私のChessbase には、Endgame Training という自作のデータベースがあります。これには現在、数十のゲームが保存されていますが、それらは全て、私が自分で並べていて面白いと思ったエンドゲームです。それを私は時折見返しながら、自分のトレーニングやレクチャーに使っているのです。先日、都内で集まったカペルに向かえたトレーニングでは、上記のポジションを集まったメンバーに見せました。
35. Kf5!
e5 のポーンが落ちそうな白は、ルークではなくポーンで取らせることで、黒のポーンのさらにバラバラにし、有利なルークエンディングへと持ち込みます。
35... fxe5 36. Ke4!
e5 に黒のパスポーンを作ることを許しはしますが、一度上がったキングを戻すことで、白はパスポーンをブロックします。これにより白に特に危険な点はなく、2つのポーンの島を持つ白と、4つのポーンがすべて分かれている黒で、優劣がはっきりとします。
36... a5 37. Rc2 a4 38. bxa4!
白は自分のパスポーンをaファイルに作り、分かりやすいプランを探します。以前の記事でも書きましたが、余計なカウンタープレーを許さないことが白にとっては大切です。
38... Ra8 39. Kxe5 Rxa4 40. Kd6 Ra6 41. Kc7!
ここから白キングと黒ポーンの鬼ごっこが始まります。黒のカウンターの最大の要因となりうるcポーンを消してしまえば、白はaポーンを進めることに集中できます。ポーンストラクチャーの優劣だけでなく、キングのアクティビティーも、このエンドゲームで白が勝ちを掴む大きなポイントでしょう。
41... c5 42. Kb7 Ra3 43. Kb6 Ra8 44. Rf2!
この手はなるほど! と唸る1手です。黒キングはfファイルでカットオフしておきながら、cポーンをキングで取りにいきます。44. Kxc5?? Rc8+-+ は、もちろんダメですね。
43... c4 45. Kb5 c3 46. Kb4 Rb8+ 47. Kxc3
これで後は、ルークで支えたaポーンを進めれば、白は勝てそうです。
47... Ra8 48. Kb2 Kg7 49. a3 Kg6 50. Kb3 Rb8+ 51. Kc4 Ra8 52. Ra2
ルークはパスポーンを後ろからサポートするもの。これでゲームオーバーです。
52... Kf5 53. a4 Ke6 54. a5 Kd6 55. a6 Kc6 56. a7 1-0
最後は52... Kb7 53. Kb5! Rg8 54. a8=Q+! から、ルークを交換して勝ちのポーンエンディングに持ち込むのが、白としては最も確実な勝利でしょう。特に難しいテクニックは登場しませんでしたが、こうしたエンドゲームでの丁寧なプレーは、よくチェックしておくべきだと思います。
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