2014/11/12

The Highest Level Training in Japan in November 2014


今日は4か月ぶりとなる、羽生さんとのトレーニング日でした。みすずのイベントやIVL での対戦、そしてGreg との交流会もあったので、そんなに間が空いた気はしていませんでした。しかし考えてみれば、8月は半月、オリンピアードもありましたし、羽生さんもお忙しいですからね。私が先に黒を持ち、いつも通りラピッド 2局のスタートです。

Habu, Y (FM, JPN, 2415) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Training (1)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. Nf3 e6 5. Bg5 dxc4 6. e4 b5 7. e5 h6 8. Bh4 g5 9. Nxg5 hxg5 10. Bxg5 Nbd7 11. exf6 Bb7 12. g3 c5 13. d5 Nxf6!?



羽生さんとの2回目のSemi-Slav Botvinnik Variation ですが、今度は私が黒です。5年ほど前に見つけたこのラインは、黒が十分に戦えると信じています。もちろん、メインの13... Qb613... Bh6 も有望な手です。

14. Bg2 Be7 15. O-O Nxd5 16. Bxe7 Kxe7 17. Nxb5 Qb6 18. Na3 Rh4 19. Qf3!?


これは私にとって予期せぬ手でしたが、実戦例もあるようです。最もポピュラーな変化は、19. Qd2 Nf4! 20. Nxc4 Qa6 21. Rfc1 と進むもので、これまでうろ覚えではありましたが、今日の羽生さんとの検討の中で、お互いばっちりと理解できました。ちなみに私は最初、19... Nf4 からRh4-Rxh2+ で勝ちだと思っていましたが、クイーンにb7 のビショップを取られる手は、チェックなのでした(笑)

19... Rg8! 20. Rac1 Qa6 21. Rfd1 c3! 22. Rxd5!



羽生さんは「ここはもうエクスチェンジサクリファイスをするしかないでしょう」とおっしゃっていましたが、そうしなければ黒が大きく優勢であるということを瞬時に見抜くのはさすがだと思います。とは言え、ここは黒も21... c3 以外にうまい手がないため、このサクリファイスを受け入れなければなりません。

22... Bxd5 23. Qxc3 Bxg2 24. Qxc5+ Kf6!?


ここは時間のない中、キングが上がる決断をしました。2ポーンエクスチェンジのマテリアルのエンドゲームでの正確な形勢判断は、私の苦手とするところです。24... Qd6 25. Qxd6+ Kxd6 26. Kxg2 このポジションはこのゲームの検討戦でのメインでしたが、なかなかこの先の変化は難しくなりそうです。

25. Qc3+ Ke7 26. Kxg2 Qb7+



ここでは、黒はドローで満足すべきだったでしょう。しかし、シンプルな手順が分かりませんでした。26... Qe2! 27. Qc5+ Kf6 28. Qc3+= 黒からQe2-Qg4-Qh3+ がある以上、ドローを避けることはできないでしょう。

27. Kg1 Rb4?


この試合、お互いにとって初めてといえる悪手で大きく形勢は傾きました。27... Qd5! ならば、まだ勝負はわかりません。

28. b3 Rd8 29. Nc4+/- Rd5 30. Ne3 Rd6 31. Qe5 Kd7 32. Qf6 Ke8 33. Nf5 exf5 34. Qxd6 Re4 35. Rd1 1-0



2ポーンエクスチェンジというマテリアルであっても、ナイトが安定したマスを確保したうえで、不安定なキングを攻めて白はチャンスを得ました。クイーン交換からのエンドゲームに思い切って跳びこめなかったことと、確実なクイーンでのカウンタープレーでドローチャンスを逃したことは、このゲームの反省点です。



お昼ご飯は近くでオムライス。先日ブログで情報を出した、国際将棋フォーラムのことや年末の大会のことを話していました。やはり静岡には私も行きたいですね(笑) チェス界の誰か、現地に行ってレポートをよろしくお願いします! それでは続いて、午後の試合へ。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Habu, Y (FM, JPN, 2415)
Training (2)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. e4 d6 5. d4 O-O 6. Be2 e5 7. O-O Nc6 8. d5 Ne7 9. b4 Nh5 10. Re1 f5 11. Ng5 Nf6 12. f3



今日は気分を変えてBayonet を指してみました。現在はFianchetto を採用していますが、私はBayonet をかつてメインのKing's Indian 対策としており、高い勝率を残していました。日本でBayonet を指すプレーヤーは、不思議と12. Bf3 からのエクスチェンジサクリファイスラインが好きなようですが、私はこちらの12. f3 を愛用しています。

12... c6 13. Be3 Bh6


この変化は3年前、チーム選手権で国府さんと指したことがあり、その時にしっかり勉強しました。私としては、Bg7-Bh6 のラインは白がやや良くなるため、12... Kh8!? のラインが、黒としては楽しみがあるのではと、試合後に羽生さんと話をしています。

14. h4 Nh5?



ここは黒としては、cポーンを先に交換しておかなければいけません。c4-c5 はBayonet において最も警戒すべき白の攻めであり、センターと白マスビショップの利きを同時に開かれは厳しい展開となります。14... cxd5 15. cxd5 f4 16. Bf2 Bxg5 17. hxg5 Nh5

15. c5!+/- dxc5 16. bxc5


羽生さんはナイトを捨てるつもりで本譜の手を指したそうですが、16. d6 cxb4 17. Qb3+ Kg7 18. Qxb4! Ng8 19. exf5 gxf5 20. Rad1+- 白にはこうしてナイトを無視し、ポジションを完全に抑え込む選択肢もありました。ルークに支えられたセンターのパスポーンは強力で、白のポジショナルアドバンテージが決定的であることは明らかです。

16... fxe4 17. fxe4 cxd5 18. Nxd5 Nxd5 19. Qxd5+ Qxd5 20. exd5+/-



私は、白のアドバンテージはこれで十分だと思いました。dファイルのパスポーンは白にとって強力な武器なので、これを脅しに使いつつ、他のポイントでも手を作りにいきます。

20... Nf4 21. Bc4 Bxg5 22. hxg5 Rf5 23. Rab1!+-


白はg5 を落としても、b,e ファイルを支配したルークの力で勝負を決めにいくことができます。黒はクイーンサイドのピースが出せないことが、ここにきて響きます。

23... Rxg5 24. Bxf4 exf4 25. Re8+ Kg7 26. Kf2!



白としては何を指すか迷うところではありますが、焦らずにキングが上がってf3 のマスを抑えれば、黒は何もできないと判断しました。

26... b6 27. c6 Kf7 28. Rbe1 1-0


白はすっきりと勝てて一安心。羽生さんとのラピッドは、ここまで完全に五分の勝率で、今年のトレーニングを終えています。羽生さんとの次のトレーニングは、私がハンガリーから帰国する来年以降になりそうですね。羽生さん、今年も1年、ありがとうございました!


そして今日は、羽生さんからNew In Chess Yearbook 78をお借りしました。8年前の号ですが、羽生さんとPeter Wells のゲーム解説が載っています。日本のプレーヤーならば、一度は並べたことがあるかもしれませんね。


最後はおまけ。羽生さんが「最近、ここ並んでるんだよね」と紹介してくれた自由ヶ丘駅前の店は、私も噂に聞いていたチーズタルトの専門店でした。20分ほど並んで6個購入。そのままでも美味しいですが、冷凍庫で凍らせるのもおススメのようです。

2 件のコメント:

ピカチュウ さんのコメント...

お疲れさまです▼o・~・o▼ 1局目はすごいゲームですね・・ 18...Rh4ですか・・ COM山先生のお勧めは23...Qc6  でございます・・Bd5を白から取らせればexd5と取り返してpassed pawnができるということなのでしょうか・・▼o・~・o▼ 謎

Shinya_Kojima さんのコメント...

どうもでーす。18... Rh4 は私の研究手順でした。
23. Qc6 も検討で出ましたが、結局はクイーンを交換してオッケーなのかどうかという判断がポイントですね。

コメントを投稿

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.