Game7
- White plays 15.Rxa4 -
IM Lengyel, B (HUN,2267) - FM Kojima, S (JPN,2312)
FSIM March 2010 (5)
1. e4 c5 2. Nf3 Nc6 3. d4 cxd4 4. Nxd4 Nf6 5. Nc3 e5 6. Ndb5 d6 7. Bg5 a6 8. Na3 b5 9. Nd5 Be7 10. Bxf6 Bxf6 11. c3 Bg5 12. Nc2 Ne7 13. Ncb4 O-O 14. a4 bxa4
15. Rxa4
Game6 と異なり、ルークでポーンを取り返す手も十分考えられます。15...a5 16. Nxe7+
ナイトを交換して位置を入れ替えるのが、スタンダードなアイディアです。
ピンを利用してピースを展開する手に対しては、一つ面白い変化をご紹介します。
16.Bb5!? Bh3!?
17. Nxe7+ Qxe7 18. Nd5 Qb7 19. Bc4 Bd7 20. Ra2 Kh8 21. O-O f5 22. exf5 Bxf5 23.
Ne3 Qd7 Dominguez Perez, L - Leko, P / WchT 2001 / 1/2-1/2
16...Qxe7 17. Nd5
ナイトはセンターのアウトポストがベストの位置であることは、疑いようがありません。
17. Nc6?! Qb7 18. h4 Bh6 19. Qxd6? Qxb2 20. Ne7+ Kh8 21. Ng6+ hxg6 22. Qxf8+ Kh7 23. Qd6 Qxc3+ 24. Kd1 Qc1+ 25. Ke2 Ba6+ / Arpijuntarangkoon, J (THA,2000) - Kojima, S (JPN,2225) / BCCO 2008 / 0-1
17...Qb7
Game6 同様に、黒のクイーンは白のbポーンにプレッシャーをかけます。18. b3
bポーンを守るためには、ルークを下げる手も考えられます。
次のゲームは、私がこのラインを研究するきっかけとなった思い出深いものです。
18. Ra2 f5 19. Bc4 Kh8 20. O-O fxe4 21. Ne3 Qb6 22. Bd5 Ba6 23. Re1 Rad8 24. Bxe4 d5 25. Bf3 e4 26. Bg4 Bc4 27. Nxc4 dxc4 28. Qb1 Qxf2+ 29. Kh1 Rd2 30. Bh3 e3 31. Rxa5 e2 32. g3 Rd1 / Berg, E - Moiseenko, A / Turin ol (Men) 2006 / 0-1
18...Bd7 19. Ra2 f5 20. h4!?
part7 でも説明した通り、このようなポーン突きは攻撃的に見えますが、このポーン自体がターゲットとなります。
20.Bc4 Kh8 ならばスタンダードなポーンストラクチャーになりそうです。
20...Bd8!
ここではh6 にビショップを下げる理由はありません。d8 でa5 のポーンを守りつつ、b6 に出るチャンスを窺います。h4 のポーンをアタックし続けている点も重要です。
21. Bd3?! Bc6?!
21...Be6! 22.h5 Bxd5 23.exd5 e4 24.Be2 Bf6 -/+
このようなd5 をポーンで埋めた異色ビショップのミドルゲームは、ビショップの働きの差とセンターの厚みで黒が優勢だと考えられます。
本譜のようにc6 からナイトを取りに行っても問題ないと思いましたが、次の手を見落としていました。
22. Bc4!
Bd3-Bc4 とビショップを連続で動かすのは奇妙に見えますが、上記のラインを避けることは白として絶対です。22...Kh8 23. exf5 Rxf5 24. Ne3 Rf6 25. Bd5
Sveshnikov の理論では、他のマイナーピースを全て交換したうえでの、d5 のナイトvs黒マスビショップは白が有利です。
そのため、この時点で少し作戦を間違えたかと焦りましたが、少し進めてみるとそう簡単でもないことが分かりました。
25...Rb8 26. Bxc6 Qxc6 27. Nd5 Rf7
おそらくハンガリーのベテランマスターであるLengyel は、これで自分の作戦が成功したと思ったでしょう。確かに、アウトポストのナイトは、黒のビショップを抑え込んでいます。
しかし、黒は早めにfファイルとbファイルからルークでの反撃を準備しています。
さらには白はh4 が弱点となっていてキャスリングができないため、黒としては十分に楽しんで指せるポジションだと言えるでしょう。
28. Rh3!?
白は完全にキャスリングを放棄しました。a2-a4 とh2-h4 からのルーク活用は珍しいですが、指していて非常に楽しい形です。
28...Qc5!
このようなポーンストラクチャーでは、c5 が黒クイーンのベスト位置だと言われます。
a5 のポーンを守りつつ、c3,f2 へプレッシャーをかけます。
29. Rd2 h6
何を指すか迷った際は、安全にキングが上がるマスを作り、将来的なバックランクメイトの危険を消します。
30. Qh5 Rf8 31. Qd1 Rb7!
31...Rf7 32.Qh5 Rf8= も少しだけ考えましたが、この試合は強気に攻めます。本譜の狙いはfファイルにルークを重ねることです。
32. b4
このようにbポーンをぶつける手は評価が難しいところです。
黒からポーンを交換すれば、白にはbファイルのパスポーンができますが、きちんとブロックすればさほど怖くはありません。
むしろ、黒の弱点であるaポーンを消してしまうことで、黒を楽にさせてしまうという点もあります。
32...Qa7 33. Rf3
黒がfファイルからアタックを作る前にルークを捌こうという魂胆ですが、恥ずかしながら試合中、
ビショップでh4 を取ると何が起こるのか、全く分かりませんでした。
私はこのように自分で読めない際は、もらえるものをもらっておく主義です。
33...Rxf3 34. Qxf3 Bxh4 35. Qf8+ Kh7 36. Qxd6
なぜかd6 を取られることが全く読めておらず、36.Qf5+?! g6 =/+ ばかりを考えていました。
しかし、白はうまくセンターのポーンを崩したように見えますが、h4 のビショップはセンターに取り残されたキングに襲いかかります。
36...axb4!
aファイルは黒のアタックを通す重要なルートとなります。37. cxb4 Qa1+ 38. Rd1 Qb2 39. g3?
ビショップを追い払おうと何気なく指したこの手が、決定的な敗着となります。f2 を守りつつ黒の次の手を防ぐ、39.Qf8! が絶対の一手で、これならばまだ勝負は分かりません。
39...Rf7! -/+
これで勝負ありです。白にはf2 を守る満足な方法がありません。
40. Rd2 Qb1+ 41. Rd1
41.Ke2 Bxg3! -+
41...Qe4+ 42. Ne3
この局面でのドローオファーには耳を疑いました。老人なりのジョークだったのかもしれません。42...Bxg3 -+ 43. Qd3 Qxd3 44. Rxd3 Bxf2+ 45. Ke2 Bxe3 46. Rxe3 Rb7 47. Rb3 Kg6 48. Kd3 0-1
このポジションで次の手を待たず、白はリザインしました。
このゲームは私のSveshnikov の中でも、次のGame8 と並び、最も印象深いものの一つです。
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