久々のゲーム紹介はオンラインのブリッツからです。最近は1.e4 ばかりですが、オリンピアードに向けて最終的にどういった準備をしていくか、2か月を切ったそろそろ考え始めます。
imsk (2521) - gemivuk (2633)
lichess Blitz
1. e4 c5 2. Nf3 e6 3. b3!?
e6 Sicilian に対しては今のところ、クイーンサイドにフィアンケットをするセットアップが面白いと感じています。1. b3 のコースをChessable で出しているインドのGM Adhiban は、これをCowboy のビショップと呼んでいます。黒のここからの数手で、d2-d4 とセンターを開く、いわゆるOpen型にするか、そうしないかを決めます。lichess Blitz
3... Nc6 4. Bb2 a6 5. c4 d6 6. d4
a7-a6, Nb8-Nc6 に対しては、c2-c4 と先にcポーンを伸ばしたうえでOpen型にします。割とスタンダードなHedghogのスタイルです。
6... cxd4 7. Nxd4 Bd7 8. Bd3 Nf6 9. O-O Be7 10. Qe2 O-O 11. Nd2 Rc8 12. Kh1 Qc7 13. Rac1 Rfd8
ナイトを低く組む、少し変わった形にしてみました。d5 を抑える力はcポーンに任し、Nd2-Nf3 のタイミングを伺います。一方で黒のルークの置く位置は自分には少し不自然に見えました。b6 がビショップの跳びこむ穴になりますし、e6-e5 のブレイクを狙うならばd8 よりもe8 が良いと思います。14. f4 Nxd4 15. Bxd4 Bc6 16. Qf2 Nd7 17. Nf3?! Bf6
少しのんびりしすぎたせいで、黒にチャンスを与えてしまいます。17... e5! 18. Be3 exf4 19. Bxf4 Nc5!=/+ だと、浮いたビショップと孤立になったe4 ポーンが困っています。
18. e5! dxe5 19. fxe5 Bxe5?
思い切ってeポーンを押し込んだのが成功しまいした。黒は本譜のビショップ取りは失敗で、19... Nxe5 20. Bxe5 Bxe5 21. Nxe5 Qxe5 22. Qxf7+ Kh8 23. Rce1+/= とf7 との取り合いを選ぶか、19... Be7 と戻るか、どちらかでした。後者はf7、h7 が同時に危なく見えますが、白に決定的なタクティクスはありません。20. Bxh7+! Kxh7 21. Ng5+ Kh6 22. Nxf7+
理想的なタイミングでグリークギフトが決まりました。本譜も勝ちですが、分かりやすくクイーンが取れるもう1つの変化も有力です。22. Qh4+ Kg6 23. Qh7+ Kxg5 24. Be3+ Bf4 25. Bxf4+ Qxf4 26. Qxg7+ Kf5 27. Rxf4+ Kxf4 28. Qg3+ Ke4 29. Re1+ Kf5 30. Rf1+ Ke4 31. Qf4+ Kd3 32. Rd1+ Kc2 33. Qd2# クイーン取りからメイトまで一直線であることは読めませんでした。
22... Kg6 23. Nxe5+?!
試合後に思い返せば、白マスナナメからのチェックの対抗できないので、すぐにメイトでした。23. Qc2+ Kh5 24. Qh7+ Kg4 25. Qh3# もしくはe5 を取るとしても、23. Bxe5 Nxe5 24. Qg3+ Kh7 25. Qh4+ Kg6 26. Qg5+ Kh7 27. Qh5+ Kg8 28. Qh8# とすればh8 をナイトが抑えているのでメイトでした。ビショップがe5 に残る形が強いのは間違いないですが、メイトを見逃してそちらを選んだのは黒に生き残るチャンスを与えるミスです。23... Nxe5 24. Qg3+ Kh7 25. Bxe5+-
f7、h7 を落としてピースを取り返し、勝勢であることは明らかですが、g2 への反撃にはきちんと対処しなければいけません。
25... Qe7 26. Rf4! Rd2 27. Qh3+ Kg8 28. Rg4 Rcd8 29. Rg1!
もう1つのルークがg2 のディフェンスに回れば盤石で、バックランクのメイトもなく、後はg7 を突破して勝ちが決まりです。しかし、1つだけひどい落とし穴がありました。29... R8d7 30. Rh4??
30. Rxg7+ Qxg7 31. Bxg7 Kxg7 32. a4+- とクイーンを取っておき、何事もなく勝ちでした。
30... Qg5??
30... Qxh4! 31. Qxh4 Rxg2-+ を両者見落としています。バックランクがメイトになるため、このルークは取ることができません。この形は気を付けていたつもりなのですが、この瞬間だけ頭から抜けていたようです。31. Qxe6+
31. Rh8+ Kf7 32. Rf1+ Ke7 33. Re8+! Kxe8 34. Qh8+ Ke7 35. Qf8# ルークのただ捨てからメイトになるこのパターンも、すぐイメージできるようにしておこうと思います。
31... Rf7 32. Rg4 Rxg2 33. R4xg2 Qe7 34. Qxe7 Rxe7 35. Bg3+-
これでクイーンを交換したうえで大きな駒得を確定させているので、後は問題ありません。ゲーム中は全体を通して問題ない指し方だと思っていましたが、負けになるブランダーが1つ、メイトの見通しが複数と、解析してみれば反省点は多いゲームでした。35... Re2 36. h3 Rxa2 37. Kh2 Bxg2 38. Rxg2 Ra3 39. Be5 Rxb3 40. Rxg7+ Kf8 41. Rc7 Re3 42. Bd6+ Kg8 43. Rxb7 Rc3 44. c5 a5 45. Ra7 1-0
1. e4 のレパートリーも割と納得できるものが出来上がりつつありますが、自分のチェスの幅を広げるためにももう少し色々試していこうと思います。