3 の手順でSlav に対応することは分かっていたので、この変化に対しては何を指すかぎりぎりまで悩みました。4... Bf5!? 5. cxd5 cxd5 6. Qb3 Nc6 7. Qxb7 Bd7 8. Qb3 Rb8 のGlasgow Kiss Variation も一通り勉強しましたが、ポーンの代償はあっても黒がドローを目指す感じが否めません。4... a6 5. Qc2 e6 のAccelerated Meran もAnand の研究で、手堅いですがドロー模様。そこで初めてa6 g6 のミックスを指してみることにします。11. Ne2 は多い手でしたが、手持ちの本ではメインとして紹介されていなかったため、ほとんど調べていませんでした。

11... Nfd7!? 12. Nxd7 Nxd7 13. cxd5


13. Bb2 cxd4 14. Nxd4 dxc4 15. bxc4 Nc5 16. Nxe6 Nxe6 17. Bxg7 Kxg7 という筋はゲーム中に見えましたが、黒は問題ないでしょう。試合後にデータベースの解説をチェックしても、大丈夫だラインとして紹介されていました。

13... Bxd5 14. e4 Bc6 15. Bb2 e6 16. Rac1 Rc8 17. Ba3



私はもう1つの手として、ルークをセンターに回す手を読んでいましたが、17. Rfd1?! cxd4! 18. Nxd4 Bh6! 19. Bc4 (19. Rb1 Bxe4! ) 19... Bxc1 20. Qxc1 このようにエクスチェンジを捨てなければいけないのは、白にとって面白くないでしょう。

17... cxd4!


ここは黒がエクスチェンジを捨てる1手です。強力なパスポーンがd4 にでき、黒マスビショップも残るのであれば、代償は十分だと考えました。白はルークを活かす場所がありません。

18. Bxf8 Qxf8


18... Bxf8! 19. Qd2 (19. f4 Ba3!-/+) (19. Nxd4?! Ne5 20. Nxc6 Rxc6 21. Bc4 b5-/+) 19... Nc5!=/+ d4 のポーンを取らせても大丈夫であることには気づかず、ビショップで取る手は考えていませんでした。確かにc5 のマスが早めに使えるのはビショップ取りの魅力です。

19. f4 e5 20. f5?!



f7 をターゲットにする作戦は悪くありませんが、20. Bc4 Qd8 のようにゆっくり指して様子を見るべきでした。h6-c1 のダイアゴナルを開けてしまうと、強力な反撃を食らってしまいます。

20... Bh6!


20... b5 と指し、Bd3-Bc4 を止める手も考えましたが、本譜が成立することに気付いてそちらを採用します。大多和くんは黒の最も重要なディフェンスである23手目を見落としていました。

21. fxg6 hxg6 22. Bc4 Bxc1 23. Qxc1


23. Bxf7+ Qxf7 24. Rxf7 Be3+ 25. Rf2 Rf8-+ これではクイーンを取っても、駒が全く足りていません。

23... Bd5!



私も自分で見つけておきながら、このディフェンスのアイディアに驚きました。この手でf7 を守ることができるところまで読めて、初めて20... Bh6 を指すことができます。

24. exd5 b5 25. Ng3 bxc4 26. bxc4 Qe7?!


黒は駒数を互角に戻し、ポーンの位置で優位に立ちますが、白の反撃を完全に抑え込むアイディアが見つけられませんでした。正解は26... d3! 27. Qg5 Rxc4 28. Nf5 Qc5+ 29. Kh1 Rf4-+ で、これならば白の攻撃を受け切って完全に黒勝勢です。

27. Ne4?



27. d6! Qxd6 28. Qg5! Rxc4 29. Nf5 Qb6 30. Ne7+ Kg7 31. Nf5+= 私はg5 のマスを守るつもりでクイーンをe7 に置きましたが、ポーンを捨ててもこのクイーンを逸らせば、Qc1-Qg5 からドローにできるところまで読めませんでした。

27... f5 28. Qh6 Qg7 29. Qxg7+ 29... Kxg7 30. Nd6 Rb8


クイーンを交換して一息つくことができました。お互いに駒数は同じで2コネクテッドパスポーンを持ちますが、c5 のマスをしっかりナイトで抑えているため、黒は白のポーンの前進はあまり恐れる必要はありません。あとは上手くd,e ポーンを進めて勝負を決めるのみです。

31. g4 e4



31... f4 32. Ne4 ではポーンの前進が遅れてしまいます。そこで本譜ではポーンを取らせても、パスポーンを前進させることにします。31... Nc5! 32. gxf5 Rd8-+ このようにナイトをトラップするアイディアもありました。

32. Rd1


32. gxf5 e3 33. fxg6 e2 34. Re1 d3 35. Ne4 Ne5 36. Kg2 Nxc4-+ f5, g6 を取らせても黒はなんら危なくありません。

32... d3 33. gxf5 33... e3 34. Ne4


34. Rxd3 Rb1+ 35. Kg2 e2-+ はプロモーションを止めるために白はルークを捨てるしかなく、ゲーム終了です。

34... e2 35. Re1 gxf5 36. Nf2 Ne5 37. Nxd3 Nxd3 38. Rxe2 Rb1+ 39. Kg2 Nf4+ 0-1



最後はナイトではなく、ルークアップとなって黒の勝利です。途中、エクスチェンジを捨てる強気な決断から、最後まで気を抜かずに上手く指せたと思います。

続く8R でも松尾さんに勝ち。初日以来の連勝となりました。しかし、トップを並走するTuさんも、小林くん、山田くんに勝ってぴったりとついてきています。この均衡がいつ崩れるのか、それとも崩れずに2人で走り切るのか。今年の全日本も残りは3試合です。

R1 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Kanda, D (JPN, 1859) 1-0
R2 Kobayashi, A (JPN, 2061) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R3 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Shiomi, R (JPN, 2085) 1-0
R4 Aoshima, M (JPN, 2280) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 1/2-1/2
R5 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Higashino, T (JPN, 1978) 1-0
R6 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Tran, T T (CM, VIE, 2319) 1/2-1/2
R7 Otawa, Y (JPN, 1895) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R8 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Matsuo, T (CM, JPN, 2242) 1-0
R9 Manabe, H (JPN, 2071) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)

明日は1日休みとなり、明けた9R は真鍋さんとの対戦と発表されています。Tuさんは私に敗れながらも、5.5P ここまで取っている松尾さんですので、まだまだ優勝の行方はわからないと思います。皆さん、明日はゆっくり休んで、また明後日池上でお会いしましょう!

Japan Chess Championship 2018 R9 Pairings


今日は2連勝だったので、気になってた巨大シュークリームをゲット。ばくだんいわみたい...

2018/05/01

Japan Chess Championship 2018 Day3


6R のトップボード Photo by Yamada, A

3日目の今日、私は午前中に東野さんに勝ち、Tuさんは青嶋くんに勝ちました。4.5/5 が2人まで絞られたことで、とうとうリスト1,2 の対戦となりました。Tuさんが昨日から連続白のため、私が白を引いてゲームスタートです。

Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Tran, T T (CM, VIE, 2319)
Japan Chess Championship 2018 (6)

1. Nf3 f5 2. d3 Nc6 3. e4



かつてハンガリーで、中国のLiu Guanchu と指したのがこのラインでした。早めの2... Nc6 には、3. d4!? Nf6 4. g3 e6 5. Bg2 Be7 6. O-O O-O 7. c4 d6 8. d5!? と指すのが良いと知っていたものの、d3-d4 の1手損をためらってしまいました。次の試合では必ず、早めにdポーンを突きなおすことにします。

3... e5 4. Nc3 Nf6 5. exf5 d5 6. d4 exd4 7. Nxd4 Nxd4 8. Qxd4 Bxf5 9. Bg5 Bxc2!


Liu とのゲームでは、9... c6 10. 0-0-0 Be7 11. Qe5 Qd7 のポジションで、12. Rxd5!! を見落としてドローになりました。他の変化でもc2 を取るのはありますが、ここでは白がどのように代償を取るかわからず、30分近くを使って考え込みます。なんとかひねり出したアイディアは、やはり白が満足できるものではありませんでした。

10. Qe5+



10. Rc1 Bg6 11. Bxf6 Qxf6! (11... gxf6? 12. Nxd5! Bb4+ 13. Qxb4 Qxd5 14. Rd1+/=) 12. Qe3+ Qe7 13. Qxe7+ Kxe7 14. Nxd5+ Kd7!=/+ 他には10. Be2 c6 11. Bh5+ Bg6 12. Bxg6+ hxg6 13. O-O Kf7=/+ も考えられそうですが、いずれも黒はダブルビショップかポーンアップで優勢です。

10... Kf7 11. Bxf6 gxf6 12. Qxd5+ Qxd5 13. Nxd5 c6 14. Nc3 Bh6


ポーンは取りかえしたものの、黒のダブルビショップに押される展開です。本譜の代わりに14... Re8+ 15. Be2 Bd3 16. a3 Bh6 17. Rd1=/+ も白はキャスリングできず、嫌でした。

15. Bc4+ Kg7 16. O-O Rhe8 17. Bb3 Bd3 18. Rfe1 b5 19. h3 Bf4 20. Rad1 Rxe1+ 21. Rxe1 Be5 22. Rd1!



本譜ではキャスリングができ、白が少しずつ楽になってきました。dファイルをルークで抑えた白は、ここから反撃に出ます。

22... Bg6 23. g3!


これは我ながら良いアイディアだと思いました。狙いは当然、f2-f4 から黒マスビショップを追い返し、b2 へのプレッシャーを消すことですが、先にルークが7段目に入ってしまうと、Bg6-Bf5 からh3 のポーンを失ってしまうことになります。黒は7段目を守る方法がないため、白はf4 突きを優先し、ルークの突入は遅らせることにします。

23... a5 24. f4 Bb8 25. Rd7+ Kh6 26. Be6



私がfポーン突き、ルーク突入と並んで考えていたのがこの手です。早めにビショップを逃がしつつ、eファイルをブロック、f4-f5 から相手のビショップをアタックするなどの狙いを持ちます。

26... b4 27. Ne2 Ra7 28. Rd8 Bc7 29. Rg8


黒キングにどの程度ダイレクトアタックのチャンスがあるかは分かりませんでしたが、gファイルを抑えて7段目に戻ってくるのを防ぎます。

29... Bd3 30. Kf1 Bb6 31. Ke1 Re7 32. f5 Rg7!?



この手はどこかであるかと思っていましたが、このタイミングできたことに驚きました。先まで読むのは難しいですが、白はポーンを取れそうです。Tuさんは私がルークを交換したことに驚き、ポーンが落ちることに気付いてかなり悔しそうでしたが、ここからの指し方は見事でした。

33. Rxg7 Kxg7 34. Nf4! Bb1 35. Nh5+ Kf8 36. Nxf6


このナイトのチェックでポーンが取れたのはラッキーでしたが、黒も当然ダブルビショップを活かしてクイーンサイドに反撃を仕掛けます。

36... Bd4 37. Nxh7+ Kg7 38. Ng5 Bxb2 39. Nf3 a4 40. Nd2 Bc3



試合後、Tuさんは40... Bc2 としてd1 のマスを抑え、白キングが黒のポーンに近づくのを止めるべきだったと指摘しました。確かにその通りですが、いずれにせよ難しいポジションです。

41. Kd1 Bd3 42. g4 b3 43. axb3 a3 44. b4 Bxb4 45. g5


黒はaファイルに早々にパスポーンを作り、白のピースをそれのブロックに専念させます。私もアクションを起こそうと自分のパスポーンを進めますが、3コネクテッドでもプロモーションを目指すのは難しい状況です。

45... c5



どう指してもドローなのですが、Tuさんは最後まで安易にドローにせず、ファイティングであったことにとても感心しました。45... Bxf5 46. Bxf5 Bxd2 47. Be6 Bxg5 48. Kc2 と進めば、白はa2 とc2 の白マス2つを抑え、異色ビショップでドローです。

46. Kc1 Bc3 47. f6+ Kg6 48. f7 Kg7 49. Ba2 Bb2+ 50. Kd1 Bg6 51. Nb1


慎重に読み、これでドローを確信しました。f7 を取らせている間に白も黒のパスポーンを消すことができます。

51... Bxf7 52. Bxf7 Kxf7 53. Kc2 Kg6 54. Kb3 c4+ 55. Ka2 Kxg5 56. Nxa3 Bxa3 57. Kxa3 Kh4 58. Kb4 Kxh3 59. Kxc4 1/2-1/2



会場で一番最後まで残る熱戦でした。これで私とTuさんは互いに4勝2ドローとなり、トップで並び続けています。

R1 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Kanda, D (JPN, 1859) 1-0
R2 Kobayashi, A (JPN, 2061) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R3 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Shiomi, R (JPN, 2085) 1-0
R4 Aoshima, M (JPN, 2280) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 1/2-1/2
R5 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Higashino, T (JPN, 1978) 1-0
R6 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Tran, T T (CM, VIE, 2319) 1/2-1/2
R7 Otawa, Y (JPN, 1895) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)

この日は小林くんが連勝で、私とTuさんと同じ5P で並んでいます。昨年は野口さんが私にだけ敗れたものの、他の試合を全部勝って優勝したため、もしかして? などと思ってしまいますね。今年の全日本も半分を終え、明日から後半戦に突入します。

Japan Chess Championship 2018 R7 Pairings


5P 対決が上で優先されるため、Tu-小林が1B となり、私は2B で大多和くんとです。昨年のジャパンオープンでも力を見せたジュニアは、今回の全日本も好調でここまで好成績を収めています。3B 以下も、まだまだ上位争いに関わりそうな注目対決が続きます。それでは休憩日前の4日目も、よろしくお願い致します。

2018/04/30

Japan Chess Championship 2018 Day2

全日本選手権2日目です。私は午前のラウンドで塩見さんを下し、真っ先に3連勝を決めます。続いて青嶋くんもSamuelくんに勝ち、ケンジくんと東野さんはドローだったため、3連勝は私と青嶋くんの2人に絞られました。そうなれば当然、4R での直接対決となります。昨年は野口さんを下して一時期はトップに立つも、青嶋くんに8R で痛恨の負けを喫し、2位に沈んだのでした。昨年の雪辱を晴らす大事なラウンドです。

Aoshima, M (JPN, 2280) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Japan Chess Championship 2018 (4)

1. e4 c6 2. Nf3 d5 3. Nc3 Bg4 4. h3 Bxf3 5. Qxf3 e6 6. d3 Nd7 7. Bd2 Qb6 8. O-O-O Bd6 9. exd5!?



昨年のマン島でドイツのIM をLubbe を破って以来、6. d3 ラインにはクイーンをb6 に配置する変化を指すことにしています。黒はNg8-Nf6 を遅らせることで、白のg2-g4 を牽制します。これに対して青嶋くんはポーンを交換し、センターのポーンストラクチャーを変えてきましたが、手数をかけてCaro-Kann Exchange のポーンストラクチャーにされるのは、黒としてはcファイルが使いやすく、嫌ではないでしょう。

9... cxd5 10. Bf4 Ne7 11. d4 O-O 12. Bd3 Rac8 13. Rhe1 Bxf4+ 14. Qxf4 Nc6


じっくりと時間をかけてピースを組み、クイーンサイドでプレッシャーをかけられるようにします。黒はd4 取りはもちろん、Nc6-Nb4 から白のアタックチャンスを削ることも視野に入れています。

15. Qh4 g6 16. Bb5



d4 の守り方ですが、これは少し意外でした。ピースを単純に捌けば黒はディフェンスが楽になり、その分クイーンサイドの攻撃に集中できます。

16... a6 17. Bxc6 Qxc6 18. Kb1 b5 19. Rc1 b4 20. Ne2 Rc7


7段目のディフェンスを入れつつ、場合によってはcファイルにヘビーピースを3つ重ねます。20... a5 とすぐに押し込み、キング前を崩すアイディアもあったでしょう。

21. f4 a5 22. g4 a4 23. f5



白はこれくらいしかアクションがありませんが、落ち着いてポーンを交換すれば黒にとってありがたいことがいくつかあります。1つはeファイルが使いやすくなること、もう1つは6段目が通ったことで、Nd7-Nf6-Ne4 のマヌーバリングが可能になることです。

23... exf5 24. gxf5 Nf6?!


しかし、検討でこの手がやや不正確だったと話に上がりました。代わりに24... a3! 25. b3 Nf6! 26. Ka1 Ne4-/+ としていれば、c3 のマスが弱く、黒は白キングに対して存分にアタックのチャンスが残っています。本譜でもバックランクの弱さがあり、十分に黒のチャンスがあると思っていましたが、上記の変化のほうが白が危ないのは明らかでした。

25. c3! b3 26. a3 Ne4 27. Nf4!? Re8?!



ここは勇気を出してエクスチェンジを取りにいくべきでした。27... Nd2+! 28. Ka1 Nf3 29. Qh6 Nxe1 30. Rxe1 私はこの手を読んでおり、白の代償は十分だと思っていました。(30. Nh5? Nc2+! 31. Rxc2 f6! 32. Rg2 Re8!-+ 青嶋くんが指摘したナイトをすぐ飛ぶ変化は上手くいきません。) 30... Re8! 31. Rc1 Kh8! 32. f6 Rg8-/+ 恥ずかしながらeファイルでルークをぶつける手が見えていませんでした。黒はしっかりディフェンスすれば、大丈夫そうです。

28. Qh6! Kh8 29. Rxe4?


しかし、このエクスチェンジサクリファイスは成立しておらず、青嶋くんは直後に青ざめたとのことです。しかし、私は見事に白の落とし穴に気付きませんでした。試合後、代わりにすぐルークを回せば白に勝ちなのではないかと話が出ましたが、29. Rg1 g5! 30. Qxc6 Rxc6 31. Nxd5 Rh6! 32. c4 Rxh3= ならば、白のパスポーンは危なそうですが、バックランクの弱さを突いたプレーが黒もでき、まだまだ難しい形勢でした。

29... dxe4 30. Rg1 Rg8?



g6 を守るにはこの1手だと思いましたが、これが大間違いでした。試合後に青嶋くんから、g6 取りはスレットになっておらず、単にeポーンを進めれば黒勝ちだと指摘されました。30... e3! 31. fxg6 Qe4+ 32. Ka1 fxg6 33. Nxg6+ Qxg6 34. Rxg6 e2-+ eポーンがプロモーションできるのであれば、一時的にクイーンとナイトを交換しても大丈夫です。ここにきてc7 に上げたルークがg7 のマスを守っているのがポイントでした。

31. fxg6 fxg6 32. Nxg6+ Qxg6!


32... Rxg6?? 33. Qf8+ はメイトですので、当然クイーンを捨て、2ルーククイーンにする1手です。

33. Rxg6 Rxg6 34. Qf8+ Rg8 35. Qf6+ Rgg7 36. Qf8+ Rg8 37. Qf6+ Rgg7 38. Qf8+ 1/2-1/2



バックランクメイトがあるため、白も勝負にいくことはできません。今年の全日本の中でも、かなり重要になるであろう青嶋くんとのゲームは、こうしたファイティングの末にドローで幕を閉じました。

R1 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Kanda, D (JPN, 1859) 1-0
R2 Kobayashi, A (JPN, 2061) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 0-1
R3 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Shiomi, R (JPN, 2085) 1-0
R4 Aoshima, M (JPN, 2280) - Kojima, S (IM, JPN, 2400) 1/2-1/2
R5 Kojima, S (IM, JPN, 2400) - Higashino, T (JPN, 1978)

明日はトップボードで小島-東野、Tu-青嶋、松尾-大多和となっています。どこも面白いペアリングですが、まだまだ3日目ですので今後どうなる分かりません。その他のペアリングについては、以下のサイトをご覧ください。それでは3日目もよろしくお願い致します。

Japan Chess Championship 2018 R5 Pairings


今日は検討しながらの夕飯でした。

2018/04/29

Japan Chess Championship 2018 Day1


初戦開始前の競技説明

今年もGW の全日本選手権が開幕しました。今年は45名の参加者で11R を戦い、新しいチャンピオンが決められます。私は初戦、予想通り神田さんに当たって勝ち。2R は去年のこのラウンドで対戦となった小林くんとの再戦です。前回は私がピースをタダで落とすブランダーを指すものの、そこからなんとか粘ってドロー。そしてその0.5Pダウンが、野口さんとの優勝争いに大きく影響したのでした。

Kobayashi, A (JPN, 2061) - Kojima, S (IM, JPN, 2400)
Japan Chess Championship 2018 (2)

1. Nf3 d5 2. g3 c6 3. Bg2 Bg4 4. c4 e6 5. cxd5 Bxf3!?



今回の全日本に向け、English Slav Formation (勝手にそう呼んでいます) に対しては、かなり時間を使ってラインを調べなおしてきました。早めのポーン交換に対しては、いくらか実戦経験のあるビショップナイト交換のアイディアを試してみます。Slav プレーヤーとしては、c6 にナイトを展開できるExchange Variation のセットアップは、かなり楽に指せるでしょう。5... exd5 6. O-O Nd7 7. d3 Ngf6 8. Nc3 Be7 こちらのラインも調べてはいましたが、いまいち戦い方を理解できていません。

6. Bxf3 cxd5 7. O-O Nf6 8. d3 Nc6 9. Nc3 Be7 10. Qa4!?


Maroczy Bind で黒がやるような、このピースの動きはなるほどと思いました。互いにオープンファイルをルークで抑え合いますが、どちらのルークが来るかが違います。

10... O-O 11. Bf4 Qd7 12. Rfc1 Rac8 13. Bg2 h6 14. Qd1 Rfd8 15. Na4?!



この手は少し変だと感じました。狙いはc5 への侵入を見せ、黒にb7-b6 を突かせて白マスを弱めることですが、果たしてa6 のマスや守りの薄くなったc6 のナイトを利用する方法が白にあるか疑問です。もし白がBd2, e3, d4, Bf1 という駒の配置であれば、Bf1-Ba6 のチャンスがあるため、b7-b6 を突かせるアイディアもあったかもしれません。

15... b6 16. Nc3 d4! 17. Nb1


もう少し前のポジションでも、dポーンを押し込むことは考えていました。白のナイトは本来であればe4 に跳びたいのですが、すでにc5 のマスは抑えられているため、17... Nd5 とかわされた後で、f7-f5 が困ります。そのため白は手数をかけて、ナイトを組み替えなければいけません。

17... Nd5 18. Bd2 Rc7 19. Be1 Rdc8 20. Qa4 Ne5



再びクイーンが出てくることは予想できていました。私のアイディアはb1 のナイトがルークの連携を断っている間に、ピース交換を進めてcファイルのコントロールを得ることです。

21. Qxd7 Rxc1?


ここはシンプルにクイーンを取りかえすほうが正確でした。21... Nxd7! 22. Rxc7 Rxc7 23. Nd2 Rc2 24. Nb3 Rxb2 25. Bxd5 exd5 26. Nxd4 Bf6! 27. Bc3 Bxd4 28. Bxd4 Rxe2-/+ 下記のラインに比べ、e5 にナイトがおらず、h8-a1 のダイアゴナルを邪魔していないことがポイントです。

22. Qxc8+!


恥ずかしながら、白がクイーンを返してくることを見落としていました。22. Qxa7? Rxe1+ 23. Bf1 Bf6!-+ ならば、e5 のナイトも落ちる心配なく、次に2つ目のルークがバックランクに跳び込んで黒勝ちです。

22... Rxc8 23. Nd2 Rc2 24. Rb1?



こうしたポジションでは、パッシブなディフェンスは一般的に良くないとされますが、ここも例外ではありませんでした。しかし、代わりの正解の手を見つけるのは難しいと思います。24. Nb3! Bb4 (24... Rxe2? 25. Nxd4 Rxb2 26. Bxd5 exd5 27. Bc3!+/- なんとこれはルークがトラップになり、白優勢です。) 25. Nxd4 Rxb2= こうしてe2 を守った状態でポーン交換ができれば、形勢互角と判断できそうです。

24... Bb4! 25. Nc4 Bxe1 26. Nxe5 Rxe2


白の25手目を見て少し悩みましたが、こうしてビショップ、ポーンの順に取れば、白には満足な反撃もディフェンスもありません。

27. Bxd5 Bxf2+ 28. Kf1 Rxe5 29. Bxe6 Bxg3 0-1



この駒数では、白は勝負を続けることはできません。初日を無事に連勝で乗り切ることができ、ほっと胸をなでおろします。

他のボードでは色々とドラマがありました。まずは初戦、リスト2 のTuさんが福田さんにほぼ負けポジションからドロー。リスト4 の松尾さんも青木さんに勝ちポジションからブランダーで負けと、波乱含みのスタートでした。2R も去年のチャンピオン、野口さんが青嶋くんに負け。さらには弘平くんが東野さんに負けと、IVL メンバー同士のペアリングで決着がついています。2R を終え、連勝はわずかに6人で、3R からその全勝同士の対戦です。

Kojima (2) - Shiomi (2)
Aoshima (2) - Asaka (2)
Hiebert (2) - Higashino (2)


塩見さんに白は、去年と同じ色と組み合わせです。ほとんど毎年のように全日本で対戦していますが、今年もどんなゲームになるか楽しみにしています。その他のペアリング、これまでの結果については、こちらからチェックしてみてください。

そして今回素晴らしいのは、Chess Results 上から2R までの全棋譜がpgn 形式でダウンロードできるようになったことです。これで例年のように、プリントした棋譜をいちいち並べずにすみます。対戦相手の研究ができるのはもちろん、参加していない人たちもすぐに棋譜が見られるのは嬉しいと思います。今年から改善された運営陣の働きぶりには、本当に助けられますね。それでは皆さん、2日目もよろしくお願い致します。


2試合とも勝ったので、ダブルチーズケーキです

2018/04/28

第5回七盤初心者のためのチェスレッスン

次のいっぷくでのチェスレッスンまで、ちょうど2週間となりました。5月のチェスレッスンは、12日の土曜夜の開催です。

【日時】 2018年5月12日(土) 18:30~20:30
【会場】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく(最寄駅:清澄白河駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答+対局
【テーマ】 バックランクとディフレクション
【参加費】 2000円
【申し込み】 どうぶつしょうぎcafe いっぷく ご予約フォーム

4月はタクティクスの中でも、ピンやディスカバードアタックをテーマに話をさせていただきました。続く5月はバックランクとディフレクションを扱おうと思います。週末の夜、いつものように清澄白河でボードゲームファンの皆様にお会いできることを楽しみにしています。

2018/04/27

Tokai Open 2018 Tournament Information


昨年の東海オープン表彰式

今年も全日本後、名古屋で東海オープンが開催されます。昨年初めて参加したこの大会ですが、今年もエントリーを済ませました。日帰りの慌ただしい名古屋遠征になりますが、楽しんでこようと思います。参加者の皆さん、よろしくお願い致します。

【日時】 2018年5月13日(日)
【会場】 ウィルあいち 愛知県女性総合センター(最寄駅:市役所駅)
【形式】 スイス式5回戦 25分+30秒/手
【参加費】 5000円(18歳未満4000円)
【申し込み締め切り】 2018年5月12日(土)

その他、スケジュールや賞品など大会詳細については、名古屋チェスクラブのHP内の大会案内を参照してください。東海オープンは中部快速同様、短い持ち時間で1日に多く試合をこなすイベントです。50周年記念の今年も、大会が盛り上がることを期待しています!

2018/04/25

国内レイティング S118

4月20日締め切りの新しい国内レイティングが、今日公開されました。今期は百傑戦に加え、広島、大阪、名古屋、東北などの各地方予選の結果が反映され、変動のあったプレーヤーは多かったと思います。私は先日北千住の例会で1試合だけしたものの、それは20日以降だったため、今期のレイティング変動には影響がありません。百傑はカペルで不参加でしたが、概ね日本にいながら公式戦をしなかったのは久々です。

Tran Thanh Tu 2515 +12
南條遼介 2435 -2
馬場雅裕 2416 +1
青嶋未来 2396 +4
Alexander Averbukh 2311 -25
山田弘平 2299 -2


今期試合をしたメンバーで、上位勢はこのようになっています。Tuさんは百傑戦全勝という素晴らしい戦績で大きくレイティングを上げ、おそらくベストを更新したでしょう。2年ぶりに参加となる全日本選手権も大本命で間違いありません。南條くん、馬場さんは相変わらず安定していますが、全日本には残念ながら不参加です。青嶋くんは全日本で2400復帰と、FIDE 2300突破によるFMタイトル獲得の期待がかかります。

全日本開始の4日前、こうして新しい国内レイティングが公開され、全日本のリストも確定しました。全日本のリストは基本的にFIDE レイティングによって決められますが、FIDE レイティング非保持者は国内レイティングが採用されるため、今日まで最終的なリストは未定だったのです。国内レイティングのリストは松戸チェスサークルのHPで、全日本のリストはChess Results で確認ができます。いつもながら、どちらも更新の早さに頭が下がる思いです。

それでは皆さん、このレイティングで全日本選手権とゴールデンオープンはよろしくお願い致します。また日曜日に池上でお会いしましょう!

2018/04/21

Kitasenju Meeting on 21st April 2018


今日は久々に北千住の例会に参加してきました。20名以上の参加者がいて、いつもは余裕のあるスペースも多少譲り合うような状況でした。チェスクラブが盛況なのは良いことですね。私は仕事の都合で14時からの1試合しか指せませんでしたが、面白いゲームができたので今夜はこちらをご紹介します。

Higashino, T - Kojima, S
Kitasenju (1)

1. Nf3 d5 2. c4 c6 3. e3 Nf6 4. Nc3 a6 5. Qc2 e6!?



English Opening にはSlav Formation でしばらくいこうかと思っていますが、その中でもd2-d4 が遅い場合、キングサイドにフィアンケットを組んだり、Bc8-Bg4 と指したり、色々と試している最中です。今回はQd1-Qc2 を見て、Semi-Slav Accelerated Meran をイメージし、c6-c5 を突きなおすセットアップを考えました。

6. b3 c5 7. Bb2 Nc6 8. a3 Be7 9. Be2 O-O 10. O-O b6


ここは早めにd5-d4 と押し込んでBenoni Structure にするか、それとも様子をもう少し見るか悩みました。黒の一番の気になるポイントは、白マスビショップをどこに展開するかですので、フィアンケットの準備をしつつdポーンを押し込むタイミングを図ります。

11. Rfd1?!



白もd5-d4 を覚悟で準備をし、黒の仕掛けが遅ければd2-d4 を指そうと試みますが、この待ち手は変だと思いました。先述のようにBenoni の形になった場合、d1 のルークは特に働かないためです。代わりに11. d4 cxd4 12. exd4 Bb7 ならば、全く違う形でお互いに指すことができそうです。

11... d4! 12. exd4 cxd4 13. Ne4 Bb7 14. d3!? a5!?


14... Nxe4 15. dxe4 e5 16. Ne1 も考えましたが、dファイルにルークが回られたのに、dファイルを開かせるのは少し嫌でした。d4 のパスポーンは確かに強そうではありますが、d3 をブロックされて長い戦いになることは目に見えているので、d3 のポーンを弱点として残すほうが良いと私は考えました。

15. Nxf6+ Bxf6 16. Qd2?!



東野さんはBenoni の基本通りにbポーンを伸ばそうとしますが、ここでは上手いプランではないように思えます。16. Nd2 からe4 のマスを活用するほうが良く、本譜のクイーンの動きはd2 のマスでナイトを使うチャンスを消してしまうことになります。

16... e5! 17. b4 Re8 18. b5


通常のBenoni と違ってbポーンを伸ばすプランが強くない理由は、白はeファイルからの攻撃を準備していないため、c6 のナイトがいなくなってもターゲットがないこと、またキングサイドフィアンケットを組んでいないため、黒のbポーンにビショップのプレッシャーがないことが挙げられます。むしろ黒としてはbポーンを伸ばしてもらい、c5 をナイトの絶好のアウトポストにしてもらうほうが都合が良いでしょう。

18... Nb8! 19. Ne1 Nd7 20. Bf3 Bxf3 21. Nxf3 Nc5



ピースは多少捌けていますが、黒のナイトが好位置に来たことで、b3 への侵入やd3 のポーンの負担を白は常に気にしなければいけなくなります。加えて、黒はすでにe5-e4 のブレイクが十分できる形です。

22. Qc2 e4! 23. Ne1


23. dxe4? d3! 24. Qb1 Bxb2 25. Qxb2 Rxe4-/+ こうなれば黒が完全に局面を支配しています。c4 のポーンは負担になり、逆にd3 のパスポーンは非常に強力です。

23... a4!? 24. Rab1


ここは白も黒も互いにセンターポーンをどう捌くか悩むところです。私は24. dxe4 Rxe4 25. Nd3 Nb3 26. Rab1 Qd6 と進む流れは、黒が優勢だと判断しました。d4 のポーンは孤立ポーン、ターゲットとしての弱さよりも、パスポーンとしての強さが十分にあると思います。そのため、23手目ではe4 を取らても良いと思ってaポーンの押し込みをしましたが、ずっと待つのもどうかと思ったので、eポーンの押し込みにプランを変更します。

24... e3 25. Nf3 Ra7 26. Re1 Rae7 27. Rbd1 h6



小さい手ですが、自分からはアクションを起こさずにバックランクを外しておきます。e3 でのポーンのぶつかり合いは、どう捌いてもd3 のポーンが負担として残ります。

28. fxe3 Rxe3 29. Rxe3 Rxe3 30. Bc1 Re6 31. Qf2 Qe7 32. Kf1


残り時間はほとんどありませんでしたが、この辺りは上手く指して白にプレッシャーをかけ続けられたと思います。32. Nxd4 Bxd4 33. Qxd4 Re1+ は当然黒の勝ちですので、白はd4 を取ることはできず、e2 のマスを守らなければいけません。

32... Nb3! 33. Bb2 Re3! 34. Re1 Qd6!



白の頼みの綱のルーク交換も上手くいかず、これで黒の勝ちになったと思いました。e3 でピースを交換しても、b2 のビショップが浮いているため、白はポーンを取ることができません。

35. Qg3 Nd2+ 36. Kf2 Qxg3+


クイーンを交換しても黒勝ちのエンドゲームですが、36... Qe7! 37. Qf4 Nxf3 38. Rxe3 dxe3+ 39. Kxf3 Bxb2 としてビショップを取ってしまう流れもありました。

37. hxg3 Nxf3 38. gxf3 Rxd3 39. Re8+ Kh7 40. Ke2 Rb3 41. Bc1 Rc3 42. Kd1 Rxf3 43. Rb8 Rf1+ 44. Kc2 d3+ 45. Kxd3 Rxc1 46. Rxb6 Rc3+ 0-1



東野さんとのゲームは、あまり良くないポジションから誤魔化してしまうことがこれまで多かったですが、今日は全体を通して大きなミスなく、丁寧に指すことができたと思います。全日本直前の調整として、良いゲームが指せたので、北千住に足を運んだ甲斐もあるというものです。参加者の皆さん、お疲れ様でした。

ところで、今日はまだ更新前のレイティングをカルテには書いていますが、国内レイティングの締め切りは偶数月の20日ですので、今日の試合の計算は新しいレイティングになってから、6月の更新に回されるはずです。4月20日締めのレイティングも来週半ばには公開されると思いますので、そちらもお楽しみに。

2018/04/18

Melkumyan's Endgame Technique

最近はなかなかブログが更新できていませんが、全日本に向けて毎日チェスの勉強は続けています。Chess24 ではEuropean Women's Championship、Chinese Championship などいくつかの大会を追っていますが、その中でも注目は18th Bangkok Chess Open です。Open クラスは先ほど6R が終了したところですが、トップボードではアルメニアのGM Melkumyan が、2試合連続で素晴らしいゲームを見せてくれました。

Tran, T M (GM, VIE, 2514) - Melkumyan, H (GM, ARM, 2669)
18th Bangkok Chess Open (6)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. e3 O-O 5. Nge2 Re8 6. a3 Bf8 7. Nf4 d6 8. Bd3 e5 9. Nfe2 d5 10. cxd5 exd4 11. Nxd4 Nxd5 12. Bxh7+ Kxh7 13. Qh5+ Kg8 14. Qxd5 c6 15. Qxd8 Rxd8 16. O-O



このゲームはこのポジションから見始めました。ここまでの手順が全く分からず、2回ほど初手から見直します。Nimzo-Indian の5. Nge2 Variation は私も何回か指されたことがあり、Rf8-Re8, Bb4-Bf8 のアイディアがあることは知っていましたが、このポーンサクリファイスの変化は見たことがありませんでした。黒はh7 で1ポーンを捨てていますが、ダブルビショップとdファイルのコントロール、白マスの将来的な使いやすさで代償を得ています。

16... Nd7 17. b4 Ne5


白マスビショップを消してしまった白は、d3,c4 といったマスにナイトを入られてしまいそうなことが気になります。そこで黒マスビショップを展開する前にe5 のナイトを追い返そうとしますが、黒は巧みな手順でそれに対抗します。

18. Na4!? b6! 19. f4 c5! 20. fxe5 cxd4 21. exd4 Rxd4



センターのナイトは捌けましたが、代わりにe5 まで進んだポーンが伸びすぎでターゲットになりそうです。黒は相変わらずダブルビショップをキープし、d4 のアクティブなルークも嬉しい存在です。

22. Bb2 Rg4 23. Rac1 Be6 24. Rfe1 Rd8


ここは読み切るのが難しいですが、面白いアイディアがありました。24... a5! 25. Nxb6 Ra6! 26. bxa5 Rxa5 と進めば、黒はa3 とe5 をターゲットにしつつ、Bf8-Bc5+ も狙って楽しみにあるポジションです。

25. Nc3 a5!



Melkumyan は白がナイトを退き、b6 を狙えなくなったタイミングを見計らってaポーンを伸ばします。白はa3 のポーンがターゲットになれば、駒得を長く維持することは難しくなるでしょう。

26. bxa5 bxa5 27. h3 Rg3 28. Kh2 Rgd3 29. Ne4 Rb3 30. Rc2 Be7 31. Bc1 Rb1!?


私が面白いと思ったのはこの辺りです。黒は取りかえせるポーンを無視してプレーします。a3 のポーンを取ってパスポーンを作っても、ビショップを交換してしまうことは白に楽をさせてしまうとMelkumyan は判断したのでしょう。

32. Rce2 Rd3 33. Bb2 Rxe1 34. Rxe1 a4 35. Re2 Kh7 36. Bc1 Kg6



黒はポーンを取りかえすことを焦らず、キングのポジションを改善してチャンスを待ちます。

37. Nd6 Rc3 38. Bb2 Rb3 39. Bc1 Bh4 40. Re3 Bg5!


黒はb3 でのルーク交換か、a3 のポーンのタダ落ちか、嫌な選択を白に迫ります。a3 のポーンを取るだけであれば、もっと早い段階でBxa3 を入れても良いのでは? と思いましたが、ゆっくりキングをg6 まで上げてきたことで、e5 のポーンの負担が大きくなっていることがポイントです。

41. Rxb3 axb3 42. Bb2 f6!



白の最後の希望であるb3 のポーンのブロックを外すアイディを見つけ、黒は勝ちを引き寄せます。白はこのポーンを取るわけにいきませんが、そうなれば黒はeファイルにパスポーンを得て、白のピースの働きを制限します。

43. Kg3 fxe5 44. Kf2 Bd5 45. g4 e4 46. Nf5 Bf6 47. Bxf6 Kxf6 0-1


最後は黒マスビショップ同士をぶつけ、ブロックを外せば黒の勝ちです。エンドゲームであ焦らないことが肝心だと言われますが、Melkumyan はまさにそのことを盤上で見せてくれました。

ちなみに白を持っていたベトナムのTran Tuan Minh は、8年前、ブダペストで私と馬場さんが対戦しています。少年と呼べる年頃から海外に長期滞在して腕を磨き、現在はベトナム代表の座を狙える位置まで成長したTran Tuan Minh ですが、このラウンドでは2600後半のMelkumyan に力の差を見せつけられた感じがします。世界は広いですね。

そしてこのタイのトーナメントには、Open、Challenger 2つのクラスに日本から数名のプレーヤーが参加しています。今年のカペルに一緒に参加した阿部くんは、6R で1900に2勝目を挙げ、ここまで好成績を収めています。これらのゲームは帰国後、彼がブログで紹介してくれることを楽しみにしています。中継されている上位ボードでは、明日以降も面白いゲームが見られるよう期待しています。

18th Bangkok Chess Open R7 Pairings
18th Bangkok Chess Open Live Games


2018/04/09

Japan Chess Championship 2018 Tournament Preview


昨年の全日本選手権

遅くなりましたが、4月最初の更新です。新年度に入り、毎年恒例の全日本選手権が近づいてきました。今年は少し変則日程で、4/29-5/2 までで前半の8R を戦い、1日休みを入れて、5/4-5 の2日間で最後の3試合を戦います。全日本と並行して開催されるゴールデンオープンも、5/2,4,5 というスケジュールです。休憩日を挟むことは海外のトーナメントでは珍しくありませんが、私に知る限り日本では初の試みです。それにしても、平日の5/2 に試合をし、5/3 を休みにするというのは少し不思議ですね。

そうした不思議な開催日程にもかかわらず、各地方予選を戦い、全日本出場の権利を獲得したプレーヤーたちは続々とエントリーを行っています。私もリストにはまだ反映されていませんが、今日、参加の手続きをしてきました。私にとっては、15年連続15回目の全日本選手権です。過去に優勝は5回、2位は4回で、昨年も含めて全て2位の際は、1位と0.5P差の僅差でした。毎年、今年こそは優勝をと書いている記憶がありますので、今年はあえてそれを言わず、全体を通して良いプレーができればと思います。

全日本選手権2018 エントリーリスト

現在のエントリーは39名ですが、もう少し増えると思います。オリンピアードイヤーの今年、代表を決めたメンバーが全日本でもその力を発揮するのか、それとも下位のプレーヤーがどんでん返しを見せるのか、今回も楽しみなゴールデンウィークになりそうです。それでは参加者の皆さん、よろしくお願い致します。

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