先週、先輩と飲んでいるときに、ルークエンディングの試合を扱った記事を書けと命が下りました。その時は、最近の数試合を紹介して、一本の記事にまとめて書くだけにとどめようと思っていましたが、今日、自分の試合を見返していて、少し気が変わりました。実戦で出てくるルークエンディングは意外と数が多く、また内容も難しいです。そこでルークエンディングのみを扱う、新シリーズの連載を決めました。いつ飽きて投げ出すか分かりませんが(笑)、しばらくお付き合いください。
ルークエンディングは、勝ちを目指す側、ドローに持ち込みたい側の両者にとって、ルークやキングを如何に使うかがポイントとなります。しかし、本を読んでいくつかの基本を学んだつもりでも、いざ実戦で出てくると間違えるものです。そこでこの連載では、私のゲームの中から面白かったルークエンディングをピックアップし、どういった考えが重要か、どういった間違いが起こりうるのかといったことを、ご紹介していきたいと思います。自分の復習もしつつ、皆さんが自分でエンドゲームを指す、または自分のエンドゲームを振り返る参考になれば幸いです。
昨年、自分の古い試合を何気なく見返していて、この12年前のゲームを発掘しました。これは私が麻布時代に始めて参加した、夏合宿での先輩とのゲームです。早い段階でポーンアップした私は、特に問題なく勝ちを収めたと試合後からずっと思っていましたが、並べなおしてみて自分のとんでもないミスに気がつきました。
黒は2つのパスポーンを持ち、キングとルークも好位置にいます。(キングはパスポーンを守りながら、極力前進しており、ルークはもう1つのパスポーンを後ろから支えています。)あとはじわりじわりと指せば、白はツークツワンクで手がなくなるはずでした。
間違いなく12歳の私は、何の疑問も持たず、勝利を確信してこの手を指したでしょう。白のルークが下がったことを利用してポーンを押し進める手は、ごく自然にも見えます。しかし、それはディフェンス側のアイディアを知らないが故のミスででした。
本譜では黒は焦りすぎなので、もっとじっくりと指すべきでした。代わりに51... Kg4! 52. Kxg2 b2 53. Kf2 Kxf4 54. Ke2 Ke4 55. h4 f4 56. h5 f3+ 57. Kf2 Kf4 58. h6 Rb7 59. Kf1 Kg3 60. Ke1 f2+ 61. Kf1 Kf3-+ ならば、白にはいよいよ手がなくなり、黒勝ちとなります。
白は唯一のドローチャンスを逃しました。52. Rxb2! Rxb2 と進めば、ステールメイトでドローです。黒がルーク取りを避けても、g2 のポーンが落ちるため、やはりドローとなります。
この試合は私にとって、初めてルークエンディングを体験したゲームで間違いないでしょう。この時にステールメイトのアイディアに気づいていれば、もっと早くにルークエンディングの面白さに目覚めていたかもしれませんね。
この連載の導入としては、こんな感じです。すでに私の試合からは、面白いルークエンディングのゲームを30ほどピックアップしているので、それを今後は随時、紹介していきたいと思います。次回はルークエンディングのディフェンスの基本である、フィリドールポジションを扱うつもりです。
ルークエンディングは、勝ちを目指す側、ドローに持ち込みたい側の両者にとって、ルークやキングを如何に使うかがポイントとなります。しかし、本を読んでいくつかの基本を学んだつもりでも、いざ実戦で出てくると間違えるものです。そこでこの連載では、私のゲームの中から面白かったルークエンディングをピックアップし、どういった考えが重要か、どういった間違いが起こりうるのかといったことを、ご紹介していきたいと思います。自分の復習もしつつ、皆さんが自分でエンドゲームを指す、または自分のエンドゲームを振り返る参考になれば幸いです。
昨年、自分の古い試合を何気なく見返していて、この12年前のゲームを発掘しました。これは私が麻布時代に始めて参加した、夏合宿での先輩とのゲームです。早い段階でポーンアップした私は、特に問題なく勝ちを収めたと試合後からずっと思っていましたが、並べなおしてみて自分のとんでもないミスに気がつきました。
50. Kg1 Rb4!
黒は2つのパスポーンを持ち、キングとルークも好位置にいます。(キングはパスポーンを守りながら、極力前進しており、ルークはもう1つのパスポーンを後ろから支えています。)あとはじわりじわりと指せば、白はツークツワンクで手がなくなるはずでした。
51. Rb1 b2??
間違いなく12歳の私は、何の疑問も持たず、勝利を確信してこの手を指したでしょう。白のルークが下がったことを利用してポーンを押し進める手は、ごく自然にも見えます。しかし、それはディフェンス側のアイディアを知らないが故のミスででした。
本譜では黒は焦りすぎなので、もっとじっくりと指すべきでした。代わりに51... Kg4! 52. Kxg2 b2 53. Kf2 Kxf4 54. Ke2 Ke4 55. h4 f4 56. h5 f3+ 57. Kf2 Kf4 58. h6 Rb7 59. Kf1 Kg3 60. Ke1 f2+ 61. Kf1 Kf3-+ ならば、白にはいよいよ手がなくなり、黒勝ちとなります。
52. Kf2??
白は唯一のドローチャンスを逃しました。52. Rxb2! Rxb2 と進めば、ステールメイトでドローです。黒がルーク取りを避けても、g2 のポーンが落ちるため、やはりドローとなります。
52... Rxf4+ 53. Kg1 Rf1+ 0-1
この試合は私にとって、初めてルークエンディングを体験したゲームで間違いないでしょう。この時にステールメイトのアイディアに気づいていれば、もっと早くにルークエンディングの面白さに目覚めていたかもしれませんね。
この連載の導入としては、こんな感じです。すでに私の試合からは、面白いルークエンディングのゲームを30ほどピックアップしているので、それを今後は随時、紹介していきたいと思います。次回はルークエンディングのディフェンスの基本である、フィリドールポジションを扱うつもりです。
1 件のコメント:
要望があったので、pgn を貼っておきます。
[Event "Azabu Summer Training 2001"]
[Site "?"]
[Date "2001.08.28"]
[Round "4"]
[White "Yokoi, S."]
[Black "Kojima, S."]
[Result "0-1"]
[ECO "C47"]
[Annotator "Kojima,Shinya"]
[SetUp "1"]
[FEN "1r6/8/8/5p2/5P2/1p5k/1R3KpP/8 w - - 0 50"]
[PlyCount "8"]
[EventDate "2010.12.31"]
[SourceDate "2010.12.31"]
50. Kg1 Rb4 51. Rb1 b2 $4 (51... Kg4 $1 52. Kxg2 b2 53. Kf2 Kxf4 54. Ke2 Ke4 55. h4 f4 56. h5 f3+ 57. Kf2 Kf4 58. h6 Rb7 59. Kf1 Kg3 60. Ke1 f2+ 61. Kf1 Kf3 ) 52. Kf2 Rxf4+ 53. Kg1 Rf1+ 0-1
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