2014/02/05

Old Soldiers Never Die, They Just Play


Hungarian GM Zoltan Ribli, Chessgames.com より

「老兵は死なず、ただ去るのみ」という言葉を残したのはマッカーサーですが、先月のSax やGashimov のように、老兵であろうとなかろうと、この世を去る人は去ります。一方で老兵でありながらも、現役バリバリでプレーを続け、40歳下の若者たちに一歩も退かないプレーヤーたちも存在します。1月のTata Steel Challengers Class では、オランダのJan Timman (1951年生まれ) が、あわや優勝かという好成績を残したことに驚かされました。他にもスロベニアのAlander Beliavsky (1953年生まれ) などもまだ現役で、スロベニアの国内ランキングで2位、オリンピアード代表メンバーの1人として活躍しています。

もちろんアクティブでなかったり、レイティングを大きく落としているプレーヤーもカウントすれば、存命の有名なGM は多数存在します。定跡の名前にもなっているPal Benko (1928年生まれ) や、もはや生きる伝説とさえ言われる、スイスのVictor Korchnoi (1931年生まれ) などは、特に有名だと思います。Korchnoi がレイティング2500を割り、2012年を最後にプレーしていないことは、長年のファンには残念なことでしょう。

私は今日、多くのプレーヤーをチェックしてみましたが、60歳を過ぎても現役で、なおかつ2500代後半のレイティングを保っているGM というのは、世界でも大変に希少なようです。(Timman やBeliavsky のように、2600台を保つGM は怪物とさえ呼べるかもしれません。) それを知ったうえで、久々にハンガリーの国内ランキングをチェックしていると、意外なプレーヤーが上位を保っていることに気が付きました。それがハンガリーのランキング9位、Zoltan Ribli (1951年生まれ)です。


1978年のハンガリーチーム。左からPortisch, Ribli, Sax, Adorjan, Csom, Vadász です。Chess News より。

Ribli という名前には聞き覚えない人も多いかと思いますが、私は不思議なことに中学生の頃から知っていました。(知ったきっかけは、こちらの負けゲームでしたが) 1970年代には世界のトップクラスにおり、オリンピアード優勝経験もある彼が、世界でもレベルの高いハンガリーで、いまだに代表クラスの力を保っていたのは完全に盲点でした。1年もハンガリーにいてチェスをしていたのに、少し恥ずかしくなります。

Ribli は現在も、ドイツのBundesliga のような有名なトーナメントに参加し、2500台の若いGM たちと互角に渡り合います。最近のゲームにも目を通しましたが、ポジショナルプレーによって得たわずかなアドバンテージを、丁寧に指して勝ちにつなげるKarpov スタイルのプレーは、60歳を過ぎても冴えているようです。同世代のSax が亡くなったことで彼としては複雑だと思いますが、私にとってはまたハンガリーに戻った際に会ってみたいプレーヤーですので、今後も元気にプレーを続けてもらいたいと思います。

Ribli, Z (GM, HUN, 2554) - Tazbir, M (GM, CZE, 2555)
Bundesliga 2012-13 (10)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 d5 4. cxd5 Nxd5 5. Qb3 Nb6 6. d4 Bg7 7. Bf4 O-O 8. Rd1 c6 9. e4 Be6 10. d5 cxd5 11. exd5 Bg4 12. Be2 N8d7 13. h3 Bxf3 14. Bxf3 Rc8 15. O-O Nc5 16. Qb4 Nbd7 17. Rfe1 Re8 18. d6 e6 19. Ne4 Nxe4 20. Bxe4 Qf6 21. Be3 b6 22. Qa4 Red8 23. b4 Qh4 24. Bc6 Ne5 25. Bb5 Nc4 26. d7 Rc7 27. Bxc4 Qxc4 28. Bg5 f6 29. Rc1 1-0



2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

2012年8月25日の記事の対戦相手のかたがお亡くなりになったようです・・Hungary Chess Federationのページに載ってました

Shinya_Kojima さんのコメント...

Szekeres, Robert が亡くなったんですね。ハンガリーはどうしたんでしょうか...

コメントを投稿

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.