13年前、麻布学園チェス部の部室に、ひょっこりと1人の小柄な少年が現れました。私は数日前に入部したことで謎の先輩風を吹かせ、その子にチェス教えてあげることにしました。しかし、彼は将棋の経験があったうえ、チェスのセンスもピカイチで、私は何事もなく敗れました(笑) それが14年目の付き合いになる、私と桑田くんとの出会いです。
そんなACC の同期であり、現KUCC の設立メンバーでもある桑田くんが、チェスのブログを始めたようですので、今夜はそちらをご紹介しておきます。タイトルはひねりがないですが、そこがまた桑田くんらしくて良いですね。
そして最初の記事には、かなり驚かされました。彼の2010年以降の棋譜が200試合以上、text ファイルで公開されており、pgn 形式でダウンロードすれば、チェスベースで開くことも容易になっています。私も自分のゲームをかなりオープンにする人間だと思いますが、まさかいきなりサマーオープンまでの全棋譜を出してくるとは... 白番での1.e4 と、黒でのCaro-Kann、Slav Defence をチェックしたい人にとって、彼のゲームは必見だと思いますが、日本のプレーヤーは、彼のプレーからそれ以上のことを学べると思います。
5月の全日本選手権でも彼や汐口くんと話をしましたが、桑田くんのプレーは「足ることを知る」とでも言えば良いでしょうか。白番であれば、わずかな優位(ピースの展開のリード、スペースアドバンテージ、そしてそれらがもたらすアタックのチャンスなど) で十分に戦えること、一方で黒番であれば、多少の不満(展開の遅れ、スペースの狭さ、ダブルビショップの放棄など) があっても戦えることを、高いレベルで理解しています。欲を出して、無茶なアタックを仕掛けたり、楽な勝ちを求めたプレーをすることは、結局勝つためには遠回りでしかなく、不確実な方法であることを、よく分かっていると思います。
6年前に彼が慶應義塾大学に入学してきて、チェスサークルを設立をしたことが、今日の私や彼のチェスつながっています。今後も友人として、ライバルとして付き合いは長いと思いますので、彼のプレーを見守り、勉強させてもらうつもりです。ブログの更新は大変だと思いますが、今後の記事も楽しみにしています。
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