先日参加した名古屋オープンのゲームから、序盤にスポットを当てて紹介しようと思います。まずは初戦の藤沢さんとの試合です。藤沢さんとは名古屋の大会でかなり試合をしており、こちらが黒番のときはいつも1.c4です。
Fujisawa, H - Kojima, S
Nagoya Open 2023 (1)
1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. g3 Nf6 4. Bg2 dxc4
2009年にベトナムで開催されたZone3.3に参加した際に初めて研究して以来、1.c4と組み合わせるキングサイドフィアンケット対策として、しばしば指している形です。この試合以前で、8勝1ドローと得意にしていることも分かりました。白はナイトとクイーンを使ってc4を取り返そうとするのが一般的なアイディアですが、手順とタイミングに工夫が必要です。 Nagoya Open 2023 (1)
5. Qc2!?
多くの場合は5. 0-0 Nbd7 6. Qc2というタイミングでクイーンを配置します。本譜の早いQd1-Qc2の場合はb7-b5からc4を守る手が有効だとなんとなく記憶していましたが、理由がよく分からなかったのでここで少し時間を使い、自分なりに納得できる理由が見つけられたところで、b7-b5を決めました。セオリーをあまり知らなかった過去の薄葉さんとの試合では、5... g6 6.Qxc4 Bg7 7.0-0 0-0と進めましたが、ナイトを1つ捌かずに白がc4を取り返せれば、センターの厚みで少し白が指しやすいと思います。
5... b5! 6. a4 Bb7 7. O-O
以前、野口さんと指した試合では7. b3!? cxb3 8. Qxb3 a6と進み、難しいゲーム展開でした。b2-b3からc4を崩して白が完全にギャンビットするのは、他のSlav Defenceでも時々見られるアイディアですが、Qd1-Qc2-Qxb3とポーンを回収するのにクイーンが2回動いているのが気になります。このクイーンの無駄な動きを挟んでしまうことが、早いQd1-Qc2の弱点であり、b7-b5が有効な理由の1つでもあると思います。7... e6 8. Rd1
これもありえるアイディアで、白はb2-b3ではなくd2-d3でポーンを完全に捨て、dファイルのコントロールと展開の早さでポーンの代償を求めることができます。しかし、これに対しても次のアイディアを考えていました。
8... Na6!
d7ではなくa6にナイトを展開するアイディアも、この1年間で学んだSlav Defenceの変化の中に含まれていました。黒はNa6-Nb4を見せておくことで、c2のクイーンをターゲットにしつつ、白の狙いであるd2-d3を防ぎます。d3でのポーンの交換の際、exd3とポーンで取る形では、白はポーンの代償は不十分でしょう。上記の5.0-0 Nbd7 6. Qc2の変化では、黒がナイトをd7に展開するのを確認してからクイーンを配置しているのもポイントで、黒は本譜のNb8-Na6が使えません。この端からのナイトの展開の際にクイーンがターゲットになりうることも、早いQd1-Qc2の弱点と言えそうです。9. axb5?! cxb5 10. Rxa6?
これは十分に警戒したうえでナイトをa6に展開したつもりでした。黒には駒を返すアイディアで対抗できるため、このエクスチェンジサクリファイスは不発に終わります。
10... Bxa6 11. Ne5 Rc8! 12. Bc6+
ビショップを差し出してエクスチェンジを取り返すだけでは白は不満ですが、他の手であれば黒はポーン+エクスチェンジの駒得をキープできるため、やはり黒勝勢です。
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