4日間のジャパンチェスクラシックは昨日、無事に閉幕しました。3日目で私と青嶋くんを破ったTuさんは、その勢いのまま大塚さん、弘平くんも退けて7戦全勝での優勝を決めました。ジャパンチェスクラシックのような国内のビッグトーナメントで、全勝優勝者が出るのは久々だと思います。Tuさん、おめでとうございます!
1st Place Tran Thanh Tu (CM, JPN, 2375) 7/7
2nd Place Aoshima Mirai (FM, JPN, 2347) 5.5/7
3rd Place Noguchi Koji (JPN, 1975) 5.5/7
4th Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2346) 5/7
5th Place Yamada Kohei (FM, JPN, 2162) 5/7
Japan Chess Classic 2022 Final Standings
2nd Place Aoshima Mirai (FM, JPN, 2347) 5.5/7
3rd Place Noguchi Koji (JPN, 1975) 5.5/7
4th Place Kojima Shinya (IM, JPN, 2346) 5/7
5th Place Yamada Kohei (FM, JPN, 2162) 5/7
Japan Chess Classic 2022 Final Standings
私は連敗を喫した後の最終日、岡山くん、若森さんに勝ってなんとか滑り込み入賞となりました。今回は3日目連敗の時点で、入賞無しも覚悟していただけにラッキーでした。最終戦で対戦した若森さんは昨年2回の対戦をし、ついこの前も名古屋で試合をしています。6Rでは弘平くんに負けたものの途中で勝ちのチャンスもあったので、数字以上の力をつけてきていると強く感じます。
Wakamori, T (JPN, 1884) - Kojima, S (IM, JPN, 2346)
Japan Chess Classic 2022 (7)
1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. d3 Bc5!?
5. d3 と指すAnderssen Variation に対しては、3年前は5... d6 からキングサイドフィアンケットを採用していました。こちらの変化も感触が良く、中国でのAsian Continental ではある程度の結果を出したのですが、最近は違う変化を試しています。5... Bc5 のセットアップはItalian とかなり似た形になり、作戦が気に入ると使いやすいです。 Japan Chess Classic 2022 (7)
6. c3 d6 7. Nbd2 O-O 8. O-O Ba7 9. Re1 Ne7
白のd2-d4 を警戒してビショップを退いた後は、ナイトをキングサイドに組み替えます。
10. Nf1 Ng6 11. Ng3 d5!?
名古屋で先日対戦した際は1... c6 12. d4 Bg4 と進みました。黒からの早いd6-d5 は面白い仕掛けで、c7-c6 を挟んでからが一般的ですが、私は今回このタイミングを準備してきました。12. Bg5?!
この手はチェックしていましたが、少し白にとってリスキーなのではないかと思います。12. exd5 Nxd5 13. d4 とし、お互いにナイトをd4,d5 に置きあうのが安全でしょう。
12... h6 13. Bxf6 Qxf6 14. exd5 Bg4=/+
このポジションがスペインのGM Davit Anton の解説で見ていたもので、黒は1ポーン捨てていても黒マスを使ったプレーと、白のキング前を崩すことでバランスを取ります。15. Ne4
15. h3 Bxf3 16. Qxf3 Qxf3 17. gxf3 Nf4=/+ こうすると黒は簡単にポーンを取り返すことができ、分かりやすく優勢の局面です。
15... Qb6 16. d4 f5!? 17. Ng3 e4?!
しかし、勢いよくキングサイドのポーンを伸ばしたのはやりすぎで、単にポーンを取り返すほうがベターでした。17... Qxb2 18. Qd2 Qxd2 19. Nxd2 exd4=/+18. h3?
ここはお互いに見落としがありました。攻められているf3 のナイトは典型的なh2-h3 で助けるしかないように見えますが、よくよく考えれば白はナイトを取られても、Re1-Re6 の反撃があります。それを利用した変化が、18. Qc2! Qf6 (18... exf3 19. Re6 fxg2 20. Rxb6 Bxb6) 19. Nd2 Rad8 というものでした。黒はポーンを捨てた分、まだ多少の代償がありますが明確ではなくなっています。
18... Bxf3 19. gxf3 Nh4 20. fxe4 fxe4 21. Rxe4 Nf3+ 22. Kg2 Qxb2
本譜はf3 にナイトが刺さり、クイーンサイドからも仕掛けてポーンを1つ落としています。fファイルを開いたことでとにかくキングサイドを攻めたくなりますが、どちらのサイドからも手を作ることで相手にディフェンスのポイントを絞らせないほうが良い攻め方となります。23. Ne2 Qa3! 24. Rb1 Qd6 25. Ng3 Kh8?!
クイーンをb2 に残すか少し悩みましたが、将来的にターゲットになる可能性があるため、2段目の横利きにこだわらずd6 に退くことにします。これでh2 を狙うと同時にf4 のマスを抑え、Ne2-Nf4-Ng6 のチャンスを消したことで、キングが寄るタイミングだと考えました。しかし、ここではb7 を捨てるのは勿体なく、1手遅れても25... b5! 26. Bb3 Kh8 で良かったようです。
26. Bb3?
こうしてbファイルをふさいでしまうと、前の手でb1 にルークが寄った手が無駄になってしまいます。26. Rxb7! Bb6 (26... Qxd5 27. Rxc7 Nh4+ 28. Kh1 Rxf2 29. Qg4! こうしてf2 を捨てても平気だというのはコンピュータの判断で、人間には指しづらいでしょう。) 27. Bc6 Rad8 こうしてb7 にルークを閉じ込めたポジションはかなり評価が難しいですが、本譜がストレートに黒良しになるのであれば、こちらを試しておくべきでした。26... c5!
これが白のディフェンスを破る好手となります。どうポーンを捌いても、黒はa8-h1 のダイアゴナルかa7-g1 のダイアゴナルを利用して白キングに攻撃を仕掛けることができるようになります。
27. dxc6 Qxc6 28. Bc2 Ng5
f3 に刺さったナイトは強力で、もうしばらくこのままでも良いのですが、e4 のルークがピンになっていることを利用しつつ、fファイルを開けることで白がd4-d5 としづらくなれば十分だと判断しました。29. Qd3 Rf3 30. Qe2 Raf8 31. Rb3 Qf6
こうしてエクスチェンジを取ることを諦めてもf2 へ集中砲火すれば、白はキングを守り切ることができません。
32. Nh1 Nxh3 33. Bd1 Nf4+ 34. Rxf4 Rxf4 35. Rb2 Bb8 36. Rd2 Qg5+ 37. Kf1 Rh4 0-1
途中、読みを多少疎かにし、感覚で指してしまうところは反省します。オリンピアードでは、もう少し正確に指していきたいですね。4日間に渡り大会運営スタッフの皆さん、参加者の皆さん、お疲れ様でした。次回はもうオリンピアードですね。NCSチャンネルでは実況解説付きの放送があると思いますので、そちらを楽しみにしています!
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