2014/06/29

8th IVL Tournament Report


8th IVL の入賞者と運営陣 All photos by Hasegawa

昨日、6/28日の土曜日、上智大学で8th IVL が開催されました。18名で5R を戦った今大会、アルゼンチンのGM Lafuente Pablo が、惇多くん、南條くんとの対戦を含めて5戦全勝し、パーフェクト優勝となりました。しばらくコーチ業に専念していて、実戦から3年ほど離れていながら、全体を通して非常に力強いプレーを見せてくれたPablo には、ただ舌を巻くばかりです。優勝おめでとうございます!

2位にはPablo に負け以外全勝、特に最終戦で羽生さんを下した南條くんが入賞。3位は3勝1敗1ドローで、桑田くんが単独入賞となりました。それ以下は1つ勝ち越しの3P が6人並ぶという混戦状態でしたが、桑田くんがU2200 の優勝も兼ね、入賞者は3名のみです。南條くん、桑田くんの2名も、おめでとうございます。今回は初めて、Chess Results に結果をアップしましたので、そちらもご覧ください。

オープン優勝 Lafuente P (GM, ARG, 2550) 5/5
オープン2位 Nanjo R (CM, JPN, 2344) 4/5
オープン3位, U2200 優勝 Kuwata S (JPN, 2129) 3.5/5

8th IVL Final Ranking



GM Lafuente Pablo

日本でGM がプレーするのは昨年の横浜以来ですが、やはり強いですね。今大会の棋譜は現在回収中ですので、これからPablo の1-5R のゲームに目を通せることを、楽しみにしています。今回はIVL の基本メンバー+ 招待プレーヤーのうち、5名のみがPablo と指すことができましたが、来週末、土曜日の上智、日曜日の松戸のイベントでは、申し込めば誰でもPablo と同時対局で指すことが可能です。まだ席は両日ともに余っているそうですので、申し込みがまだの方は、参加をご検討ください。


IM Ikeda Junta

そしてIM タイトルを獲得し、オーストラリアから4か月ぶりに戻ってきた池田惇多くんは、Pablo に負け以外、私と山田くんにドローでした。これから来月後半まで日本に滞在した後、デンマークのトーナメントを経てトロムソに向かいます。チェス以外にも、変わらない魅力的なトークを、閉会式で披露してくれてありがとう! 東京滞在は明日までだそうなので、またトロムソで再会できることを楽しみにしています!


FM Habu Yoshiharu

昨年の横浜以来、久々に公の場でチェスの試合を行った羽生さんは、南條くんに負け、汐口くんと山田くんにドローと、88年組に予想以上の苦戦でした。それだけ、私たちの世代のプレーヤーも、成長してきているということでしょう。羽生さん、今回は急な誘いだったにもかかわらず、IVL への参加を快諾してくださり、ありがとうございました! また来月以降も、トレーニングでよろしくお願い致します。

ここまで書いた以上は、いつも通り私自身の戦績にも触れないといけませんね(笑) 私は3R での惇多くんとのドローは良かったものので、最後の2戦で唐堂くんと小林くんの若い2人に痛い負け。唐堂くんにはピースがただ落ちするブランダー、小林くんには純粋なエクスチェンジアップから逆転負けなので、どちらもひどいです... 1日経った今日、また喝を入れてもらいましたので、気を引き締めてあと1ヶ月、トレーニングに臨もうと思います。


今大会の試合風景

初開催からちょうど1年を迎えるIVL ですが、第8回の今回、初めて海外からのマスター勢をゲストに招き、国内プレーヤーの招待枠も増やして、多少規模が大きめの開催でした。今後の開催形式については未定ですが、いずれ完全なオープン形式でも企画してみたいと思いますので、今後のIVL の動向も、是非チェックしていただきたいと思います。


賑わう検討室

そして今回、これまでのIVL と違い、見学を自由にして、多くの観戦者の方にお集まりいただきました。参加選手たちの倍以上の人数が、上智大学に来ていたかもしれませんね。これだけ多くの方がIVL に注目してくださったことを、主催者の一人として、とても嬉しく思います。皆さん、ありがとうございました。

最後になりますが、海外ゲスト勢のPablo と惇多くん、Pablo 来日の交渉をしてくれたゆみさん、会場確保と開催に協力してくださった、上智大学チェスサークルと倶進会(横浜市大医学部同窓会)、ネームプレートを作成してくださった和田さん、1日中写真撮影を行ってくださった長谷川さん、当日の手伝いをしてくださったスタッフやボランティアの皆さん、1ヶ月ともに運営の準備をともに進めてくれた塩見さんと井上さん、その他、多くの方に心より感謝致します。また棋譜が集まり次第、面白いゲームを公開したいと思いますので、次回のIVL に関する更新もお楽しみに!

2014/06/25

8th IVL 1st Round Pairing


3日後に迫ったIVL の初戦ペアリングを発表します。参加選手だけに公開でも良かったのですが、観戦者にとっても、ペアリングは気になるところでしょう。特に上位のマスター勢が、午前中からどんな試合を見せるかには要注目です!

8th IVL 1st Round Pairing

1B Lafuente P (GM, ARG, 2550) - Noguchi K (JPN, 2102)
2B Yamada K (JPN, 2101) - Habu Y (FM, JPN, 2415)
3B Ikeda J (IM, AUS, 2402) - Kobayashi A (JPN, 2089)
4B Nakamura N (JPN, 2072) - Nanjo R (CM, JPN, 2344)
5B Averbukh A (JPN, 2183) - Mitsuya N (JPN, 2024) -
6B Tang Tang (JPN, 2023) - Kuwata S (JPN, 2129) -
7B Nakamura R (JPN 2126) - Inoue S (JPN, 2021)
8B Shioguchi T (JPN, 2012) - Shiomi R (JPN, 2121)

Bye Kojima S (FM, JPN, 2377), Matsumoto Y (JPN)


1B はオリンピアード元代表対決、2B は将棋関係対決、3B は昨年の全日本、4B は今年の全日本で見かけたペアリングです。午前中から気になるペアリングがある方は、10時半に上智大学の4号館、183 185 教室へどうぞ。午後の2R からは、私と松本くんが入り、18名9ボードで試合をする予定です。それでは参加者、および観戦者の皆さん、よろしくお願い致します。

2014/06/22

国内レイティング S95 更新

昨日、全日本選手権や快速選手権の試合結果を受けた、新国内レイティング、S95 が発表されました。過去最高かもしれない参加人数の全日本に加え、ゴールデンオープンもあった今期は、レイティング変動のあったプレーヤーも多かったのではないでしょうか。その中で、日本トップ勢の増減は以下の通りです。b はベスト更新の意味。

南條遼介 2449 b
小島慎也 2434 b
渡辺暁 2324
Averbukh A 2297
馬場雅裕 2278 b
松尾朋彦 2243
山田弘平 2237
塩見亮 2219
小林厚彦 2182 b
桑田晋 2181 b


全日本入賞の4人はベストレイティングを更新し(上の10人にルイスは含まれていませんが)、オリンピアードの代表男子5名を見ても、全員がレイティングプラスという結果でした。快速選手権で7/8 だったAlex はさておき、暁さんと三ツ矢さんまでレイティングが上がるのは、少し予想外の結果でした。変動式が突然変わったとは思えませんが、ちょっと甘く付けられていますかね? 昨日の日吉例会参加者も、ベストレイティングを更新したというプレーヤーが多かったです。


土曜の日吉例会は、12人中6人が更新されたばかりのベストレイティングでの試合となりました。

いずれにせよ、私にとって国内レイティングが2400からさらに伸ばせるとあれば、早くFIDE レイティングも追いつかせなければいけないと、今後は一層、気合いが入ります。今回の更新で一喜一憂はあると思いますが、また気を引き締めて1試合ずつをこなしていきましょう。先日の快速、日吉と見学が続く私ですが、IVL、新潟と続くマスターとの試合は、オリンピアードへの良いトレーニングの機会だと考え、しっかりとプレーしていきたいと思います! S95 でのレイティング変動者全員のデータは、JCA のHP でチェックできます。

日本チェス協会

2014/06/21

8th IVL Tournament Preview Part 2


来週末に迫ったIVL ですが、準備も整いつつありますので、一般向けの告知を出そうと思います。観戦を希望する皆さん、会場場所や、各ラウンドスケジュール等の情報をご確認のうえ、上智大学へお越しください。

日程: 2014年6月28日土曜日
会場: 上智大学四ツ谷キャンパス 4号館183 185 教室
形式: 25/10、5Rスイス式、
ポイントは通常の1,0.5,0、30手以内の合意ドローは禁止

タイムテーブル:

オープニング: 10:20
R.1 10:30
R.2 12:50
R.3 14:20
R.4 15:50
R.5 17:20
タイブレーク: 18:40
クロージング: 19:00

運営: 井上祥、小島慎也、塩見亮

そして参加者のうち、すでに公開していたのはリスト上位4名のみでしたが、今回は全員公開します。今回の第8回IV League の参加者は、以下の通りです。

1. Lafuente P (GM, ARG, 2550)
2. Habu Y (FM, JPN, 2415)
3. Ikeda J (IM, AUS, 2402)
4. Kojima S (FM, JPN, 2377) 1R Bye
5. Nanjo R (CM, JPN, 2344)
6. Averbukh A (JPN, 2183)
7. Kuwata S (JPN, 2129)
8. Nakamura R (JPN 2126)
9. Shiomi R (JPN, 2121)
10. Noguchi K (JPN, 2102)
11. Yamada K (JPN, 2101)
12. Kobayashi A (JPN, 2089)
13. Nakamura N (JPN, 2072)
14. Mitsuya N (JPN, 2024)
15. Tang Tang (JPN, 2023)
16. Inoue S (JPN, 2021)
17. Shioguchi T (JPN, 2012)

Average : 2181

調整メンバー Matsumoto Y (JPN)


参加する基本メンバー17人の平均FIDE レイティングは2181で、2000以上のみです。予定通り、アルゼンチンのGM Lafuente、オーストラリアの池田くん、そしてプロ棋士の羽生さんが参加します。また、私が1R Bye であること、そしてなんらかの事情で抜けるプレーヤーを考慮して、調整用のメンバーを用意しています。協力してくれるSCC の松本くんには感謝致します。続いて以下、観戦者への注意、お願いです。

・ 会場には、どなたでも入場可能です。試合中は静かな観戦にご協力ください。
・ 試合中の写真撮影はOKです。ただし、プレーヤーへの過度の接近や、一定プレーヤーの長時間の撮影はご遠慮ください。
・ プレーヤーへの取材、写真撮影などは、スケジュール進行に支障の無い範囲でお願い致します。
・ 観戦や撮影に関して、マナーの悪い観戦者には、運営からの注意、および退場をお願いする可能性があります。ご了承ください。

以上です。今回の第8回IVL 開催に際して、協力してくださったSophia Chess Circle、倶進会(横浜市大医学部同窓会)、そしてPablo 来日に尽力してくださったYumiさんには、心より感謝致します。それでは、開催まであと1週間となりましたので、皆さん、引き続きよろしくお願い致します。

2014/06/20

Shin Uesugi's Chess Lesson Videos


最近、日本のチェスHP で更新の頻度が高いものと言えば、FM 上杉晋作くんのHP です。ここしばらくの更新では、晋作くん自作のレッスンビデオが公開されており、彼がChess.com で駒を動かしながら解説をする動画を、無料で見ることができます。

Shin Uesugi's Page

内容は主に初心者向けで、オープニングやタクティクス、メイトをテーマにしているようです。対象は1200 ぐらいだと本人から聞いていましたが、もっとレイティングの高いプレーヤーにも、参考になることは間違いないでしょう。私自身、最近は内容のチェックをサボり気味だったのですが、時間ができたら必ず見るようにします。こういったものは、後でまとめて見ようとするより、更新されるたび、こまめに見ていくほうが良いはずですね(笑)

今月、久々に日本に帰国した晋作くんは、明日アメリカに戻ります。今回の滞在中、会えたのは3回だけでしたが、久々に指すこともできましたし、日本のプレーヤーへのレッスンの話もできました。プレーヤーとしてもう引退だと言っている彼ですが、私も含めて日本のプレーヤーたちは、まだまだたくさん彼から学ぶべきことがあると思いますので、今後もアメリカと日本のチェスの架橋として、活躍してほしいですね。晋作くん、またオリンピアード後に、日本で会いましょう!


今月の快速選手権、ブリッツ大会で優勝した晋作くん

2014/06/19

クロノ・モノクローム2巻発売


週刊少年サンデーで連載中のチェスコミック、クロノ・モノクロームの第2巻が、昨日、全国の書店で発売されました。私も本屋をのぞこうと思っていましたが、自宅に帰ると小学館からは献本が届いていましたので、そちらをチェック。雑誌自体での連載も確認していますが、こうして1冊の本としてまとまると、感慨もひとしおですね。2巻の帯コメントは、こちらのブログにもよく登場する、プロ棋士の羽生さんが書かれています。チェスファンのみならず、将棋ファンもチェックしてみてください!

ちなみに1巻に引き続き、2巻でも私が、単行本用のコラムを書かせていただきました。今回は漫画の内容に合わせ、プロモーションについてです。1巻でもそうでしたが、自分で書いたコラムを、あらためて単行本で読むというのは、少し恥ずかしいですね(笑)

内容については、あまりネタバレは避けたいので簡単にだけ紹介しておきますが、18世紀のオーストリアにタイムスリップしてしまった黒六は、2巻では某有名音楽家と、チェスで対戦することになります。チェスと音楽は関係が深いと言われていますが、まさか○○○ァ○○ が出てくるとは、私も驚きでした。(気になる人は、コミックを買って下さいねw) 

3巻は3か月後の9月発売予定ですので、3巻のコラムを書くのは、トロムソオリンピアードの後ですかね。皆さん、引き続き、クロノ・モノクロームをよろしくお願い致します。私も続きを楽しみにしています!

2014/06/16

GM Pablo Lafuente Simul and Lecture Events in Tokyo


Argentine GM Pablo Lafuente, Chessdom より

昨日は快速選手権の会場で告知をさせてもらいましたが、IVL を開催する6/28 の翌週、7/5, 7/6 の週末にも、GM Lafuente のイベントを開催致します。会場確保に協力してくださった、Sophia Chess Circle と松戸チェスクラブ、そしてPablo 来日の交渉役として、ずっと動き続けているゆみさんには、心から感謝致します。以下、主催者のゆみさんからのメッセージです。


お待たせしました!

前にちらっと報告したのですが、今月中旬にアルゼンチンのトップGMの一人、Pablo Lafuenteが来日します。
18歳という若さでIMになり、その5年後にGMのタイトルを獲得しました。
最近はチェス繁栄のためにいろいろな活動をし、ここ数ヶ月はオンラインなどでコーチングをしつつ、
ブルガリアでチェスに携わる活動をしています。
今年の夏のオリンピアードでも、アルゼンチンの女子チームのコーチとして同行する予定です。

せっかくの機会なので、いくつかのイベントを企画しました。

- GM Pablo Lafuente 来日イベント パート1 -


◆主催: Yumiko Hiebert、小島慎也
◆協力: Sophia Chess Circle
◆日時: 7月5日(土)
◆会場: 上智大学キャンパス内 11号館 6階 621,624,625
◆イベント内容、スケジュール:
11:00- 参加型レクチャー
少人数グループに分かれ、問題、クイズなどを交えつつのレクチャー
得点 をつけ、最後に一番得点の高いグループ対Pabloのブリッツ
(休憩)
14:00- 同時対局
対局終了後、時間があればお茶会

◆参加費: 一般 レクチャー3000円、同時対局3000円、両方申込みで5000円 (学生 レクチャー2000円、同時対局2000円)
◆募集人数: 同時対局20名前後(学生優先)
◆連絡先: yumichan(a)thehieberts.com (a) を@ に変えてご連絡下さい。
◆参加申し込み期日: 6月末まで
◆備考: 参加者はなるべくチェスセットをご持参ください。
募集人数より多い申し込みの場合、先着とさせていただきます。
同時対局は学生優先ですが、一般で参加を希望される方は、主催者までご相談ください。

- GM Pablo Lafuente 来日イベント パート2 -


◆主催: Yumiko Hiebert、小島慎也
◆協力: 松戸チェスクラブ
◆日時: 7月6日(日)
◆会場: 松戸市勤労会館
◆イベント内容、スケジュール:
13:00- レクチャー
15:00-15:30 休憩
15:30- 同時対局
対局終了後、時間があればお茶会、ソーシャルタイム

◆参加費: 一般 レクチャー3000円、同時対局3000円、両方申込みで5000円 (学生 レクチャー2000円、同時対局2000円)
◆募集人数: 同時対局20名
◆連絡先: yumichan(a)thehieberts.com (a) を@ に変えてご連絡下さい。
◆参加申し込み期日: 6月末まで
◆備考: 参加者はなるべくチェスセットをご持参ください。
募集人数より多い申し込みの場合、先着とさせていただきます。

夏の大きな大会、ジュニア選手権、ジャパンリーグ、オリンピアードなどなどの大会前に、GMと交流する絶好のチャンスだと思います。
皆様の参加をお待ちしています。

Lafuente の滞在期間中(6月21日-7月20日)、個人レッスンも受け付けていますので、お気軽に連絡ください。


以上です。7/5 のイベントは、会場の都合でFacebook の告知よりも、人数を若干減らしています。それでも、席にはまだまだ余裕があるそうですので、興味のある方は是非申し込んでみてください。イベントに関する質問は、私宛てでも問題ありませんが、正式な申し込みはゆみさんによろしくお願い致します。それでは皆さん、今月末から、Lafuente のイベントで盛り上がっていきましょう!

2014/06/15

JCA Rapid Tournament Day2


今年の快速入賞者、Alex、山田くん、三ツ矢さんは全員、オリンピアードの代表&元代表です!

快速選手権2日目、今日も蒲田に足を運んできました。8試合のラピッドを終え、優勝はオリンピアードの元代表、山田弘平くんでした。スコアは8/8 のパーフェクト! 北海道から上京して日の浅い弟との兄弟対決や、リスト1 のアレックスとの頂上対決を制し、自身2回目の優勝です。弘平くん、おめでとう!

2位には、弘平くんに負け以外7勝のAlex、3位には三ツ矢さんが入っています。振り返ってみれば、リスト上位3名の入賞ですので、順当言えば順当な結果でしたね。1700台ながら、5.5/8 でAクラス優勝、全体でも3位タイの4位だった蒔田くんは、久々の公式戦大会で、十分な結果を残せました。

いくつか今日、見ていて気になったポジションがありましたが、そのうち1つをご紹介しておきます。下記のポジションで黒番となり、私は黒の勝ちだと考えていました。しかし、実際には...


Hashimoto A - Abe Y
Position After h4

1... Ba6?! 2. Bf1 c4? 3. Bxc4 Bxc4 4. Rxc4 Raxb2 5. Rxb2 Rxb2=


このように進んで、すぐにドローで合意したようです。もちろん、ポーンがあるファイルはお互い同じなため、ドローは順当な結果でしょう。それでは代わりに、黒はどのように試合を進めるべきだったでしょうか。正しい手順は...

1... Rb3!



ルークは縦横に利きが広いピースです。このように6段目まで進んで、白のbポーンをターゲットとしてブロックしつつ、g3 のポーンを攻撃します。

2. Kh2 Ba6!-/+


こうしてルークをb3 に置いてからビショップをa6 に出せば、白は本譜のビショップ交換ができません。Ba6-Bd3 の狙いがある黒に対応するためには、白はb2 を捨てるしかないでしょう。そうすれば、c5 がパスポーンとなり、典型的なBenko Gambit の勝ちパターンになります。ただしこれは、Benko Gambit の知識云々というよりも、エンドゲームでの考え方でしょうね。阿部くん、あと一歩でしたね。


Aクラス入賞は、浜根さん、蒔田くん、長谷川さんでした。

全日本で不調だった長谷川さんは、4.5/8 でAクラス3位となり、2日コース唯一の女性入賞者となりました。最終戦、真明くんとのCaro-Kann Advanced Variation のゲームは、Caro-Kann のスペシャリストである私と桑田くんが、検討でがっつり見入るような難しい試合展開でしたね。オリンピアードでも、今日のような力強いプレーを期待しています。

さて、今日は閉会式後、私から6月末からのイベントを告知しましたので、明日から2日間は連続でそちらの記事を掲載します。すでに他のページでイベント情報をチェックしている方もいらっしゃると思いますが、あらためてご確認をよろしくお願い致します。それでは、また明日!

2014/06/14

JCA Rapid Tournament Day1


今日は蒲田へと足を運び、快速選手権に顔を出してきました。私自身は今月、羽生さんとのトレーニングに加えて、2回のIVL があるため、ラピッドはお腹一杯です。今回は見学に徹することにして、いくつか目についたゲームをチェックしていました。

Mitsuya, N (JPN, 2086) - Shioguchi, T (JPN, 2044)
JCA Rapid (4)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. e3 e6 7. Bxc4 Bb4 8. O-O O-O 9. Qe2 Bg6 10. Ne5 Bh5 11. f3 Nbd7 12. Nd3 Bd6 13. Rd1 Qc7 14. h3?!



この手が緩手でした。白は黒マスビショップの展開に困るうえ、キング前の黒マスを弱めすぎです。強気な14. g4! Bg6 15. e4 e5 16. Be3+/= ならば、白はアドバンテージをキープできたでしょう。

14... e5=


こうして、黒はダブルビショップをキープしたままセンターブレイクを決め、少なくともイコアライズに成功しています。この後、e3 をしっかりとターゲットにした黒は、それをマテリアルのリードにつなげて勝利を収めました。汐口くん、初めてのClassical Slav で、良いゲームでしたね。

上位勢はリスト1,2 のAlex と弘平くんが4連勝し、明日の午前中、5R で激突します。この試合が天王山ですので、今大会最も注目されるでしょう。私は4試合の見学の後、6R のブリッツ大会に参加してきました。そちらは、私同様、見学にきていたFM 上杉晋作くんも参加し、4勝2ドローで優勝。私はAlex に負けた1敗が響き、3位止まりとなりました。それでも、ブリッツの大会は楽しいですね!

私は明日も会場に行くつもりですので、参加者の皆さん、よろしくお願い致します。2日目も、Good Luck!


4R1B はスヌーピー兄弟対決。示し合わせたわけではなく、たまたまシャツがかぶったそうです(笑)

2014/06/12

新潟国際親善チェス大会 2014 Tournament Preview


会場となる新潟市天寿園の中国庭園, 緑化推進室より

ちょうど1か月後の7/12(土) に、すっかり夏の恒例行事となった、新潟県新潟市でのチェス大会が開催されます。私は2009年、2011年に2回参加しており、今年は3年ぶり3回目の参加を検討しています。Pablo の来日もありますが、スケジュールはなんとか空けられそうですかね。

今年の新潟の目玉としては、海外からのゲスト勢の存在が挙げられます。すでに主催者側から正式な通達があり、情報を公開してOK ということなので書きますが、中国からGM2人を含む、マスター4人が来日し、新潟の大会に参加します! ゲストの中国人4名は、以下の通りです。

Wen Yang (GM, CHN, 2590)
Lu Shanglei (GM, CHN, 2546)
Shen Yang (IM, CHN, 2453)
Wang Jue (WGM, CHN, 2376)


男子2人は、このレイティングでも中国代表には入れないため、日本のプレーヤーにとっては、おそらく知らない可能性が高いでしょう。女子代表のShen Yang ならば、多少はわかりますかね。中国女子としては、美人で有名な方です。もう1人のWang Jue にも、マニアなファンがいるでしょう(笑)


IM Shen Yang, Chess News より

私は話をしたことはありませんが、マレーシアやタイのトーナメント、そしてオリンピアードでは彼らの姿とプレーを見たことはあります。今回、こうした中国のマスターとの交流は良い機会ですので、皆さんもぜひ、新潟へ足を運ぶことを検討してみてください。ただし、ゲスト4名の試合をどのような形式で組むかは、まだ運営側で検討中だそうです。確認が取れている大会詳細は、以下の通りです。

開催日程:平成26年7月12日(土)
開会式       9:20AM
対局        9:50AM
閉会式  17:00PM
後夜祭パーテイ 18:00PM(対局会場にて)

開催場所:新潟市天寿園(昨年と同様)
新潟市中央区清五郎633-8 TEL:025-286-1717
http://www.nt-green-society.jp/facility01.html

参加費  :チェス対局   2,000円
交流パーテイ 2,000円

対局形式 :Aクラス、Bクラス、Cクラスの3クラスに分かれて対局。
但し上位クラスへの挑戦も可。

・Aクラス(レイテイング1800以上が目安)
1局持ち時間45分指しきり制 全4局

・Bクラス(レイテイング1000以上が目安)
1局持ち時間45分指しきり制 全4局

・Cクラス(初心者~レイテイング1000が目安)
1局60分(時計は対局者同士の合意による)全5局

大会サイト:https://sites.google.com/site/kokusaishinzenchesutaikai/Home

問合せ先 :御質問、お申し込みはメールで事務局まで。
新潟チェス倶楽部事務局 斉藤俊樹
E-Mail:saitou(a)shibatsu-advance.co.jp (a) を@ に変えて、ご利用ください。

過去の大会の様子については、大会HP で確認ができます。まだ各クラスとも、エントリーしているプレーヤーはさほど多くないそうですので、これからどのように増えるか、楽しみですね。私も参加を確定させたら、またきちんと告知しようと思います。

2014/06/11

The Highest Level Training in Japan in June 2014


6/9 の昨日、久々に羽生さんとのトレーニングを行ってきました。私は4月にタイでのトーナメント、5月に全日本選手権、そして羽生さんには名人戦があったため、このトレーニングも実に3か月ぶりです。毎回、羽生さんには私がすぐに思い付かないような発想を出してもらい、良い刺激を受けています。さっそく、午前のゲームからご紹介しましょう。

Habu, Y (FM, JPN, 2415) - Kojima, S (FM, JPN, 2377)
Training (1)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Ne5 Nbd7 7. Nxc4 Nb6 8. Ne5 a5 9. g3!?



前回の羽生さんとのトレーニングでは、9. f3!? となりましたが、今回は手を変えてきます。2月の試合後に、最も堅い変化として話し合ったのが、9. g3 です。

9... e6 10. Bg2 Bb4 11. O-O O-O 12. e3 h6 13. Qe2 Nfd7 14. Nxd7 Nxd7 15. Rd1 Qe7 16. e4 Bh7 17. Be3 Rfd8 18. f4!?


このようにポーンのを伸ばすアイディアは、ロシアのGM Konstantin Sakaev のThe Complete Slav に書いてあったことを記憶していますが、羽生さんもその本を読んでいました。(いつ、そんな勉強をする時間があるのかw) 白はe5 のマスを抑えて黒からの反撃を封じ、f2 にビショップを下げるマスを作ります。

18... Rac8 19. Bf2 Kh8 20. Bf3 f5!?



これは私が狙っていたアイディアで、「白マスビショップへの抑え込み」に対抗する作戦です。先週の桑田くんとの試合でも見られた通り、黒はh7 のビショップをいつまで放っていては、苦しい展開になるでしょう。

21. e5


この手はスペースを拡大し、黒の白マスビショップを閉じ込めたままにしますが、代わりにd5 にアウトポストを作ってしまうという弱点があります。21. exf5 Bxf5 (21... exf5!? 22. Qxe7 Bxe7 23. d5 Bg8 これが試合中の私の読みでした。) 22. Re1 Qd6 23. Rad1= こうした場合、互いに弱点を持ちますが、黒としては白マスビショップの利きが復活したの、その点は満足に試合を進められそうです。

21... Nb6 22. h4 Nd5 23. Rdc1 Qd7 24. h5 Bg8 25. Kg2 Bf7 26. Rc2 Bf8 27. Rac1 Nb4 28. Rd2 Nd5



d5 をがっちりと抑えた黒は、多少スペースが狭く、白マスビショップが使いづらくとも、そこまで大きな問題はなさそうに見えます。このまま大人しい展開を続けていけても良かったのですが、私はIvan Sokolov の試合で見た、Ra8-Ra6-Rb6 というマヌーバリングができないか、頭をひねってみます。

29. Rdd1 Ra8 30. Be1 Kg8 31. Bf2 Ra6 32. Nb1 Rb6 33. Qc2 Qe8 34. Rh1 Rb4


結果から言えば、このルークの動きはさほど効果的ではありませんでした。白はピースを組みかえ、侵入してきたルークをターゲットにできるようにします。

35. Nd2 Qd7 36. Nc4 Ra8 37. b3 Qd8 38. Qd3 Nb6 39. Be1?



これは羽生さんが試合後に失敗だったと悔いた手で、私もこれを見て少し安心しました。黒はエクスチェンジを捨てても、十分に戦うことができます。代わりに、39. Nxb6! Qxb6 40. d5 Rxb3 41. Qc2 c5 42. Rb1 Rb4 43. d6!+/-


Analysis Diagram

このように指していれば、白は1ポーンダウンとは言え、黒の2ビショップを完全に抑え込み、強力なパスポーンも相まって、優位に試合を進められそうです。とは言え、時間切迫では、b3 を取らせて問題ないと正確に判断するのは難しいでしょう。

39... Nxc4 40. Bxb4 Nxe5! 41. fxe5 Bxb4



この1ポーンエクスチェンジのポジションは、なんとかなると考えました。黒はルークの代わりに、黒マスを支配するビショップと1ポーンを持っています。それに対して、白のルークは力を満足に発揮するオープンファイルがありません。d4 のポーンへのプレッシャーも、白のピースの動きを制限する重要な要素になります。

42. Rhd1 Qe8 43. Qe2 Rd8 44. Rd3 Rd7 45. Rc4 Qd8 46. Qd1 Qg5 47. Qc1 Qd8


この辺りの繰り返しで、すでに白には満足にポジションを改善するアイディアがないことに気づきました。d4, h5 への反撃と黒マスの支配は、黒にとって十分にエクスチェンジの代償を補うものになっています。

48. Qd1 Qg5 49. Qc1 Qd8 50. Qf4 Be7 51. Qe3 Bg5 52. Qe1 Be7 1/2-1/2



以下、数手続きましたが、最終的には3回手が繰り返され、ドローで合意しました。検討戦では、21. exf5 の変化に時間を割き、エクスチェンジを切った後のポジションは、ほぼスルーです。なかなかタフで面白いゲームを終え、昼休憩に入ります。


お昼ご飯は生パスタ! 羽生さんはピザでした。

昼食を食べながらの話題は、いつも通り、仕事や大会のことでした。その中でも、昨日の記事に書いた通り、今月28日のIVL への参加を承諾してくださったことは、私にとって、とても幸運なことでした。羽生さん、ありがとうございます! 午後のゲームは、解説を簡単にしておきます。

Kojima, S (FM, JPN, 2377) - Habu, Y (FM, JPN, 2415)
Training (2)

1. Nf3 g6 2. e4 Bg7 3. d4 d6 4. Bc4 e6 5. Bb3 Ne7 6. O-O O-O 7. c3 b6 8. Nbd2 c5 9. Re1 Nbc6 10. Nf1 cxd4 11. cxd4 Bb7



羽生さんにしては珍しい、低く構えるオープニングでしたが、ここは後の展開を考えれば、11... Ba6 がベターだったと話し合っています。

12. Ng3 Na5 13. Bc2 Rc8 14. h4!? Qc7 15. Bd3 Nac6?!


15... Nec6! 16. Be3 Nb4 17. Rc1 Qd7 18. Rxc8! c1 のマスを空けるためのこの手は、私はすぐには思いつかず、羽生さんが検討で指摘した手です。18...Rxc8 19. Bb1 Nc4 20. Bc1= これは本譜の形に似ていますが、ナイトが両方クイーンサイドでアクティブな分、本譜よりも良かったでしょう。

16. Be3 Nb4 17. Rc1 Qd7 18. Bb1 Rxc1 19. Bxc1 Rc8 20. a3 Nbc6 21. h5 Na5 22. hxg6 hxg6 23. Ba2 d5 24. e5 Qc7 25. Bb1 Qc4 26. Ng5!?



黒はオーソドックスにクイーンサイドからの侵入を試みますが、白はそれをうまく防ぎながら、黒キングへの攻撃を準備します。黒キングの周辺、f7, h7 は守りが薄く、ナイトとクイーンで狙うとディフェンスは難しそうです。

26... Qb3 27. Qg4! Rxc1


ここはエクスチェンジを捨てても、有効なディフェンスになりません。27... Rc7 28. Qh4!+/- でも、白のアタックは強力です。

28. Rxc1 Qxb2 29. Qf4 Nf5 30. Bxf5! gxf5 31. Rc7 1-0



こうなってしまっては、黒キングの守りは完全に崩壊です。この2試合目の後は、桑田くんとのエンドゲームの検討、そしてお互いが調べてきた、Caro-Kann Advanced の変化のアイディア出しなどをして過ごしていました。今月も非常に実のある内容で、大満足でした! 羽生さん、今月末のIVL でも、よろしくお願い致します。

2014/06/09

8th IVL Tournament Preview - With Big Guests -


Argentine GM Pablo Lafuente, Chessdom より

一昨日の記事で書いた通り、今月は28日の土曜日にもう一度、IV League を開催します。今回はかなかな大物ゲスト揃いで、5回の参加中4回優勝している私でも、1位を取るのは簡単ではないでしょう。現在エントリーされている、リスト上位者を公開しておきます。

1. Lafuente P (GM, ARG, 2550)
2. Habu Y (FM, JPN, 2415)
3. Ikeda J (IM, AUS, 2402)
4. Kojima S (FM, JPN, 2377)


アルゼンチンのGM Pablo Lafuente が、今月後半から1ヶ月ほど来日するという情報は、Twitter や松戸チェスクラブのHP ですでに出回っていて、ご存じの方もいるかもしれません。昨年、UAE で彼と知り合い、今回のPablo 来日の橋渡しをしてくださっている、Yumi Hiebert さんには、この場を借りて、感謝の言葉を述べたいと思います。7月のイベントについてはもう少し決めなくてはいけないことがあるため、こちらのブログでは告知をもう少しだけ遅らせます。確実なことは、私たちのIVL に参加が決まっているということです!

また、IM タイトルを獲得し、オリンピアードのオーストラリア代表入りを決めた惇多くんも、4か月ぶりに日本に戻ってきて、IVL への参加を決めてくれました。彼との再会を心待ちにしている、日本のプレーヤーも少なくないでしょう。昨年の横浜でのイベント以来、久々に彼のプレーを日本で見ることができます。Pablo はもちろん、彼との試合ができることも、とても楽しみにしています。

そして本日、羽生さんからも参加OK の返事をいただき、リスト上位4名までは決定しました。さすがにこのリストを覆す猛者の乱入はあり得ないでしょう(笑) 今回はクローズドトーナメントですので、IVL メンバーと、招待選手のみの参加となります。しかし、いつものIVL と違い、会場は上智大学で、見学も自由です。教室場所や詳しいスケジュールは後日公開しますので、6/28 は是非、上智大学に遊びに来てください! イベント開催に当たり、会場提供をしてくださったSCC のメンバーたちにも、心から感謝しています!

2014/06/08

Ikegami Lecture on June 22nd 2014


2週間前となりましたので、今月の池上のレクチャーの告知を出します。今月は私の都合で、いつもの土曜日ではなく、日曜日の開催となりますので、お間違えの無いよう、よろしくお願い致します。午後の試合もなく、レクチャーのみですので、その点もご了承ください。

【日時】 2014年6月22日(日) 10:00~12:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Pawn Ending
【テーマ詳細】

今月のレクチャーでは、これまで扱ってこなかったエンドゲーム、その中でもポーンのみのエンドゲームを扱うことにします。エンドゲームの正しい知識を身に着ければ、ミドルゲームで駒交換を進めるべきかどうかという、重要な指針を決めることができ、ミドルゲームでの指し方の幅を広げることになります。そのためにも、エンドゲームへの導入として、スクウェア、キースクウェア、オポジションといった、ポーンエンディングでの必修内容から、理解を深めていくことにしましょう。

【参加費】 一律1000円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

7th IVL Tournament Report


試合中の8名と、見学する晋作くん Photo by Uesugi

本日は表参道で、第7回IV League が開催されました。今回から汐口くんを新メンバーに加え、参加者は8名、そのうち日本チャンピオン経験者が3名です。日本で最もレベルの高いトレーニングの場として、今月も強豪同士でしのぎを削ります。

私は全体的にゲームの内容が悪いながらも、3R の野口さんとの試合では、面白いエンドゲームに突入しました。それが以下のポジションです。


Noguchi, K (JPN, 2153) - Kojima, S (FM, JPN, 2409)
Position After 39. Kc2?

このエンドゲームは完全にドローだと思っていましたが、白にうっかりミスが出て、黒にチャンスが出てきました。こちらの記事で解説を書きたいところですが、今月の池上のレクチャーにまわしたいポジションですので、今日は割愛させていただきます。この後の展開が分かっても、コメント欄に書かないでくださいね(笑)

最終的には5試合を終え、私が4.5/5 で優勝。続いて野口さんが3.5/5、唐堂くんが3/5 でのフィニッシュです。最近のIVL はこの3名が強さを見せており、前回は3人同ポイント(私が野口さんに勝ち、野口さんが唐堂くんに勝ち、唐堂くんが私に勝ちというじゃんけん状態!) でのタイブレークでした。今回優勝できたのは、かなり運が良かったので、もう少し持ち時間の短いゲームでも、正確に指せるよう心掛けたいと思います。

そして、そろそろ2桁目の開催が見えてきた我らがIVL ですが、今月末に第8回を開催します。今月2回目となるIVL は、招待選手を入れた過去最高人数と、過去最高のレベルで試合を行う予定です。初めての見学自由スタイルにするつもりですので、詳細の発表をお待ちください。早くて明後日に、公開しようと思います。


ありがたき差し入れチョコ。試合後に参加者で分けて食べました。

2014/06/06

Tromso Olympiad Has Just Been Saved!


私のブログを見た日本のプレーヤーから、オリンピアードは大丈夫なんですか? とよく聞かれますが、昨日、ノルウェーから良いニュースが届きました。開催資金の問題が浮上していた夏のトロムソオリンピアードは、無事に開催されそうです! 2つほど、記事を貼っておきます。

“Chess Olympiad in Tromsø will go ahead”
"There will be a Chess Olympiad"

オリンピアードの開催資金は、昨年、World Cup をトロムソで開催したことで、1200万ノルウェークローネ(約2億円) 足りていないと、先月14日に発表されました。その足りなかった資金が、なんとかノルウェーの議会から追加融資されたようです。冷や冷やした3週間でしたが、これで無事に今年最大のチェスイベント開催されると分かり、胸をなでおろすことができました。オリンピアード代表たちは、あと2か月弱、トレーニングに集中していきましょう。

2014/06/05

Chess Mentor


現在、日本のチェスプレーヤーに大変人気のあるチェスサイト、Chess.com には、私も3年ほど前からお世話になっています。始めた当初はOnline Chess (1手につきの持ち時間が数日という、いわゆる通信チェス) と、Tactics Trainer ばかりを利用していましたが、今はもっぱらLive Chess (いわゆる普通の対戦チェス) を利用してのレッスンがほとんどです。ところが先日、面白いサービスを発見し、初めて使ってみました。それがChess Mentor のコーナーです。

Chess.com のLearn にあるChess Mentor には、初心者が駒の動かし方を覚えるための問題から、Tactics, Strategy, Attacks, Endgame など、細かくカテゴリー分けされた問題が多く揃っています。問題のレベルも、800-2800 と幅広く、難しい問題は私もチンプンカンプンです。例えば私が先程頭を抱えた2600クラスの問題は...


Averbakh - Ragozin / 1954 Kiev
White to Move / Rating 2600

30分考えましたが、分かりません。なんとなくポイントとなりそうなところはわかるのですが、それを利用する具体的な手順がさっぱりです...

ちなみに、私がこのChess Mentor を使ってみて、面白いと思った点は

1. 細かくカテゴリー分けされ、難易度も様々な問題に挑戦できる。
2. 制限時間がないので、ゆっくりと考えられる
3. 問題にヒントとなる解説がついており、手を進めるごとに、ポジションのポイントを理解することができる。
4. 過去の実戦からの問題が多い。

1-2 はよくあるとしても、3 のシステムはあまり見たことがありませんでした。ノーヒントでサクサク問題をこなしたいプレーヤーもいるかと思いますが、私はこちらのスタイルのほうが好きです。また過去の世界チャンピオンの棋譜からポジションを抜き出していることも、そうした時代のチェスを勉強するきっかけになりうるでしょう。私は最近、第7代世界チャンピオン、Smyslov のゲームを並べていますが、60年前の試合から学べることは山のようにあります。


Smyslov - Botvinnik / 1954 World Championship
Black to Move / Rating 2100

このルークとポーンの位置のエンドゲームは、最近、基本を復習をしたのですが、そこで学んだことを生かす応用形は私も知りませんでした。まだまだ私も勉強不足です。現在、私のレイティングは2426 ですが、オリンピアードまでにStrategy とEndgame の問題を中心に解いて、2550 ぐらいまで数字を伸ばせればと思います。Chess.com へのリンクは以下か、左のothers からどうぞ。

Chess.com

2014/06/02

Australian Team Composition in Tromso Olympiad


6月に入り、新しいFIDE レイティングが発表されました。すでに、以前公開した記事では、全日本でのプラスマイナスの数値について触れていますが、あらためて更新された数字を見ると、各自にとって収穫や反省が確認できるのではないでしょうか。ちなみに日本のプレーヤーで新FIDE レイティングを獲得したのは、勝田くん、高橋さん、伊藤さん、柴田さんの4名です。おめでとうございます!

FIDE Rating List in Japan

そして話は変わり、オリンピアードのニュースです。さきほど、惇多くんから情報解禁の連絡があったので、トロムソオリンピアードのオーストラリア男子チームメンバーを発表しておきます。日本のプレーヤーには惇多くん以外、あまり馴染みがない名前かもしれませんが、私はよく知るメンバーばかりで、再会が楽しみです。通常通りのレイティングまでの他、生まれ年も記しておきます。


1. Smerdon, David (GM, AUS, 2519, 1986)
2. Ly, Moulthun (IM, AUS, 2466, 1991)
3. Illingworth, Max (IM, AUS, 2442, 1992)
4. Ikeda, Junta (IM, AUS, 2402, 1991)
5. Smirnov, Anton (FM, AUS, 2354, 2001)


知らなかった人にとっては、惇多くんが念願のオーストラリア代表メンバーに入ったことに驚きだと思いますが、その彼が4番というチーム編成です! オーストラリアNo.1 GM である、Zhao, Zong-Yuan こそいないものの、No.2-4 までが揃っており、全員実力は折り紙付きです。チームを率いるDavid Smerdon とは、2008年の北京のチームブリッツで対戦しています。


当時はFM だったMoulthun くん。2011年のフィラデルフィアより。

2番ボードを務めるMoulthun くんは、2011年の私がフィラデルフィア遠征で一緒になり、World Open で対戦、敗れた相手です。アメリカで対戦した3年前の6月から、レイティングは100近く上昇しており、若手の注目株からオーストラリアの立派な代表へと成長しました。彼にとっては前回のイスタンブール以来、二度目のオリンピアード参加となります。

3番のMax くんとは、3年前にタイで出会いました。非常に強気なプレーを見せ、ブリッツ大会で私を破っています。そのタイの後、私より一足早くハンガリーへとチェス修行に向かい、FS のGM セクションで、GM ノームを獲得したことをよく覚えています。

5番のAnton にだけは会ったことがありませんが、親がチェスコーチで、非常に教育熱心だと聞いています。13歳の彼が代表入りするということは、おそらく将来性も加味してのことだと思いますが、現時点ですでに怖い相手であることは間違いありません。彼らのような若いプレーヤーが台頭し、ベテランのGM, IM を押しのけて代表を埋めるというのは、オーストラリアのチェス界にとっても良い革命となるでしょう。


昨年の8月、横浜での大会より。Photo by Hasegawa

そして我らが(?) 惇多くんも、4月のオーストラリアでの戦績を評価され、堂々の代表入りです。昨年の全日本選手権で彼が優勝した際、是非とも日本の代表にという声もありましたが、私は反対でした。惇多くんが強豪オーストラリアの代表入りを夢見ていたことを、以前から知っていたためです。そんな彼がこのたび、無事にオーストラリアの代表入りを果たしたことは、素直に嬉しいですし、祝福の言葉を送りたいと思います。惇多くん、本当におめでとう!

さらに、惇多くんは今月末からオリンピアード直前のデンマークでの大会まで、1ヶ月ほど日本に滞在する予定です。私たちはすでに歓迎の用意を進めていますので、昨年交流の合ったチェスプレーヤーたち、大学生たちも、なにかしら連絡を取ってみてください。今年の夏は、オリンピアード以外でもアツくなりそうですね!

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