中学校入学の直前に初めてチェスに出会った私も、チェスとの付き合いが13年を超えようとしています。この13年という時間を聞いて、とても長いと感じる人も、まだまだこれからだと感じる人もいるでしょう。私自身には判断はつきかねますが、今後も自分はチェスと関わりながら生きていくだろうと信じています。
そんな私がこの13年間でこなしてきた試合は、棋譜をとったラピッド以上の持ち時間のゲームで、2000試合弱と言ったところでしょうか。多くのプレーヤーと数えきれないほどの試合をこなす中で、少しずつ実力を伸ばしてきました。そして、そんな私の成長の中で欠かせないのは、何名かのライバルと呼べる存在たちです。
今日、この記事を書くにあたり、ライバルというのはどういったものかと改めて考えてみました。例えば、Carlsen のレイティングが2800を超えたことをすごいとは思っても、彼に負けていられないと思うプレーヤーは、世界でもトップの一握りだけでしょう。あまりに実力が離れていれば、ライバルとは呼びづらいはずです。そこを踏まえると、ライバルというのはレイティングが比較的近く、切磋琢磨し合うことができ、負けたくないという思いを抱く存在ではないかと思います。私にとっては様々な成長過程において、誰がライバルかというのは変化してきましたので、現状で私がライバルと考えるプレーヤーを紹介してみようと思います。紹介するのはライバル度数順(?) ではなく、単に年齢順です。いつものタイトル、国、レイティングのほかに、生まれ年も表記しておきます。
私がチェスを始めて13年ということは、同級生の南條くんとの付き合いも13年ということになります。麻布学園チェス部入部当初から、アメリカでの試合経験で磨かれた実力と、鋭いチェスのセンスとを持っていた彼の存在は、12歳でチェスを始めた私やチェス部の同期、そして先輩方に大きな刺激を与えたことでしょう。南條くんに負けたくないという気持ちが、中高時代の私の1つのモチベーションであったことは間違いありません。
彼との試合は13年間で80試合以上となり、FIDE 公式戦に絞るとJapan League で私の1敗3ドロー、全日本選手権で1勝8ドローと、完全に五分五分の戦績です。レイティングが多少離れた時期もありますが、彼が昨年のジャパンオープンで全勝優勝したことで国内レイティングは2400台に乗り、明日からのカペルでもFIDE レイティングを稼いでくると信じています。大学生活最後となる今年、ノルウェーでは頼れるチームメイトとしてともにプレーしつつ、どういった将来へのチェスのプランを持ち、どんなゲームを見せてくれるのか、楽しみにしておきます。
惇多くんとは2006年に東京で初めて出会い、翌年にシンガポールで再会。それからしばらく交流はありませんでしたが、2011年にアメリカの大会でともに過ごして以来、ライバルとして強く意識するようになりました。オーストラリアの代表と、私と同じIM のタイトルを狙う彼は、昨年から1年間京都大学に留学し、日本のチェス界に貢献してきました。昨年の全日本選手権で優勝し、私が南條くんから取り戻したかった日本チャンピオンのタイトルは、現在彼の手にあります。
そんな惇多くんも、今月で1年弱の日本滞在を終え、オーストラリアへと帰っていきました。京都での生活は非常に有意義だったと思いますが、チェスのトレーニングという点では、やはりオーストラリアのほうが多くの刺激を受けられるはずです。4月のオーストラリアの大会では、3つ目のIM ノームに手が届くか、そしてレイティングを2300台後半に戻せるかに注目したいと思います。
チェスのライバルは必ずしも日本人とは限りません。ハンガリーでの留学生活中、しのぎを削り合ってきたプレーヤーたちは、ライバルと呼ぶにふさわしい存在です。ハンガリーで過ごした計1年間の生活の中で、最も交流が多く、また密に試合をしたのがインドネシアのSean でした。2か月の間に同じプレーヤーと計5試合のFIDE 公式戦をこなすことは、今後もめったにないでしょう。直接対決は私が多く勝ち越していますが、私がハンガリーを去った後の戦績で、レイティングは抜き返されています。
Sean は昨年の秋に15歳になったばかり。アジアの強豪国、インドネシアの代表にはまだ実力が足りませんが、この若さと成長速度を考えれば、将来はさらなる活躍が期待できるでしょう。10代前半で親元を離れ、遠くヨーロッパの地でチェスの腕を磨くという彼のガッツとチェスへの情熱も、日本のプレーヤーには見習ってほしいですね。彼も現在はハンガリーを離れて帰国したようですので、来年のインドネシアオープンか、その他のアジアのトーナメントで再会を果たしたいです。
今日紹介するプレーヤーで、最も若く、最もレイティングが高いのが彼女、カザフスタンのWIM Abdumalik です。彼女のヨーロッパ遠征は現在も継続中のようで、今月は Gibraltar でレイティングを稼ぎ、いつの間にか私やSean より上に来ています。女子のU14 ランキング世界1位であることは知っていましたが、男子を含めても世界2位のようですね。末恐ろしい...
Abdumalik とはこれまでの記事で書いてきたとおり、チェコのトーナメントで1勝1敗。特にBrno Open では、私を破った彼女が優勝したため、リベンジを誓った翌週のPilsen Open での再戦は、自分でも信じられない程に燃えました。(そこできっちり戦績をタイに戻しながら、最終戦でコケるところが私の甘いところです。) 直接対決の結果や大会での順位、そしてレイティングで競るというのは、いかにもライバルのようですね。今後もカザフスタンの女子代表として、そしてこの世代トップクラスのプレーヤーとして、周りのプレーヤーたちをリードしていってほしいと思います。
自分が不調時にライバルが活躍すれば、大きな劣等感を抱いたり、自分のプレーを見失ったりと、悩むことも多いでしょう。しかし、そういった悩みこそ、成長のためには欠かせないものですので、ライバルの存在は時に疎ましくとも、必要なものだと思います。年齢、レイティング、関わり方、どういった形でも良いですので、日本のプレーヤーには良いライバルを見つけて、切磋琢磨していってほしいですね。
ちなみに今回、もう1人紹介したかったプレーヤーがいましたが、良い写真が手元になかったので諦めました(笑) IM ノームを7つもっているプレーヤーだと言えば、誰のことか分かる人は分かるでしょう。その人については、また別の機会に。
そんな私がこの13年間でこなしてきた試合は、棋譜をとったラピッド以上の持ち時間のゲームで、2000試合弱と言ったところでしょうか。多くのプレーヤーと数えきれないほどの試合をこなす中で、少しずつ実力を伸ばしてきました。そして、そんな私の成長の中で欠かせないのは、何名かのライバルと呼べる存在たちです。
今日、この記事を書くにあたり、ライバルというのはどういったものかと改めて考えてみました。例えば、Carlsen のレイティングが2800を超えたことをすごいとは思っても、彼に負けていられないと思うプレーヤーは、世界でもトップの一握りだけでしょう。あまりに実力が離れていれば、ライバルとは呼びづらいはずです。そこを踏まえると、ライバルというのはレイティングが比較的近く、切磋琢磨し合うことができ、負けたくないという思いを抱く存在ではないかと思います。私にとっては様々な成長過程において、誰がライバルかというのは変化してきましたので、現状で私がライバルと考えるプレーヤーを紹介してみようと思います。紹介するのはライバル度数順(?) ではなく、単に年齢順です。いつものタイトル、国、レイティングのほかに、生まれ年も表記しておきます。
私がチェスを始めて13年ということは、同級生の南條くんとの付き合いも13年ということになります。麻布学園チェス部入部当初から、アメリカでの試合経験で磨かれた実力と、鋭いチェスのセンスとを持っていた彼の存在は、12歳でチェスを始めた私やチェス部の同期、そして先輩方に大きな刺激を与えたことでしょう。南條くんに負けたくないという気持ちが、中高時代の私の1つのモチベーションであったことは間違いありません。
彼との試合は13年間で80試合以上となり、FIDE 公式戦に絞るとJapan League で私の1敗3ドロー、全日本選手権で1勝8ドローと、完全に五分五分の戦績です。レイティングが多少離れた時期もありますが、彼が昨年のジャパンオープンで全勝優勝したことで国内レイティングは2400台に乗り、明日からのカペルでもFIDE レイティングを稼いでくると信じています。大学生活最後となる今年、ノルウェーでは頼れるチームメイトとしてともにプレーしつつ、どういった将来へのチェスのプランを持ち、どんなゲームを見せてくれるのか、楽しみにしておきます。
惇多くんとは2006年に東京で初めて出会い、翌年にシンガポールで再会。それからしばらく交流はありませんでしたが、2011年にアメリカの大会でともに過ごして以来、ライバルとして強く意識するようになりました。オーストラリアの代表と、私と同じIM のタイトルを狙う彼は、昨年から1年間京都大学に留学し、日本のチェス界に貢献してきました。昨年の全日本選手権で優勝し、私が南條くんから取り戻したかった日本チャンピオンのタイトルは、現在彼の手にあります。
そんな惇多くんも、今月で1年弱の日本滞在を終え、オーストラリアへと帰っていきました。京都での生活は非常に有意義だったと思いますが、チェスのトレーニングという点では、やはりオーストラリアのほうが多くの刺激を受けられるはずです。4月のオーストラリアの大会では、3つ目のIM ノームに手が届くか、そしてレイティングを2300台後半に戻せるかに注目したいと思います。
チェスのライバルは必ずしも日本人とは限りません。ハンガリーでの留学生活中、しのぎを削り合ってきたプレーヤーたちは、ライバルと呼ぶにふさわしい存在です。ハンガリーで過ごした計1年間の生活の中で、最も交流が多く、また密に試合をしたのがインドネシアのSean でした。2か月の間に同じプレーヤーと計5試合のFIDE 公式戦をこなすことは、今後もめったにないでしょう。直接対決は私が多く勝ち越していますが、私がハンガリーを去った後の戦績で、レイティングは抜き返されています。
Sean は昨年の秋に15歳になったばかり。アジアの強豪国、インドネシアの代表にはまだ実力が足りませんが、この若さと成長速度を考えれば、将来はさらなる活躍が期待できるでしょう。10代前半で親元を離れ、遠くヨーロッパの地でチェスの腕を磨くという彼のガッツとチェスへの情熱も、日本のプレーヤーには見習ってほしいですね。彼も現在はハンガリーを離れて帰国したようですので、来年のインドネシアオープンか、その他のアジアのトーナメントで再会を果たしたいです。
今日紹介するプレーヤーで、最も若く、最もレイティングが高いのが彼女、カザフスタンのWIM Abdumalik です。彼女のヨーロッパ遠征は現在も継続中のようで、今月は Gibraltar でレイティングを稼ぎ、いつの間にか私やSean より上に来ています。女子のU14 ランキング世界1位であることは知っていましたが、男子を含めても世界2位のようですね。末恐ろしい...
Abdumalik とはこれまでの記事で書いてきたとおり、チェコのトーナメントで1勝1敗。特にBrno Open では、私を破った彼女が優勝したため、リベンジを誓った翌週のPilsen Open での再戦は、自分でも信じられない程に燃えました。(そこできっちり戦績をタイに戻しながら、最終戦でコケるところが私の甘いところです。) 直接対決の結果や大会での順位、そしてレイティングで競るというのは、いかにもライバルのようですね。今後もカザフスタンの女子代表として、そしてこの世代トップクラスのプレーヤーとして、周りのプレーヤーたちをリードしていってほしいと思います。
自分が不調時にライバルが活躍すれば、大きな劣等感を抱いたり、自分のプレーを見失ったりと、悩むことも多いでしょう。しかし、そういった悩みこそ、成長のためには欠かせないものですので、ライバルの存在は時に疎ましくとも、必要なものだと思います。年齢、レイティング、関わり方、どういった形でも良いですので、日本のプレーヤーには良いライバルを見つけて、切磋琢磨していってほしいですね。
ちなみに今回、もう1人紹介したかったプレーヤーがいましたが、良い写真が手元になかったので諦めました(笑) IM ノームを7つもっているプレーヤーだと言えば、誰のことか分かる人は分かるでしょう。その人については、また別の機会に。