2018/11/22

Third Saturday GM November 2018 R5

この日は曇りがちだったのものの、前日の嵐が収まり、ようやく落ち着いて過ごせるかのように思えました。しかし、午前中の早い時間からホテルは停電、wifi が切れたのはまだしも、パソコンの充電が切れては完全にお手上げで、試合の準備ができません。ブログだけ前夜に記事をほぼ書き終えていたのだけが幸運でした。

今大会、スタートダッシュを決めたのはセルビアのGM Pikula です。3連勝の後、4R は短手数ドローで休憩日にしていました。トップを走るPikula に好調の白を引けましたので、ここは大事な勝負のラウンドだと思い、試合に臨みます。

Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Pikula, D (GM, SRB, 2485)
Third Saturday GM November 2018 (5)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 d5 4. cxd5 Nxd5 5. e3 e6 6. Bc4!?



先月のSindarov とのゲームでは、5... Nxc3 6. bxc3 g6 と進み、Grunfeld 型になりましたが、5... e6 であれば、IQP 型になることが予想されます。しかし、Pikula はベテランのCaro-Kann プレーヤーですので、純粋なPanov Botvinnik になることを避け、d2-d4 は少し遅らせることにします。6. Nxd5 Qxd5 7. b3 Be7 8. Bb2 O-O 9. Bc4 はIQP を避けるEnglish の面影が残る指し方で、こちらも面白そうです。

6... Nc6 7. O-O Be7 8. d4 Nf6


せっかくセンターに跳べたナイトを戻すのは不自然にも見えますが、白のキングサイドアタックに対処するためにIQP ポジションではよく指される手です。ただし、私にとってはよく知った形になるため、ここで退いてくれたのはラッキーでした。

9. Qe2 cxd4 10. exd4 O-O 11. Rd1



この局面はQueen's Gambit Accepted から派生することが最も多いようです。1. d4 d5 2. c4 dxc4 3. Nf3 Nf6 4. e3 e6 5. Bxc4 c5 6. 0-0 Nc6 7. Qe2 cxd4 8. Rd1 Be7 9. exd4 0-0 10. Nc3 くらいの手順ですかね。これは私がかつて黒番で得意としていたSlav の変化に似ていますが、そのラインでは白が余計なa2-a4 を挟んでいます。このaポーン伸ばしはb4 のマスを弱め、黒にNc6-Nb4-Nbd5 のチャンスを与えてしまうために、白にとってマイナスが大きいと考えています。一昨年、ラスベガスでGM Friedel に敗れたゲームを思い出しながら手を進めます。

11... Nb4


この手はa2-a4 が無くともやってくるかなと思っていました。しかし、試合後にデータベースを調べると11... Na5 12. Bd3 b6 という展開のほうが多いことが分かりました。a5 の位置のナイトは不自然にも思えますが、白マスビショップを素早く展開しつつ、d5 のアウトポストを抑えるようが良いということでしょう。

12. Bg5 Nbd5 13. Ne5 Bd7?



ナイトをd5 に組み替えると、白のd4-d5 をストップできるのでその点では安全ですが、代わりにe5 のコントロールを失うため、白にNf3-Ne5 を許してしまいます。これでNe5-Nc6 の狙いができると、黒はb7-b6, Bc8-Bb7 ができなくなりますが、本譜の手は軽率すぎて白があっという間に駒得します。13... Nxc3 14. bxc3 Nd5 15. Bd2 が正しい手ですが、これでも白はd4 が弱くなくなり、センターポーンに厚みができたので、タイミングを見てc3-c4 と伸ばせば優勢でしょう。

14. Nxd5!


13... Bd7 はおかしいと確信があったので、ここで時間を使ってベストの手を探します。14. Bxf6?! Nxc3! (14... Bxf6? 15. Bxd5 exd5 16. Nxd5) (14... Nxf6? 15. d5! exd5 16. Nxd5+-) 15. bxc3 Bxf6 16. d5 Bxe5 17. dxe6 (17. Qxe5 Qa5=) 17... Bxh2+! この返し技があるため、さきにビショップナイト交換をしてのd4-d5 はそこまでパワーがありません。納得するまで考え、単純にポーンを取りにいくことにしました。

14... Nxd5


14... exd5 15. Bxf6 dxc4 16. Nxd7! Bxf6 17. Nxf8+/- は白がエクスチェンジアップになるため、黒は被害を最小限に抑えるために本譜を選ぶしかありません。

15. Bxd5 Bxg5



ここも15... exd5? 16. Nxd7! で白は大きく駒得です。

16. Bxb7 Rb8 17. Be4


b7 のポーンをかすめ取った白はひとまず満足ですが、ここからどう優位を広げるか考えます。17. Bc6 から白マスビショップを交換することも考えましたが、h7 への攻撃チャンスも捨てがたいので、一度e4 へ退くことにします。

17... Bf6 18. Rac1 g6 19. Bc6!



h7 への攻撃チャンスが消え、f6 のビショップが浮いたところで白マスビショップ交換のアイディアに戻ります。ダブルビショップは基本的に強力ですが、2つのビショップが協力して同じ色のマスを抑えられないという弱点があります。それに対して白のビショップとナイト、さらにはc1 に回ったルークは、c6 の重要なマスを協力してコントロールしています。

19... Bc8 20. b3 Qd6 21. Bf3


白マスビショップを退かせてルークの連携を切ったことで満足し、こちらも再びc6 のマスを空けて、ナイトやルークの侵入を見せておきます。

21... Ba6 22. Qe3 Bb7?



Pikula はこの試合、ベテランGM らしからぬミスを繰り返しました。これは簡単なタクティクスで白がさらに駒得を広げられます。

23. Bxb7 Rxb7 24. Qf3!+-


単純なダブルアタックでエクスチェンジを取ることに成功し、アドバンテージを拡大しました。

24... Bxe5 25. Qxb7 Bxh2+ 26. Kh1 Bf4 27. Rc8



キング前のポーンは取られてしまいましたが、こうしてルークを交換すれば黒の反撃のチャンスは相当限定されます。クイーンがh4, h5 にくることさえ警戒すれば、問題ないでしょう。

27... Rxc8 28. Qxc8+ Kg7 29. Qc5 Qa6 30. Qc2 Qa5 31. d5!


5段目を防ぐ分かりやすいアイディアで、弱点だったポーンを消し、ルークをアクティブにします。この先もフィニッシュまでよく読めていました。

31... exd5 32. Qd3 Bc7 33. Qxd5! Qxa2 34. Qd4+!



a2 を取らせてもこの手で黒は厳しくなります。34... Kg8 35. Re1!+- はe8 へのルークの侵入を防ぐことができません。

34... Kh6 35. Qe3+! g5


ここも突きたくないポーンを突かせて黒キングの守りを弱めさせます。35... Kg7 36. Qc3++- ならば、ビショップを次に取って勝ちです。

36. Qc3!



6段目が空いたため、ビショップへの攻撃とf6 への侵入を同時に見せればあと一息です。

36... Qe2


36... Qxf2 37. Qxc7 Qh4+ 38. Qh2+- はディフェンスが間に合って白の勝ちです。

37. Qf6+ Kh5 38. Qxf7+ Kh6 39. Rc1! 1-0



Rc1-Rc6 とビショップ取りの狙いが同時に生まれ、黒はリザインするしかありません。最後まで手を緩めずに、よく指せたと思います。先月のKotronias戦に続き、2500近いGM からの勝利はとても嬉しいです!

11/17 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Akshat, K (IM, IND, 2399) 1-0
11/18 14:30 Srinath, R (FM, IND, 2357) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1-0
11/19 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Audi, A (FM, IND, 2347) 1-0
11/20 14:30 Nikolic, N (MNE, 2326) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1-0
11/21 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Pikula, D (GM, SRB, 2485) 1-0
11/22 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Nikcevic, N (GM, MNE, 2429)
11/23 14:30 Drasko, M (GM, MNE, 2434) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)
11/24 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Der Manuelian, H (USA, 2271)
11/25 09:30 Plenkovic, Z (IM, SRB, 2398) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)

Third Saturday GM November 2018

+3 Nikcevic
+2 Pikula, Drasko, Srinath
+1 Kojima
+-0 Akshat
-1 Plenkovic
-2 Nikolic
-3 Audi
-4 Der Manuelian

トップにいたPikula を1つ下に落とし、今日は先月敗れたNikcevic とのリベンジマッチです。好調の白が続きますので、ここでまた星を伸ばしたいですね。


昨晩の夕飯のメインは、野菜と牛肉をソースに絡め、チーズを乗せて焼いた一品でした。


夜の海は吸い込まれそう。海沿いのレストランの多くは、おそらく観光シーズンである夏のみの営業なのでしょう。食事をとるレストラン以外はひっそりと静まり返っています。対岸の明かりの付近は、もう少し色々なお店がありそうですね。

2018/11/21

Third Saturday GM November 2018 R4

4R はモンテネグロのベテランプレーヤー、Nikolic との対戦です。先月、オーガナイザーから紹介されたときは、ボスニアヘルツェゴビナのトップGM がこんなところに? と思いましたが、同じ名前の別人でした。

Nikolic, N (MNE, 2326) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)
Third Saturday GM November 2018 (4)

1. g3 d5 2. Bg2 e5 3. d3 Nc6 4. a3 a5 5. Nc3 Be6 6. Nf3 Nf6 7. O-O Be7 8. Bg5



手順は予想外でしたが、オリンピアード後、King's Indian Attack に対して新しい変化、Reversed Pirc の形を試そうと思っており、その機会が訪れました。色々とゲームを調べてきましたが、Ng1-Nf3 が遅いとd5 にプレッシャーがかかるため、Bc8-Be6 を早めに挟む必要があるのは新しい発見でした。私の予定では、白マスビショップの位置は保留でキャスリングまで済ませ、白の駒組みの様子を窺うつもりでした。

8... O-O 9. e4 d4


ここはゲームの分かれ目で、9... dxe4 10. dxe4 h6 11. Bxf6 Bxf6 12. Nd5 Be7 13. Qd3 と進めるのは、イコールながら安全策だと分かっていました。d5-d4 の押し込みからセンターを閉じるKing's Indian のよくあるポーンストラクチャーは、評価が難しく苦手とするところなのですが、この試合はどうしても勝ちにいきたかったため、センターを開く単純化を避け、勝負に出ます。

10. Ne2 a4!



この手はb2 やc2 のポーンを動かしづらくし、クイーンサイドでスペースを取る良い手だったと思います。King's Indian の基本通りいくならば、黒はcポーンを伸ばしたいので、Nc6-Na5, c7-c5-c4 というアイディアも、時間があればやってみたいと思っていました。

11. Nh4 Qd7 12. Qe1!?


これはh4 のナイトに遠くから守りをつけ、f2-f4 を指しやすくするアイディアです。こんな手があるんだなと思いながら、こちらもfファイルからのブレイクを遅らせる、もしくは弱められるアイディアを探します。

12... Ra6!



6段目のルークは将来的にキングサイドに横移動できる可能性を持ちつつ、b,c ファイルに置いてクイーンサイドのポーンを狙うのもありえます。

13. Rd1 Ne8?!


ここで時間を使いながらも、何がベストか判断ができませんでした。将来的な局面が見えても、それが黒にとって十分なのか、優勢なのかを判断できなかったのは、このゲームの反省点です。13... Rb6 14. Bc1 Ng4! この手は考えたつもりでしたが、自分の予想よりも強力でした。15. h3 Bxh4 16. gxh4 (16. hxg4 Be7 17. g5 Rb5 18. f4 Bg4-/+) 16... Nf6 17. Kh2 Nh5! 18. f4 Nxf4 19. Nxf4 exf4 20. Rxf4 f6-/+ これは私がイメージし、実際に進めた局面よりもナイトを捌けている分、白のアタックチャンスは不十分で、好形のポーンストラクチャーとe5 のアウトポストは、白のダブルビショップに十分対抗できる武器になっています。h2-h3 を突かせればそれがターゲットになり、ナイトを退き直してもh5 に跳ぶ余裕があるのを読み切れなかったのが悔やまれます。

14. Bc1 Nd6 15. f4 Bxh4 16. gxh4 exf4



このポーンを取るのも悩みましたが、ダブルビショップを諦めている分、勝負のポイントはe5 のアウトポストに置くナイトの力だと思いました。ただし、白のf4 のナイトも私の予想より強力で、これが上記のナイトが捌けている変化との違いでした。16... Bg4 17. f5 (17. Rd2 f6 18. f5 Bh5) 17... f6 18. Kh1 も互いにナイトは大人しいですが、指せるポジションです。

17. Nxf4 f6 18. Qg3 Ne5 19. Kh1 Kh8 20. Rg1 Rg8 21. h5 Raa8


勿体ないような気もしましたが、b2, c2 への攻撃はさほど効果的でなく、f7-f6 のためにキングサイドへも行くチャンスがなくなったルークは、退いて8段目で使いなおすのが打倒だと考えました。何かあった際にバックランクの守りを強めておきたいという気持ちもありました。代わりの21... Rc6 22. Rd2 Bf7 23. Rf2 は評価の難しいポジションです。

22. Qh4 Qf7?



f4 にナイトをキープしている以上、どこかでNf4-Ng6+ を狙っていることは承知していました。これに対してどうディフェンスするのがベストなのか、短い持ち時間では全く分かりませんでした。22... h6!? あえてg6 の守りを増やすのではなく、むしろg6 を弱めても、キングの上がるマスを作るというアイディアは頭にありました。 23. Ng6+ Kh7 24. Nxe5 fxe5 25. Rdf1+/= しかし、アウトポストのナイトを捌かれて少し悪そうです。22... Ndf7!? コンピュータの指摘したこの手は、試合中に考えてはいたものの、Nf4-Ng6 の対策に何もなっていないと思い込んでいました。 23. Rdf1! (23. Ng6+? hxg6 24. hxg6+ Nh6 25. Rdf1 (25. Bxh6 Nxg6!-+ いかにもつぶれそうなh6 取りには、この反撃がありました!) 25... Nxg6 26. Qh5 Nf8-/+) 23... h6 24. Ng6+ Kh7 25. Bf4 Rae8 26. Qg3 Bg4 27. Rf2 c5 28. Bf1 Bxh5 29. Bh3 Qd8 30. Bf5 Bxg6 31. Bxg6+ Kh8 32. Bxe5 Nxe5 33. Bxe8 Qxe8+/= こうしてエクスチェンジを返して守るというのが、コンピュータの1つの指摘です。確かにエクスチェンジダウンでも、e5 のアウトポストのナイトさえ脅かされないのであれば、守り切れる可能性があるでしょう。

23. Rdf1


この手はNe5-Nf3 を防いで白マスビショップを動けるようにする良い手ですが、この手を入れずともBg2-Bh3 が成立することに、私は22... Qf7 を指した直後気付きました。23. Bh3! Nf3 24. Qg3 Bxh3 25. Qxf3 Bd7 26. Ng6++-

23... g5?



この手が自分から守りを崩していることは承知していましたが、とにかく時間が無く、そしてg6 への跳び込みへの守り方が見つけられませんでした。23... Qe8 24. Bh3 Bf7 25. Nd5 でも白がかなり押していますが、まだこちらのほうが良かったでしょう。

24. hxg6 Nxg6 25. Qf2 Nb5 26. c4


f6 を取ってポーンアップにしても、エンドゲームは黒にとって絶望的だと思いますが、相手は黒マスビショップでf6 をゆっくり狙う作戦を選びました。

26... dxc3 27. bxc3 Ne5 28. c4 Nd6 29. Bb2 Raf8 30. Qh4 Ne8 31. Bc3 Rg4 32. Qh6 Rxf4 33. Rxf4 Nxd3 34. Rf3 Bxc4 35. Bf1 1-0



King's Indian 型はきちんと指せば大丈夫なポジションで、なにがきちんとした手なのか見つけるのが難しいと改めて思い知ったゲームでした。ここはポイントを取りたいラウンドですが、無念の黒星でまたイーブンに後退です。

11/17 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Akshat, K (IM, IND, 2399) 1-0
11/18 14:30 Srinath, R (FM, IND, 2357) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1-0
11/19 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Audi, A (FM, IND, 2347) 1-0
11/20 14:30 Nikolic, N (MNE, 2326) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1-0
11/21 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Pikula, D (GM, SRB, 2485)
11/22 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Nikcevic, N (GM, MNE, 2429)
11/23 14:30 Drasko, M (GM, MNE, 2434) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)
11/24 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Der Manuelian, H (USA, 2271)
11/25 09:30 Plenkovic, Z (IM, SRB, 2398) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)

Third Saturday GM November 2018

+3 Pikula, Nikcevic
+2 Srinath
+1 Drasko
+-0 Kojima, Plenkovic
-1 Akshat
-2 Audi, Nikolic
-4 Der Manuelian

白番での調子が戻ってきたと思いきや、黒番で連敗です。内容はブダペストでよゲームほど悪くはないので、また今日からのGM 3連戦で頑張ります!


昨日は天気が大荒れで、レストランに至る道は途中水没しました。仕方がないので、道路脇の高い段になっている部分に上がったり、砂浜を歩いてレストランを目指しました。昼はともかく、夜は辺りも暗くて怖かったです...

2018/11/20

Third Saturday GM November 2018 R3

Third Saturday の3戦目は、インドのAudi Ameya との対戦です。今月前半、ブダペストではひどいミスであっという間に負けてしまったので、私のとってはその雪辱を晴らす大事な試合です。

Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Audi, A (FM, IND, 2347)
Third Saturday GM November 2018 (3)

1. Nf3 Nf6 2. c4 c5 3. Nc3 Nc6 4. d4 cxd4 5. Nxd4 e6 6. g3 Qb6 7. Ndb5 Ne5 8. Bg2 a6 9. Na3!? Qa5!?N



King's Indian を予想していましたが、外されました。先月のNikcevic戦を調べられていると思い、9. Qa4 から9. Na3 へと手を変えます。9... Bxa3 10. bxa3 Nxc4 11. 0-0 Qc5! 12. Na4 Qb5 13. Nc3 ならばドローで我慢するしかありませんが、Audi はデータベースにない手を選びました。

10. Qb3 h5 11. h3


黒はキャスリングを半ばあきらめても、h5-h5-h4 からアクションを起こします。これに対しては一度止めておくのが自然かと思いましたが、11. Be3 h4 12. f4 h3 13. Bxb7 Rb8 14. Bb6 Rxb7 15. Bxa5 Rxb3 16. axb3 Neg4 17. Bb6 Bb7 18. O-O-O+/= という変化もあったようです。並べてみると分かりますが、コンピュータでなければできない判断がかなり入っています。

11... Rb8 12. Bf4 h4 13. g4



このポーンを突かせる意味がこの時点は分かりませんでしたが、次の相手の手を見て理解できました。ビショップを浮かさない手もありですが、13. O-O-O hxg3 14. Bxg3 d6 と進む展開は、黒は十分指せそうです。

13... Qc7


自らナイトをピンにするのは不自然にも見えますが、白キングがe1 のままでも、どちらにキャスリングしても、Ne5-Nd3 or Ne5-Nf3 がチェックとなるため、ナイトビショップの交換を黒は狙うことができます。これに対してどうするか、白は悩む局面でしょう。

14. Bh2 Bd6 15. O-O-O



私の判断はナイトビショップ交換を許しても、ピースの展開のリードで白は優位に試合を進められるというものです。しかし、ここでもコンピュータは信じられない手を提案してきました。15. Nab5! axb5 16. Nxb5 Qa5+ このチェックがあるため、ナイト1つを捨てて跳び込むのは無謀に思えます。17. Kf1! Bc7 18. Qe3 Nxc4 (18... d6 19. b4! Nxc4 20. bxa5 Nxe3+ 21. fxe3+/-) 19. Nxc7+ Qxc7 20. Bxc7 Nxe3+ 21. fxe3+/- これをきっちり読み切って指すのはかなり難易度が高そうです。

15... Nd3+ 16. Rxd3 Bxh2 17. e3


17. Kb1 も考えましたが、まずはf4 のマスを抑えつつ、f2-f4 などでビショップ閉じ込めの狙いを見せておきます。

17... g5


f2-f4 をがっちり抑える手ですが、代わりにg5 のポーン自体がターゲットになりうること、f6 のナイトが浮くことがマイナスを影響を与えそうです。

18. Qb4?!



キャスリングを妨害しつつ、d6 のマスに利きを持たせるのは自然に思えました。これで次にNa3-Nb5 が狙いとなります。しかし、このクイーンの手無しでもナイトが跳びこめると再びコンピュータは指摘します。18. Nab5!! axb5 19. Nxb5 Qe5 20. Qb4 d5 21. cxd5 Nxd5 22. Bxd5 exd5 23. f4! Bxf4 24 exf4 Qxf4+ 25. Qxf4 gxf4 26. Nc7+ Kf8 27. Nxd5+/- クイーンをe5 に追いやれば、h2 のビショップの行き場がなくなるのは分かっていましたが、f2-f4 の際にクイーンに当たるテンポがあることを読み落としていました。

18... Be5 19. Rhd1


ここでは19. Nab5? axb5 20. Nxb5 Qd8 21. Qc5 d5! でディフェンスされてしまい、ナイトの跳び込みは失敗します。試合中は気付いていなかった何度かのNa3-Nb5 のチャンスを逃し、これを諦めて別のポイントで勝負します。

19... b6 20. Kb1 Bb7 21. Bxb7 Qxb7 22. Nc2 Qf3



Audi は試合後に、これで黒は勝ちのはずだと主張しましたが、キングがセンターに取り残され、ルークの連携ができていない以上、そんな単純ではないでしょう。私はf2, h3 のポーンを諦めて何かできるアイディアを探します。

23. Nd4! Qxf2


23... Qxh3? 24. f4! Bc7 (24... Bxd4 25. Qd6! Rd8 26. Qxd4 Ke7 27. Qd6+ Ke8 28. Qe5 Ke7 29. fxg5 Nh7 30. Nd5++-) 25. fxg5 Nxg4 26. Nxe6! dxe6 27. Rd7 Bd8 28. Qd6+- これはメイトになるため、取るなら本譜のようにf2 しかありえません。

24. R3d2?



ここは悩んだ挙句、一度ルークを退いてb2 を守っておくことにしました。しかし、この手はナイト跳び込みの後でも可能で、そちらのほうが正確な手順でした。24. Nd5! Nxd5 (24... exd5 25. R3d2! この手を入れなければ、Nd4-Nf5 の際にb2 を取られてクイーン強制交換になってしまいます。25... Qxe3 26. Re2 Qf4 27. Qd6 Ne4 28. Qxd5!+-) 25. cxd5 Rc8 26. dxe6 fxe6 27. Qb3 Qf6 これで形勢判断は難しいですが、白は面白いポジションになっていると思います。

24... Qg3


24... Qxe3 25. Re2 Qf4 26. Nf5 d6! (26... exf5 27. Qd6 Ne4 28. Qxd7+ Kf8 29. Nd5 Qf3 30. Qe7+ Kg8 31. Qxe5 Qxe2 32. Nf6+ Kf8 33. Nd7+=) 27. Nxd6+ Bxd6 28. Qxd6 Qxd6 29. Rxd6 Ke7-/+ e3 のポーンは取らせてeファイルからのカウンターが面白いと思っていましたが、受け切られて不十分でした。これが24. R3d2 が不正確だった理由です。

25. Nd5!


白はポーンを捨てているため、ここで思い切って攻めなければ仕方ありません。Nc3-Nd5, Nd4-Nf5 の2つのナイト跳び込みが私の切り札でした。

25... Nxd5?



25... exf5? 26. Nf5! はクイーン取りとe7 のメイトがダブルスレットになるため、白の勝ちです。そのため、ナイト交換は自然に見えますが、これで白が完全に息を吹き返しました。代わりに25... Ng8!! 26. Nxb6 Nf6!-/+ ならば、まだ黒が優勢です。しかし、e7 を守っていると分かっていても、ナイトが初期位置に戻る(しかもh8 のルークが取り残される形で) 手はとても指しづらいと思います。

26. cxd5 Qxe3 27. dxe6 fxe6


27... dxe6? 28. Nc6+-, 27... Qe4+? 28. Nc2! Qxb4 29. exd7++- のどちらも白勝ちですので、黒は本譜のように進めるしかありません。これで黒キング前のポーンを剥がしつつ、d,e,fの3つのファイルを開きました。ルークの連携とキングのポジションが良い白は、2ポーンダウンでもこの好条件なら戦えます。

28. Nc2!



b1-h7 のダイアゴナルを閉じてチェックを防ぎつつ、クイーンをアタックするテンポを得て、さらにはdファイルを開いてd7 を攻撃します。

28... Qf3


28... Qc5 29. Qe4! d6 30. Rxd6! Bxd6 31. Qxe6+ Kf8 32. Qf6+ Kg8 33. Qg6+ Kf8 34 b4 Qc7 35. Rxd6 Rh7 36. Nd4 Re8 37. Ne6+ Rxe6 38. Rxe6 Re7 39. Rf6+ Rf7 40. Qh6+ Kg8 41. Qxg5+ Rg7 42. Qd5+ Rf7 (42... Kh7 43. Rh6+ Kxh6 44. Qh5#) 43. Qxf7+ Qxf7 44. Rxf7 Kxf7 45. Kc2+- 駒得になったならば、ピースを全て消してポーンエンディングにすれば白勝ちです。全て読み切ってはいませんでしたが、30. Rxd6! が成立するであろうことは予想していました。

29. Rxd7 Rh7 30. R7d3 Qc6 31. Qd2



ここも時間のない中、クイーンをどこに置くか悩みました。3つのヘビーピースがdファイルに並ぶ形は強力で、g5 取りも地味ながら黒にとっては嫌な形です。31. Qb331. Qe1 も良い手でした。

31... Rc7?


この手では黒は厳しいとすぐにわかりました。31... Bf4 32. Qe1 Re7 33. Nd4 Qb7 34. Qc3 Rc8 35. Nc6! Qxc6 36. Rd8+ Kf7 37. Rxc8+/- はエクスチェンジアップで白優勢ですが、これを試合中読めるか自信はありません。それでも、e6 をターゲットになにかしらのチャンスを作れていのではないかと思います。

32. Nb4!+-



ナイトがかわしつつ、a6 のフォークの狙いを作れば黒はクイーンを動かせるマスが限られ、白勝勢です。

32... Qb5 33. Qxg5 Qxb4 34. Qxe5 Rbc8 35. Qxe6+ Qe7 36. Qg8+ Qf8 37. Rd8+


試合中少し考えましたが、とにかく時間が無かったのでわかりやすい本譜を選びました。時間があれば、37. Re3+ Re7 38. Qg6+ Qf7 39. Rxe7 Kxe7 40. Qd6+ Ke8 41. Re1+ Qe7 42. Qxe7# のメイトはもちろん見えます。

37... Rxd8 38. Rxd8+ Kxd8 39. Qxf8+ 1-0



こうして難解なシーソーゲームをなんとかものにし、今大会2勝目を挙げました。ポイントの取り方こそ違いますが、2/3 という戦績は好調だった先月のThird Saturday のスタートと同じです。

11/17 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Akshat, K (IM, IND, 2399) 1-0
11/18 14:30 Srinath, R (FM, IND, 2357) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1-0
11/19 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Audi, A (FM, IND, 2347) 1-0
11/20 14:30 Nikolic, N (MNE, 2326) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)
11/21 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Pikula, D (GM, SRB, 2485)
11/22 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Nikcevic, N (GM, MNE, 2429)
11/23 14:30 Drasko, M (GM, MNE, 2434) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)
11/24 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Der Manuelian, H (USA, 2271)
11/25 09:30 Plenkovic, Z (IM, SRB, 2398) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)

Third Saturday GM November 2018

+3 Pikula
+2 Nikcevic, Srinath
+1 Kojima
+-0 Drasko, Plenkovic
-1 Audi
-2 Akshat, Der Manuelian
-3 Nikolic

名前は聞いたことがありましたが、GM Pikula は強いですね。無傷の3連勝でトーナメントをリードしています。2勝同士の対戦、Nikcevic とSrinath はドローになり、+3 から-3 まで綺麗にグループ分けされました。今日は3連敗中のNikolic が相手ですので、なんとかここも勝ちたいですね。


メニューにParfe って書いてあったのに...


2勝同士のNikcevic とSrinath は100手を超えるゲームで、最後はダブルビショップvs. ナイトでドローになりました。

2018/11/19

Third Saturday GM November 2018 R2


昨日は朝食のために2階に降りると、海にたくさんの船が出ているのが見えました。昼頃も船を出しながら、たくさんの人が話をしていましたが、漁をしているんでしょうか。漁に出ているなら、魚も食べさせてください...

さて、この日はブダペストでも対戦したSrinath との再戦です。彼はブダペストで2つの勝ち越し、IMノームを獲得したうえにライブレイティングも2400が見えてきています。互いに2勝目を目指して試合スタートです。

Srinath, R (FM, IND, 2357) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)
Third Saturday GM November 2018 (2)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Ne2!?



Advanced Variation であることは予想していましたが、この変化はほぼノーチェックでした。一般的には黒にとってさほど危なくない変化とされますが、あまり覚えていなかったので序盤から時間を使います。

4... e6 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6


ここはhポーンをどこまで伸ばすかで、この先のゲーム展開が変わります。どちらが良い悪いということではなく、もう少し考えるべきできでした。私は安直に、h7-h5 だと将来的にh5 がターゲットになってしまうと感じましたが、よくよく考えてみれば、4. h5 h5 5. Ne2!? e6 6. Ng3 Bg6 7. Be2 c5 という手順ならば、ポーンが置かれるのはh5 です。この手順では佐野さんや佐藤要くんと何年も前に指しており、それを試合の中ですっかり忘れていたのは不覚でした。

6. h5 Bh7 8. Bd3 Bxd3 9. cxd3!?



これがSrinath の準備してきた形だったのでしょう。9. Qxd3 Qa5+ 10. Nd2 Qa6 というような単純化を目指す黒の作戦を避けるため、あえてダブルポーンを作ります。

9... Nd7 10. Be3 Qb6


ここは安全策でいくならば、10... c5 11. dxc5 Nxe5! (11... Bxc5 12. d4 Bb4+ 13. Nd2+/=) 12. O-O Nf6= と指すべきでした。このc5 にポーンが食い込む形の評価ができず、b2 を狙いに行くことにします。

11. O-O Qxb2 12. Nd2 Qb6 13. Rb1 Qc7



Srinath はノーライムでb2 を捨てる決断をし、私もこうなれば取るしかありません。後は白のキングサイドの攻撃をいかにストップするかです。

14. f4 Ne7?


しかし、この安直な手がダメでした。14... f5! 15. exf6 Ngxf6 16. Nf3 Bd6 17. Ne5 O-O ならば白はまだポーンの代償がありそうですが、それでも黒は安全にピースの展開とキャスリングを済ませています。恥ずかしながら、かなり時間を使ったのにも関わらず、f7-f5 のアイディアは頭にありませんでした。

15. f5 Nxf5 16. Nxf5 exf5 17. Rxf5 f6 18. Bf4!



私が考えたディフェンスはf7-f6 でしたが、fファイルを開かれたうえでさらに局面を開くのは、見た目通り危険でした。

18... fxe5 19. dxe5 Nc5


c5 のマスが空いたことでディフェンスのチャンスが広がると思いましたが、e5-e6, Rf5-Rf7, さらにはQd1-Qg4-Qg6 の組み合わせは強力です。私はナイトをe6 に運んでeポーンをブロックし、g7 を守ればぎりぎり守れるとまだこの時点では思っていました。

20. Qg4 Ne6 21. Qg6+ Kd7 22. Nb3!



このナイトはbファイルを閉じないよう、f3 にいくものだとすっかり思い込んでいました。しかし実際にはb3 のほうがd4, c5 の2つのマスに跳ぶチャンスがあり、黒は守りが一気に厳しくなります。

22... Be7


22... Nxf4 23. Rxf4 Qxe5 24. Rf7+ Kc8 25. Qg4+ Kb8 26. Rxb7+ Kxb7 27. Nc5+ Kc7 28. Rb7+ Kd8 29. Qd7# ぴったりメイトですが、この変化でなくともe5 を取るのは危険すぎます。

23. Rf7 23... Nxf4


本譜は分かりやすく白勝ちでしたが、23... c5 24. Rc1! (24. d4 b6 25. dxc5 Raf8!) 24... Qb6 25. Nxc5+ Nxc5 26. Qd6+ Qxd6 27. exd6 と進んでも白勝勢です。

24. Rxe7+! 1-0



最後は綺麗に決められてしまいました。しかしナイトがg7 を守ってるのは重々承知していましたが、ピースを取りかえさずに、さらに切る手があったとは迂闊でした...

11/17 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Akshat, K (IM, IND, 2399) 1-0
11/18 14:30 Srinath, R (FM, IND, 2357) - Kojima, S (IM, JPN, 2432) 1-0
11/19 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Audi, A (FM, IND, 2347)
11/20 14:30 Nikolic, N (MNE, 2326) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)
11/21 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Pikula, D (GM, SRB, 2485)
11/22 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Nikcevic, N (GM, MNE, 2429)
11/23 14:30 Drasko, M (GM, MNE, 2434) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)
11/24 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Der Manuelian, H (USA, 2271)
11/25 09:30 Plenkovic, Z (IM, SRB, 2398) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)

Third Saturday GM November 2018

2 Pikula, Nikcevic, Srinath
+-0 Drasko, Kojima, Audi
-1 Der Manuelian, Plenkovic
-2 Akshat Nikolic

今日はブダペストで敗れたAudi と色を変えての対戦です。昨日の負けは少しへこみましたが、考えてみれば先月も連続ドローでのスタートでしたので、ポイントとしては同じです。今日勝って、再び1つ勝ち越しを目指したいと思います!


すでに宿泊料に含まれているため、昼食、夕食を食べるレストランでは、お金を払う必要はありません。それでも追加でお金を払えば、飲み物やデザートをいただくことができます。この日は元気を出したくてティラミスを注文。たったの2ユーロでした。

2018/11/18

Third Saturday GM November 2018 R1


名前を呼ばれたら前に出てくじを引き、リストを決めます。

誕生日だった3日前、ブダペストからウィーン、ポドゴリツァ、コトルと移動し、2日前にコトルからヘルツェグノビ経由で再びデノビッチへ。そして昨日から再びThird Saturday が開幕しました。私は一昨日のリスト決めで、白の多いリスト3を引きましたが、先月の最終戦で負けたのも白ならば、First Saturday で3敗を喫したのも白でした。そんな白での不調を振り切るため、なんとか勝っておきたい初戦です。

Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Akshat, K (IM, IND, 2399)
Third Saturday GM November 2018 (1)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. d4 Bg7 4. g3 O-O 5. Bg2 d5!?



いくつかレパートリーはあるようでしたが、最近はKing's Indian がメインのようでしたので、Grunfeld のチョイスはやや意外でした。

6. cxd5 Nxd5 7. O-O Nb6 8. Nc3 Nc6 9. e3 Re8 10. Nh4 g5!?


データベースから見るからの試合経験で言えば、10. Nh4 を知らないのではないかと思っていましたが、Akshat はさほど時間をかけずにこの手を指しました。先に考えるのは私のほうで、なんとかこのキングサイドの伸びたポーンを利用できる作戦をひねり出そうとします。

11. Nf3 h6 12. h4 g4



こうしてポーンを伸ばしてくれるのはありがたいと思っていましたが、12... Bg4 13. hxg5 hxg5 14. Qc2 と進めても、g5 のポーンの守りに黒は気を使わなければいけないでしょう。

13. Ne1 e5 14. d5 Na5 15. Nc2


最初はc4 のマスをカバーする13. Nd2 を考えていましたが、先日のNguyen戦で、ナイトは先の先のマスまで考えてマヌーバリングしなければいけないことを思い出し、違った使い方をしてみることにします。e3 までナイトを移動させることができれば、d5 のサポート、f5 への跳び込み、なによりg4 のアタックができると考えました。

15... Nac4 16. e4 Nd6 17. Ne3 h5 18. f3! f5?



g4 まで伸ばさせたポーンを利用する方法としては、どこか適切なタイミングでf2-f3 を仕掛け、fファイルを開くアイディアが早くから頭にありました。これに対して本譜の受けでは黒キングの守りが薄くなりすぎて、白に大きなチャンスが生まれます。18... Nbc4! 19. Nxc4 Nxc4 20. fxg4 Bxg4 21. Bf3 Qd7 22. Bxg4 Qxg4 23. Qxg4 hxg4+/= でも多少白が指しやすそうですが、クイーンを交換している分、本譜のようなダイレクトアタックのチャンスは無かったでしょう。

19. exf5 Nxf5 20. Nxf5 Bxf5 21. fxg4 Bxg4 22. Qd3!


g4 にビショップを運ばせても、e4 のマスやb1-h7 のダイアゴナルを抑えれば、黒はかなりディフェンスに悩むポジションになります。単純な狙いはQd3-Qg6, Bg2-Be4 からのh7 メイトがまず目につきますが、そのほかにもBc1-Bg5, Nc3-Ne4-Nf6+ も強力です。

22... Qd7 23. Qg6 Rf8?



これも私がずいぶん前から予想していた手で、黒の守りは厳しくなります。23... Qd6! 24. Qxd6! (24. Qf7+ Kh8 25. Ne4 Qxd5!) 24... cxd6 25. Ne4 Rad8 26. Bg5 Rd7 27. Nf6+ Bxf6 28. Rxf6+/- ならば、やはりd6 に弱点を抱える黒は苦しい手ですが、それでもクイーンを交換しなければキングを守り切ることはできません。

24. Bh6! Rxf1+ 25. Rxf1 Rf8 26. Rxf8+ Kxf8 27. Qf6+!


このチェックがポイントで、これでクイーンを残したまま潜り込ませ、c7, e5 といったポーンをターゲットにできます。

27... Kg8 28. Bxg7 Qxg7 29. Qd8+ Kh7 30. Ne4!+-



具体的なメイトの形までは見えずとも、g5 にナイトを置けることが確定し、Bg2-Be4 も強力な攻撃になりそうで、白の勝ちは目前だと確信しました。メイトをぎりぎりで避けられても、c7, e5, h5 のどこも落とさないで守り切ることはできないでしょう。

30... Kg6 31. Ng5 Qd7


31... Bf5 32. Ne6 (32. Qe8+ Kh6 33. Nf7+ Kh7 34. Nxe5+-) 32... Qf6 33. Qg8+ Kh6 34. Nxc7+- 白はどこか1つでもポーンが取れれば満足です。

32. Qg8+ Kf6 33. Nh7+ 1-0



33. Qf8+ Kg6 34. Be4+ Bf5 35. Bxf5+ Qxf5 36. Qg8+ Kh6 37. Qh8+ Kg6 38. Qh7+ Kf6 39. Qf7# でメイトになることは見えず... それでも本譜でも黒はメイトを避けるためにクイーンを捨てなければいけないので、白はそれで十分です。33... Kf5 34. Qg5#, 33... Ke7 34. Qf8# どちらもぴったりです。この2か月、勝ち星のなかったインドのプレーヤーから白星を挙げ、幸先の良いスタートとなりました!

11/17 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Akshat, K (IM, IND, 2399) 1-0
11/18 14:30 Srinath, R (FM, IND, 2357) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)
11/19 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Audi, A (FM, IND, 2347)
11/20 14:30 Nikolic, N (MNE, 2326) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)
11/21 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Pikula, D (GM, SRB, 2485)
11/22 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Nikcevic, N (GM, MNE, 2429)
11/23 14:30 Drasko, M (GM, MNE, 2434) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)
11/24 14:30 Kojima, S (IM, JPN, 2432) - Der Manuelian, H (USA, 2271)
11/25 09:30 Plenkovic, Z (IM, SRB, 2398) - Kojima, S (IM, JPN, 2432)

Third Saturday GM November 2018

+1 Pikula, Kojima, Nikcevic, Srinath
+-0 Drasko, Der Manuelian
-1 Akshat, Plenkovic, Audi, Nikolic

初日は試合の行われた4ボードで全て決着がつき、格上が全て勝ちました。Drasko とDer Manuelian は到着が遅れ、2日目からのスタートです。今日からもインドプレーヤーとの連戦、そしてトーナメント中盤にはGMとの3連戦がありますので、そこまで勢いを落とさずに星を重ねたいですね。


先月と比較して変わった点がいくつかあります。まず、昼食と夕食をとる場所が、試合会場として使っているレストランではなく、少し離れた外のレストランになりました。最初は少し不便かと思いましたが、歩いて3分程ですし、試合後すぐに夕飯を食べられるので、かえって良かったかもしれません。ちなみに出てきたものは、完全に先月と同じでした(笑) 作っている人が同じなのかもしれません。


2点目は、ネームプレートが少しきちんとしたものになりました。これがあるとどこで誰が指しているか分かりやすく、便利ですね。


試合前日に観光したコトルは、それはもう最高でした! 時間が取れれば、別記事で存分にコトルの魅力を語りたいと思います。トーナメント後、ブダペストに帰る前にまた寄ることも検討しようと思います。

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