2012/07/30

CAISSA 2012 July final round - Piece vs. Three Pawns -

昨晩、ケチケメートからブダペストに戻りました。気合を入れて臨んだSarosi とのCAISSA 最終戦は、なんとか勝ちを目指して奮闘しましたが、結果には結びつきませんでした。

Kojima, S (FM, JPN, 2290) - Sarosi, Z (IM, HUN, 2266) -
CAISSA 2012 July IM (10)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 Be7 5. Bf4 O-O 6. e3 b6


まさか2日続けて同じオープニングとは・・・Ragozin をメインで考えていただけに、意外なチョイスでした。

7. Rc1 Bb7 8. cxd5 exd5



ここで前日とは違った展開になります。黒はc、dファイルにポーンを残し、厚いポーンの壁を築こうとします。個人的には、こういったポーンストラクチャーのほうが慣れておらず、苦手だと自覚しています。

9. Bd3 c5 10. O-O Na6!?


このようにナイトを組んでくるとは意外でした。もちろん悪い手ではないですが、こうすると黒はe5 のコントロールが弱くなるので、そこを中心に白はピースを組んでいこうと画策します。

11. Ne5 Nc7 12. Bg3 Ne6 13. Bb1 Rc8 14. Qa4?!



12手目からの流れをどうするべきか、多少時間を使ったのですが、あまりうまく考えがまとまりませんでした。14.Qa4 と指した当初は、Qa4-dxc5-Qh4 というマヌーバリングがあるだろうと思っていましたが、h4 にいったクイーンは意外に行く場所が少なく、トラップに陥る危険性があると、指した後で思いました。本譜の代わりに14. dxc5 bxc5 15. Qa4!? ならば、c5 にナイトが来ることがないので、ベターだったかもしれません。

14... a6 15. Bf5!?


13手目の時点でこう指そうかとも思いましたが、黒の13... Rc8 を見るまで保留しました。

15... b5 16. Qd1 b4



Sarosi は試合後に、この手を悔やんでいました。確かに、Ne2-Nf4 のマヌーバリング素早くできるのは、白にとっての助けになります。

17. Ne2 g6 18. Bh3 Ne4


17... g6 の時点でこのディフェンスは予期していましたが、これは白にチャンスが来そうです。持ち時間にだいぶ差があったので、早めの決断でピースを交換し、相手キングへのアタックをしかけることにしました。

19. Nf4 N4g5 20. Bxe6 Nxe6 21. Nxe6 fxe6 22. Qg4+/=



ビショップナイトの交換にはなりましたが、白の2つのマイナーピースは非常に位置が良く、なにより黒の薄くなったキングにクイーンが迫っています。まずはシンプルに、e6、g6 にプレッシャーをかけます。

22... Rf5 23. Nxg6! hxg6 24. Qxg6+ Kf8 25. Qxe6


ここはアタックが続くと考え、まずは駒数を3ポーンピースにすることを優先しました。もう一つの候補手であるビショップでの攻めも、もちろん効果的です。25. Bf4 Rf7 (25... Rxf4 26. exf4!?+/=) 26. Bh6+ Ke8 27. Qg8+ Bf8 28. Bxf8 Rxf8 29. Qxe6+ Qe7 30. Qxe7+ Kxe7 31. Rxc5 Rxc5 32. dxc5+/= この4ポーンピースは疑いようなく、白にチャンスがあるでしょう。

25... Rf6 26. Qh3



22. Qg4 の時点でイメージしていた通りのポジションになりました。ところが、ここから構想が少しおかしく、怪しい展開を招いてしまいます。

26... Qb6 27. Be5?!


白の最大の問題は、f1 のルークが働いていないことです。そのため、攻めを急ぐのではなく、その使えていないピースの活用を優先すべきでした。27. dxc5! Rxc5 28. Rxc5 Bxc5 29. Rc1+/=

27... Rh6 28. Qf5+ Kg8?!


これは直感的に変だと感じました。一般的には、e8 よりもg8 のほうが安全に見えますが、ここでは黒マスビショップはe5-h8 のダイアゴナルを抑えているので、g8 は危ないマスに見えます。28... Ke8=

29. Qd7?!



このクイーンが跳び込む手はだいぶ前から構想にあったので、つい黒の応手を全て洗い出さずに指してしまいました。考えてみれば、5R のFarkas とのゲームでも、同様のミスで敗れています。

29... Re6!


オンリームーブです。次にクイーンをぶつけて白の攻めを止めれば、黒は当面の危機を回避でき、エンドゲームに持ち込むことができます。ところが、私はそれでもまだ白にチャンスがあるだろうと勘違いをしていました。

30. Rxc5 Rxc5 31. dxc5 Qc6 32. Qxc6 Rxc6 33. Bd4?



このポジションで、私の残り時間は8分ほどだった記憶しています。c5 のポーンを返して3ポーンピースにするのは仕方がないことですが、このビショップを当てる手は何も働きません。33. Rc1 Bxc5 (33... Rxc5 34. Rxc5 Bxc5 35. g4) 34. g4 こちらのエンドゲームは本譜と違い、まだ白にもチャンスがあると思います。

33... Bxc5 34. Rc1 Bd6!


29... Re6 の時点で、黒はこのビショップを交換してくるだろうと考えていたことが、私の最大の勘違いでした。もちろん、黒はそんなことをするはずがありません。34... Bxd4? 35. Rxc6 Bxc6 36. exd4+/- 黒マスビショップを交換すると、白はa2 のポーンを脅かされる心配がなくなり(a2-a3 と突けるため)、3ポーンピースを維持したまま、エンドゲームに突入することができます。そうなれば、黒のビショップよりも、白の3コネクテッドパスポーンのほうが脅威であることは明らかです。

35. Rxc6 Bxc6-+



この時点ではコンピュータの評価は黒やや優勢(=/+)ですが、あえて私は勝勢の記号をつけます。白にはa2 のポーンを救う術がなく、黒がクイーンサイドのパスポーンを作ることを許してしまいます。

36. g4 Bb5 37. Kg2 Bc4 38. h4 Bxa2


クイーンサイドでポーンを多くした黒は、手数は掛かりますが、ここから順当に勝利を収めます。白にはカウンターのチャンスがありません。

39. h5 Kh7 40. g5 Bb1 41. f4 b3 42. Kf3 Bf5 43. g6+ Kh6 44. g7 Kh7 45. Bc3 Bc7 46. Bf6 Ba5 47. Kg3 Be1+ 48. Kf3 a5 49. h6 Kg8 50. Be7 Kf7 51. Ke2 Bc3 52. Ba3 Bf6 53. Kd2 Bh7 54. Kc1 Kg6 55. Bf8 Kf5 56. Bc5 Ke4 57. Bb6 a4 58. Bc5 Kd3 59. Kb1 Kc4+ 0-1


22.Qg4 以降、間違いなく白にチャンスがあると思っていただけに、こういった結果になってしまい、残念です。これでFirst Saturday に続き、CAISSA もイーブンの戦績で終了しました。6、7月はなかなか良い結果を出せていませんが、オリンピアード直前となる8月こそ、勉強の成果を発揮し、なんとか挽回したいと思います。

3 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

期待しています!頑張ってください!

hidepyon さんのコメント...

オリンピードでの活躍、期待しています。頑張ってください!!

Shinya_Kojima さんのコメント...

応援のコメント、ありがとうございます!

オリンピアードまであと一月もないんですね、あっという間です。
他の日本代表メンバーもどうしてるか、とても気になります。

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