年が明け、最初の試合がやってきました。相手はインドの女子プレーヤー、14歳のSahithi Varshini です。11月はIMセクションで大きく勝ちこし、レイティングを2200に乗せて上のGMセクションに初チャレンジのようでした。
Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Sahithi Varshini (WFM, IND, 2216)
Vezerkepzo GM Christmas 2021 (7)
1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3!? Bb4 4. Bd2!?
この遠征では3. Nf3 をメインに準備していましたが、一昨年から少し指していたNimzo-Indian 4. Bd2 Variation を元日に調べ直し、このゲームに投入しました。局面は早々に、Semi-Slav Anti-Meran のようになります。 Vezerkepzo GM Christmas 2021 (7)
4... O-O 5. Nf3 d5 6. e3 Nbd7 7. Rc1 Re8 8. Qc2 9. Be2 h6 10. O-O Bd6 11. Rfd1 Qe7
正直に言えば、クイーンを上がってくれることを期待して11. Rfd1 を指しました。個人的にはd2 のビショップがdファイルをブロックしているため、d1 のルークを気にせずにすぐにe6-e5 のアクションを起こされるほうが嫌でした。11... dxc4! 12. Bxc4 e5 13. dxe5 Nxe5 14. Nxe5 Bxe5 15. Ne2 Qc7= これくらいで黒は不満がありません。黒マスビショップはBf8-Bb4-Bd6 と組みなおしてテンポロスしていますが、白もd2 のビショップの位置が理想的か疑問です。
12. h3 dxc4 13. Bxc4 e5 14. Nh4! Nb6?!
これは指したくなるのが分かりますが、ナイトが跳ぶのは別のマスのほうが良かったでしょう。14... Nf8! 15. dxe5 (15. Nf5 Bxf5 16. Qxf5 e4= これは使いづらい白マスビショップを捌いて黒は問題ありません。) 15... Qxe5 16. Nf3 Qh5= 白がアドバンテージを取るにはもう一工夫必要です。15. Ng6! Qc7?!
自然なクイーンの避け場所に見えますが、ビショップを互いに取り合うのが黒のベストでした。15... Qd8! 16. Nxe5 Bxe5 17. dxe5 Nxc4! 18. exf6 Qxf6 (ここでポーンをクイーンで取り返せるのが、d8 に退くポイントです。) 19. Be1+/=
16. Nxe5 Nxc4?!
16... Bxe5 17. dxe5 Qxe5 18. Bd3+/- 黒は自分だけビショップを失う少し嫌な展開ですが、これで耐えるほうが良かったでしょう。本譜もやりたいことは分かりますが、こちらもきちんと読んでおり、相手の読み抜けに気づいています。17. Nxc4 Bh2+ 18. Kh1 b5 19. Na5!
おそらく相手はここにナイトの逃げ場があることを見落としていたのでしょう。ナイトとビショップの取り合いであれば、1ポーンアップの白は満足です。黒がポーンを失った代償を伴って戦うには、ダブルビショップをキープしたまま、特に白マスを上手く活用するほかありません。
19... b4 20. Na4?!
しかし、私もこれが試合で唯一と言って良い緩手でした。黒が弱めたクイーンサイドを利用するには、c5 のマスを抑えておいたほうが良いと思ってa4 にナイトを跳ばしましたが、白のキングサイドも手薄なので、g3 のマスをカバーするために20. Ne2! と下がるほうが良かったでしょう。20. Ne2! Ne4 21. Be1 Bg3!? (21... Qxa5 22. Kxh2 Qxa2 23. Qxc6+- 試合中はa2 との取り合いを気にしましたが、問題無いようです。) 22. f3!? Bxe1 23. fxe4+/- こうしたピースの取り合いは考えていませんでした。多少キング前を弱めても、ピースを減らしていけば1ポーンアップの白は満足です。20... Ne4 21. Bxb4 Bf5 22. Qe2 Bg3! 23. Rxc6!
23手目で何を指すか、最も慎重に考えました。23. Be1?! Bxf2! 24. Bxf2 Qxa5 25. b3 Qd5! と進めば、黒は1ポーンダウンながらe4 のマスとe3 のポーンを抑え込んで戦えそうです。
23... Bxf2
23... Nxf2+ 24. Qxf2 (24. Kg1? Qf4! 25. exf4 Rxe2 26. Rf1? Nxh3+ 27. gxh3 Be4!-+ は大逆転で白キングがメイトされます。) 24... Qxc6 25. Nxc6 Bxf2 26. Ne7+ Rxe7 27. Bxe7 Bxe3 28. d5+/= 黒の23手目も難しい選択肢が多く、白も間違えると大変な状況になります。本譜はクイーンを交換して大きな脅威は去ったように見えますが、リードしているポーンを守り切るのが意外と難しい局面でした。24. Rxc7 Ng3+ 25. Kh2 Nxe2 26. Bd6!?
ルークでビショップを当てられる手は大丈夫だと判断して指した手ですが、この時点の予想よりも実際の局面が複雑で、もう少し慎重に読んで指すべきだったと反省しています。26. Rc5 Bg3+ 27. Kh1 Bf2 28. Bd2 Ng3+ 29. Kh2 Bd3! 30. Nc3 ももう1つの選択肢で、形勢は不明です。
26... Rad8 27. Rf1!
この手は26手目を指した時点で第1候補でしたが、g1 でチェックされる可能性があることに気づいて読みなおしました。この手が成立しないと26手目が間違いになってしまうので、かなり焦りました。白は常にBf2-Bg3+ を警戒していないといけません。27... Bxe3
27... Bg1+? 28. Rxg1 Nxg1 29. Nb7! Rd7 30. Rxd7 Bxd7 31. Nac5!+- がナイトを逃がしつつビショップを攻撃し、g1 のナイト取りとのダブルスレットを作るぴったりのアイディアでした。
28. Nb7 Bd3?
上記の変化同様、b7 にナイトが入る手がルークを当てつつビショップを守る素晴らしい手で、d6 でルークを切られてもNa5-Nb7-Nd6 と移動したナイトがルークとビショップをフォークする最高の位置にいます。これで26... Rad8 に完全に対応して勝ったと思ったのですが、それは相手のミスに助けられた結果でした。ここは28... Rc8! 29. Rxf5 Rxc7 30. Bxc7 Re7! (この手が7段目で串刺しになっていることに気づいていませんでした。) 31. Nc3 Nxd4 32. Nd5 Rxc7 33. Nxc7 Nxf5= こうしてピースの数も同じにされたうえ、e3、d4 と連続でポーンを取られてしまえば形勢は互角でしょう。
29. Rfxf7 Bxd4 30. Nxd8 Rxd8 31. Rfd7+-
こうしてルークを貰ったうえで、ビショップも守り切ってb8-h2 のダイアゴナルを抑え続けられれば白の勝勢です。それでも最後まで気を抜かずに指しました。31... Ra8 32. Nc3 Nxc3 33. bxc3 Bf6 34. Rxa7 Re8 35. Be7!
ルークも交換してしまえば、あとはパスポーンを進めるだけです。
35... Be5+ 36. Kh1 Be4 37. Rd8 Rxd8 38. Bxd8 Bxc3 39. Bb6 Kh7 40. a4 1-0
この大会待望の初勝利でありながら、2022年の公式戦初白星となりました。思い切って序盤から変えてみて良かったと思います。次は3大会連続となるGM Nagy との試合です。前回は最終戦だったこともあり、あっさりドローになりましたが、今日はどうでしょうか。勉強させてもらおうと思います。12/26 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Aditya, V P (IND, 2281) 0-1
12/27 15:00 Leszko, B (FM, HUN, 2253) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
12/28 15:00 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Ajay, K (IM, IND, 2401) 1/2-1/2
12/29 15:00 Pechac, J (GM, SVK, 2584) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1-0
12/30 15:00 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Trost, E (CM, SWE, 2271) 1/2-1/2
12/31 11:00 Mihok, O (GM, HUN, 2536) - Kojima, S (IM, JPN, 2392) 1/2-1/2
01/01 Rest Day
01/02 15:00 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Sahithi, V (WFM, IND, 2216) 1-0
01/03 15:00 Nagy, G (GM, HUN, 2527) - Kojima, S (IM, JPN, 2392)
01/04 10:00 Kojima, S (IM, JPN, 2392) - Avinash, R (IND, 2391)
Vezerkepzo GM Christmas 2021 Standings
+5 Pechac
+2 Mihok、Nagy
+1 Ajay、Aditya
-1 Kojima、Avinash、Trost
-4 Leszko、Sahithi
Pechac はGM 以外との試合を、色に関係なく全て勝ちそうな勢いです。5つ勝ち越すには、これくらいのプレーが必要なのだといみじみ思います。
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