2012/12/07

London Chess Classic 2012 6th round


ロンドンの6日目は私が3日ぶりのセンサーボードに上がりましたが、IM 相手にあえなく負け。途中良い勝負だと思ったのですが、(実際そうだったのですが)検討戦では考えの深さの違いを実感しました。相手は私の2つ年上で、まだまだGM を狙うチャンスが十分あるプレーヤーです。大変勉強させてもらいました。

6th Round Results
12 IM Bartholomew, John 4.0 USA 2427 - FM Kojima, Shinya 4.0 JPN 2340 1-0
23 Moriuchi, Toshiyuki 3.5 JPN 2316 - FM Kocwin, Bartosz 3.5 POL 2226 1-0
73 Phillips, Owen S 2.0 ENG 1926 - Takahashi, Reiji 2.0 JPN 2079 1-0


一方で森内さんは、本人いわく悪かったなりに、相手の甘いプレーの隙を突いて渋い勝利。4.5/6 で再び上位に戻ってきました。今日の結果次第では、IM ノームも狙える位置です。そして礼二さんは...

Bartholomew, J (IM, USA, 2427) - Kojima, S (FM, JPN, 2340)
London Chess Classic 2012 (6)

1. c4 c6 2. Nf3 d5 3. g3 Nf6 4. Bg2 dxc4 5. O-O Nbd7 6. Qc2 Nb6 7. Na3 Be6 8. b3!?



まさかの3R と同じオープニングでしたが、どうもその試合をチェックされていたようです。(どうやって?)8.b3 は白が純粋なギャンビットをするラインですが、うまく指すことで長期にわたりポーンの代償のあるプレーが可能です。

8... cxb3 9. axb3 g6 10. Nc4 Bg7 11. Na5 Qc8


d7、c7 はいずれもナイト、ビショップで攻撃される可能性があるので、やや不自然に見えてもこのマスへ。ビショップとのコンビで、h3-c8 のダイアゴナルを抑えます。

12. Bb2 O-O 13. e4 Rd8 14. Rfe1 Ne8 15. Bxg7!



私にとって意外だったのは、このビショップ交換。スペースの狭い黒はピースを攻撃してくれたほうがありがたいと思っていましたが、白のビショップも将来的にd4 に伸ばすポーンの内側に閉じこもるより、さっさと消してしまったほうがベターでした。

15... Nxg7


ここはキングで取り返し、Ne8-Nd6 と組み直すのもあると指摘されました。そのマヌーバリングは、ビショップ交換を避けられた際に当然考えていたものですが、g7 からならばe6 に行くチャンスがあると思い、本譜を採用しました。実際にはそれが生きなかったのが、一つの敗因でしょうか...

16. d4 Rb8 17. Qd2 f6 18. Qb4 Kf7?!



普段ならばあまり指さない手ですが、この日は少し冒険へ。ところがこれが(見た目通り)良くありませんでした。黒のクイーンは次にd7 にいかなければならなくなるため、このタイミングで18. Qd7 と指しておくべきです。

19. Rac1 Qd7 20. Nc4!


f7-f6 でe5 のマスを抑えたつもりが、キングがf7 に上がったせいで、Ne5+ がナイトフォークのスレットになっています!(ナイトが2つe5 に利いているのがポイント!)仕方がないので、ナイトを交換します。

20... Nxc4 21. bxc4 Bg4 22. d5 Bxf3 23. Bxf3 e5 24. c5!? b6



この辺りはお互い時間切迫でしたが、相手の指し方の正確性に驚きました。局後にそれを指摘したところ、プレッシャーがあるのは黒のほうで、白はプランが分かりやすいからだよ、と言われましたが、私が白を持って彼の様に指せるかは大きな疑問です。

25. Red1 Ne8?


25... bxc5 26. Qxc5 cxd5 27. Rxd5 Qb7 28. Qc7+ (ギリギリまで考え、28. Qc4!? が気になって指すのを諦めてしまいました。) 28... Qxc7 29. Rxc7+ Kf8 30. Ra5 ならば、黒にドローチャンスがあります。ドローを取るために、1ポーンを早々に返す決断を下すのも大きな勇気です。

26. Qa4! bxc5?



26... cxd5! 27. c6 Qc7 28. exd5 a5! という気持ちの悪い、2コネクテッドパスポーン対2コネクテッドパスポーンのポジションを、黒は受け入れなければダメでした。白のパスポーンが前進しているので有利だと思っていましたが、それらはすでにブロックしており、さらには黒のa、bポーンもこれから前進できるため、大きな問題はありません。

27. dxc6 Qe7 28. Bg4 Ng7


28... Rd4! がラストディフェンスだと試合後に指摘されました。この手も見えていながらなぜ指せなかったのか、自分の勝負所での手の甘さを恨みそうです。

29. Rd7 Rxd7 30. Bxd7!



ビショップで取る手が見えておらず、これでようやく負けを悟りました。

30... Ne6 31. Bxe6+ Kxe6 32. Qc4+ Kd6 33. Qxc5+ Ke6 34. Qd5# 1-0


最後はメイトまで続けさせてもらいました。1ポーンの代償がどこにあるのか、考えるのが難しいポジションが続きましたが、相手の黒陣へのプレッシャーのかけ方は大変勉強になるものです。私もまた一から出直しですね。それでは次のペアリングを。

7th Round Pairings
8 IM Hawkins, Jonathan 4.5 ENG 2507 - Moriuchi, Toshiyuki 4.5 JPN 2316
23 FM Kojima, Shinya 4.0 JPN 2340 - Jetzl, Joerg 4.0 AUT 2208
85 Takahashi, Reiji 2.0 JPN 2079 - Jones, Chris S 2.0 ENG 1834



森内さんが8番ボードでIM Hawkins と激突!30代ですが、ここ数年で名前を聞くようになったイングランドの強豪です。面白い一戦になりそうですね。一方で礼二さんは4.5P 取れなければ、冬のドーバー海峡に飛び込むそうなので、彼のことも応援してあげて下さい。


試合前にはベーカーストリートのLondon Chess Centerへ。独創的なチェスセットもあります。


Move by Move シリーズもこんなに出ているんですね。


昼はボンドストリート近くのイタリアンへ。揚げズッキーニのボリュームがすごい!


2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

お疲れさまです。John Bartholomew氏はわりと最近?チェスのコーチ業を始めたみたいですよ。 http://www.mnchesscoach.com/

匿名 さんのコメント...

森内さんの次の相手GM Keith Arkell はお歳の精華あまり調子が良くないようですが昔は虎さんやMagnus Carlsenに勝ったりブイブイ言わせてたみたいですよ

コメントを投稿

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.