ジャパンチェスクラシック2日目です。この日は長瀧くん、野口さん相手に途中怪しい局面もありましたが、最終的にはどちらも勝ち切り、連勝を3に伸ばしました。前日は黒のゲームだったため、今日は白を持った長瀧くんとの試合をお届けします。長瀧くんは麻布チェス部の後輩で、現役時代は合宿の多面指しで負けたこともあり、油断できない相手だと思って試合に臨みました。
白の8手目までは6月8日の記事で書いたCaro-Kann Two Knights の研究手順です。白マスビショップの展開を諦める8... e6 は、Caro-Kann からFrench Defence へと変化します。
この局面はFrench Rubinstein の一変化(1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Nd7 5. Nf3 Ngf6 6. Nxf6+ Nxf6 7. Bd3 c5 8. dxc5 Bxc5)と比べ、白のクイーンの位置がd1 からh4 になっています。白のクイーンは黒のキングサイドキャスリングを牽制する攻撃的な位置ではありますが、この良さを存分に生かすためにはしっかり作戦を練る必要があります。
17... Bxf4?? 18. Qe7#, 17... fxg6 18. Rxe6++- はどちらも白勝ちです。
ここもいくつか選択があったようですが、cポーンを孤立にしてもらったのでそこを狙うのが素直に思えました。
残り数秒で最も良い形が正確に判断できませんでした。31. Rb5+ Kc6 32. a4 とaポーンを進め、bポーンはbファイルに残したルークで守るというのがコンピュータの判断です。ここは時間の取れた際にもう少し掘り下げて考えてみようと思います。
こうした局面で最初考えたポーンの取り合いに迷わず踏み込めないのが私の甘いところです。35. Rxf7! Rxc4 36. Rxg7 Rxb4 37. Rxh7+- こうしてf-hファイルのポーンを取りつくしてしまえば、白はg-hファイルの2コネクテッドパスポーンで簡単に勝つことができます。それは感覚ではわかっているはずなのですが、どうしてもaポーンの反撃を気にしてしまいます。実際には白はルークをどこかで1段目に下げるくらいで、単独のパスポーンには十分対応でき、恐れる必要はありません。
何もないルークエンディングだと思っていたので、ここで37... Rb7!= があったことに驚きです。やはり白は迷わず、黒のキングサイドのポーンをすぐに取っておくべきでした。
早く2コネクテッドパスポーンを決める38. Rxh7 Rxc5 39. h4+- で十分ですが、ここは黒キングがaポーンから離れづらいことを利用し、hポーンを取る前にいくらか局面を改善してみようと考えました。
このgポーンの前進が、g6 まで進んでhポーンを守り、ルークをh1 に退くぴったりのタイミングとなります。
Japan Chess Classic 2022 R4 Pairings
Japan Chess Classic 2022 R4 実況中継(Youtube)
それでは明日の3日目もよろしくお願いいたします。全日本選手権で敗れたTuさんとの黒番、今度はポイントを取れるよう頑張ってきます!
Kojima, S (IM, JPN, 2346) - Nagataki, K (JPN, 1885)
Japan Chess Classic 2022 (2)
1. e4 c6 2. Nf3 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Nf6 5. Qe2 Nxe4 6. Qxe4 Nd7 7. d4 Nf6 8. Qf4 e6!?
白の8手目までは6月8日の記事で書いたCaro-Kann Two Knights の研究手順です。白マスビショップの展開を諦める8... e6 は、Caro-Kann からFrench Defence へと変化します。 Japan Chess Classic 2022 (2)
9. Bd3 Bd6 10. Qh4 c5 11. dxc5 Bxc5
この局面はFrench Rubinstein の一変化(1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Nd7 5. Nf3 Ngf6 6. Nxf6+ Nxf6 7. Bd3 c5 8. dxc5 Bxc5)と比べ、白のクイーンの位置がd1 からh4 になっています。白のクイーンは黒のキングサイドキャスリングを牽制する攻撃的な位置ではありますが、この良さを存分に生かすためにはしっかり作戦を練る必要があります。
12. O-O Bd7 13. Ne5 Qc7 14. Re1 Bc6 15. Bf4 Bd6 16. c4 Nd7 17. Ng6!
タクティカルな手が登場し、黒の対応次第では短手数で終わることも予想しました。しかし長瀧くんは手堅く指して簡単には崩れません。17... Rg8
17... Bxf4?? 18. Qe7#, 17... fxg6 18. Rxe6++- はどちらも白勝ちです。
18. Rad1 Nf6 19. Bxd6 Qxd6 20. Be4
18手目、19手目はかなり時間を使って考えましたが、単純にピースを捌き、ルークの連携の良さで優位を保つ以外に道が見えませんでした。実際にはこれで白の方針は正しく、黒はe8 から逃げ遅れたキングが負担になります。20... Qc7 21. Bxc6+ bxc6 22. Ne5 Rd8 23. Rxd8+ Kxd8 24. Qd4+ Kc8 25. Qc5
ここもいくつか選択があったようですが、cポーンを孤立にしてもらったのでそこを狙うのが素直に思えました。
25... Nd7 26. Qxc6 Nxe5 27. Qxc7+ Kxc7 28. Rxe5
こうして1ポーンアップのルークエンディングに突入しました。クイーンサイドが3vs.2 でポーンが多く、これは白を持ったら勝てなくてはいけません。28... Rd8 29. g3 Rd2 30. Ra5 Kb6 31. b4
残り数秒で最も良い形が正確に判断できませんでした。31. Rb5+ Kc6 32. a4 とaポーンを進め、bポーンはbファイルに残したルークで守るというのがコンピュータの判断です。ここは時間の取れた際にもう少し掘り下げて考えてみようと思います。
31... Rc2 32. Rb5+ Ka6 33. Rc5
私は一時的にポーンを返しても、7段目から黒のキングサイドのポーンを取って勝ちを目指そうと考えました。気になるのは黒の残ったaポーンが反撃にでるスピードです。コンピュータが示した33. Rb8! Rxc4 34. b5+ Ka5 35. Rb7+- というルークの使い方は思いつきませんでした。これであれば、黒は反撃のために残したいaポーンを落とされてしまいます。33... Rxa2 34. Rc7 Rc2 35. c5?!
こうした局面で最初考えたポーンの取り合いに迷わず踏み込めないのが私の甘いところです。35. Rxf7! Rxc4 36. Rxg7 Rxb4 37. Rxh7+- こうしてf-hファイルのポーンを取りつくしてしまえば、白はg-hファイルの2コネクテッドパスポーンで簡単に勝つことができます。それは感覚ではわかっているはずなのですが、どうしてもaポーンの反撃を気にしてしまいます。実際には白はルークをどこかで1段目に下げるくらいで、単独のパスポーンには十分対応でき、恐れる必要はありません。
35... Rb2 36. Rxf7 Rxb4 37. Rxg7?
時間の無い中、当然だと思ってポーン取った手が間違いでした。37. c6! と先にポーンを進めておき、b7 のマスを抑えるのが正解です。37... Rc4?
何もないルークエンディングだと思っていたので、ここで37... Rb7!= があったことに驚きです。やはり白は迷わず、黒のキングサイドのポーンをすぐに取っておくべきでした。
38. Rc7!?
早く2コネクテッドパスポーンを決める38. Rxh7 Rxc5 39. h4+- で十分ですが、ここは黒キングがaポーンから離れづらいことを利用し、hポーンを取る前にいくらか局面を改善してみようと考えました。
38... e5 39. h4 h5 40. Kg2 Rc3 41. c6 e4 42. Rh7
ここでようやく2コネクテッドパスポーンで勝てる確信が持て、hポーンを取りにいきます。42... Rxc6 43. Rxh5 Kb6 44. Re5 Rc4 45. h5 a5 46. h6 Rc6 47. Rh5 Rc8 48. h7 Rh8 49. g4
このgポーンの前進が、g6 まで進んでhポーンを守り、ルークをh1 に退くぴったりのタイミングとなります。
49... a4 50. g5 a3 51. g6 a2 52. Rh1 Kb5 53. Ra1 Kb4 54. Rxa2 1-0
勝てるはずと思いながらも、あまり経験のないルークエンディングで勉強になりました。3連勝は4人まで絞られており、明日はトップボードでTuさんとの対戦です!Japan Chess Classic 2022 R4 Pairings
Japan Chess Classic 2022 R4 実況中継(Youtube)
それでは明日の3日目もよろしくお願いいたします。全日本選手権で敗れたTuさんとの黒番、今度はポイントを取れるよう頑張ってきます!
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