2014/07/20

Summer Open 2014 Day1 - Endgame Day -


Photo by Honma

この2日間は蒲田でサマーオープンです。初日の今日、私は1番ボードで3連勝でしたが、全て60手前後のエンドゲームで、合計180手を超えるハードな内容でした。勝田くん、前田さんとの試合はかなり誤魔化した感じがしますが、3R 汐口くんとのゲームは非常に面白い内容だったので、こちらをご紹介しておきます。

Kojima, S (FM, JPN, 2434) - Shioguchi, T (JPN, 2010)
Summer Open 2014 (3)

1. Nf3 d5 2. d4 c6 3. c4 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O O-O 9. Qe2 Nbd7 10. e4 Bg6 11. Bd3 a5!?



最近、白でも黒でもClassical Slav の6. Ne5 ばかり指していたので、久々に気分を変えて6. e3 を指してみることにしました。汐口くんの11... a5!? は未知の手だったため、ここから考え始めます。

12. h3 Qc7 13. e5 Nd5 14. Bxg6 hxg6 15. Bd2 N7b6 16. Rfc1 Be7 17. Ne4 Nb4 18. Neg5!


少しイマイチな流れだった気がしていましたが、この力強い1手で白がチャンスを取り戻します。一般的にf7, g7, g6 のポーンストラクチャーは堅いものですが、g5 にナイトを固定されてしまうと、Qe2-Qe4-Qh4 のメイトスレットに対応しなければいけません。

18... Rfd8 19. Qe4! Nd7 20. Qf4!



これでf7 をアタックし、黒マスビショップをいただいておきます。

20... Bxg5 21. Nxg5 Nf8 22. Ra3!?


白は、ここからd3 のマスをカバーしてルークをセンターに回すため、この手をチョイスしますが、黒マスビショップを返しても、d5 のアウトポストにナイトを戻させないのも、有効な作戦だったでしょう。22. Bxb4 axb4 23. Ne4+/-

22... Nd5 23. Qf3 Rd7 24. Ne4 Ne7 25. Rd3 Nf5 26. Bc3 Qd8 27. Nc5 Rc7 28. g4 Ne7 29. Bd2 Nd5 30. Ne4 Nb4 31. Bxb4 axb4 32. b3 Nd7 33. Rc4



私はb4 でビショップナイトの交換になるのは、白にとってありがたいと考えていましたが、汐口くんは1ポーンを捨ててでも、ルークの利きを開こうと考えたそうです。この辺りの考え方は難しいですね。

33... Nb6 34. Rxb4 Nd5 35. Rc4 b5 36. axb5 cxb5 37. Rc5!


ここは時間のない中、勝負の1手です。単にルークを交換しては面白くないと思った私は、ポーンをばらしてもパスポーンを作り、d6 にナイトを跳びこませてf7 を狙うチャンスを残します。この後のサクリファイスは、すでにこの段階で構想にありました。

37... Rxc5 38. dxc5 Qc7 39. Nd6 Ra1+ 40. Kg2 g5 41. Rxd5!



ここはエクスチェンジサクリファイスをして、黒の強力なナイトを取り除いておきます。試合後、これで白良しと読んでいたのかと、汐口くんに尋ねられました。私はcファイルのパスポーンと、e5-e6 のブレイクを両方を防がなくてはいけない黒の負担は、軽くないと判断します。

41... exd5 42. Qxd5 Re1 43. b4 Qe7 44. Ne4 Kh7 45. c6 Rc1


この辺りで私の持ち時間が増えないトラブルがありましたが、時計を交換してゲーム再開。直前のオファーを蹴り、決着をつけにいきます。

46. Qd6 Qe8 47. Nxg5+ Kg8 48. c7 Qa8+



私は48手目を指した後、これはまずいかもしれないと思っていたので、本譜のこの手を見て少し安心しました。試合後に代案として、汐口くんが見ていなかったもう1つの手を指摘しましたが、それで黒が助かるというのは、私の勘違いでした。とは言え、とても面白い変化なので、ご紹介しておきます。

48... Qc6+ 49. Qxc6 Rxc6 (試合中、これでcポーンが落ちたらまずいのではないかと読んでいました。ところが...) 50. e6!


Analysis Diagram

まさかのこの1手で白勝ちです。50... f6 51. e7!+- も、50... Rxc7 51. exf7++- も、50... fxe6 51. Nxe6+- (黒キングはf7 に上がることができず、白はf2-f4-f5 から、キングをクイーンサイドに寄せて勝ち。) も、全て白の勝ちです。全日本でのAndrew戦でも痛感しましたが、ルーク vs ナイト+パスポーンは大変難しいですね!

49. Kg3! Rc3+ 50. Kh4 Qf8 51. Qd8+-


こうしてd8 のマスにさえ飛び込めれば、これでゲームセットです。黒はクイーンをf8 にキープすることができません。

51... g6 52. e6 fxe6 53. Nxe6 1-0



非常に複雑なゲームでしたが、これを制して3連勝! 隣のボードでは、私の生徒である三ツ矢さんが、桑田くんを下して先に3連勝を決めていたので、私も気合が入りました。3連勝が2人のみであることから、4R1B は三ツ矢-小島のオリンピアード代表対決が確定したので、明日の試合も楽しみですね。


試合後、豪雨によってだいぶ会場で足止めを食らいましたが、なんとか区民センターを脱出し、友人との再会を果たしました。ポール飯沼さんは、普段はハワイに住んでいますが、今回は久々の来日で、束の間の日本を楽しんでいるようです。2009年の全日本選手権では、南條くんを最終戦で下して4位入賞、名古屋では暁さんに勝ちなど、1年間の日本留学生活の中で、印象に残る戦績を残していました。ポールとは明日の夕方に再び合流する予定ですので、彼と縁があったプレーヤーは是非、明日、蒲田まで足を運んでみてください!

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