第2回はルークエンディングにおけるディフェンスの基礎アイディア、フィリドールポジションを扱います。しかし基本と言いつつも、自分の試合では今まで経験したことがないな、と思って試合を漁っていましたが、自分でも完全に記憶の底に封印したゲームが出てきました。
酒井くんとの初対戦のゲームです。気合で1ポーンを掠め取りましたが、ポーンは同じサイドにおり、さらには唯一のパスポーンは武器になりにくい端ポーンです。そしてディフェンス側の白キングが、そのパスポーンをすでにブロックできる位置にいることが重要です。
fポーンとhポーンを簡単に交換しては、すぐにドロー(ノーマルなフィリドールポジション)が確定するので、なんとか手を作ろうとしますが、白は当然ルーク交換は拒否して抵抗を続けます。
もちろん本譜のように進めて問題ないですが、ここはもう一つ、全く別のアイディアでドローにすることも可能でした。
67. f5+!? Kxf5 68. Rf4+!
白はキングが動けない状態にあるので、前回紹介したステールメイトのアイディアでドローに持ち込むことができます。68... Kg5 69. Rf5+ Kh4 70. Rh5+ Kg4 71. Rg5+ Kf3 72. Rf5+ Ke4 73. Rf4+= 黒はどうあがいても、ルークのチェックを切ることができません。このアイディアも確認したうえで、本譜に戻ります。
黒はこれ以上キングとルークを動かしていても進展が望めないので、ここでポーンを交換することにしました。
このようなポーンが一つだけのルークエンディングで、ディフェンス側のキングがすでにパスポーンをブロックできる位置にもぐりこんでいる形を、フィリドールポジションと呼びます。このとき、メイティングスレットに気をつけつつ、ルークをうまく活用すれば、ディフェンス側はドローに持ち込むことができます。ここでは他の手でも良いのですが、白は分かりやすくルークで3段目をキープします。それにより、黒はキングをこれ以上進めることができず、メイティングスレットを作ることができません。
進展のない黒は、ポーンを3段目まで進めますが、このタイミングでルークを8段目に上げるのがポイントです。(もちろん、8段目でなくてもOK ですが)狙いは黒キングが侵入してきた際に、後ろからチェックをかけることで、連続チェックでのドローに持ち込むことです。
黒はこの後ろからのチェックを切ることができず、ドローに合意するしかありません。もしキングがg3 のポーンから離れていけば、白はRg8 と指してgポーンを取りにいくことができます。
フィリドールポジションは、私も実戦であまり出てきたことはないですが、だから知っていても役に立たないわけではなく、ルークエンディングにおけるルークの理想的な使い方を私たちに教えてくれます。それはルークは強力な駒であり、縦と横の利きのうまく使って、アクティブに活用すべきである、ということです。フィリドールポジションでは、まずは3段目にルークをおいて、横の利きで相手のキングの前進を止めつつ、最後は縦の利きを利用した後ろからのチェックでドローに持ち込みます。こういったルークの柔軟な使い方を知っておくことは、他のエンドゲームや、ミドルゲームでも大変役に立つでしょう。エンドゲームを勉強することは、チェスを勉強することである、ということがよく分かる一例だと思います。
次回はルセナポジションと、ルセナ+フィリドールポジションの応用を扱う予定です。2回に分けるかな?
酒井くんとの初対戦のゲームです。気合で1ポーンを掠め取りましたが、ポーンは同じサイドにおり、さらには唯一のパスポーンは武器になりにくい端ポーンです。そしてディフェンス側の白キングが、そのパスポーンをすでにブロックできる位置にいることが重要です。
59. Re3 Kg4 60. Rb3 Rc2 61. Ra3 Rb2 62. Rc3 Rg2+ 63. Kh1 Rg3 64. Rc4
fポーンとhポーンを簡単に交換しては、すぐにドロー(ノーマルなフィリドールポジション)が確定するので、なんとか手を作ろうとしますが、白は当然ルーク交換は拒否して抵抗を続けます。
64... Rd3 65. Kh2 Rd2+ 66. Kh1 Rg2 67. Rc3
もちろん本譜のように進めて問題ないですが、ここはもう一つ、全く別のアイディアでドローにすることも可能でした。
67. f5+!? Kxf5 68. Rf4+!
白はキングが動けない状態にあるので、前回紹介したステールメイトのアイディアでドローに持ち込むことができます。68... Kg5 69. Rf5+ Kh4 70. Rh5+ Kg4 71. Rg5+ Kf3 72. Rf5+ Ke4 73. Rf4+= 黒はどうあがいても、ルークのチェックを切ることができません。このアイディアも確認したうえで、本譜に戻ります。
67... Kxf4 68. Rxh3
黒はこれ以上キングとルークを動かしていても進展が望めないので、ここでポーンを交換することにしました。
68... Ra2 69. Rb3 g5 70. Kg1 Re2 71. Ra3 g4 72. Rb3 Ra2 73. Rc3
このようなポーンが一つだけのルークエンディングで、ディフェンス側のキングがすでにパスポーンをブロックできる位置にもぐりこんでいる形を、フィリドールポジションと呼びます。このとき、メイティングスレットに気をつけつつ、ルークをうまく活用すれば、ディフェンス側はドローに持ち込むことができます。ここでは他の手でも良いのですが、白は分かりやすくルークで3段目をキープします。それにより、黒はキングをこれ以上進めることができず、メイティングスレットを作ることができません。
73...Kg5 74. Rb3 Kh4 75. Rc3 g3 76. Rc8!
進展のない黒は、ポーンを3段目まで進めますが、このタイミングでルークを8段目に上げるのがポイントです。(もちろん、8段目でなくてもOK ですが)狙いは黒キングが侵入してきた際に、後ろからチェックをかけることで、連続チェックでのドローに持ち込むことです。
76... Kh3 77. Rh8+ Kg4 1/2-1/2
黒はこの後ろからのチェックを切ることができず、ドローに合意するしかありません。もしキングがg3 のポーンから離れていけば、白はRg8 と指してgポーンを取りにいくことができます。
フィリドールポジションは、私も実戦であまり出てきたことはないですが、だから知っていても役に立たないわけではなく、ルークエンディングにおけるルークの理想的な使い方を私たちに教えてくれます。それはルークは強力な駒であり、縦と横の利きのうまく使って、アクティブに活用すべきである、ということです。フィリドールポジションでは、まずは3段目にルークをおいて、横の利きで相手のキングの前進を止めつつ、最後は縦の利きを利用した後ろからのチェックでドローに持ち込みます。こういったルークの柔軟な使い方を知っておくことは、他のエンドゲームや、ミドルゲームでも大変役に立つでしょう。エンドゲームを勉強することは、チェスを勉強することである、ということがよく分かる一例だと思います。
次回はルセナポジションと、ルセナ+フィリドールポジションの応用を扱う予定です。2回に分けるかな?
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