日本では、1...e5は地味な試合になり、面白くないと思う人も多いかもしれませんが、指し慣れた強豪プレーヤーが使う1...e5は、実に見事なものです。それを私が実感した試合を一つ、ご紹介します。
FM Kojima,S(2327)-GM Nguyen,A,D(2500)
Malaysian Open 2010(5)
2010.09.04
1. e4 e5
GM Nguyen Anh Dung は、私が幼い頃からベトナム代表を務める強豪です。昨年のマレーシアオープンでは、当たってみたいGMの一人でした。彼のメインレパートリーは、1.e4 に対して1...e5 と1...c5 です。
2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. Re1 b5 7. Bb3 O-O 8. h3 d6 9. c3 Re8 10. d4 Bf8 11. Nbd2 Bb7 変わった手順でしたが、Zaitsev Variation になりました。次は12.a4と指すと非常に激しい変化になることは、 Kasprov.G-Karpov.A/ World Ch/ 1990 などでよく知られています。私はそのラインよりも、ポジショナルな局面になる12.d5を好みます。以下の記事も併せてどうぞ。
http://chessplayer.jugem.jp/?eid=337
12. d5 Nb8 13. Nf1 Nbd7 14. N3h2 c6 15. dxc6 Bxc6 16. Bg5 Qc7 17. Ng3 Qb7 18. Qf3 d5 19. Nf5
私は時間をかけ、勝負手のつもりで指した19.Nf5でしたが、試合後にNguyen Anh Dung には、ここで19.Ng4だったのではないかと指摘されました。確かに19. Ng4! dxe4 20. Qf5! +/= ならば、じっくりとf6,f7にプレッシャーをかけて白が良さそうです。
19... Re6 20. exd5 Nxd5 21. Qg3 Rae8?
22.Nh6+ に無警戒なこの手には驚かされました。早くも時間切迫だった私は、混乱してチャンスを逃してしまいます。
22. Nf3?
22. Nh6+! Rxh6 23. Bxh6 Re6 24.Bg5 Rg6 25. Bc2!+-
最後の一手が見えず、22.Nh6+を諦めてしまいました。
22... Nc5 23. Bc2 e4!
指された瞬間は、d4にマスができるので奇妙な手だと思いましたが、f3からナイトを追い払うことで白のキングの守りを弱めることができます。
24. N3d4 Rg6 25. Qh4 h6 26. Bd2 e3!
ここも強烈な一手です。エクスチェンジを捨てることで、白のキングを攻め立てます。
27. Bxe3 Nxe3 28. Nxe3 Rxe3 29. Rxe3 Rxg2+ 30. Kf1 Bd5 31. Ke2 Bc4+ 32. Kd2 g5 33. Rg3 Rxf2+ 34. Ke3 Rxc2 35. Nxc2 Qe7+ 36. Kd2 Qe2+ 37. Kc1 Nd3+ 38. Rxd3 Bxd3 0-1
最後は白のピース全てが残念なこととなり、やむなくリザインしました。チャンスを逃してしまったのはもちろん悔しかったですが、それ以上にセンターでの反撃や、ルークをキングサイドに回す流れは非常に勉強になりました。
Malaysian Open 2010(5)
2010.09.04
1. e4 e5
GM Nguyen Anh Dung は、私が幼い頃からベトナム代表を務める強豪です。昨年のマレーシアオープンでは、当たってみたいGMの一人でした。彼のメインレパートリーは、1.e4 に対して1...e5 と1...c5 です。
2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. Re1 b5 7. Bb3 O-O 8. h3 d6 9. c3 Re8 10. d4 Bf8 11. Nbd2 Bb7 変わった手順でしたが、Zaitsev Variation になりました。次は12.a4と指すと非常に激しい変化になることは、 Kasprov.G-Karpov.A/ World Ch/ 1990 などでよく知られています。私はそのラインよりも、ポジショナルな局面になる12.d5を好みます。以下の記事も併せてどうぞ。
http://chessplayer.jugem.jp/?eid=337
12. d5 Nb8 13. Nf1 Nbd7 14. N3h2 c6 15. dxc6 Bxc6 16. Bg5 Qc7 17. Ng3 Qb7 18. Qf3 d5 19. Nf5
私は時間をかけ、勝負手のつもりで指した19.Nf5でしたが、試合後にNguyen Anh Dung には、ここで19.Ng4だったのではないかと指摘されました。確かに19. Ng4! dxe4 20. Qf5! +/= ならば、じっくりとf6,f7にプレッシャーをかけて白が良さそうです。
19... Re6 20. exd5 Nxd5 21. Qg3 Rae8?
22.Nh6+ に無警戒なこの手には驚かされました。早くも時間切迫だった私は、混乱してチャンスを逃してしまいます。
22. Nf3?
22. Nh6+! Rxh6 23. Bxh6 Re6 24.Bg5 Rg6 25. Bc2!+-
最後の一手が見えず、22.Nh6+を諦めてしまいました。
22... Nc5 23. Bc2 e4!
指された瞬間は、d4にマスができるので奇妙な手だと思いましたが、f3からナイトを追い払うことで白のキングの守りを弱めることができます。
24. N3d4 Rg6 25. Qh4 h6 26. Bd2 e3!
ここも強烈な一手です。エクスチェンジを捨てることで、白のキングを攻め立てます。
27. Bxe3 Nxe3 28. Nxe3 Rxe3 29. Rxe3 Rxg2+ 30. Kf1 Bd5 31. Ke2 Bc4+ 32. Kd2 g5 33. Rg3 Rxf2+ 34. Ke3 Rxc2 35. Nxc2 Qe7+ 36. Kd2 Qe2+ 37. Kc1 Nd3+ 38. Rxd3 Bxd3 0-1
最後は白のピース全てが残念なこととなり、やむなくリザインしました。チャンスを逃してしまったのはもちろん悔しかったですが、それ以上にセンターでの反撃や、ルークをキングサイドに回す流れは非常に勉強になりました。
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