名古屋オープンのゲームから、オープニングを見直すシリーズ第2弾です。2つ目は最終戦の青嶋くんとの試合を取り上げようと思います。全日本選手権ではClassical Slavを指しましたが、ここでは勝ちにいくために少し違う工夫をしてみました。
Aoshima, M - Kojima, S
Nagoya Open 2023 (6)
1. d4 d5 2. Nf3 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 e6!?
Semi-SlavはClassical Slavよりも早い段階で私のレパートリーに入り、そろそろ20年になります。白からの変化にもよりますが、手堅くもシャープにも黒からのチョイスで変わる面白さがあり、黒で勝ちにいくにはClassical Slavよりも使いやすいでしょう。 Nagoya Open 2023 (6)
5. Qb3!?
どこの大会のゲームで見たかは忘れてしまいましたが、青嶋くんがSemi-Slav対策として以前のMeran Variation(5. Bd3 dxc4 6. Bxc4 b5 7. Bd3)から、こちらに変えたことは気づいていました。アイディアはビショップではなくクイーンでc4を取り返せるようにし、黒マスビショップはポーンストラクチャーの外側で使えるようにすることです。試合前にしっかり変化を調べ直す時間が無かったので、ここでどう指すか少し時間を使って考えます。
5... Nbd7!?
あまり人気のある変化ではないですが、メインのQGDに近く、手堅いポジションを目指せると考えました。メインラインは5... dxc4 6. Qxc4 b5 7. Qd3 a6!?などですが、あまり細かいアイディアを覚えている自信が無かったこと、青嶋くんがしっかり調べているであろうことを考慮して、少しサイドラインにすることを決めました。
6. Bf4 Be7 7. e3 O-O 8. Be2 dxc4!
この辺りも悩みましたが、分からないなりに良い手が選べたと思っています。互いのセットアップを見ると私も白番で指すQGD Bf4ラインのようですが、黒のc7-c6は少しパッシブで、c7-c5とすぐd4に反撃する変化に比べて白マスビショップの活用に工夫が必要です。一方で私が白であればクイーンはb3ではなくc2に配置し、Ra1-Rd1、a2-a3、h2-h3などで様子を見るQGD Rubinstein Variationのアイディアを使います。それと比べた際に白のb3のクイーンの位置が良いとは思えませんでした。9. Qxc4 Nd5 10. O-O
8月のジャパンチェスクラシックスでは白黒逆で青嶋くんと対戦しており、この試合でも白の私がf4のビショップをナイトに取らせるアイディアを使いました。(1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 e6 4. Nc3 Nbd7 5. Bf4 dxc4 6. e3 Nd5 7. Bxc4 Nxf4 8. exf4 Nb6) Nf6-Nd5、Nf6-Nh5に対してビショップを逃がさずf4で交換するアイディアはQGD、Catalanなどの一部ラインで見ることができ、白はビショップペアを諦める代わりに開いたeファイルとe5のコントロールを得ます。しかし本譜では白はクイーンを動かしすぎていることが気になり、黒は無駄なテンポロス無しで、白マスビショップを活用するアイディアを練ることができます。
10... Nxf4 11. exf4 Nb6 12. Qb3 Nd5 13. g3 Qb6!
ナイトに続きクイーンをb6に繰り出し、クイーン交換を目指します。b7-b6、Bc8-Bb7のセットアップも考えましたが、少し遅いためにc6-c5のブレイクを抑え込まれ、c6がターゲットになってしまうと結論付けました。14. Qc2 Rd8! 15. Rfd1 Bd7
白はクイーン交換を避けなければアドバンテージがないため、c2へ退くことを余儀なくされますが、黒はそこで得たテンポでルークをセンターにまわします。b7で使うことを諦めた白マスビショップはd7で我慢しつつ、e8に退いて様子を見るか、c6-c5、Bd7-Bc6の機を伺います。
16. a3?!
ここは黒からのc6-c5ブレイクの準備が十分に整っているので、それを防ぐのが最優先です。本譜の代わりに16. Na4 Qc7 17. Ne5 Be8 といった展開を予想していました。白はビショップペアを諦めた代わりにc5のマスを抑え、黒の白マスビショップの働きを抑えてバランスを取ります。このような戦い方はQGD Cambridge Springsで学びました。例えば以下のようなゲームがありました。1. d4 Nf6 2. c4 c6 3. Nf3 d5 4. Nc3 e6 5. Bg5 Nbd7 6. e3 Qa5 7. Nd2 dxc4 8. Bxf6 Nxf6 9. Nxc4 Qc7 10. Bd3 Be7 11. O-O O-O 12. Rc1 Rd8 13. Qe2 Bd7 14. Ne5 Be8= Alekhine, A - Kashdan, I / Bled 1931
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