2021/01/23

Instructive Endgames in Blitz Games Vol.1


新型コロナの影響で、昨年からオンラインチェスの機会が増えている人は多いと思いでしょう。かくいう私も例外ではありません。オンラインだと早指しゆえ、中盤のタクティクスで決着がつくことも頻繁にありますが、私は持ち時間が短くとも、丁寧にエンドゲームに持ち込んで勝負することを心がけています。Chess.com、Lichess の2つのサイトでブリッツをする中で、自分が気になったエンドゲームを振り返ろうと思います。

Nivid-19 (2436) - imsk (2469)
Lichess 2021.1.23

中盤でひどいミスをして苦しみましたが、なんとか粘ってこのエンドゲームに持ち込みました。b7 が落ちてマテリアルが互角になることは明らかですが、形勢はどう判断し、ゲームはどのように進んでいくものでしょうか。

40. f4??


白が負けを許すブランダーで、私もこの手ならば大丈夫だと思っていました。白は単にb7 を見捨て、クイーンサイドからキングを侵入させるべきですが、互いのキング、そしてポーンのスピード計算は簡単ではありません。40. Kd3 Kxb7 41. Kc4 Kc6 42. Kb4 Kd7 (リスクはありますが、黒が勝ちを目指すならば、キングをキングサイドに向けるしかありません。) 43. Kc5 Ke7 44. Kc6 Kf6 45. Kd6 h6 46. h4 h5 47. f3 g5 48. hxg5+ Kxg5 49. Kxe5 h4 50. f4+ Kg4 51. f5 exf5 52. exf5 h3 53. f6 h2 54. f7 h1=Q 55. f8=Q= こうして同時にクイーンを作り、ドローとなります。

40... Kxb7 41. fxe5 Kc6 42. Kf4 h6

当たり前ですが、この手を入れなければKf4-Kg5 と侵入を許して負けます。問題は白キングがセンターに戻った後です。

43. Ke3 Kc5 44. Kd3 g5 45. h3 h5 46. Kc3 g4?!


ポーンエンディングの典型的なアドバンテージとなる、アウトサイドパスポーンを作るのは当然の1手に思えました。もちろんこれでも勝ちですが、46... h4! 47. Kd3 g4! 48. Ke3 g3-+ ならばプロテクテッドパスポーンができるので、こちらのほうがシンプルです。

47. hxg4 hxg4 48. Kd3 Kb4?!

残り時間は相手に比べて多少多かったですが、正確な判断が瞬時にできませんでした。本譜でも後でこうなりますが、48... Kb5 49. Kd4 Kb4 50. Kd3 Kc5 51. Ke3 Kc4-+ ですぐに黒の勝ちです。とは言え、このポーンエンディングは黒がgポーンを間違ったタイミングで突き捨てたりしなければやり直しがきくため、多少余裕があると感じていました。

49. Kd4 Kb3 50. Kd3 Kb2 51. Kd2 Kb1 52. Kd1 Kb2 53. Kd2 Kb3 54. Kd3 Kb4 55. Kd4 Kb5!


ようやくこれで勝てることに気づきました。黒キングは白のeポーンを2つ回収した後、c3,d3,e3 のいずれかに侵入できれば勝ちとなります。

56. Kd3 Kc5 57. Ke3 Kc4 58. Kf4 Kd4 59. Kxg4 Kxe4-+

ポーンを2つ回収するためには、こちらのポーンから取る必要があります。これで4段目のオポジションを取って白キングをfファイルに戻させなければ、1手差で黒の勝ちです。

60. Kg3 Kxe5 61. Kf3 Kd4 62. Kf4 e5+ 63. Kf3 Kd3 0-1


エンドゲームを正確に読んで指すには持ち時間が多めに欲しいですが、こうした短い持ち時間のゲームでこそ、基礎的なエンドゲームの理解が試されるのではないかとも私は考えています。このブリッツでのエンドゲーム紹介はシリーズとして、今後も継続していければと思います。放置している他のシリーズも忘れているわけではないので、タイミングを見て続きを書いていくつもりです。

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