こちらのブログでは恒例の、羽生さんとのトレーニングを今月も行ってきました。今日も2試合のラピッドと、もちよりでのポジション研究です。ラピッドは実際には私の白番からのスタートでしたが、棋譜の長さの関係で、先に午後に行われた黒番のゲームからお届けします。
Habu, Y (FM, JPN, 2398) - Kojima, S (IM, JPN, 2403)
Training (2)
1. e4 c5 2. Nf3 d6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 g6 6. Be3 Bg7 7. f3 Nc6 8. Qd2 Bd7 9. Bc4 O-O 10. O-O-O Ne5 11. Bb3 Qa5!?
Training (2)
Sicilian Dragon Qa5 Variation は、中高時代に愛用した私の青春そのものです(笑) 11... Rc8 のラインに比べれば、人気も勝率も落ちますが、好きなら何を指しても大丈夫です!
12. Kb1 Rfc8 13. h4 b5 14. h5!?
この手は初めて見ました。私が2回目の優勝を果たした2006年の全日本選手権では、佐野さんとのゲームで以下のように進みました。14. Ncxb5 Qxd2 15. Rxd2 Rab8 16. a4 a6 17. Na3 Be8! (狙いは、Nf6-Nd7-Nc5 or Nb6)
14... Nxh5 15. Nd5!
この手は私が最も警戒していた手で、一番嫌だと思う手をしっかり指してくるあたり、さすがだと感心します。15. g4 Nf6 16. Bh6? Bxh6! 17. Qxh6 Rxc3! 18. bxc3 Qxc3-/+ と進む展開は、Dragon プレーヤーの思う壺でしょう。
15... Qxd2 16. Rxd2 Kf8 17. g4 e6?!
この手は不自然だと思いつつも、4年前のトレーニングでの研究で、h7 を単純に取らせてポーンを返す変化は、あまり良くないと結論付けていました。しかし、ここでは少し状況が違います。17... Nf6 18. Nxf6 (18. Bg5! が検討では出なかった1手で、ベターかもしれません。) 18... Bxf6 19. Rxh7 Nc4! 20. Bxc4 bxc4! (これは私があまり考えていなかった形で、黒はbファイルからのカウンタープレーでバランスを取ります。) 21. c3 Rab8 22. Rdh2 Rb7=
このように進んでみると、白のアタックチャンスはさほど大きくなく、むしろ黒もb2 をターゲットにすることで、十分に戦えているように見えます。本譜のように、d6 を弱めていないことも、黒が満足に戦えるポイントです。
18. gxh5 exd5 19. Bxd5 Rab8
19... Nc4 20. Bxc4 bxc4 21. Ne2!+/- こうなれば、白は単純にd6 を狙って優勢でしょう。これが、e7-e6 の大きな欠点です。
20. hxg6 hxg6 21. Bg5 Rc5?
残り時間が少なく、粘れるディフェンスの方針を見失いました。21... Nc4 22. Rdd1 Nb6 23. Ne2+/= のほうが良かったでしょう。
22. b3 Rc3 23. f4 Nc6 24. Nxc6 Bxc6 25. f5!
d6 だけでなく、黒キングへのダイレクトアタックもあり、これで完全に黒は厳しくなりました。
25... Bxd5 26. Rxd5 gxf5 27. exf5 Be5 28. Rxe5 1-0
普段のCaro-Kann とは気分を変えて臨んだ一戦でしたが、黒番では負けてしまいました。h7 を返すほうがベターという判断ができなかったのは、まだまだ力が足りていない証拠ですね。午前に指した私が白のゲームは、また後日お届けします。こちらも普段のSemi-Slav とは、全く違うオープニングとゲーム展開ですよ!
Vol.2 に続く