2022/07/31

Chennai Olympiad R2 Lithuania - Japan

こちらのゲートをくぐったのち、ホール1とホール2に分かれます。

チェンナイオリンピアード2試合目のレポートです。この日はオープンがリトアニア、女子がミャンマーとの試合でした。リトアニアは1人だけいるIMを休ませ、全員GMで日本戦に臨んできました。日本チームは初戦に続き白を引きましたので、私は98年生まれの若いGM Stremavicius との対戦です。

Kojima, S (IM, JPN, 2346) - Stremavicius, T (GM, LTU, 2532)
Chennai Olympiad (2)

1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 e5 4. O-O Bd6 5. c3 a6 6. Ba4 b5 7. Bb3 c4 8. Bc2 Nf6 9. d4 cxd3 10. Qxd3 Bc7 11. Bg5 h6 12. Bxf6 Qxf6 13. Bb3

Sicilian Rossolimo のこの変化は試合前に調べていたのですが、13. b4 が準備であったのに忘れてしまいました。白はd5 のマスを握って勝負する形です。

13... Rb8 14. Nbd2 O-O 15. Rfd1 Rd8 16. Nf1 d6 17. Ne3 Ne7 18. Ne1


ここは早めに18. Nd5 と入って交換する手もありましたが、f3 のナイトもNf3-Ne1-Nc2 と組み替え、d5 に迎えるよう先に準備しておきます。

18... Bb6 19. N1c2 g6 20. Rd2 a5 21. a3 Kg7 22. Qe2 h5 23. h3 Qg5 24. Kh1 Qh4 25. Nd5!

細かく手を準備したのちにd5 への跳びこみを決行します。この先の流れは少し意外でした。

25... Be6?! 26. Nxe7! Qxe7 27. Bd5


私はd5 のマスを長く握ってピースを置き続ける作戦が好きなのですが、ここは27. Bxe6 fxe6 28. Rad1 とビショップを交換し、d6 を攻める形にするのもありでした。

27... Ba7 28. Rad1 Bd7 29. Ba2 Bc6 30. Bd5 Be8 31. Rd3 Rbc8 32. Qd2 Bd7 33. Ba2 Bb8 34. Ne3 Qh4 35. Bd5

再びe4 を攻められた際、どうするかが分からずビショップを戻しました。これは手堅くはあるのですが、せっかくe3 に置いたナイトが少し活躍の場を失います。35. Nd5! Qxe4 36. Nb6! ならばc8 のルークの逃げ場がないことを見落としていました。

35... Rf8 36. Nf1 Ba7 37. Ne3 Rcd8 38. Qe2 b4 39. axb4 axb4 40. c4?!


時間が増える40手目が正確ではありませんでした。ここは40. cxb4! Bb5 41. Bc4 Bxe3 42. Bxb5 を受け入れるべきで、これでも互角の形勢でエンドゲームに向かいそうです。本譜では白はクイーンサイドのポーンを活かしづらいうえ、d4 のマスが弱くなり、d6 を攻めるチャンスが減ってしまいます。

40... Bc5 41. Kg1 Rc8

ここはもう41... f5! から押し切れば黒の優位は揺るがなかったでしょう。ここで黒が慎重にいこうとしすぎたことで私も生き延びるチャンスが生まれました。

42. Ra1 Be6 43. Qc2 Bd4 44. Qd2 Bxd5 45. Rxd4!


e4,c4 のいずれかがただ落ちるだけでは勝負にならないため、エクスチェンジを捨てて戦います。

45... exd4 46. Qxd4+?!

試合後に対戦相手から、46. Nxd5 のほうが良いのではないかと指摘されました。クイーンでe4 を取る手にはRa1-Re1、ルークでc4 を取る手にはb2-b3 からそれぞれ追い返し、d4 はその後でも取ることができます。クイーンでd4 を取ってチェックした際、f6 のマスを早めにナイトでカバーしておくほうが良いという指摘でした。

46... Qf6 47. Qxf6+ Kxf6 48. Nxd5+ Ke5


このエクスチェンジダウンのエンドゲームは厳しいと思っていましたが、ナイトを上手く組み替えて黒の決定打を与えないようにします。

49. b3 Kxe4 50. Nxb4 Rb8 51. Re1+ Kf5 52. Nc6 Rb6 53. Nd4+ Kf6 54. Nb5 Rc8 55. Rd1 Ke6 56. Rd3 Rc5 57. Nd4+ Ke7 58. Nc2 Ra6 59. Ne3 Ra3 60. g3 Re5 61. h4

このf2-g3-h4 と階段状に伸びるポーンストラクチャーを築くことができ、少しチャンスが出てきたかもしれないと思いました。b3 を攻められないように気をつけつつ、1つの反撃を狙います。

61... Rea5 62. Kg2 Kd7 63. Nd5 Ra6? 64. Rf3!


期待していた反撃が通りました。黒はf7 を守るためにはg6 を弱めるしかありません。これを防ぐためには63... Ra7 と指すべきでした。

65... f5 65. Nf4 d5?

このポーンをただで捨てるのは、白に全くリスクがなくなってしまうので危険です。65... Rb6 から互いにポーンを取り合うとまだ勝負は分かりません。

66. Nxd5 Re6 67. Rd3 Kc6 68. Nf4 Rd6 69. Rxd6+?!


私はこのルークを交換すれば安全にドローだと考えました。しかし、実際にはルーク交換を避け、キングが上がってg6 を攻撃するなどの工夫を見せて白が勝ちを目指せるポジションでした。

69... Kxd6 70. Nxg6 Rxb3 71. Nf4 Rc3 72. Nxh5 Rxc4 73. Nf4 Ke5 74. Ng6+ 1/2-1/2

ここでお互い進展を作ることができないと判断し、ドローで試合を終わらせました。途中かなり苦しい局面でしたが、白を持って簡単に負けるわけにはいかないので、こうしてポイントを取れて胸をなでおろしています。

Open R2 Lithuania - Japan 2.5-1.5

Laurusas, Tomas (GM, LTU, 2561) - Tran, Thanh Tu (CM, JPN, 2376) 1-0
Stremavicius, Titas (GM, LTU, 2532) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2346) 1/2-1/2
Pultinevicius, Paulius (GM, LTU, 2539) - Averbukh, AlexC (CM, JPN, 2155) 1-0
Kazakouski, Valery (LTH, 2528) - Kobayashi, Atsuhiko (JPN, 2156) 0-1

Women R2 Myanmar - Japan 1-3

San, San (MYA, UR)- Sakai, Azumi (WCM, JPN, 1759) 0-1
Hla, Zabu (MYA, UR) - Kojima Natsumi (WCM, JPN, 1782) 0-1
Min, Amarawatti (MYA, UR) - Misawa, Yuki (JPN, 1587) 0-1
Nan, M K Khine Hlyan (WFM, MYA, 1979) - Arai, Yuki (JPN, 1495) 1-0


私のドロー以外には小林くんがGM Kazakouski を破り、今大会のGM戦初勝利を挙げました! 前回は後半のペルー戦まで対GMの勝利がなかったので、今回は早かったですね。私たちも続けるよう、次からのラウンドも頑張ります。

女子チームはミャンマーを3-1で下し、再び上位チームにチャレンジすることになりました。3日目はこの勢いで上のチームからポイントを取ることを期待したいですね。


次はオープンがサウジアラビア、女子がアイルランドとの対戦です。サウジアラビアは2000未満で構成されるチームですので、ここはしっかりポイントを取ってマッチに勝ちたいですね。一方女子の対戦するアイルランドは格上チームで、かつて日本でプレーしていたKanyamarala兄妹の妹、Trishaが1番ボードを務めます。こうした縁のあるプレーヤーとの再会もオリンピアードの楽しみですね。引き続き、日本チームの様子を見守っていただけると嬉しいです。NCS公式チャンネルでの実況中継のリンクも貼っておきます。


試合後、会場の外の大きなモニターでJudit が解説をしている様子を見ることができました。

2022/07/30

Chennai Olympiad R1 Djibouti - Japan

この日の午前中、シャツやロゴ入りチェスセットなど、記念品をたくさんいただきました。

オープニングセレモニーが行われた28日から一夜明け、オリンピアード初戦を迎えました。オープンチームはジブチ、女子チームはスペインと、私の知る限りそれぞれ初めての顔合わせです。ジブチは2000未満のレイティングを持つプレーヤーが3人、URが2人という国ですので、日本はポイントを落とすわけにはいきません。ボードオーダーの提出が上手くいかなかったのか、試合直前で3Bのプレーヤーが入れ替わるというハプニングもありましたが、定刻の15時を少し過ぎたころ、ゲームは始まりました。

Kojima, S (IM, JPN, 2346) - Abudallah Hossein, A (DJI, UR)
Chennai Olympiad (1)

1. e4 e5 2. Nf3 Nf6 3. d4

Petrov に対してはModern Variation を用意していました。

3... Nxe4 4. Bd3 d5 5. Nxe5 Bd6 6. O-O Be6?!


この手は初めて見ましたが、この位置のビショップは将来的にターゲットになる可能性があり、あまりよくは思えません。6... 0-0 7. c4 Bxe5 8. dxe5 Nc6 がメインラインです。

7. Nd2 Nf6 8. Re1 Nbd7 9. f4!

Tuさんからはもう少し早いタイミングでどうかと提案されましたが、私は黒のNb8-Nd7 を見て、e6 のビショップが行き場をなくしたところでf4-f5 を狙うのが良いタイミングだと考えました。

9... g6 10. Ndf3 c6? 11. Nxf7!


元々このタクティクスを見越していたわけではなく、f4-f5 を見せることでg7-g6 を誘い、黒マスが弱くなればNd2-Nf3-Ng5 が指しやすいだろうくらいの認識でした。黒はこのタクティクスを食らわないために10... 0-0 と指すべきですが、それでも11. Ng5 と潜り込み、白はキングサイドに攻撃のチャンスを求めて大きく優勢です。

11... Kxf7 12. Ng5+ Kg8 13. Nxe6 Qb6 14. c3

白は1ポーンアップのうえ、黒キングをかなり悪い位置に押し込んで勝勢です。d4 への反撃は少し気になるところですが、ここは本譜でも14. c4! でも良かったでしょう。

14... c5 15. dxc5! Nxc5 16. Be3!


a7-g1ダイアゴナルを開くのは少し危険にも見えますが、遅れていた黒マスビショップでがっちりとガードします。c5 にきたナイトをピンすることで、b2-b4 からさらなる駒得のチャンスも狙っています。

16... Re8 17. Bd4! Nfe4 18. Bxe4

18. Rxe4!? dxe4 19. Bc4 の可能性は試合中に気づいていませんでした。本譜でも2ポーンアップに駒得を拡大したうえ、次にNe6-Nc5 がスレットになっているため、黒は困っています。

18... dxe4 19. Rxe4 Qc6 20. Nxc5 Rd8 21. Qb3+ 1-0


他のチームメイトも問題ない勝利で、オープンチームは初戦、ジブチを4-0で下しています。久々のオリンピアードで良いスタートを切れて一安心です。

Open R1 Djibouti - Japan 0-4

Ali Djama, Mohamed (DJI, 1629) - Tran, Thanh Tu (CM, JPN, 2376) 0-1
Abdallah Houssein, Ali (DJI) - Kojima, Shinya (IM, JPN, 2346) 0-1
Mohamed, Ali Dima (DJI, 1582) - Bibby, Simon (FM, JPN, 2147) 0-1
Omar, Aden Omar (DJI) - Kobayashi, Atsuhiko (JPN, 2156) 0-1

Women R10 Japan - Spain 4-0

Sakai, Azumi (WCM, JPN, 1759) - Vega Gutierrez, Sabrina (IM, ESP, 2366) 1-0
Kojima Natsumi (WCM, JPN, 1782) - Matnadze, Ana (IM, ESP, 2406) 1-0
Misawa, Yuki (JPN, 1587) - Calzetta Ruiz, Monica (WGM, ESP, 2230) 1-0
Arai, Yuki (JPN, 1495) - Eizaguerri Floris, Maria (FM, ESP, 2176) 1-0


女子は4-0でスペインに敗れましたが、ポイントを取れそうなゲームもありました。2Rはポイントを取れそうなチームとの対戦ですので、期待できると思います。今日はオープンチームが5人中4人GM のリトアニア、女子がミャンマーとの対戦です。


それでは今日の2Rも頑張ってきます! ライブはchess24 がエラーで見づらかったようなので、chess.com に切り替えておこうと思います。NCSでの実況中継と併せてご覧いただけると嬉しいです。本日も応援をよろしくお願いいたします。


毎日昼食には、チェスをモチーフとしたケーキが登場しています。

2022/07/29

Chennai Olympiad Arrival and Opening Ceremony

27日に羽田と成田に分かれて日本を出発した日本代表チームは、バンコクのスワンナプーム国際空港経由で28日に日付が変わる頃、オリンピアードが開催されるインドのチャンナイへと到着しました。時差もあり、移動でとにかく長かった27日と、オープニングセレモニーが開催された28日の2日間を写真で振り返ろうと思います。
27日午前中の便で羽田を発った私たちは、お昼過ぎにはバンコクへ。ここで22時10分の乗継便まで長い長い待ち時間です。私にとって慣れ親しんだタイだと思っていましたが、最後に大会に参加したのはもう8年前も前ですね。スワンナプーム国際空港自体も久々で、タイのお店を懐かしく見て回っていました。
空港内でよく見かけたのが、こちらのマンゴーともち米を一緒に食べるタイのデザート、カオアニャオ・マムアンです。もち米がデザート?と思われるかもしれませんが、日本にもおはぎがありますね。以前よりも空港内の多くのお店で売られるようになったと思います。タイを訪れる際はぜひ味わってみてください。 スワンナプーム国際空港からチャンナイに向かう便は私たちも使った夜の一便しかなく(19時台のフライトはキャンセル!)、他にもタイの代表は当然として、ベトナム、台湾代表たちが同じ便でした。
早く入国した他国のプレーヤーから報告がありましたが、チャンナイの空港ではオリンピアード専用のレーンが設けられ、入国手続きも非常にスムーズでした。用意してきた書類もあまりチェックすることなく通されました(笑) チェンナイの空港もオリンピアード各国代表を歓迎するムードで、入国審査を済ませてすぐの場所で撮影したのがトップの写真です。
チャンナイの空港に到着した私たちは、その後バスでVivanta Chennai, IT Expressway という5つ星ホテルへと案内されました。過去のオリンピアードを振り返っても、なかなかない良いホテルです。インドは多少飲み水が心配でしたが、ペットボトルのミネラルウォーターは無制限でもらえ、そのほかにも果物やランドリーのサービスもありました。
28日のチェックインは相当遅い時間でしたが、それでも8時前に朝食へ。ドーサというこちらの食べ物は南インド料理では定番のインド風パンケーキ(日本人にはクレープと呼んだほうが分かりやすいかも)です。目の前で調理してくれるのですが、私たちがこの朝初めてのお客さんだったのか、担当スタッフは何回か失敗しながら、苦労してこれを焼き上げてくれました。
ホテルにはプールもありました。余裕がある日にはリフレッシュのために入るかもしれません。
開会式の会場まではバスで1時間ほどでした。オリンピアード開会式の恒例で、アルファベット順に参加チームが紹介され、日本も登場します。
インドの歴史を表現した様々なダンスやピアノの演奏など演目は盛りだくさんで、開会式は3時間以上でした。開会式の様子については、すでに多くの動画がTwitter やYoutube で公開されていると思いますので、私も時間のできた際にチェックしてみようと思います。

会場を出てから帰りのバスがつかまるまで2時間くらいかかるというハプニングもありましたが。なんとか22時40分頃にはホテルに戻ることができました。ここでペアリングをチェックし、オープンチームはアフリカのジブチ、女子はヨーロッパの強豪スペインと初戦であたることを知りました。今日から長いオリンピアードがいよいよ本格的に始まります。オープンチームはしっかり下からポイントを取って弾みをつけたいですね。それではこれから試合に行ってきます!

44th Olympiad Chennai 2022 Open Section 1R Pairings
44th Olympiad Chennai 2022 Women's Section 1R Pairings
44th Olympiad Chennai 2022 Open Section 1R Live Games
44th Olympiad Chennai 2022 Women's Section 1R Live Games

2022/07/25

44th Olympiad Chennai 2022 Tournament Preview2


いよいよインドのチェンナイで開催されるチェスオリンピアードまで、残り数日となりました。昨日受けたPCR検査で全員が陰性の結果が出たため、日本代表のメンバーは無事に27日の便でチェンナイに向かえることになりました! これまでのオリンピアードと違い、出発前のこの段階で最初の難関がありますので、ここをクリアできて胸をなでおろしています。出発から帰国まで、今大会のスケジュールは以下の通りです。

7/27 Arrival
7/28 19:00 Opening Ceremony
7/29 9:30 Captains Meeting, 15:00 R1
7/30 15:00 R2
7/31 15:00 R3
8/01 15:00 R4
8/02 15:00 R5
8/03 15:00 R6
8/04 Rest Day
8/05 15:00 R7
8/06 15:00 R8
8/07 15:00 R9
8/08 15:00 R10
8/09 10:00 R11, 19:00 Closing Ceremony
8/10 Departure

日本はインドよりも3時間半進んでいますので、最終日以外は日本時間の18時半に試合スタートとなります。その他、スケジュールや大会の情報はオリンピアードの公式サイトをご参照ください。またもう少しすると、NCSチャンネルでの応援配信のリンクや、Chess24でのライブのリンクもご案内できるようになると思います。Chessresults で発表されているチーム構成なども多少の変化があるようですので、こちらもチェックしておこうと思います。それでは引き続き、日本チームの応援をどうかよろしくお願いいたします。

44th FIDE Chess Olympiad Chennai, India
44th Olympiad Chennai 2022 Open Section Entry List
44th Olympiad Chennai 2022 Women's Section Entry List

2022/07/23

クラウドファンディング企画

すでにご存じのかたも多いと思いますが、28日から始まるチェンナイでのオリンピアードに向け、NCSは日本チェス界で初となるクラウドファンディングをスタートさせました。ジャパンチェスクラシックの2日目、16日からスタートしましたが、数日で最初の目標額である100万円を達成し、23日現在で120万円に到達しています。オリンピアード日本チームの一員として、協力してくださって皆さんに心より感謝いたします。

チェスオリンピアード2022出場選手を応援したい!(CAMPFIRE)

ご支援いただいた資金は、選手の渡航費やコーチ費などに充てさせていただく予定です。返礼品も数多く用意しておりますので、オリンピアードスタート後からでもご協力いただけると幸いです。リンク先からクラウドファンディング企画の詳細をご覧いただくだけでも嬉しいので、どうぞよろしくお願いいたします。応援してくださって皆さんのご期待に沿うためにも、チェンナイでの試合を頑張ってきます!

2022/07/20

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第9回予告

7月のOPENRECでの講座案内です。7月は今週末の日曜日、7/24 20時からスタートです。

今月は『オリンピアードの名局たち』 が講座のテーマです。7/28 からスタートするチェスオリンピアードも、いよいよ目前に迫ってきました。そこで今回は過去に40回以上開催されてきたオリンピアードの中から、これはという名局を抜き出し、ご紹介していこうと思います。恒例となった無料視聴できる冒頭部分と、サブスク登録者のみ視聴可能なそれ以降がありますので、まだのかたは是非この機会にご登録ください。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第9回『オリンピアードの名局たち』 | 2022.07.24 (OPENREC)
プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 #9「オリンピアードの名局たち」【サブ配信】(Youtube)

2022/07/19

Japan Chess Classic 2022 Day4 Tournament Report

今年のジャパンチェスクラシック入賞者たち

4日間のジャパンチェスクラシックは昨日、無事に閉幕しました。3日目で私と青嶋くんを破ったTuさんは、その勢いのまま大塚さん、弘平くんも退けて7戦全勝での優勝を決めました。ジャパンチェスクラシックのような国内のビッグトーナメントで、全勝優勝者が出るのは久々だと思います。Tuさん、おめでとうございます!

1st Place Tran Thanh Tu (CM, JPN, 2375) 7/7
2nd Place Aoshima Mirai (FM, JPN, 2347) 5.5/7
3rd Place Noguchi Koji (JPN, 1975) 5.5/7
4th Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2346) 5/7
5th Place Yamada Kohei (FM, JPN, 2162) 5/7

Japan Chess Classic 2022 Final Standings


私は連敗を喫した後の最終日、岡山くん、若森さんに勝ってなんとか滑り込み入賞となりました。今回は3日目連敗の時点で、入賞無しも覚悟していただけにラッキーでした。最終戦で対戦した若森さんは昨年2回の対戦をし、ついこの前も名古屋で試合をしています。6Rでは弘平くんに負けたものの途中で勝ちのチャンスもあったので、数字以上の力をつけてきていると強く感じます。

Wakamori, T (JPN, 1884) - Kojima, S (IM, JPN, 2346)
Japan Chess Classic 2022 (7)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. d3 Bc5!?

5. d3 と指すAnderssen Variation に対しては、3年前は5... d6 からキングサイドフィアンケットを採用していました。こちらの変化も感触が良く、中国でのAsian Continental ではある程度の結果を出したのですが、最近は違う変化を試しています。5... Bc5 のセットアップはItalian とかなり似た形になり、作戦が気に入ると使いやすいです。

6. c3 d6 7. Nbd2 O-O 8. O-O Ba7 9. Re1 Ne7


白のd2-d4 を警戒してビショップを退いた後は、ナイトをキングサイドに組み替えます。

10. Nf1 Ng6 11. Ng3 d5!?

名古屋で先日対戦した際は1... c6 12. d4 Bg4 と進みました。黒からの早いd6-d5 は面白い仕掛けで、c7-c6 を挟んでからが一般的ですが、私は今回このタイミングを準備してきました。

12. Bg5?!


この手はチェックしていましたが、少し白にとってリスキーなのではないかと思います。12. exd5 Nxd5 13. d4 とし、お互いにナイトをd4,d5 に置きあうのが安全でしょう。

12... h6 13. Bxf6 Qxf6 14. exd5 Bg4=/+

このポジションがスペインのGM Davit Anton の解説で見ていたもので、黒は1ポーン捨てていても黒マスを使ったプレーと、白のキング前を崩すことでバランスを取ります。

15. Ne4


15. h3 Bxf3 16. Qxf3 Qxf3 17. gxf3 Nf4=/+ こうすると黒は簡単にポーンを取り返すことができ、分かりやすく優勢の局面です。

15... Qb6 16. d4 f5!? 17. Ng3 e4?!

しかし、勢いよくキングサイドのポーンを伸ばしたのはやりすぎで、単にポーンを取り返すほうがベターでした。17... Qxb2 18. Qd2 Qxd2 19. Nxd2 exd4=/+

18. h3?


ここはお互いに見落としがありました。攻められているf3 のナイトは典型的なh2-h3 で助けるしかないように見えますが、よくよく考えれば白はナイトを取られても、Re1-Re6 の反撃があります。それを利用した変化が、18. Qc2! Qf6 (18... exf3 19. Re6 fxg2 20. Rxb6 Bxb6) 19. Nd2 Rad8 というものでした。黒はポーンを捨てた分、まだ多少の代償がありますが明確ではなくなっています。

18... Bxf3 19. gxf3 Nh4 20. fxe4 fxe4 21. Rxe4 Nf3+ 22. Kg2 Qxb2

本譜はf3 にナイトが刺さり、クイーンサイドからも仕掛けてポーンを1つ落としています。fファイルを開いたことでとにかくキングサイドを攻めたくなりますが、どちらのサイドからも手を作ることで相手にディフェンスのポイントを絞らせないほうが良い攻め方となります。

23. Ne2 Qa3! 24. Rb1 Qd6 25. Ng3 Kh8?!


クイーンをb2 に残すか少し悩みましたが、将来的にターゲットになる可能性があるため、2段目の横利きにこだわらずd6 に退くことにします。これでh2 を狙うと同時にf4 のマスを抑え、Ne2-Nf4-Ng6 のチャンスを消したことで、キングが寄るタイミングだと考えました。しかし、ここではb7 を捨てるのは勿体なく、1手遅れても25... b5! 26. Bb3 Kh8 で良かったようです。

26. Bb3?

こうしてbファイルをふさいでしまうと、前の手でb1 にルークが寄った手が無駄になってしまいます。26. Rxb7! Bb6 (26... Qxd5 27. Rxc7 Nh4+ 28. Kh1 Rxf2 29. Qg4! こうしてf2 を捨てても平気だというのはコンピュータの判断で、人間には指しづらいでしょう。) 27. Bc6 Rad8 こうしてb7 にルークを閉じ込めたポジションはかなり評価が難しいですが、本譜がストレートに黒良しになるのであれば、こちらを試しておくべきでした。

26... c5!


これが白のディフェンスを破る好手となります。どうポーンを捌いても、黒はa8-h1 のダイアゴナルかa7-g1 のダイアゴナルを利用して白キングに攻撃を仕掛けることができるようになります。

27. dxc6 Qxc6 28. Bc2 Ng5

f3 に刺さったナイトは強力で、もうしばらくこのままでも良いのですが、e4 のルークがピンになっていることを利用しつつ、fファイルを開けることで白がd4-d5 としづらくなれば十分だと判断しました。

29. Qd3 Rf3 30. Qe2 Raf8 31. Rb3 Qf6


こうしてエクスチェンジを取ることを諦めてもf2 へ集中砲火すれば、白はキングを守り切ることができません。

32. Nh1 Nxh3 33. Bd1 Nf4+ 34. Rxf4 Rxf4 35. Rb2 Bb8 36. Rd2 Qg5+ 37. Kf1 Rh4 0-1

途中、読みを多少疎かにし、感覚で指してしまうところは反省します。オリンピアードでは、もう少し正確に指していきたいですね。

4日間に渡り大会運営スタッフの皆さん、参加者の皆さん、お疲れ様でした。次回はもうオリンピアードですね。NCSチャンネルでは実況解説付きの放送があると思いますので、そちらを楽しみにしています!

2022/07/17

Japan Chess Classic 2022 Day3 Tournament Report

ジャパンチェスクラシック3日目の午前はTuさんとの日本代表対決です。ともに今月末から始めるチェンナイでのチェスオリンピアードのため、最終調整の大会となります。また先週末は名古屋で試合をしており、公式戦で2週連続の対戦は初めてかもしれません。

Tran, T T (CM, JPN, 2375) - Kojima, S (IM, JPN, 2346)
Japan Chess Classic 2022 (4)

1. d4 d5 2. Nf3 Nf6 3. c3 e6 4. Bf4 Bd6 5. e3 O-O 6. Nbd2 c5 7. Ne5 Qc7 8. Bg3 Nc6 9. f4 Ne7 10. Bd3 Nf5 11. Qf3

London System に対して、Nc6-Ne7-Nf5 が今回の準備でした。11. Bf2 Be7! 12. g4 Nd6 13. Qf3 b6! があり、白はg2-g4 としてもe4 のアウトポストにナイトの侵入を許してしまいます。Tuさんもおそらくそれに気づき、少し違ったセットアップを取ってきました。

11... b6 12. O-O Bb7 13. Rae1 Rfd8 14. Bxf5!?


ここでの駒交換は後戻りできない大きな決断です。この数手の流れを予想しての13... Rfd8 でしたが、私の想定よりも評価の難しい局面を迎えます。

14... exf5 15. Bh4 Be7 16. Bxf6 Bxf6 17. Qh3 Bc8

ダブルナイトvs. ダブルビショップの構図になりました。白はe4 のアウトポストに侵入されて困る黒のナイトを全て捌いており、黒の白マスビショップはやや働きに不満があります。ここからの白の大きなアクションはg2-g4 であるため、それに入念な準備を整えます。

18. Ndf3 h6 19. Rf2 Re8 20. Qh5 Be6 21. h3 Kh7!?


ナイトのチェックを誘いこむためにこの手を指しました。黒がクイーンサイドで作れる反撃は少し時間がかかるため、g2-g4 をただ待つよりもこれが実戦的だと判断します。

22. Ng5+ Kg8 23. Nxe6 fxe6 24. g4 Bxe5 25. fxe5 fxg4 26. Qxg4 Qe7?

しかし、マイナーピースを全て捌いた後、たった1手クイーンの位置を間違えてしまいました。26... Qd7! 27. Ref1 Rf8 28. Rf6 Rae8! 29. Kg2 (29. Rxh6 Rxf1+ 30. Kxf1 Qb5+! このチェックがすぐ入るのが、26... Qe7 との違いです。31. Kg1 Qxb2=) 29... Rxf6 30. Rxf6 cxd4 31. exd4 Qb5 32. Rf2 Re7= こうして黒はポーンを守りきり、b2 にも反撃を作って十分なポジションです。

27. Ref1 Rf8 28. Rf6 Rae8


28... Rxf6 29. exf6 Qf7 30. fxg7 Qxg7 31. Rf6 Qxg4+ 32. hxg4 Re8 33. Rxh6 Kg7+/- こちらの1ポーンダウンのルークエンディングとどちらを選ぶか悩みましたが、クイーンエンディングのほうがパペチュアルチェックなどの反撃を作りやすいと考え、本譜を選びます。

29. Rxh6 Rxf1+ 30. Kxf1 Rf8+ 31. Kg2 Rf5 32. Rh5 Rxh5 33. Qxh5 Qd7

白は1ポーンアップですがダブルポーンですので、実戦的にはまだまだ難しいでしょう。

34. Qg6 Kf8 35. Kg3 Qc6 36. Qg4 a5 37. Qh4 Kf7


37... Qb5 38. Qd8+ Kf7 39. Qc7+ Kf8 40. Qc8+ Kf7 41. Qb7+ Kf8 42. dxc5 こうしてbファイルに回られてからのポーン取りが嫌だったため、もう少し待ちの姿勢を取ることにします。

38. Qh5+ Kf8 39. Qg6 a4

自分からダブルポーンの解消を手助けすることをためらいましたが、39... cxd4 40. exd4 b5からb5-b4 を狙う手も意外と白は嫌そうです。

40. a3 b5 41. dxc5 Qxc5 42. Kf2 Qe7 43. Ke2 Qd7 44. h4 Qf7 45. h5


思い切ってクイーンをぶつけ、ポーンエンディングに誘いましたがこれは実は負けでした。45. Qxf7+ Kxf7 46. Kd3 Kg6 47. Kd4 Kh5 48. Kc5 Kxh4 49. Kd6! これを見落としていました。49... g5 50. Kxe6 g4 51. Kxd5 g3 52. e6 g2 53. e7 g1=Q 54. e8=Q+-

45... Qd7 46. Kd3 Qc6 47. Qg4 Qb6 48. Qb4+ Ke8 49. Qg4 Kf8 50. Qd4 Qc6?!

ここは迷ったのですが、e5 にクイーンを当てておくほうがチャンスがあったかもしれません。50... Qc7 51. Qb4 Kf7 52. Qxb5 Qxe5 先にb5 を取られてしまうことを気にしましたが、e5 が落ちるとキングへの反撃も作りやすくなります。

51. Kd2 Qc4 52. e4


本譜でも白勝ちですが、すぐにクイーン交換もありえました。52. Qxc4 bxc4 53. e4 dxe4 54. Ke3 Kg8 55. Kxe4 Kh7 56. Kd4 Kh6 57. Kxc4 Kxh5 58. Kd3!+- 白キングは一度黒のプロモーションを止めるため、戻る余裕があります。

52... Qb3 53. Qb4+ Qxb4 54. axb4 dxe4 55. Ke3 Kg8 56. Kxe4 Kh7 57. c4 bxc4 58. Kd4 1-0

私はこの後大塚さんにも白で敗れ、冴えない一日でした。明日の最終日は気を取り直し、少しでも内容の良いゲームを目指して頑張ろうと思います。

一方でTuさんは続けて青嶋くんにも勝ち、ライブレイティングを2400に乗せました。これでIMタイトル取得の条件の1つをクリアしたとともに、8月以降は係数が10になります。最後の係数20であるオリンピアードで、大きく稼いでもらいたいですね。

Japan Chess Classic 2022 R6 Pairings
Japan Chess Classic 2022 R6 実況中継(Youtube)
悲しみを癒すパフェです。

2022/07/16

Japan Chess Classic 2022 Day2 Tournament Report

ジャパンチェスクラシック2日目です。この日は長瀧くん、野口さん相手に途中怪しい局面もありましたが、最終的にはどちらも勝ち切り、連勝を3に伸ばしました。前日は黒のゲームだったため、今日は白を持った長瀧くんとの試合をお届けします。長瀧くんは麻布チェス部の後輩で、現役時代は合宿の多面指しで負けたこともあり、油断できない相手だと思って試合に臨みました。

Kojima, S (IM, JPN, 2346) - Nagataki, K (JPN, 1885)
Japan Chess Classic 2022 (2)

1. e4 c6 2. Nf3 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Nf6 5. Qe2 Nxe4 6. Qxe4 Nd7 7. d4 Nf6 8. Qf4 e6!?

白の8手目までは6月8日の記事で書いたCaro-Kann Two Knights の研究手順です。白マスビショップの展開を諦める8... e6 は、Caro-Kann からFrench Defence へと変化します。

9. Bd3 Bd6 10. Qh4 c5 11. dxc5 Bxc5


この局面はFrench Rubinstein の一変化(1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Nd7 5. Nf3 Ngf6 6. Nxf6+ Nxf6 7. Bd3 c5 8. dxc5 Bxc5)と比べ、白のクイーンの位置がd1 からh4 になっています。白のクイーンは黒のキングサイドキャスリングを牽制する攻撃的な位置ではありますが、この良さを存分に生かすためにはしっかり作戦を練る必要があります。

12. O-O Bd7 13. Ne5 Qc7 14. Re1 Bc6 15. Bf4 Bd6 16. c4 Nd7 17. Ng6!

タクティカルな手が登場し、黒の対応次第では短手数で終わることも予想しました。しかし長瀧くんは手堅く指して簡単には崩れません。

17... Rg8


17... Bxf4?? 18. Qe7#, 17... fxg6 18. Rxe6++- はどちらも白勝ちです。

18. Rad1 Nf6 19. Bxd6 Qxd6 20. Be4

18手目、19手目はかなり時間を使って考えましたが、単純にピースを捌き、ルークの連携の良さで優位を保つ以外に道が見えませんでした。実際にはこれで白の方針は正しく、黒はe8 から逃げ遅れたキングが負担になります。

20... Qc7 21. Bxc6+ bxc6 22. Ne5 Rd8 23. Rxd8+ Kxd8 24. Qd4+ Kc8 25. Qc5


ここもいくつか選択があったようですが、cポーンを孤立にしてもらったのでそこを狙うのが素直に思えました。

25... Nd7 26. Qxc6 Nxe5 27. Qxc7+ Kxc7 28. Rxe5

こうして1ポーンアップのルークエンディングに突入しました。クイーンサイドが3vs.2 でポーンが多く、これは白を持ったら勝てなくてはいけません。

28... Rd8 29. g3 Rd2 30. Ra5 Kb6 31. b4


残り数秒で最も良い形が正確に判断できませんでした。31. Rb5+ Kc6 32. a4 とaポーンを進め、bポーンはbファイルに残したルークで守るというのがコンピュータの判断です。ここは時間の取れた際にもう少し掘り下げて考えてみようと思います。

31... Rc2 32. Rb5+ Ka6 33. Rc5

私は一時的にポーンを返しても、7段目から黒のキングサイドのポーンを取って勝ちを目指そうと考えました。気になるのは黒の残ったaポーンが反撃にでるスピードです。コンピュータが示した33. Rb8! Rxc4 34. b5+ Ka5 35. Rb7+- というルークの使い方は思いつきませんでした。これであれば、黒は反撃のために残したいaポーンを落とされてしまいます。

33... Rxa2 34. Rc7 Rc2 35. c5?!


こうした局面で最初考えたポーンの取り合いに迷わず踏み込めないのが私の甘いところです。35. Rxf7! Rxc4 36. Rxg7 Rxb4 37. Rxh7+- こうしてf-hファイルのポーンを取りつくしてしまえば、白はg-hファイルの2コネクテッドパスポーンで簡単に勝つことができます。それは感覚ではわかっているはずなのですが、どうしてもaポーンの反撃を気にしてしまいます。実際には白はルークをどこかで1段目に下げるくらいで、単独のパスポーンには十分対応でき、恐れる必要はありません。

35... Rb2 36. Rxf7 Rxb4 37. Rxg7?

時間の無い中、当然だと思ってポーン取った手が間違いでした。37. c6! と先にポーンを進めておき、b7 のマスを抑えるのが正解です。

37... Rc4?


何もないルークエンディングだと思っていたので、ここで37... Rb7!= があったことに驚きです。やはり白は迷わず、黒のキングサイドのポーンをすぐに取っておくべきでした。

38. Rc7!?


早く2コネクテッドパスポーンを決める38. Rxh7 Rxc5 39. h4+- で十分ですが、ここは黒キングがaポーンから離れづらいことを利用し、hポーンを取る前にいくらか局面を改善してみようと考えました。

38... e5 39. h4 h5 40. Kg2 Rc3 41. c6 e4 42. Rh7

ここでようやく2コネクテッドパスポーンで勝てる確信が持て、hポーンを取りにいきます。

42... Rxc6 43. Rxh5 Kb6 44. Re5 Rc4 45. h5 a5 46. h6 Rc6 47. Rh5 Rc8 48. h7 Rh8 49. g4


このgポーンの前進が、g6 まで進んでhポーンを守り、ルークをh1 に退くぴったりのタイミングとなります。

49... a4 50. g5 a3 51. g6 a2 52. Rh1 Kb5 53. Ra1 Kb4 54. Rxa2 1-0

勝てるはずと思いながらも、あまり経験のないルークエンディングで勉強になりました。3連勝は4人まで絞られており、明日はトップボードでTuさんとの対戦です!

Japan Chess Classic 2022 R4 Pairings
Japan Chess Classic 2022 R4 実況中継(Youtube)

それでは明日の3日目もよろしくお願いいたします。全日本選手権で敗れたTuさんとの黒番、今度はポイントを取れるよう頑張ってきます!
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