2012/12/09

London Chess Classic 2012 8th round


トップボードはWilliams - Melkumyan

昨日は色々と事件が起こりました。試合は初めて40手超えるロングゲームになったので、解説はかなり短めにします。


Boruchovsky, A (IM, ISR, 2448) - Kojima, S (FM, JPN, 2340)
London Chess Classic 2012 (8)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 g6 5. Nf3 Bg7 6. Be2 O-O 7. O-O dxc4 8. Bxc4 Bg4 9. h3 Bxf3 10. Qxf3 Nbd7 11. Rd1 e5 12. Bb3 Qe7 13. Bd2 Rad8 14. Rac1 Rfe8



ここまではほぼ満足な序盤です。ここからしばらく飛ばします。

15. a3 Nb6 16. Ne2 e4 17. Qg3 Nfd5 18. Rc5 Bf8 19. Ra5 a6 20. Nc3 Qd7 21. Rc1 Bd6 22. Qg4 f5 23. Qd1 Bf8 24. Nxd5 cxd5 25. Rac5!? Bxc5 26. dxc5 Nc4 27. Bc3 h5 28. Qd4 Kh7 29. Rd1 Ne5 30. Bxd5 Nd3 31. Qf6 Rf8 32. Qd4 Rfe8 33. Qf6 Rf8 34. Qd4 Rfe8



このポジションが3回目です。私は24. Rfe8 を指して、棋譜を書き、時計を止めて3回同一局面の指摘をしました。これが正しい手法だと、5年前にマレーシアで教わったためです。ところが、アービターにはこれが認められず、指す前に棋譜を書いて、指摘しなければいけないと言われました。3回同一局面の指摘方法については、FIDE のルールブックを再度確認するとともに、Misha にも聞いてみようと思います。とにかくお互い恐ろしい時間切迫の中、試合は続行です。

35. f4 Qe7 36. b4 Rd7


36... g5!=/+ ならば、黒はエクスチェンジの駒得を守りながら、攻撃のチャンスを拡大することができました。

37. Qc4 Qh4 38. Rf1 Qg3 39. Qd4 g5??


時間が増える直前、これはひどいブランダー。次の手は見えていたのですが、なぜか大丈夫だと勘違いしていました。

40. Bg8+! Kxg8 41. Qh8+?



41. Qxd7+- で何事もなく白勝ちです。持ち時間の増えたこのポジションで、彼がどうして間違えたのかは全く分かりません。

41... Kf7 42. Qf6+ Kg8 43. Qg6+ Kf8 44. Qh6+ Kg8 45. Qg6+ Kf8 46. Qf6+ Kg8


彼は増えた30分のうち、15分を使ってここまでを指しました。私はルークダウンの白は、ドローにする以外あり得ないと思っていましたが、それはまたもや大きな勘違いでした。白はきちんと勝負にいくことができます。

47. Qh8+ Kf7 48. Qg7+! Ke6 49. Qg6+ Kd5 50. Qxe8



白はルークを取り戻し、黒キングも以前危ういポジションにいます。普通にやれば白が勝てそうなので、私は一筋の光を求めて、キングを白陣に向かわせることにしました。将棋でいうところの入玉です!

50... Qxe3+ 51. Kh2 gxf4!? 52. Qxd7+ Kc4 53. c6! Qg3+ 54. Kh1?!


これは少しポジションを怪しくします。54. Kg1 のほうがベターでしょう。

54... f3 55. Qd4+ Kb3 56. Qg1?



56. Rb1+! Ka2 57. Rg1! ならば、白の勝ちです。まさかf2 でクイーンを貰ったあと、プロモーションが防げないとは予想外でした。

56... bxc6 57. Bf6 f2??


残り数秒で指したブランダーで、唯一のドローチャンスが手をすり抜けていきました。57... Ne1!! 58. Rxe1 fxg2+ 59. Qxg2 Qxe1+ 60. Kh2 f4= ならばドローです。g2 を狙う方法としては、Nd3-Nf4 を考えていましたが、それは黒キングのディフェンダーがいなくなるため、メイトにされてしまいます。しかし、もう一つのマスe1 があったとは...

58. Rb1+ Kxa3 59. Ra1+ Kb3 60. Qb1+ Kc4 61. Qa2+ Kxb4 62. Qa4+ Kc5 63. Qd4+ Kb5 64. Rb1+ 1-0



3回同一局面云々がありましたが、それよりも、その後の指し方が甘かったのは大きな反省点です。最後もドローを取れなければダメですね。そして6R に引き続き、時間の相当少ない状況でも勝ちを目指す、格上のマスターのファイティングスピリッツには驚かされます。

8th Round Results
11 IM Boruchovsky, Avital 5.0 ISR 2448 - FM Kojima, Shinya 5.0 JPN 2340 1-0
18 Moriuchi, Toshiyuki 4.5 JPN 2316 - GM Arkell, Keith C 4.5 ENG 2470 0-1
83 Watson, Darrell A 3.0 ENG 1758 - Takahashi, Reiji 2.5 JPN 2079 0-1



森内さんもGM Arkell に負け。今大会は2人とも、格上からポイントを取るのは相当厳しかったです。

9th Round Pairings
23 FM Kojima, Shinya 5.0 JPN 2340 - Eriksson, Jorgen 5.0 SWE 2213
31 Eden, Tomer 4.5 ISR 2172 - Moriuchi, Toshiyuki 4.5 JPN 2316
70 Takahashi, Reiji 3.5 JPN 2079 - Casiot, David J 3.5 ENG 1991


今日の最終戦は以上のようなペアリング。全員格下ですので、勝って大会を締めくくりたいところです。今夜は試合後、大きなイベントが私たちを待っているようです!


試合後はWeekenderB に参加中の大山さんに、ロンドンで一番だというお寿司屋さんへ連れていってもらいました。


大山親子と記念撮影。息子さんが日本でプレーする日も楽しみにしています!

4 件のコメント:

Yumi さんのコメント...

いよいよロンドンでの試合も最後ですね。良い締めとなることを願っています。
大会後はすぐに移動ですか?
ロンドン滞在が小島さんにとって良いものであったことを信じて…
また次もしっかり頑張ってくださいね。

bmasahiro さんのコメント...

9.2
The game is drawn upon a correct claim by the player having the move, when the same position, for at least the third time (not necessarily by a repetition of moves):

a.
is about to appear, if he first writes his move on his scoresheet and declares to the arbiter his intention to make this move, or

b.
has just appeared, and the player claiming the draw has the move.

今回のように上のaのケースだと、棋譜に手を記したあと、アービターに申し出るのが正規の手法だそうです。手を指してからだと、correct claimにならず、ドローは認められません。

nobukichi さんのコメント...

食事につきあっていただき、ありがとうございました。
夏のブリティッシュ・チェスチャンピオンシップも同じように盛り上がる大会ですので、冬のロンドン・チェス・クラッシックとあわせて、出場検討対象に加えてください。我々が日本に行く時も、連絡いたします。その時はよろしくお願いします。

Shinya_Kojima さんのコメント...

こちらこそ、ロンドンではお世話になりました!
またこちらに大会に参加する際は、是非お会いしましょう。

日本に来る際もご連絡を~。次にお会いできる機会を楽しみにしています。

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