2013/08/29

FIDE World Cup 2013 - Final Pairing -


ノルウェーのトロムソで行われているチェスのワールドカップも、昨夜、最後の2人まで絞られ、いよいよ決勝が始まります。ここまで残ったのは、元世界チャンピオンのKramnik と若手のAndreikin, ともにロシアのプレーヤーです。トロムソと言えば、来年のオリンピアード開催地であるため、大規模なチェストーナメントを開催して問題ないかのチェックも兼ねているのでしょう。

この大会は128名の世界中のプレーヤーがノックアウト形式で勝ち進むという、チェスの世界では珍しいスタイルです。世界選手権を控えたAnand, Carlsen がいないのは当然としても、他の強豪たちが揃って出場しているということで、開始前から大きな注目を集めていました。惇多くんは、我が家に泊まりに来たジャパンリーグ直前の夜に、誰が最後まで残るか予想をしていたほどです。そして蓋を開けてみると、1R からPolgar, Nepomniachtchi といった有名どころが消えるという波乱ぶりで、観戦している側としてはハラハラドキドキの展開が続いています。

昨日までで終了したセミファイナルでは、Kramnik (RUS) - Vachier-Lagrave (FRA)、Andreikin (RUS) - Tomashevsky (RUS) の両ペアリングで、ともにドローが続き、クラシカルからラピッドへと決着が持ち越しになります。そしてKramnik が黒番でVachier-Lagrave を破り、Andreikin が白番でTomashevsky を破って、決勝進出を決めました。

Vachier-Lagrave, M (GM, FRA, 2719) - Kramnik, V (GM, RUS, 2784)
World Cup 2013 (6.3)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. d4 exd4 4. Nxd4 Bb4+!? 5. c3 Bc5 6. Be3 Bb6 7. Bd3 Nf6 8. O-O O-O 9. Nxc6 bxc6 10. e5 Nd5 11. Bd2 d6 12. c4 Ne7 13. Qc2 Ng6 14. exd6 cxd6 15. Nc3 Qh4 16. Rae1 Ne5 17. Re4?! Qh5 18. Be2?!


18... Qg6 19. Qd1 Bh3! 20. Bf3 Bf5 21. Rh4 Bc2! 22. Qxc2 Nxf3+ 0-1


もう一つのペアリングで姿を消したTomashevsky も、4R ではロシアの先輩、Morozevich との壮絶なマッチを制し、今大会中に世界中から大きく注目されました。決勝がKramink - Tomaschevsky にならなかったのは少し残念ですが、ベスト4 でも立派すぎる戦績です。今後の彼の活躍に期待することにしましょう。

決勝のKramnik - Andreikin は、今日1日の休みを挟み、明日金曜の日本時間夜10時スタートです。私は俄然Kramnik 派ですが、若手の台頭を期待する人も多いかと思います。おそらくクラシカルでは決着がつかず、タイブレークまでもつれるとは思いますが、皆さんで決勝の行方を見守りましょう!

World Cup 2013 Live Game

2013/08/27

国内レイティング更新 - New Arrivals at 2000 -


数日前に日本の国内レイティング、S90 が更新されました。夏のこのシーズンは、サマーオープン、ジュニア選手権、シニア選手権、小学生選手権、女子選手権、ジャパンリーグといった大会が密集しているため、レイティング変動のあったプレーヤーも多かったでしょう。私はサマーオープンとジャパンリーグの優勝を受け、レイティングはベストの2415 となっています。また、前回の更新では井上さんが2000に到達した記事を書きましたが、今回はさらに3名の2000台が誕生しています。


ペアリングを見て、思わず苦笑いの師弟対決(笑)

1人は三ツ矢さんで、新レイティングは2007 となっています。60以上のアップは私も本人も予想外でしたが、考えてみればサマーオープンとジャパンリーグの両大会で表彰台に上がる活躍をしているので、不思議ではないですね。そして秘密でも何でもないので公開してしまいますが、三ツ矢さんは4月から私がチェスの指導を受け持っている生徒の1人です。そんな彼がここ数か月、コンスタントに大会で好成績を収め、レイティングも2000 に乗せたことは、私としては嬉しい限りです。どこまでが私のレッスンの効果かは分かりませんが(笑)、今後も2100を目指して頑張ってもらいたいと思います。


おそらく最後となるジュニア選手権から

2人目はジュニアプレーヤーの建内くんで、レイティングは2020です。毎年夏の時期だけドイツから来日する彼とは、6年前のジュニア選手権で対戦し、それからの付き合いとなっています。(個人的には、私がジュニアを卒業してからもう6年ということに驚きです!)今年のジュニアで中川くんに残念ながら負けてしまいましたが、唐堂くんをきっちり破って入賞を果たしたのは見事でしたね。ジャパンリーグでは、尚広くんとAlex に勝っていますし、2000台として堂々と胸を張ってよいでしょう。来年以降、日本の大学を希望とのことなので、日本でのさらなる活躍も期待しています。


昨年3月、静岡選手権の最終戦から

3人目は名古屋の鈴木将照さんです。数年前から名古屋に強いプレーヤーがいると名前を聞くようになり、今回も地元での試合結果を受け、2000を超えたそうです。昨年、浜松で対戦して以来お会いしてないですが、先ほど、電話で元気そうな声を聞くことができました(笑) 今年は名古屋オープンが9月にずれ込んでしまったため、お会いする機会を逃してしまいそうですが、2000 に到達したというのであれば再会 & 再戦を一層楽しみにしておきます。関西のプレーヤーが今後、奮起する一因にもなって貰いたいですね。

3名の2000を超えたプレーヤーにはお祝いの言葉を送るとともに、今後のプレーにも大いに注目させてもらおうと思います。他にもベストレイティングを更新したプレーヤーも多そうですし、やはりレイティングの上下は盛り上がる話題ですね。私もハンガリーから帰国後、皆さんに追いつかれないように、国内でのプレーもさらに頑張るつもりです!

2013/08/26

2nd IV League - Tournament Report -


送別会続きの週末で、大会のレポートが2日遅れました。先週土曜日には表参道で、第2回IV League が開催されています。私は先月の第1回に続いて優勝を狙いましたが、3連勝の後、唐堂くん、大山くんのジュニアペアにまさかの連敗で、2位グループに沈みました。

Inoue, S (JPN, 2041) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
2nd IV League (1)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 Bb4 4. a3 Bxc3+ 5. bxc3 c5 6. e3 O-O 7. Bd3 Nc6 8. Ne2 b6 9. O-O Ba6 10. Nf4?! Na5 11. Qe2 Rc8 12. d5 e5 13. Nh5 e4!-/+



14. Nxf6+ Qxf6 15. Bxe4 Bxc4 16. Bd3 Qxc3 17. Bxc4 Qxc4 18. Qd1 Rfe8 19. Bb2 Qb3 20. Qxb3 Nxb3 21. Rad1 c4 22. Bc3 Nc5 23. Rd4 Ne4 24. Ba1 Rc5 25. Rc1 Nd6 26. h3 Rec8 27. Rg4 g6 28. e4 f5 29. exf5 Nxf5 30. Re4 c3 31. g4 Nd6 32. Re3 Nb5 33. a4 Nd4 34. Kg2 Nb3 35. Rce1 Nxa1 36. Rxa1 c2 37. Rc1 Rxd5 38. Re2 Rdc5 39. Re7 R8c7 40. f3 d5 41. Re8+ Kf7 42. Rh8 Kg7 43. Re8 Kf7 44. Rh8 d4 45. Rxh7+ Ke6 46. Rh6 d3 47. Rxg6+ Kd5 48. Rg5+ Kd4 49. Rg8 d2 50. Rd8+ Rd5 0-1


Oyama, A (ENG, 1979) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
2nd IV League (1)

1. e4 c6 2. Nf3 d5 3. Nc3 a6 4. a4 Bg4 5. h3 Bh5 6. exd5 cxd5 7. d4 Nc6 8. Be2 e6 9. O-O Bd6 10. Be3 Nf6 11. Ne1 Bg6 12. Bd3 Rc8 13. Bxg6 hxg6 14. Nd3 Na5 15. Qe1 O-O 16. Ra2 Qc7 17. Qe2 Rfe8 18. Rc1 Nc4 19. Nd1 Ne4 20. b3 Nxe3 21. Qxe3 Nc3? (21... e5!)



22. Nxc3 Qxc3 23. Nb2 Be7 24. Nd1 Qc7 25. c4 Bd6 26. Qd3 e5 27. dxe5 Rxe5 28. Ne3 Rce8 29. Rac2 dxc4 30. Rxc4 Qe7 31. g3 Bb8 32. Rc8 Ba7 33. Rxe8+ Qxe8 34. Ng4 Re2 35. Rc7 Rxf2??



36. Nxf2 Qe1+ 37. Qf1 Bxf2+ 38. Kg2 Qe4+ 39. Kxf2 Qd4+ 40. Kg2 Qd5+ 41. Kh2 1-0


唐堂くんとのゲームも優勢でありながら、クイーンをタダで落とすブランダーで一発逆転負け。ラピッドとは言え、優勢から決め手を見つけられないのは、自分にとっての大きな課題だと感じました。ハンガリーに向けて若干の不安は残りますが、それでも他の参加者7名には楽しんでもらえたと思いますので、とりあえずは満足です。


優勝は私に敗れたものの、他4戦を勝った野口さんです。私のゲームもドローでもおかしくなく、内容はとても良いように見えました。野口さん、IV League 初優勝、おめでとうございます!

Standings

1st Noguchi, K 4P
2nd Kojima, S 3P
3rd Nakamura, R 3P
4th Tang, T 3P
5th Oyama, A 2.5P
6th Kuwata, S 1.5P
7th Yoshimura, K 1.5P
8th Inoue, S 1.5P


R1 Results

Inoue, S - Kojima, S 0-1
Nakamura, R - Oyama, A 1-0
Tang, T - Kuwata, S 0-1
Noguchi, K - Yoshimura, K 1-0

R2 Results

Kojima, S - Noguchi, K 1-0
Kuwata, S - Nakamura, R 0-1
Yoshimura, K - Inoue, S 1/2-1/2
Oyama, A - Tang, T 0-1

R3 Results

Nakamura, R - Kojima, S 0-1
Noguchi, K - Kuwata, S 1-0
Tang, T - Yoshimura, K 1-0
Inoue, S - Oyama, A 0-1

R4 Results

Kojima, S - Tang, T 0-1
Noguchi, K - Nakamura, R 1-0
Kuwata, S - Inoue, S 0-1
Oyama, A - Yoshimura, K 1/2-1/2

R5 Results

Tang, T - Noguchi, K 0-1
Oyama, A - Kojima, S 1-0
Nakamura, R - Inoue, S 1-0
Yoshimura, K - Kuwata, S 1/2-1/2


このIV League は今後どうなるかわかりませんが、一定のレベルは保ちつつ、もう少し人数を増やしていければと思っています。私は来月からハンガリーに旅立ちますが、私不在でも開催はできそうなので、その際はもう1人の責任者である井上さん、運営をよろしくお願い致します! それでは、第3回の開催もお楽しみに。


開催前日まで、U2200 が私以外の7人全員を表すことに気づいていませんでした(笑)

2013/08/23

2nd IV League - Tournament Preview -


7月から始まったIV League は、明日第2回の開催を迎えます。ちなみに先月誤解があったので指摘しておきますが、大会名はIV League(アイヴィーリーグ)と読みます。会場は前回と同じ表参道で、8名による5Rスイス式、参加選手は以下の予定です。

1. 小島慎也 (2356)
2. 中村龍二 (2126)
3. 桑田晋 (2125)
4. 野口恒治 (2087)
5. 井上祥 (2043)
6. 大山彰人 (1979)
7. 唐堂 (1974)
8. 吉村謙治 (1911)


通常メンバーに加えて、今回はゲストが2名入ります。1人は、最近すっかり試合がご無沙汰の桑田くん。今回は急な誘いでしたが、参加を決めてくれて感謝しています。そしてメインのゲストであるもう1人は、イングランドのU14 チャンピオン、大山彰人くんです。日本での初試合がこのレベルでは大変だと思いますが、上位陣からポイントを取る活躍を見せてくれるよう期待しています。

私自身も、ハンガリー前最後の試合ですので、ここをきっちり勝って日本を後にしたいところです。もちろん先輩方も前回のように、簡単に私に全勝させるわけにはいかないでしょう(笑) 試合後のレポートはおそらく1日遅れますが、更新をお楽しみに!

2013/08/22

Looking for the IM norm


8月も終わりに近づき、いよいよ私のハンガリーへの出発まで、ちょうど2週間となりました。(こうして書いている自分が一番ビックリ!)今年の2月に取り損ねた最後のIM ノームを獲得しに、ブダペストとケチケメートのIM トーナメントに、9月から再チャレンジです。ここで非常に今更感がありますが、IM というタイトルとIM ノームについて、何度目かわかりませんが確認をしておきます。

IM について


・ FIDE が定めるチェスプレーヤーのタイトルで、International Master の略
・ 取得条件1つ目は、Live Rating を2400 に乗せること(自分は現在2356で、あと44上げる必要あり)
・ 取得条件2つ目は、IM ノームを3つ獲得すること
(厳密には違いますが、細かく説明すると難しいので、ここでは分かりやすくこう書いておきます)
・ 日本人でのIM タイトル取得者は、まだ誰もいない

IM ノームについて


・ 獲得条件は、一定数以上の国籍のプレーヤー、およびIM (もしくはGM)と試合をし、2450 を超えるパフォーマンスを記録すること
・ これまで日本人では、私と池田惇多くんが2つ、羽生さんが1つ獲得している   

レイティングだけならば、日本でプレーしていても2400 に到達する可能性はありますが、IM ノームを獲得するためには、IM のいる国に行かなければなりません。昨年から今年の頭にかけて9か月を過ごし、2つのノームを獲得したハンガリーは、もはや私のもう1つのホームグラウンドと呼んで差支えないでしょう。向こうにいる友人たちとの再会も楽しみにしています。

そして以下のHP では、これまで私が獲得したIM ノームの記録が確認できます。実はつい先ほどまで、なぜか私が昨年10月に獲得した1つ目のIM ノームの記載がありませんでした。私もずっと気づいていながら放置していましたが、ハンガリーに戻ってから実は1つ目のノームが無効だったなどという事態にならぬよう、昨夜ハンガリーのオーガナイザーに連絡を取り、こちらに記載するよう対応してもらいました。その迅速な対応により、私のIM ノーム獲得数は間違いなく2つだと、FIDE のHP で確認ができるようになっています。

IM ノーム獲得記録

緑のpic ボタンをクリックすると、各大会での戦績も見ることができ、ノームを獲得した2大会を昨日のことのように思い出します。1つ目のIM ノームは昨年10月にハンガリーに戻ってすぐの獲得だったため、今回も9月のFirst Saturday でと期待してくれている方も多いかと思います。しかし、現地に行って大会が始まってみなければ、結果はわかりません。もちろん最初から本気でプレーしてきますので、今後とも応援をよろしくお願い致します。

2013/08/21

第3回将棋電王戦記者発表会


本日、六本木のニコファーレで行われた第3回将棋電王戦記者発表会に、尚広くんと出席してきました。平日の昼間でしたが、プレス席だけでなく一般席もほぼ満席で、今年開催された第2回に引き続き、電王戦の注目度の高さが窺えました。今年の3月、4月の興奮を思い出すかのようです。記者発表会の様子はニコニコ生放送でも中継されたため、そちらも大いに盛り上がったのではないでしょうかね。

今年3月、4月の第2回電王戦では、プロ棋士がコンピュータに敗北を喫したため、第3回はプロ側のリベンジなるかが、最大の注目ポイントでしょう。本日の記者発表会で公開された情報を整理すると以下のようになります。

・ 第3回将棋電王戦は、2014年3月~4月にかけて開催される。
・ 第3回も第2回同様、プロ棋士5人対コンピュータプログラム5台の形式で行う。
・ コンピュータのハードウェアは主催者側の用意した統一のものを使う。
・ プロ棋士側は、事前に対戦するプログラムと同等のものと練習対局ができるようにする。
・ 出場するプロ棋士には、屋敷伸之九段が確定しており、ほか4名は後日発表。
・ 出場するコンピュータプログラムは今年秋の将棋電王トーナメント上位5台とする。


屋敷九段の登場に湧き上がる会場

赤字で示したのは第2回と大きく変わったと思われる点です。会場では、ニコニコ生放送の視聴者からの、「これはプロ棋士側に有利な条件」「今度は負けた言い訳ができないな」といったコメントが流れました。こうした第3回の条件をどう捉えるかは人それぞれだと思いますので、私からの個人的な意見は無難に控えておきます。

そして会場でさらに大きく盛り上がったのは、10日後に開催されるもう1つのイベント情報の公開です。


今月最終日、8月31日には電王戦タッグマッチと称し、第2回電王戦のプロ棋士5名と、それぞれが対戦したコンピュータプログラムがタッグを組んでのトーナメントが開催されます。あまり知られていないかもしれませんが、チェスの世界ではAdvanced Chess と呼ばれる、コンピュータを使用した人間同士の対戦がすでに存在しており、今回はそれを将棋で行うということです。

電王戦タッグマッチ開催については、私はすでに耳にしていましたが、あまり一般には出回っていなかったようで、会場もニコ生視聴者も凄まじい盛り上がりでした。しかしそんな私も、このイベントの解説者が森内名人であると公開されたことには、驚きを隠せませんでした(笑)


屋敷九段の登場、タッグマッチイベントの公開に続き、会場は大興奮でした。

8月31日は池上での私の最後のレクチャーですが、そちらは夕方からですので、午前中は六本木のニコファーレに足を運ぼうと思います。この日は朝霞でも大会が開催されるため、私のレクチャーと人が割れないか心配でした。さらにこのイベントも重なるとなれば私の不安は尽きませんが、チェスファンの皆さんは私同様に、六本木から池上まで移動をお願いします(笑) ちなみにこのイベントは入場者が制限されるため、見学希望者は申し込みをし、抽選の結果を待つ必要があるそうです。

ドワンゴが主催する将棋イベントは、今後、私が企画するチェスイベントにアイディアが生かせないかと考えていますので、4月以来、久々に将棋ネタを扱いました。今日発表された第3回将棋電王戦については、当然のことながら将棋メインのブログや、公式サイトにさらに詳しい情報が出ているでしょう。今月末だけでなく、来年のイベントが成功するよう願っていますので、今後も注目していきたいと思います。


おまけ。夕方からは都内のホテルで、本業のチェスレッスンをこなしてきました。(本業がおまけとはこれいかに)

Japan League 2013 順位問題


毎年夏の恒例イベント、Japan League が終わってから、ちょうど一週間が経ちました。JCA のHP では結果が更新され、各ラウンドの上位10ボードまでの棋譜も公開されています。今大会のベストゲームであろう、池田 - 南條戦もここで確認ができました。こうして並び返してみると、やはりすごい熱戦だったと思います。棋譜は以下のページでどうぞ。ところどころある名前のミスだけは、早く修正してもらいたいと思います。

Japan League 2013 Games

しかし、結果の欄を見て、「おや?」っと思われた方も多いかもしれません。表彰式では5.5/7 で並んだ私と南條くんのうち、南條くんがタイブレークで1位だと発表されました。しかし、HP には私が上の順位として記載されています。あってはならないことですが、全日本選手権と同様に、Japan League でも表彰式での順位間違いが起きたのです。

そもそも先週大会が終わった直後に、速報で私が1位、南條くんが2位と発表されていることを知り、どうしたものかと首をかしげました。そうこうしているうち、木曜日にはJCA からメールが届き、タイブレークを間違えていたので、盾を交換してくれと言われました。翌日には南條くんと会って話をし、盾の交換云々ではなく、なぜこうしたミスが起きたのかの説明を私や参加者にするとともに、今後ミスが出ないように改善してくほしいという内容で、JCA には返信しています。(そして返事はなし...)

今回、なぜ順位を間違えて発表してしまったのかは、大きな疑問点です。全日本選手権では、bye を申告していた暁さんをJCA の特別ルールで下の順位にするということだったので、コンピュータの示した順位をそのまま伝えてしまったというミスは、なんとか理解できます。しかし、今回はそういったこともないため、コンピュータが最終的に出した順番にプレーヤーを読み上げれば良いはずです。まさかそこで単純に順位を見間違えたのでしょうか... 今大会は慣れないSwiss Manager をペアリングに使っていたようですが、それでもタイブレークのシステムをきちんと決めておけば、何も問題はなかったはずです。やはり何が起こったのか、よく理解できません。(もしかすると、彼らにもよく分かっていないのでは...)

とにかく、HP で私が上の順位だと発表されたので、これに修正が入ることはないでしょう。できればここで表彰順位を間違ったことについて、なんらかの説明があってほしかったですが、それはもう諦めます。問題はチェス通信でどのようにこれを扱うかです。本来あってはいけない表彰順位の間違えが、日本で貴重なFIDE 公式戦である全日本に引き続き、Japan League でも起きてしまったことはゆゆしき事態です。それを理解してもらったうえで、次号のチェス通信ではなんらかの説明を入れてもらいたいと思います。何も説明がなく、全日本のときのようなひどいチェス通信が発行された場合、私も少し真面目に対応を考えるつもりです。
 

2013/08/19

Saturday Lecture on August 31st


今月の池上でのレクチャーは、8月最終日、31日の開催です。このレクチャーの5日後にはハンガリーに渡るため、私がFM として行う最後のレクチャーになるかもしれません(笑) 皆さんが参加しやすいよう、普段の午前中ではなく、夕方の時間帯での開催です。どなた様もお誘いあわせの上、ご参加ください。

【日時】 2013年8月31日(土) 16:00~18:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Passed Pawns
【テーマ詳細】

先月はポーンの前進をテーマに扱いましたが、今回はその繋がりでパスポーンの働きを考えようと思います。パスポーンは終盤で6段目、7段目まで進めば、プロモーションしてクイーンを作るための大きな武器となるでしょう。最も価値の低い駒であったポーンが、終盤では勝負を決定づける大きなファクターになりうるのは、チェスにおいてとても面白いテーマだと思います。
このレクチャーではパスポーンとプロモーションまでの基本的な考え方から、パスポーンの評価、パスポーンを作るためのサクリファイス、ブロックエードなどを扱うつもりです。私自身、パスポーンは興味深く、それでいて難しいと感じているので、皆さんとともに理解を深めていければと思います。

【参加費】 1000円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

今月は午後のサタデートーナメントがないため、参加費は一律1000円となります。皆さん、よろしくお願い致します。それでは今月末、池上でよろしくお願い致します。

2013/08/18

A Dinner Party of Masters


一昨日、金曜日の夜はマレーシアのIM Lim Yee Weng を囲み、横浜で食事会が行われました。日本、マレーシア、オーストラリアのマスターが顔を合わせ、非常に有意義な時間を過ごすことができました。このような面子を集めた幹事の井上さんにも、飲み会マスターの称号が与えられるべきでしょう(笑)

この日の話題は挙げていけばきりがないですが、メインは各国のチェス事情について。Lim Yee Weng はマレーシアだけでなく、シンガポールをはじめとするアジア各国に詳しかったですし、松尾さんも7年スイスでチェスをしていたため、とても面白い話が聞けました。他にもチェストーナメントのネタ話、チェスの仕事の話、スポンサーの話などから、Lim Yee Weng や羽生さんの奥さんとの馴れ初めなど、プライベートな話も盛り上がりました。

正直に言えば、私が一番英語が不得意なので、当日顔を出すまで少し億劫でしたが、やはり行って良かったと思います。Lim Yee Weng は横浜でのイベントが終わった今日以降も、もう少し日本に残るそうですが、顔を合わせるのはまた次の機会になるでしょう。今後、彼らのようなアジアのマスターとも、交流を深めていければと思います。

2013/08/16

頭脳スポーツフェスティバル2013 - Blitz Tournament -


すでに昨日のことですが、横浜の関内で行われている頭脳スポーツフェスティバル2013 の初日のイベント、Blitz Tournament に顔を出してきました。会場はJR 関内駅か、みなとみらい線、日本大通駅から行く、産業貿易センターの2階です。私は当初からこれに参加するつもりはありませんでしたが、日本勢は惇多くんや羽生さん、海外勢も有名どころのマスターが参加するとあれば、やはり関心は高いです。当日会場についてから知ったことですが、ブリッツは白黒1回ずつで9R、計18試合を1人がこなすハードなスケジュールでした。


ブリッツで優勝したのはイスラエルのGM Vitali Golod です。他4人のGM との対戦を含め、18試合で14ポイントという好成績でした。私は一昨年のアメリカのトーナメントで彼とはちょっとした縁があったので、明日、それをネタに話をしてみようと思います。20kg は体重が変わった私のことを、すぐに思い出せるでしょうか(笑)

一方、日本勢で最も良い戦績を残したのは、日本チャンピオンの惇多くんでした。上の写真では、右のボードでGolod と対戦していますね。5人のGM 全員と試合をして2勝8敗という戦績にはやや不満そうでしたが、それでも他の日本人の前でGM からポイントを上げるのは立派なことです。明日から始まる3日間のラピッドでは、さらにポイントを取るのは厳しいだろうと話していましたが、それでも頑張って上位勢を脅かしてほしいと思います。


こちらは羽生さんと、フランスから来たリスト1 のGM Tigran Gharamyan の対戦中の様子です。このゲームは羽生さんが1ポーンを奪ったうえ、時間でもかなり優位に試合を進めていましたが、ブリッツでは何が起こるかわかりません。Gharamyan の時間がない中での逆転劇は、見ていた私も指していた羽生さんも、非常に驚いたと思います。

イベント初日の昨日は、最後まで試合の様子を伺っていたのではないため、簡単な写真とこれぐらいレポートで終わりにします。他にもいくつか他のブログでこの日のイベントは伝えられているので、興味のある方はそちらもご覧ください。それでは明日、ラピッドのイベントを見学に行く方は、午後に会場でお会いしましょう!

今日はチェス曜日
ソフィアチェスサークル



おまけその1、お昼は会場からすぐの中華街へ。


おまけその2、夕方には鎌倉の海へ。

2013/08/14

Japan League 2013 Final Day


今大会の入賞者 & 賞金取得者たち Photo by Hiebert

更新が1日遅くなりましたが、Japan League 最終日の報告です。全日本のように負けたから記事を書かなかったわけではないので、ご安心を(笑) それでは最終戦の、南條くんとのゲームです。

Nanjo, R (CM, JPN, 2300) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Japan League 2013 (7)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nf3 e6 5. Be2 Ne7 6. O-O Bg6 7. Nbd2 Nf5 8. g4!?



この早めのアグレッシブな手は完全な予想外でした。しかし、調べてみるとShirov が白で指して高い勝率を上げています。

8... Nh4 9. Nxh4 Qxh4 10. f4 f5 11. g5 h6 12. Rf2 Be7 13. Nf3 Qh3 14. Bf1 Qh5 15. Be2 Qh3 16. Bf1 Qh5 17. Be2 Qh3 1/2-1/2


私としてもこの最終戦、勝って単独優勝を狙いたいところでしたが、南條くんからBe2-Bf1-Be2 と来るのであれば、3回同一局面を受け入れるしかありません。早めのドローで互いに5.5P フィニッシュを決め、2番ボード、3番ボードの結果を待ちます。

その2ボードでは、まず池田 - Bibby 戦では、勝勢だった白が詰めを誤ってドローに。勝てば同時優勝だった惇多くんにとって、前ラウンドに続く痛い結果です。そして渡辺 - 北神戦は暁さんが序盤から少しずつ押していき、丁寧に勝負を決めました。この時点で他に5.5P が現れないことが確定し、私と南條くんの2人同時優勝となりました。

Standings After Round 7

1st 南條遼介 (CM, JPN, 2300) 5.5P
2nd 小島慎也 (FM, JPN, 2356) 5.5P
3rd 池田惇多 (FM, AUS, 2339) 5P


以下、北神さん、建内くん、塩見さん、暁さん、三ツ矢さんが5P で同率3位となり、賞金を配分しています。なお、表彰式で2位の盾をもらったにもかかわらず、JCA の発表では、なぜか私がタイブレークで1位と表記されています。また全日本に続く表彰順位ミスなのか、確認をしてみようと思います。

終わってみればトップ3は、2300台のマスター3人でしたね。南條くんとしては、全日本に続いてJapan League でも池田くんに負けたため、しっくりこない点もあるでしょう。それでもこの大きなFIDE トーナメントで競り勝ったのは、大きな自信にして良いと思います。私もハンガリーからなるべく早く帰れるように頑張るので、惇多くんが帰国する来年2月までに、もう一度この3人で争えるような場を設けましょう! それでは参加者の皆さん、お疲れ様でした~。


最終戦後のお昼ごはんには、つるりとところてんをいただきました。


この巨大なm&m を片付けることが、一部の参加者にとって真の最終ラウンドに(笑) Photo by Arai

2013/08/12

Japan League 2013 Day3


今年のJapan League もいよいよ大詰め、ゴールが見えてきました。私はBibby さんとドローの後、三ツ矢さんに勝って5ポイントとなり、トップグループに戻ってきています。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Mitsuya, N (JPN, UR)
Japan League 2013 (5)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. g3 d5 4. Nf3 Be7 5. Bg2 O-O 6. O-O dxc4 7. Qc2 a6 8. a4 Nbd7 9. Nbd2 c5 10. dxc5 Bxc5 11. Nxc4 Qe7 12. a5 Nd5 13. Rd1 Nb4 14. Qb3 Nc6 15. Bg5 Nf6 16. Nb6 Rb8 17. Be3 e5 18. Bxc5 Qxc5 19. Qa3 Qc2 20. Rd2 Qg6 21. Rad1 Bg4 22. Nh4 Qh5 23. Bxc6 bxc6 24. f3 Be6 25. Qd6 g5 26. Nf5!



26... Bxf5 27. Qxf6 g4 28. Qxe5 gxf3 29. exf3 Rbe8 30. Qf4 Bh3 31. b4 Qb5 32. Nd7 Bxd7 33. Rxd7 Qe2 34. Qg5+ Kh8 35. Qf6+ Kg8 36. Qg5+ Kh8 37. Qf6+ Kg8 38. R7d4 Qe3+ 39. Kh1 h5 40. Rf4 Re5 41. Rd8 Qe1+ 42. Kg2 Re2+ 43. Kh3 Qf1+ 44. Kh4 Rxh2+ 45. Kg5 Qb5+ 46. Kh6 1-0


17手目で30分を超える長考をし、非常に苦戦したゲームでした。(その割りに指した手がイマイチ...) なんとかこの勝ちで南條くんに次いで5ポイントを確定させ、1番ボードの惇多くんの結果待ち状態に入りますが、そこで事件が...


6Rトップボードの北神 - 池田戦は、気づくと白がエクスチェンジアップに。池田くんも粘りましたが、特に大きな問題もなく、そのまま北神さんが押し切りました。直前に素晴らしいプレーで南條くんを下し、単独トップに立った惇多くんにとって、痛すぎる黒星です。ちなみにこのゲームが日本に来てからの試合(クラシカル+ラピッド)で、惇多くんの初黒星です! (私、羽生さん、南條くんらと試合をこなしていて、ここまで負けがなかった彼が凄過ぎるのですが...)

Standings After Round 6

5P 小島、南條、北神
4.5P 池田


6R を終えて、こういったトップグループになるとは予想していませんでした。ダークホースの北神さんは、今日はAlex と惇多くんに勝ちですので、非常に高い実力がありますね。私も次の大会で試合が出来ることを楽しみにしています。それでは優勝争いを決める最終戦のペアリングへ。

Final Round Pairings

南條(5) - 小島(5)
渡辺(4) - 北神(5)
池田(4.5) - Bibby(4)


泣いても笑っても、これで決着がつきます。私は今年相性の悪い南條くんですが、大切なこの一戦をものにできるよう頑張ってきます!

2013/08/11

Japan League 2013 Day2


Japan League 2日目、私は塩見さんに勝ち、惇多くんとドローでした。4R で小林 - Bibby がドローだったため、3.5P は私と惇多くんの2人のみです。そして4R で暁さんを破った南條くんのみが4連勝で、単独トップに立っています。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ikeda, J (FM, AUS, 2339)
Japan League 2013 (4)

1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. g3 Bb4+ 4. Bd2 Be7 5. Nf3 b6 6. Bg2 Bb7 7. Nc3 O-O 8. O-O d5 9. cxd5 exd5 10. Bf4 Nh5 11. Bd2 Nf6 12. Rc1 c5 13. Bf4 Nc6 14. dxc5 bxc5 15. Ne5 Na5 16. Qa4 d4!



17. Rfd1 Bxg2 18. Kxg2 Bd6 19. Nd3 dxc3 20. Bxd6 Qxd6 21. Qxa5 c4 22. Ne5 cxb2 23. Rb1 Qe6 24. Rxb2 h6 25. Rc2 Rfe8 26. Nf3 Rec8 1/2-1/2


5R Pairings

池田(3.5) - 南條(4)
Bibby(3) - 小島(3.5)
北神(3) - Alex(3)
塩見(3) - 小林(3)


明日の5R で全勝の南條くんに惇多くんがストップをかけるかどうか。今大会の大一番を迎えます。私も6年ぶりのBibby さんとのゲーム、頑張って勝利をもぎ取ってこようと思います!

2013/08/10

Japan League 2013 Day1


今日から四日間、東京の蒲田でJapan League が開催されます。初日、上位勢は問題のないスタートを切りましたが、全体を見渡すといくつかアップセットもあったようです。私はと言えば、岐阜の高田くんとドイツの建内くんに勝って、トップグループの座を守っています。

Takada, Y (JPN, UR) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Japan League 2013 (1)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nd2 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. Nf3 Nd7 7. h4 h6 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Ne4 Nxe4 14. Qxe4 Nf6 15. Qe2 Qd5 16. c4 Qe4 17. Rde1 Qxe2 18. Rxe2 Rd8 19. Bc3 b5 20. b3 bxc4 21. bxc4 O-O 22. Ne5 Rc8 23. Nd3 Rfd8 24. f3 Ne8!



25. Bb2 Nd6 26. Ne5 Nf5 27. Rd1 Bg5+ 28. Kb1 Ng3 29. Rc2 Nxh5 30. Rc3 Bf6 31. Re3 Ng3 32. Kc2 Nf5 33. Ra3 c5 34. dxc5 Rxd1 35. Kxd1 Rxc5 36. Nd3 Rxc4 37. Bxf6 gxf6 38. Rxa7 Ne3+ 39. Kd2 Nxg2 40. a4 Nf4 41. Nf2 f5 42. a5 Ra4 43. Nd1 Ra2+ 44. Ke1 Nd5 45. Nf2 h5 46. Kf1 Nf4 47. Kg1 h4 0-1


得意のCaro-Kann の良いところを生かし、問題なく勝ちきりました。しかし、建内くんとの試合は怪しい内容でした...

初日、連勝したのはリスト順に、私、池田くん、南條くん、Alex、塩見さん、尚広くん、北神さんの7人です。3R のペアリングは以下の通り。

3R Pairings

塩見 - 小島
池田 - Alex
北神 - 南條
渡辺 - 中村


上位は全員FIDE レイティング保持者です。この2日目上位陣のつぶし合いから、まず誰が抜け出すでしょうか。個人的には2番、4番ボードの結果に注目したいと思います。

2013/08/09

Japan League 2013 Preview


いつも日本の大会を追っているFM が、現在はアメリカの大会で四苦八苦しているため、明日からのJapan League のプレビューは代わりに私が書こうと思います。今年のJapan League は5人のFM クラスのマスターが揃い、海外勢が来なかった年としては、過去最高レベルの戦いになることが予想されます。

小島慎也 (FM, JPN, 2356)


自分で自分の評価を書くというのは難しいものです(笑) とりあえず、FIDE もJCA もレイティングリストがトップであるため、あまり情けない姿をさらすわけにはいきません。Japan League は2010年に単独優勝、2011年に同時優勝を果たしている相性の良い大会であるため、今年も他のライバルを抑えて優勝を狙いたいと思います。

池田惇多 (FM, AUS, 2339)


今年の日本チャンピオン、池田くんは言うまでもなく、今大会も優勝候補の大本命です。新潟での大学生との合宿は全勝で乗り切り、昨日からは私の家に泊まってトレーニングをしています。全日本に次いで日本のFIDE 公式戦大会を制するか、周囲からの注目度合いも高いでしょう。

南條遼介 (CM, JPN, 2300)


7月に韓国、ロシアと連続FIDE 公式戦を戦った南條くんも、調子は悪くなさそうです。全日本で不調だった分、3ヶ月ぶりの南條復活を日本国内でアピールできるでしょうか。カザンの最終戦で見せた力をトーナメント中に発揮できれば、私や惇多くんに一歩も退かず、激しい優勝争いになると予想します。

渡辺暁 (FM, JPN, 2265)


昨年のJapan League チャンピオン、暁さんは今年も当然参戦です。昨年のこの大会、私はハンガリーから見守るだけでしたが、南條くんを破っての優勝は見事でした。全日本ではBye を入れていましたが、こちらはフルでの参加になりそうなので、優勝争いにも絡んでくるでしょう。全日本では機会のなかった渡辺 - 池田戦も、ペアリングが組まれれば楽しみにしたいと思います。

Simon Bibby (FM, JPN, 2262)


2002年の日本チャンピオンが、数年ぶりの東京でのFIDE 公式戦に登場です。昨年(かな?)、過去のレイティングでFM を申請し、日本籍の新たなマスターとなりました。今年からは本格的な復帰を望んでいると聞いているので、私も2007年以来の対戦を心待ちにしています。


惇多くんとは今日、私の自宅と逗子の海の二箇所でトレーニングを行いました。

2013/08/08

Schedule on September 2013


昨日、ブダペストへの航空券を確保しました。これでもう後戻りは出来ません(笑) 日本に帰国するまで、どれぐらいの期間をハンガリーで過ごすかは分かりませんが、3つ目のIM ノーム獲得を目指して頑張ってきます。今日はそんなハンガリーでの試合予定を含めた、9月のスケジュールを公開しておきましょう。

9/02-03 暁星学園チェスサークル夏合宿

9/05 成田からブダペストへ

9/07-17 First Saturday IM Section

9/21-29 CAISSA IM Section



FS、CAISSA ともに細かなスケジュールの変更はありえますが、一月中チェスをすることは間違いないですね。半年前までは、こうした生活が当たり前でした。南條くんからは、最初のトーナメントでノームが取れなければ、三ヶ月いても取れないだろうと不吉な言葉をもらっているので、肝心の最初のFS から、気合を入れて指してこようと思います。

私が再び日本を離れるまで一ヶ月を切りました。ジャパンリーグと横浜のイベントに参加しない皆さんとも、どこかで機会があれば顔を合わせ、言葉を交わしましょう。それではあと一ヶ月弱、よろしくお願いします!

2013/08/06

Adams Won Dortmund Sparkassen!


私の期待通り、Dortmund はイングランドのMicheal Adams が優勝しました。2700台が半数のこのトーナメントで、5勝4ドローという戦績は素晴らしいものです。7R でAndreikin に敗れたものの、次のラウンドでCaruana を破り、優勝争いを最後までもつれさせたKramnik も流石と言わざるをえません。2人のレースによって、今年のDortmund は非常に見ごたえがあったと思います。

Adams, M (GM, ENG, 2740) - Khenkin, I (GM, GER, 2605)
Dortmund 2013 (7)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nd2 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nf6!?



ドイツのGM Khenkin は、私の師匠でもあるCaro-Kann Defence のスペシャリストです。このラウンドでは、クラシカルな7... Nd7 を避けて珍しいラインで勝負を仕掛けましたが、彼のCaro-Kann は今大会、とことん不発に終わりました...

8. Ne5 Bh7 9. Bd3 Nbd7 10. Bxh7 Nxe5 11. dxe5 Qa5+ 12. Kf1 Nxh7 13. e6!



なかなか奇妙なポジションですが、このポーン突きは非常に巧みだと思います。黒はこれを取れば、eファイルのダブルポーンがターゲットになるうえ、黒マスビショップの展開に困ります。

13... Qd5 14. exf7+ Qxf7 15. Ne4 Nf6 16. Nxf6+ Qxf6 17. Rh3!


ルークは舞台端から顔を出し、すぐに黒の遅れた展開の隙をつきます。このようにルークを活用できることも、白がキングを動かしても問題ない要因でしょう。

17... e6 18. Be3! Be7 19. Bd4 Qg6 20. Rg3 Qf5 21. Rxg7+-



白は素早いピースの展開と黒のバラバラのポーンを利用し、ポーンを掠め取って勝勢です。

21... Rf8 22. Qg4 Rd8 23. Re1 Rd6 24. c3 h5 25. Qg6+ Kd8 26. Qxf5 Rxf5 27. Rg8+ Kd7 28. g3 c5 29. Be3 Bf6 30. Rf8 a6 31. Rf7+ 1-0


ここ数年、Adams がこのレベルの大会で優勝するのは初めて見ました。Mickey おめでとう! 私も今週末から始まるJapan League で頑張ります。

2013/08/02

The Highest Level Training In Japan On August 2013

2週間ほど前に羽生さんからお誘いを受け、またもや一緒にトレーニングをしてきました。形式はいつもと同じ、25分10秒のラピッドを2試合、ブリッツ4試合、そして互いに気になるポジションを持ち寄っての研究です。1試合目の棋譜を載せておきましょう。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Habu, Y (FM, JPN, 2404)
Training (1)

1. d4 Nf6 2. Nf3 g6 3. g3 Bg7 4. Bg2 d5 5. O-O O-O 6. c4 dxc4 7. Na3 Nc6 8. Nxc4 Be6 9. b3 Bd5 10. Bb2 a5 11. a4



Fianchetto Grunfeld の一変化で、弘平くんとの試合後に調べていました。ここまでは互いの準備どおりです。

11... Qc8!? 12. Rc1 Rd8 13. e3 h6 14. Qe2 Qe6 15. Rfd1 Be4 16. Ba3 Ra6 17. Nfe5 Bxg2 18. Kxg2 Nxe5 19. Nxe5 c6 20. Qc4 Qd5+ 21. Qxd5 Nxd5 22. Nd3 Rb6 23. Nc5 e6 24. Kf3 Bf8 25. Rd3 Nb4 26. Rd2 e5 27. Rc4 Bxc5 28. Rxc5 exd4 29. exd4 Na6



試合後にもう一つ考えたのは、29... Nd5!? からd4 のポーンを抑えてじっくり指す方針です。白はキングは好位置にいますが、私の経験上、こういったポジションは徐々に黒が良くなっていくように思えます。

30. Rc3 Rd5 31. Ke3 c5 32. Bxc5 Nxc5 33. Rxc5 Rxb3+ 34. Rd3 Rxc5 35. Rxb3 Rc4 36. Rxb7 Rxa4 37. Ra7 Kg7 38. f4 Kf6 39. Ke4 h5 40. Ra6+ Ke7 41. Ke5 Ra2 42. Ra7+ Ke8 43. Kf6 Rxh2 44. Re7+ Kd8 45. Rxf7 Rg2 46. Kxg6 Rxg3+



46... h4 47. g4 h3 48. g5 h2 49. Rh7 a4 50. f5 a3 51. f6 a2 52. Rh8+ Kd7 53. f7 a1=Q 54. f8=Q= こういった難解なラインも、検討戦では飛び出します。

47. Kxh5 Rd3 48. Ra7 Rxd4 49. f5 Ke8 50. Kg6 a4 51. Ra8+ Kd7 52. f6 Rg4+ 0-1



勝つためにキングが上がるか下がるか考えていたところで、なぜか私の時間が落ちました(笑) 検討戦でこのポジションは白勝ちではないかとの結論に至りましたが、無慈悲なコンピュータは私たちの考えをひっくり返します。

53. Kf5 Rg1 54. f7 Rf1+ 55. Kg6 Ke7!! 56. Re8+ Kd6! 57. f8=Q+ Rxf8 58. Rxf8 Kc5=

最後のポジションがドローになるというのは、なかなか読みきるのが難しいですね。お昼の休憩を挟み、午後のゲームはドロー。今日もとても勉強になるトレーニングをさせていただきました。羽生さん、毎回ありがとうございます!


ちょっと豪華なお昼ごはーん

2013/08/01

Yellow Light? at Yokohama


今年の8月14日(水)~18日(月)に開催が予定されている、頭脳スポーツフェスティバル2013 の雲行きが怪しくなっています。私も今朝、井上さんにメールで知らされて、慌てて情報をチェックしてみました。公式HP は現在工事中、ニュース記事で大まかな現状を知りました。

頭脳スポーツフェスティバル2013 公式HP
Ameba ニュース

以下、Ameba ニュースからの抜粋です。

しかし、7月31日に顧問となっていた神奈川県知事が突如顧問を辞任。パシフィコ横浜での開催が主催者側の都合で中止となることが発表された。

公式サイトでは「開催について、お騒がせとご迷惑をおかけいたしております。大変申し訳ありません。開催の変更についての詳細をお知らせいたします。今しばらくお待ち頂きます様、よろしくお願いいたします。」と掲載され、開催変更となる模様。

剛力彩芽さんなど他の出演についても参加が中止となるのかは後日主催者側より正式に発表となる。


このイベントはチェスのみならず、様々な頭脳スポーツの試合や体験会、その他のレクリエーションが予定されている、頭脳スポーツ協会が数年前から準備していたビッグイベントです。Behind the Scene では海外からのチェスゲストの名前も公開され、日本側の参加選手も枠一杯に埋まっていたはずです。

記事の中では淡々と書かれていますが、これほどの規模のイベントが開催まで2週間を切ってから会場変更とは、どう考えても異常な事態です。公式発表がまだの段階で、憶測の記事を書いても仕方がありませんが、参加予定者は最悪の事態も想定しておいたほうが良いと思います。私も何かしらの情報を掴んだら公開しますので、皆さんも随時、情報をチェックしてみてください。




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