先月、ロンドンで指したラピッドの大会のゲームは、最終戦のFrench Tarrasch の棋譜だけを公開していましたが、もう1つ、白の優位が分かりやすい、面白いゲームがありました。帰国後に何名かにはすでに見せましたが、こちらでも公開しておきます。
Kojima, S (FM, JPN, 2384) - Joslin, T (ENG, 1879)
CCF NEW YEAR RAPID PLAY CONGRESSES (2)
1. e4 d5 2. exd5 Qxd5 3. Nc3 Qd6
CCF NEW YEAR RAPID PLAY CONGRESSES (2)
Scandinavian 3... Qd6 Variation は、私も黒で研究したことのあるソリッドなオープニングです。黒はピースの展開の遅れという典型的な問題を抱えますが、e4 とd5 のポーンを交換する堅いCaro-Kann ストラクチャーで戦います。白が展開の早さを生かすようなプレーができなければ、黒には十分にイコアライズのチャンスがあるでしょう。
4. d4 Nf6 5. Nf3 Bg4 6. h3 Bxf3!?
黒のc6, e6 のポーンストラクチャーにおいては、ダブルビショップの優位はやや生きにくいとも言われます。(Caro-Kann Two Knights Variation は良い例でしょう。) それでも、黒はポジションをオープンにしないよう、注意が必要です。
7. Qxf3 c6 8. Be3 g6?!
ここは8... e6 と指して、典型的なポーンストラクチャにするほうがベターでした。理由はすぐにわかります。
9. O-O-O Nbd7 10. Bf4!
白はクイーンが素早くf3 に上がったことを生かし、ビショップをアクティブなダイアゴナルに切り替えます。この手はクイーンを追い払ってh2-b8 のラインを抑えるだけでなく、将来的にアタックの筋となる、eファイルを開くことも目的としています。
10... Qb4 11. a3 Qa5 12. d5!
白のアドバンテージとして典型的な、ピースの展開の早さを生かすのであれば、なるべくポーンを交換してポジションをオープンにすべきです! これにより、白はdファイルを開きつつ、c6 のポーンをターゲットとします。
12... Rc8 13. dxc6 bxc6 14. Bc4!
これで白マスのビショップも攻撃的な位置に展開できました。黒はe7-e6 を突かなかったことにより、白にd4-d5 からのブレイクを許してしまったうえ、a2-f7 のダイアゴナルから、キングにプレッシャーをかけられてしまっています。
14... Bg7 15. Rhe1!+/-
そしてもう一つ、e7 に残したポーンは、それ自体がターゲットとなります。2つのルークとダブルビショップのラインをすべて開き、黒キングへの攻撃態勢を素早く整えることで、すでに白は勝勢となっています。この後、黒はe7 を諦めてキャスリングをしますが、白は次にf7 をターゲットにできるので、即ゲームオーバーでしょう。
15... O-O 16. Rxe7 Nb6 17. Ba2 Nh5 18. Bd6 Qg5+ 19. Kb1 Rcd8 20. Rxf7 Rxf7 21. Qxf7+ Kh8 22. Be7 1-0
シンプルなゲームではありますが、白の優位の生かし方が分かりやすい好ゲームだったと思います。1. e4 プレーヤーには、是非並べていただきたい1局ですね。
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