2013/01/23

CAISSA IM January 3rd and 4th round - Consecutive Victories -


今日は試合が午前中だったため、3,4R のゲームをまとめてお届けします。まずは白で敗れたKeresztes との試合から。IM ノームの基準である10R で8P を目指す以上、黒でも勝ちにいかなければいけません。

Keresztes, R (FM, HUN, 2242) - Kojima, S (FM, JPN, 2349)
CAISSA IM January(3)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. f3!?



勝ちにいくオープニングとして、Slav ではなくNimzo-Indian をチョイス。そして相手は、データになかったSamisch Variation です。これに対して、夏にIM Galyas に一度敗れているので、以前、吉村先輩と研究していた別のラインを試してみることにします。

4... O-O 5. a3 Bxc3+ 6. bxc3 Ne8!?


白のBc1-Bg5 を避け、伸ばしてくるセンターポーンにプレッシャーをかけにいきます。

7. Nh3 b6 8. e4 Ba6 9. Bd3 Nc6 10. Qe2 Na5 11. e5 Qh4+!



ここは試合中、少し悩んだところ。単純にcポーンを固定しにいこうとすると大失敗です。11... c5? 12. Bxh7+! Kxh7 13. Ng5+ Kg8 14. Qe4 f5 15. Qh4+-

12. Nf2 c5 13. g3 Qh5 14. Be3 Rc8 15. g4 Qh4 16. d5 f6!?


16... exd5 17. cxd5 Bxd3 18. Qxd3 Qe7 19. f4 f6 20. O-O fxe5 21. Rae1 コンピュータはe5 のポーンを取りにいく変化を示しますが、ポジションを開きすぎるとダブルビショップが生きる展開になりうるため、ここは少し違ったアイディアで勝負します。

17. dxe6 dxe6 18. O-O f5!



fファイルを開くと見せかけて閉じるのが、私が考えたアイディアです。f5 にポーンを残すことでe4 のマスを抑え、Nf2-Ne4 と白がナイトをアクティブに使うことを防ぎます。

19. gxf5 exf5


このポーンは間違いなく黒にとってありがたいものです。e6 のマスが空けば、Ne8-Nc7-Ne6 とナイトが理想的なブロッカーとなるうえ、6段目を使った攻撃が可能になります。

20. f4?? Bb7?



アイディアはOK ですが、緩手です。直感的に白の手がおかしいのは分かっていましたが、最もシンプルかつダイレクトなアタックが見えていませんでした。20... Rc6! 21. Nh1 Rg6+ 22. Ng3 Rxg3+ 23. hxg3 Qxg3+ 24. Qg2 Qxe3+-+ ルークを6段目で振るだけで、あっという間の決着でした。

21. Nh1 Rc6 22. Qe1?


最後もあまりにお粗末なミス。クイーンをぶつけるマスが違っていれば、黒やや良しながらも、試合はまだまだ続きます。22. Qf2 Rg6+ 23. Ng3 Nc7=/+

22... Rg6+ 23. Ng3 Qh3 0-1



次のh7-h5-h4 からのナイト取りのスレットが受からず、白はリザイン。最後はあっけなかったですが、Nimzo-Indian を指してアンバランスなポジションを作る作戦が成功した結果とも言えるでしょう。続いて今日の試合へ。

Kojima, S (FM, JPN, 2349) - Meszaros, A (IM, HUN, 2277)
CAISSA IM January(4)

1. Nf3 Nf6 2. c4 Nc6!? 3. d4 e6



黒で研究して指したことはありましたが、白では初めてとなるTango です。もともとの準備としては4. g3 からBogo-Indian にするつもりでしたが、ハンガリーのマスターの多くはBogo-Indian を好んで指すため、私のあまり知らない領域になるのを嫌い、別のラインを指すことにします。

4. a3!? d5


私が以前研究したラインでは、黒は4... g6 から少し変わったKing's Indian にするのがメインです。黒はe7-e6-e5 とポーンを突き直しますが、白もa2-a3 が生きるのかが疑問ということで成立するラインです。これに対しては私もFianchetto するつもりでした。

5. Nc3 Be7 6. Bf4 O-O 7. e3 a6 8. Rc1 Re8 9. h3 h6 10. Qc2 dxc4



Queen's Gambit Rubinstein Variation の応用で(8年ほど前に三阪さんから教わりました。)、白は極力、Bf1-Bd3 を遅らせ、黒からdxc4 と取ってくるのを待ちます。ここまでは私にとって満足な流れで、黒がセンターを交換して来なければ、別のプランを採用するつもりでした。10... Bd6 11. Bxd6 Qxd6 12. cxd5 exd5 13. Bd3+/=

11. Bxc4 b5 12. Nxb5!?


7... a6 を見た時点では、12. Bd3 Bb7 13. Ne4+/= (黒はc5 のマスが弱点)で白良しだろうと予想を立てていましたが、実際に指された直後に、私の耳元で、このポーンを取ってしまえと悪魔が囁きました(笑)

12... axb5 13. Bxb5 Nb4?



分かりやすい駒損にするのは、黒としては面白くないでしょう。13... Na7 14. Bxc7 Qd5 15. Bxe8 Nxe8 16. Bb6 Ba6! ならば、3ポーン2ピースルークという珍しい駒割ですが、ダブルビショップを持って相手のキャスリングを妨害している黒に、十分なチャンスがありそうです。

14. axb4 Bxb4+ 15. Nd2 c6!?


普通に指しても勝負にならないため、ここはさらにポーンとエクスチェンジを捨てて、白マスビショップを生かすアイディアです。これに対して、安全にビショップを退く選択肢もありそうですが、敢えてここは相手の誘いに乗ることにします。

16. Bxc6 Ba6 17. Bxa8 Qxa8 18. f3! Nd5 19. Kf2 e5!?



単純にビショップを貰ってからd4 を取りに行く程度では、黒の攻撃は不十分だと考えたのでしょう。しかし、これも受け切れることが可能です。

20. Bxe5 f6 21. Bg3 Rxe3 22. Nc4 Qe8?! 23. Rhd1


次のアイディアは見えていたのですが、ナイトを取りにいくピースを勘違いしていたため、先にルークを回す次善手を指してしまいました。23. Be5! fxe5 24. Nxe3 Nxe3 25. Qb3+!(不思議なことに、他の様々なラインで読んでいたこの手を、Bg3-Be5! からのエクスチェンジ取りのラインでだけ、読み落としていました。) 25... Kh8 26. Qxe3-+

23... Bb5 24. Be5!



ここでいよいよ、鬼のエクスチェンジ取りスレットを敢行します!e3 のルークはどこにも逃げられず、これで白の勝利が決まります。

24... Ba4


24... fxe5 25. Nxe3 Nxe3 26. Qb3++- 先程示したラインとほぼ同様に、ビショップを取る手はさらにエクスチェンジを失う結果となります。

25. Qf5 g6


25... Bd7 26. Qb1+-

26. Nxe3!



ここでクイーンを捨て、シンプルなポジションにすることでゲームを収束へと向かわせます。

26... gxf5 27. Nxd5 Qb5 28. Nxf6+ Kf7 29. Rc7+ Kg6 30. Nd5!


メイトスレットがあるため、ナイトもルークも取ることができません!(自信のない方は、盤で並べて考えてみてください) このナイト退きからf4 を目指すことで、いよいよ黒キングを追い詰めます。

30... h5 31. Rg7+ Kh6 32. Ne3 h4 33. Nxf5+ Kh5 34. g4+ hxg3+ 35. Nxg3+ Kh6 36. Nf5+ Kh5 37. Rdg1



黒キングは完全に白のピースに包囲され、ゲームオーバー。残りは無駄なあがきです。

37... Be1+ 38. Rxe1 Qxb2+ 39. Re2 Qb1 40. Re4 1-0


2200台に連勝で、初戦の負け分は取り戻しました。明日はMolnar とMeszaros との1日2試合になりそうなので、そこをもし2試合とも勝てれば、残りの4試合でどう6つ勝ち越しを決めるか、真剣に考える段階に入ります。


午前中の試合を終え、雪残るケチケメートから一度ブダペストに戻ります。


列車までの時間がなかったので、お昼は簡単に。こういったチョコのパンが好きです。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

お疲れさまです。今まではカロカン等でポーン拾ってブチブチという感じだったのに今大会はブイブイ攻めてますねぇ。何かあったのでしょうか・・

Shinya_Kojima さんのコメント...

ありがとうございます。

いつもはブイブイいってないように見えますかねw 負けた分を取り戻さなければいけないので、少し指し方が違うかもしれませんね。

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