2012/12/10

London Chess Classic 2012 Final round


トップボードのGM Hebden - Melkumyan、優勝者が決まる1番2番ボードは、ともに黒が勝つという結果に!

London Chess Classic 2012 FIDE Open クラスは、昨日無事に最終戦を終えました。3人とも格下との対戦でしたが、森内さんだけまさかの負け。Hawkins 戦は相手のプレーに隙がなかったので仕方ないとは言え、最後の2戦はどちらも勝っておかしくなかったため、少し残念です。

9th Round Results
23 FM Kojima, Shinya 5.0 JPN 2340 - Eriksson, Jorgen 5.0 SWE 2213 1-0
31 Eden, Tomer 4.5 ISR 2172 - Moriuchi, Toshiyuki 4.5 JPN 2316 1-0
70 Takahashi, Reiji 3.5 JPN 2079 - Casiot, David J 3.5 ENG 1991 1-0


礼二さんは私の初戦の相手に勝って、見事テムズ川ダイビングを回避。生物としての生存本能を発揮しました。

Kojima, S (FM, JPN, 2340) - Eriksson, J (SWE, 2213)
London Chess Classic 2012 (9)

1. Nf3 f5!?


ε- ( ̄、 ̄A) フゥー この手を見た瞬間の、私の心情をお察しいただけるでしょうか。今大会白番で、4試合目のDutch Defence です!いい加減飽きてきたので、ハンガリーで試していた2. d3 に戻します。

2. d3 d6 3. e4 e5 4. Nc3 Nc6 5. exf5 Bxf5 6. d4 exd4 7. Nxd4 Nxd4 8. Qxd4 Nf6 9. Bg5 Be7 10. O-O-O



ここまでは先月のLiu Guanchu 戦に似ていますが、黒はd5 までポーンを伸ばしていません。逆サイドにキャスリングをして、ルークをセンターに回す展開は白良しだと判断しました。

10... O-O 11. Bc4+ Kh8 12. Rhe1+/= Qd7 13. g4?!



検討戦で、これは焦りすぎではないかと指摘されました。確かに13. h3!? からg2-g4 を狙い、確実にe6 のマスを抑えておけば、白の優勢は明らかです。2ピースルークになる駒割(今大会多い!)を白良しだと過信しすぎていました。

13... Bxg4! 14. Rxe7 Qxe7 15. Nd5 Qe5?!


ここはクイーンが逃げるベストスクウェアではありません。15... Qf7! 16. Nxf6 Qg6 17. Nxg4 Qxg5+ 18. Ne3 Rxf2 19. h4 ならば、黒はポーンを一つ多く取り返し、形勢はアンクリアーでしょう。

16. Bxf6 Rxf6 17. Qxg4+/= Rxf2?!



ここも検討でポイントとなった手。c7 を守る17... Rf7 が明らかにベターです。

18. Nxc7 Raf8 19. Ne6 R8f5 20. Qh4


20. Rxd6!+/- が最もシンプルであるにもかかわらず、バックランクを気にして別の手を。実際はd1 もf1 も抑えてあるため、全く問題ありません。

20... g5 21. Qh5?



ところが楽勝だと思ったこのポジションで、アドバンテージを失うブランダーです。e8 にクイーンが飛び込めば勝ちだと考えていましたが、e6 のナイトはピンであるため、ルークを退いてディフェンスができます!代わりに21. Qg3! とクイーンをぶつけ、dファイルを突破するか、d6 を取れば白勝勢でした。

21... d5?


21... Qe4! 22. Bb3 (22. Bd3 Qxe6 23. Bxf5 Qxf5 24. Qe8+ Qf8 25. Qxf8+ Rxf8 26. Rxd6 Rf1+ 27.
Rd1 Rxd1+ 28. Kxd1=) 22... Rf1 23. c3 Rxd1+ 24. Qxd1 d5 25. Qd4+ Qxd4 26. Nxd4=
こうなると白が優勢なのか、疑わしくなってきます。相手はQh5-Qe8 がスレットにならないことに気づいていましたが、本譜では無駄に1ポーンを捨てるだけです。

22. Rxd5 Rf1+ 23. Rd1 Rxd1+ 24. Qxd1 h6 25. a4!+-



落ち着いてQe5-Qe1# のスレットを外せば、白クイーンが黒陣に飛び込むことができ、白の勝勢です。

25... Kh7 26. Qd7+ Kg6 27. Qe8+ Kh7 28. Kb1 Qe1+ 29. Ka2 1-0


意外と薄氷の勝利で(試合中はそう思っていませんでしたが...)、今大会を締めくくりました。下位プレーヤーに全勝、上位プレーヤーに全敗という戦績でしたが、レイティングはプラスですし、ブダペストでは積めない経験も多くできました。ロンドンまで足を運んだ甲斐は、十二分にあったと確信しています!

Final Standings
1st GM Melkumyan, H 7.5P (6W3D, RP 2707)
31st FM Kojima, S 6P (6W3L, RP 2380)
100th Moriuchi, T 4.5P (4W4L1D, RP 2283)
115th Takahashi, R 4.5P (3W3L3D, RP 2011)


森内さんは最後の3連敗で崩れてしまいましたが、彼のプレーや考え方からは、たくさんのことを学ばせてもらいました。また来年以降、一緒の海外トーナメントにチャレンジできればと思います。関西から駆け付けてくれた礼二さんにも、今大会中大変お世話になり、感謝しています!今年の私たちのプレーを見て、来年ロンドンに来たいと思ってくれる日本のプレーヤーが増えれば幸いです。

私はロンドンにあと2泊し、その後、ハンガリーに戻ります。そんな私を待っているのは、14日からケチケメートで始まる、自身初のGM トーナメントです!ロンドンで格上のプレーヤーからポイントを取れなかったことに一抹の不安はありますが、今年最後のトーナメントを楽しんでくるつもりです。それでは、London Chess Classic とは、この辺りでお別れです~。


イングランドNo.1女子のHouska は、予想よりずっと美人でした。まだまだイケます!(何が?w)


初めてのフィッシュアンドチップス。意外なことにロンドンの食事は、ここまで全く困っていません。


Almiraさんの紹介で、元世界チャンピオンのVladimir Kramnik と。今日は逆転優勝をかけて、Michael Admas と対戦です!



5 件のコメント:

Yumi さんのコメント...

Kramnikと食事なんて、すごい‼ クールな息子もこれにはバッチリ反応して、羨ましがってました‼
大会、ご苦労様でした! 得たものを持ち帰って、次の格上との勝利に結びつけて行ってください!
また、体調も崩さないよう、気をつけて頑張っていってくださいね。
本当にお疲れさまでした! 次も楽しませていただきます‼

匿名 さんのコメント...

クラムニクと食事はすごいですねぇ。
イギリス料理って美味しくないって話をよく聞きますが、観光で行ったりすると、変な店にいっちゃうんでしょうかねぇ?

Shinya_Kojima さんのコメント...

Kramnik と会えたのは完全にラッキーでした。手配してくれた方のおかげです。
ここから何か発展させ、将来、日本のチェス界に良い影響を与えられればと思いますね。

イギリス料理はふらっと変な店に入ると、はずれを退く可能性が高いそうですが、ここまではなんとか回避しているようです。

Yamagishi さんのコメント...

>はずれを退く

はずれを引く

Shinya_Kojima さんのコメント...

誤字に厳しいですね(笑)

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