先週末は名古屋を訪れ、名古屋オープンに参加してきました。昨年は最終戦でAlex に敗れて一歩後退してしまいましたが、今年は3連勝後、Tuさんとドローで互いに3.5/4 フィニッシュです。タイブレークで敗れて優勝の楯こそ逃したものの、満足な結果です。入賞された皆さん、おめでとうございます!
1st Place Tran Thanh Tu 3.5/4
2nd Place Kojima Shinya 3.5/4
3rd Place Akai Kiyotaka 3/4
Nagoya Open 2022 Final Standings
名古屋オープンのゲームはトップの1ボードのみ中継されており、Tuさんとの試合はこちらでご覧いただくことが可能です。今夜のブログでは2R の木下さんとの試合をご紹介したいと思います。
Kojima, S - Kinoshita, A
Nagoya Open 2022 (2)
1. e4 d5 2. exd5 Qxd5 3. Nc3 Qd6 4. d4 Nf6 5. Nf3 c6 6. Be3!?
メインラインとされる6. g3 や6. Ne5 に代わり、Chessable のSo Wesley コースで勧められているのがこちらです。9月のチーム選手権で指した際はうろ覚えだったため、その後少し調べ直しました。
6... Bg4
チーム選手権での塩見さんとの試合では、6... Bf5 7. Be2 e6 8. Nh4 Bg6 9. Nxg6 hxg6 10. g3+/= と進み、ビショップのペアを得て優位に立ちました。本譜でもそうですが、白は黒が展開したビショップとナイトを交換し、ダブルビショップで戦うのが一般的なアイディアです。
7. h3 Bxf3 8. Qxf3 e6
Caro-Kann でも黒が一番問題になりがちな白マスビショップを諦め、c6, e6 の堅いポーンストラクチャーで戦おうとする場合はあります。確かにこのポーンストラクチャーは、白がダブルビショップを活かしにくいと言われます。ただしピースの展開の早さとちょっとしたアイディアで、白はここからチャンスを作ることができます。
9. O-O-O Qc7 10. Kb1!
展開の早さを活かすのであれば、とにかく早く攻めるべきと思われがちですが、こうしたディフェンスの待ち手を入れておくことも効果的です。白はa2 をキングで守りつつ、将来的にh6-c1 のラインでチェックされないようにしており、場合によっては空いたc1 のマスにビショップを逃がします。
10... Nbd7 11. g4!
これも覚えておくべき1手で、白はキングサイドでスペースを確保して攻撃のチャンスを拡大し、g4-g5 を見せておくことで黒キングにクイーンサイドキャスリングを許しません。このポジションでは黒キングはセンターに留まることも、どちら側にキャスリングするのも危険です。このgポーンを突くアイディアは、いくつかのゲームで見ましたが、Fressinet が2017年に指したゲームは、フィニッシュまでとても美しく印象的でした。
11... Be7 12. Bd3 Nb6 13. g5 Nfd5 14. Nxd5 Nxd5
14... cxd5 15. Bb5+ となると、黒はキャスリングを諦めるか、ナイトを戻すしかなくなります。ここでも黒は展開が遅く、キングがまだセンターにとどまっていることの問題が浮き彫りとなります。
15. Bd2 b5 16. h4!
b7-b5 と突くアイディアは、白のc2-c4 を止め、d5 のマスをアウトポスト化してナイトを強化する典型的なアイディアです。私もCaro-Kann を指していた時期に使った経験があります。このように部分的に見れば黒は上手くいっているのですが、キングをどうするかという最大の問題は未解決です。白はg6 までポーンを伸ばすことで黒キングの守りを崩壊させるというプランが明確なため、黒はナイト1つ安定しているだけでは、白の作戦に対抗できません。
16... a5 17. h5 Bd6 18. g6 O-O-O 19. gxf7
f7 とh7 のどちらのポーンを取るか迷いましたが、連続でe6 が弱くなって落ちそうなf7 を選びました。コンピュータはどちらでも大きく白が優勢との判断です。
19... Bf4 20. Qg4 Qxf7?!
e6 を一時的に守るためにも、早くf7 を回収したいのは理解できますが、20... Bxd2 21. Qxe6+ Qd7 22. Bf5 Qxe6 23. Bxe6+ Kc7 24. Rxd2 Nf4 はf7 をキープできないので、白優勢ながら少し自信がありませんでした。本譜では伸ばしたaポーンが仇となり、白は分かりやすく優勢を維持できます。
21. Bxa5 Rde8 22. Rhe1 Bd6 23. Bd2 Nf4 24. Be4
f4 にナイトが入る手は反撃として使いたいですが、b7-b5 によってc6 の守りを消してしまった弱点を利用されてしまいます。本譜の代わりに24. Qf3! も強力です。
24... Kc7 25. Qf3 e5 26. Bxc6 Re7 27. dxe5 Bxe5 28. Rxe5 1-0
最後はシンプルなタクティクスが決まりました。やはり白マス黒マスの両方でチャンスを幅広く作れる、ダブルビショップは頼れる存在です。
今年も名古屋チェスクラブの大会には複数参加させていただき、運営の皆さんにはお世話になりました。また来年も都合が合えば参加させていただきますので、名古屋近隣のプレーヤーの皆さんは、来年もよろしくお願いいたします。これで一応私の2022年国内公式戦は終わりの予定ですが、また気が変わってエントリーするかもしれませんし、見学にだけ顔を出すかもしれません。また次の大会でも、参加者の皆さんと交流できる機会を楽しみにしています。
2nd Place Kojima Shinya 3.5/4
3rd Place Akai Kiyotaka 3/4
Nagoya Open 2022 Final Standings
名古屋オープンのゲームはトップの1ボードのみ中継されており、Tuさんとの試合はこちらでご覧いただくことが可能です。今夜のブログでは2R の木下さんとの試合をご紹介したいと思います。
Kojima, S - Kinoshita, A
Nagoya Open 2022 (2)
1. e4 d5 2. exd5 Qxd5 3. Nc3 Qd6 4. d4 Nf6 5. Nf3 c6 6. Be3!?
メインラインとされる6. g3 や6. Ne5 に代わり、Chessable のSo Wesley コースで勧められているのがこちらです。9月のチーム選手権で指した際はうろ覚えだったため、その後少し調べ直しました。 Nagoya Open 2022 (2)
6... Bg4
チーム選手権での塩見さんとの試合では、6... Bf5 7. Be2 e6 8. Nh4 Bg6 9. Nxg6 hxg6 10. g3+/= と進み、ビショップのペアを得て優位に立ちました。本譜でもそうですが、白は黒が展開したビショップとナイトを交換し、ダブルビショップで戦うのが一般的なアイディアです。
7. h3 Bxf3 8. Qxf3 e6
Caro-Kann でも黒が一番問題になりがちな白マスビショップを諦め、c6, e6 の堅いポーンストラクチャーで戦おうとする場合はあります。確かにこのポーンストラクチャーは、白がダブルビショップを活かしにくいと言われます。ただしピースの展開の早さとちょっとしたアイディアで、白はここからチャンスを作ることができます。9. O-O-O Qc7 10. Kb1!
展開の早さを活かすのであれば、とにかく早く攻めるべきと思われがちですが、こうしたディフェンスの待ち手を入れておくことも効果的です。白はa2 をキングで守りつつ、将来的にh6-c1 のラインでチェックされないようにしており、場合によっては空いたc1 のマスにビショップを逃がします。
10... Nbd7 11. g4!
これも覚えておくべき1手で、白はキングサイドでスペースを確保して攻撃のチャンスを拡大し、g4-g5 を見せておくことで黒キングにクイーンサイドキャスリングを許しません。このポジションでは黒キングはセンターに留まることも、どちら側にキャスリングするのも危険です。このgポーンを突くアイディアは、いくつかのゲームで見ましたが、Fressinet が2017年に指したゲームは、フィニッシュまでとても美しく印象的でした。11... Be7 12. Bd3 Nb6 13. g5 Nfd5 14. Nxd5 Nxd5
14... cxd5 15. Bb5+ となると、黒はキャスリングを諦めるか、ナイトを戻すしかなくなります。ここでも黒は展開が遅く、キングがまだセンターにとどまっていることの問題が浮き彫りとなります。
15. Bd2 b5 16. h4!
b7-b5 と突くアイディアは、白のc2-c4 を止め、d5 のマスをアウトポスト化してナイトを強化する典型的なアイディアです。私もCaro-Kann を指していた時期に使った経験があります。このように部分的に見れば黒は上手くいっているのですが、キングをどうするかという最大の問題は未解決です。白はg6 までポーンを伸ばすことで黒キングの守りを崩壊させるというプランが明確なため、黒はナイト1つ安定しているだけでは、白の作戦に対抗できません。16... a5 17. h5 Bd6 18. g6 O-O-O 19. gxf7
f7 とh7 のどちらのポーンを取るか迷いましたが、連続でe6 が弱くなって落ちそうなf7 を選びました。コンピュータはどちらでも大きく白が優勢との判断です。
19... Bf4 20. Qg4 Qxf7?!
e6 を一時的に守るためにも、早くf7 を回収したいのは理解できますが、20... Bxd2 21. Qxe6+ Qd7 22. Bf5 Qxe6 23. Bxe6+ Kc7 24. Rxd2 Nf4 はf7 をキープできないので、白優勢ながら少し自信がありませんでした。本譜では伸ばしたaポーンが仇となり、白は分かりやすく優勢を維持できます。21. Bxa5 Rde8 22. Rhe1 Bd6 23. Bd2 Nf4 24. Be4
f4 にナイトが入る手は反撃として使いたいですが、b7-b5 によってc6 の守りを消してしまった弱点を利用されてしまいます。本譜の代わりに24. Qf3! も強力です。
24... Kc7 25. Qf3 e5 26. Bxc6 Re7 27. dxe5 Bxe5 28. Rxe5 1-0
最後はシンプルなタクティクスが決まりました。やはり白マス黒マスの両方でチャンスを幅広く作れる、ダブルビショップは頼れる存在です。今年も名古屋チェスクラブの大会には複数参加させていただき、運営の皆さんにはお世話になりました。また来年も都合が合えば参加させていただきますので、名古屋近隣のプレーヤーの皆さんは、来年もよろしくお願いいたします。これで一応私の2022年国内公式戦は終わりの予定ですが、また気が変わってエントリーするかもしれませんし、見学にだけ顔を出すかもしれません。また次の大会でも、参加者の皆さんと交流できる機会を楽しみにしています。
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