2日間の名古屋オープンが終わり、東京へ戻ってきました。私は2日目、2勝1ドローでトータル4勝1敗2ドローの5ポイント。順位はタイブレークで3位でした。下位クラスも含め、入賞者の皆さん、おめでとうございます!
1st Place Sriram Jha (GM, IND) 6/7
2nd Place Iinuma Paul (USA) 5.5/7
3rd Place Kojima Shinya (IM, JPN) 5/7
4th Place Watanabe Akira (FM, JPN) 5/7
5th Place Yamada Kohei (FM, JPN) 5/7
Nagoya Open 2019 Final Standings
2nd Place Iinuma Paul (USA) 5.5/7
3rd Place Kojima Shinya (IM, JPN) 5/7
4th Place Watanabe Akira (FM, JPN) 5/7
5th Place Yamada Kohei (FM, JPN) 5/7
Nagoya Open 2019 Final Standings
優勝はインドから参戦したGM Sriram でした。5連勝後に2連続ドローで単独トップを守りました。2位はハワイから来日中のポールで、次の週末は東京で開催されるIVL にも参加予定です。こちらでは私も直接試合ができることを楽しみにしています。
3-5位は日本の上位タイトルホルダーが並び、タイブレークでこの順位になっています。私は3連勝を狙っていましたが、6R でScott 相手にかなり苦しいドローでした。今年の国内公式大会で初の入賞を逃すことも覚悟しましたが、最終戦では黒で上手くチャンスを作ったと思います。
Nakahara, K - Kojima, S
Nagoya Open 2019 (7)
1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. Nf3 Nd7 7. h4 h6 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bf4 Qa5+ 12. Bd2 Bb4 13. a3?!
Nagoya Open 2019 (7)
初めて見る手ですが、キングサイドへのアタックチャンスを残すにはビショップを消さないほうが良いでしょう。13. c3 Be7 14. c4 Qc7 15. O-O-O Ngf6 がメインラインです。
13... Bxd2+ 14. Nxd2 Ngf6 15. O-O-O O-O 16. f4 Rad8 17. Nb3 Qc7 18. Qf3 c5
私としては、d4 への反撃は準備ができ次第早めに仕掛け、安全にプレーすべきだと思いますが、ここでは白のキングサイドアタックも大したことはありません。18... a5!? などとしてナイトを追い払ってから、c6-c5 を仕掛けても良かったでしょう。
19. dxc5 Nxc5 20. Nxc5 Qxc5 21. Ne4 Nxe4 22. Qxe4 b5
ヘビーピースだけが残り、黒は不満のない状況です。白のg2-g4-g5 よりもb7-b5-b4 は現実的だと考え、これを実行します。
23. g4 a5 24. Kb1 b4 25. a4 Rd5!?
これは勝負にいく手です。ポーンを孤立させるのは難しい判断ですが、e4 のマスを抑える、eファイルを開いてルークを活用するなどのアイディアがあります。
26. Rxd5 exd5 27. Qf5 Qc6 28. b3 Qe6!
d5 の孤立ポーンをサポートするためには、fファイルのポーンをeファイルに移動するか、dポーン自体をe4 に移動するか、2つのアイディアがあります。
29. Qd3 Qe4! 30. Qxe4 dxe4 31. Re1 Re8
ここは31... f5 32. gxf5 Rxf5 33. Rxe4 Rxh5 とどちらが良いか判断ができませんでした。本譜のラインでも、黒のf7-f5 は大事なアイディアです。
32. c3 bxc3 33. Kc2 f5!
白同様、ポーンを一時的に捨ててもキングがアクティブになれば取りかえすことができます。fファイルを上がっていく黒キングは、白ポーンをかすめ取りながらeファイルのパスポーンをサポートします。
34. gxf5 Kf7 35. Kxc3 Kf6 36. Rg1 Kxf5 37. Kd2 Re7 38. Rc1 Kxf4 39. Rc5 Rd7+
39... Re5 40. Rb5 Rf5! もありえましたが、ポーンを取りあってもこのエンドゲームは黒が勝てると思います。
40. Ke2 Rd3 41. Rxa5 Rxb3 42. Ra7 Rb2+ 43. Kd1 Rh2 44. Rxg7 Rxh5
多少さっぱりしましたが、黒は1ポーンアップでキングの位置が良く、パスポーンも2つあります。白の1つだけのパスポーンは後ろからアタックすることで簡単に止めることができるため、これは勝てると思いました。しかし、実際に残り時間のほとんど無い中では不正確なプレーが出ます。
45. Ke2 Rh2+ 46. Kd1 Kf3 47. Rf7+ Ke3 48. Rg7 Rd2+
ここはもう1つのパスポーンを押していくのがシンプルでした。48... h5! 49. a5 Ra2 50. Rg5 h4 51. Rh5 Kd3 52. Rd5+ Kc3 53. Rh5 e3 54. a6 Kd3 55. Rd5+ Ke4 56. Rh5 Kf3 57. Rf5+ Kg4 58. Rf8 h3-+ ここまでくれば、黒の勝ちは明白です。
49. Ke1 Rd6?
試合後に検討で鑑くんから、49... Ra2 50. Rg3+ Kf4 51. Rh3 Kg5 と進めて白のみポーンが落ちることを指摘されました。しかしこれは、52. Rg3+ Kh4 53. Rg8 Rxa4 54. Ke2 こうしてgファイルでカットオフされると2ポーンアップながらまだ難しいかもしれません。代わりに49... Rh2! 50. Kd1 h5! と上記の変化に戻すべきでした。
50. Rg3+ Kf4 51. Ra3?
白はこのエンドゲームで唯一のドローチャンスを逃しました。51. Rh3! Kg4 52. Ra3! これだと黒キングが本譜に比べて1マスずれているため、e4-e3 がすぐできません。52... h5 53. a5 Ra6 54. Kf1 h4 55. Kf2=
51... e3!-+
白はルークがポーンの後ろに回る好位置ですが、1手遅いです。黒はパスポーンで3段目をカットし、キングが上がるアイディアで勝つことができます。
52. a5 Kf3 53. a6 Rc6! 54. Kd1 Kf2 55. Ra2+ Kf1
これで黒キングはルークにチェックされず、e3-e2-e1 をサポートできるベストの位置に到達しました。
56. a7 Rc8 57. Rh2 Rd8+ 58. Kc1 e2 59. Rh1+ Kg2 60. Re1 Kf2 61. a8=Q Rxa8 0-1
ルークを2段目から6段目に切り替えるのは少し変かなと思いつつも、時間のない中で正確なエンドゲームのプレーを続けるのは大変でした。やはり実戦が一番勉強になりますね。また今週末のIVL まで調整して、次の試合も頑張りたいと思います。そして名古屋チェスクラブの皆さん、今年も大変お世話になりました。来年も都合が合えば、名古屋に遠征に行きたいと思います。
今大会、完全にダークホースだったのは将棋のアマ強豪でもある高橋くん(写真右から2番目)です。国内公式戦初参加ながら、私と鑑くん、Sriram からドロー、北神さん、Scott、石井さんに勝ちで、最終戦で弘平くんに敗れるまでオープン入賞のチャンスも十分にありました。国内レイティングがないSriram との試合を抜いても、6試合の結果で初期レイティングは2200台がつくのではないでしょうか。
夕飯は高橋くん、東芝さんと3人で味噌煮込みうどんの有名店へ。いつもと違う顔ぶれで、将棋界の話も聞けて楽しかったです。新しい名古屋グルメも、まだまだ開拓の余地がありますね。それも来年以降の楽しみです。