現在、ロシアのソチで世界チャンピオンの座をかけたマッチが行われています。Carlsen とAnand によるマッチは2回目ですが、今年は昨年とは立場が逆で、Anand が挑戦者です。2戦目でCarlsen が見事な勝利を収めたことで、今回も何事もなくCarlsen が勝つかと思ったファンも多いでしょう。ところがインドの虎は3戦目で牙をむきます。
Anand, V (GM, IND, 2792) - Carlsen, M (GM, NOR, 2863)
Sochi (3)
1. d4 Nf6 2. c4 e6 3. Nf3 d5 4. Nc3 Be7 5. Bf4 O-O 6. e3 Nbd7 7. c5 c6 8. Bd3!?
Sochi (3)
Queen's Gambit Bf4 Variation は、私も白で愛用する変化です。黒の6... Nbd7 に対してクイーンサイドのポーンを固めるのは、古くからある白のプランですが、8手目は私にとって少し意外でした。ここで8. h3 と指せば、黒のBc8-Ba6 のアイディアに対して、白は1テンポ得でビショップを交換できるためです。
8... b6 9. b4 a5 10. a3 Ba6
使いづらいc8 のビショップを、このように交換しにいくのは黒としてロジカルなアイディアです。
11. Bxa6 Rxa6 12. b5!? cxb5 13. c6 Qc8!
13... Nb8? 14. c7+- はダメなので、黒はこの手以外にありえません。この変化は研究がだいぶ進み、黒もなんとかさせることが分かっていますが、それでもc7 に刺さった白のポーンは、実戦的には黒にとって嫌な存在であることは間違いないと思います。
14. c7 b4 15. Nb5 a4! 16. Rc1 Ne4 17. Ng5!?
最初、棋譜を並べていては、この手は何事かと目を疑いましたがよく考えてみれば、e4 のナイトとe7 のビショップが消えれば、Nb5-Nd6 が決定的になることが分かります。ナイトを交換するだけならば、17. Nd2 もありますが、それには17... Nc3!? とポーンを返す手で、黒は大きな問題がなさそうです。
17... Ndf6 18. Nxe4 Nxe4 19. f3 Ra5?
上記と同じく、19... Nc3 20. Nxc3 bxc3 21. Rxc3 b5 と指し、ポーンを返してしまうのが安全策だったでしょう。この変化はストレートに白が良くなります。
20. fxe4 Rxb5 21. Qxa4 Ra5 22. Qc6 bxa3 23. exd5 Rxd5 24. Qxb6 Qd7 25. O-O Rc8 26. Rc6!
このポジションは2008年に指されたTomashevsky - Riazantsev とほぼ同じ形です。(その試合では、8. h3 と指したため、白のポーンがh3 にあります。) この試合での白の勝ち筋をAnand は研究していたのでしょう。Carlsen がNe4-Nc3 からのポーンの返しを見落としたのか、指さなくても大丈夫だと読んだのかは分かりませんが、この試合はAnand の研究が生きたゲームでした。
26... g5 27. Bg3 Bb4 28. Ra1 Ba5 29. Qa6 Bxc7 30. Qc4 e5 31. Bxe5 Rxe5 32. dxe5 Qe7 33. e6 Kf8 34. Rc1 1-0
Carlsen とAnand のマッチは、2-2 のスコアで全体の1/3 である4戦を終え、今日が5戦目です。Anand が再び白を持つ今夜の試合も、なかなか面白い展開になっているので、是非チェックしてみてください!
Sochi 2014
4 件のコメント:
毒舌が書いてあるのかどうかわかりません・・▼o・~・o▼ 汗
http://www.chessquotes.com/player-carlsen
e5取れたっていうのは下のゲームの26手目のことみたいですね・・▼o・~・o▼謎
http://www.firstpost.com/sports/world-chess-championship-game-6-live-carlsen-vs-anand-1804497.html
round 6 ですね▽o・~・o▽
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