今日は将棋ファンたちと一緒に、リアル車将棋の中継を見ながら、Seirawan のWinning Chess Strategies を並べて勉強していました。最後の羽生さんの寄せの手順は見えるよう、時間のある時に将棋の勉強もしたいですね。羽生さん、豊島さん、そして関係者の皆さん、面白いイベントをありがとうございました。チェスでもなにか、面白いイベントをやってみたいです。
そして羽生さんの対局を見ながら、そろそろ前回のゲームの後半戦の解説もしなければいけないと感じていました。前回、1月29日に指した黒番のゲームは、さらに2回に分けてお届けしようと思います。
この手を見て、私はあることを察しました。羽生さんは昨年、インドのGM Negi が書いたGrandmaster Repertoire の最新シリーズを購入したのだと。この本はFrench, Phildor, Caro-Kann の対策が全てメインラインで載っており、私もケチケメートで簡単に目を通していました。私が使う13... Qb6 の対策が書いてある、現在、世界で唯一の本だと思います。将棋だけでなく、チェスでも世界の最先端の流行に遅れない羽生さんには、本当に驚きです!
c4 を白から突かれている以上、通常ならば迷わずに指す、Ra8-Rd8, c6-c5 の組み合わせが使えません。そこで、b7-b5 のプランに切り替えますが、b6 のクイーンをもう一度動かさなければいけないのが、このラインでは少し痛いかもしれないと感じました。
b7-b5 に対し、白はクイーンサイドを開かずに閉じるものです。クイーンサイドのブレイクにより、黒はd5 に素晴らしいアウトポストを得ますが、それで反撃が十分になるかは定かではありません。そこで、d5 のマスにナイトではなくルークを置き、ディフェンス中心でゲームを進めて見ることにしました。昨年の7月に新潟でWGM Wang Jue と指した際に、こうしたゲーム展開にする選択肢を学んだのです。
白はd4 へのカウンターにしっかり対処しつつ、クイーンサイドのポーンを伸ばし、g4-g5 のチャンスを探ります。単にg4-g5 を許しては潰れてしまう黒は、丁寧なディフェンスを続けて耐える展開を続けます。
ここは私の経験上、リスクを承知でも大胆にg4 を取りにいくべきです。取ってダメなら、どうせダメだと割り切り、クイーンをアクティブに使って反撃を作ります。
ここは26... Ng5!? という手があり、こちらのほうがディフェンスができました。羽生さんは、このナイトを取って白がやや良いのではないかと指摘しましたが、d4 の弱点を攻め続けることで黒はなんとか戦えますし、何より他の選択肢は黒が極端に悪くなります。
31. Bxh6! Nf8 32. Rxf6! Qxf6 33. Bg5 という手順は、検討戦で羽生さんが発見しました。これで黒は戦うのが難しいのであれば、やはり26... Ng5 を指すべきでした。
なんとか白の攻撃を耐えきり、2ピースルークというマテリアルに落ち着きました。しかし、長時間のゲームならば、互いにここからという状況ですが、ラピッドのゲームではそんな余裕はありません。私は開いたdファイルに並んだルークは、間違いなく黒になんらかのチャンスをもたらすと直感的に思いましたが、その利用方法を間違えてしまいます。
ここは大人しく、危険なf6 のポーンを取り除いておくべきでした。33... Qxf6 34. a3 Re8! ならば、黒が優勢です。私も羽生さんも、ルークはdファイルで突入する手しか見えておらず、34... Re8 という指摘されればシンプルな手を見落としていました。
さて、ここからゲームはどう進行していくでしょうか。この後も互いのミスによって形勢は二転三転するのですが、それもまたとても勉強になる内容でした。難解なミドルゲームの後半、そして終盤は、また次回の更新に回そうと思います。
Vol.3 へ続く。
そして羽生さんの対局を見ながら、そろそろ前回のゲームの後半戦の解説もしなければいけないと感じていました。前回、1月29日に指した黒番のゲームは、さらに2回に分けてお届けしようと思います。
Habu, Y (FM, JPN, 2415) - Kojima, S (FM, JPN, 2397)
Training (2)
1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Kb1 Qb6 14. c4!?
Training (2)
この手を見て、私はあることを察しました。羽生さんは昨年、インドのGM Negi が書いたGrandmaster Repertoire の最新シリーズを購入したのだと。この本はFrench, Phildor, Caro-Kann の対策が全てメインラインで載っており、私もケチケメートで簡単に目を通していました。私が使う13... Qb6 の対策が書いてある、現在、世界で唯一の本だと思います。将棋だけでなく、チェスでも世界の最先端の流行に遅れない羽生さんには、本当に驚きです!
14... Qa6!?
c4 を白から突かれている以上、通常ならば迷わずに指す、Ra8-Rd8, c6-c5 の組み合わせが使えません。そこで、b7-b5 のプランに切り替えますが、b6 のクイーンをもう一度動かさなければいけないのが、このラインでは少し痛いかもしれないと感じました。
15. Bf4 b5 16. c5 Rd8 17. Qe2 O-O 18. Ne4 Nxe4 19. Qxe4 Nf6 20. Qe2 Rd5!?
b7-b5 に対し、白はクイーンサイドを開かずに閉じるものです。クイーンサイドのブレイクにより、黒はd5 に素晴らしいアウトポストを得ますが、それで反撃が十分になるかは定かではありません。そこで、d5 のマスにナイトではなくルークを置き、ディフェンス中心でゲームを進めて見ることにしました。昨年の7月に新潟でWGM Wang Jue と指した際に、こうしたゲーム展開にする選択肢を学んだのです。
21. g4 Nh7 22. Ne5 Rfd8 23. Be3 Qb7 24. f4 f6
白はd4 へのカウンターにしっかり対処しつつ、クイーンサイドのポーンを伸ばし、g4-g5 のチャンスを探ります。単にg4-g5 を許しては潰れてしまう黒は、丁寧なディフェンスを続けて耐える展開を続けます。
25. Nf3 Qd7 26. Rde1 e5!
ここは私の経験上、リスクを承知でも大胆にg4 を取りにいくべきです。取ってダメなら、どうせダメだと割り切り、クイーンをアクティブに使って反撃を作ります。
27. fxe5 Qxg4 28. Ka1 fxe5?
ここは26... Ng5!? という手があり、こちらのほうがディフェンスができました。羽生さんは、このナイトを取って白がやや良いのではないかと指摘しましたが、d4 の弱点を攻め続けることで黒はなんとか戦えますし、何より他の選択肢は黒が極端に悪くなります。
29. Reg1 Qe6 30. Rg6 Bf6 31. dxe5?
31. Bxh6! Nf8 32. Rxf6! Qxf6 33. Bg5 という手順は、検討戦で羽生さんが発見しました。これで黒は戦うのが難しいのであれば、やはり26... Ng5 を指すべきでした。
31... Nf8 32. exf6 Nxg6 33. hxg6
なんとか白の攻撃を耐えきり、2ピースルークというマテリアルに落ち着きました。しかし、長時間のゲームならば、互いにここからという状況ですが、ラピッドのゲームではそんな余裕はありません。私は開いたdファイルに並んだルークは、間違いなく黒になんらかのチャンスをもたらすと直感的に思いましたが、その利用方法を間違えてしまいます。
33... Rd3?
ここは大人しく、危険なf6 のポーンを取り除いておくべきでした。33... Qxf6 34. a3 Re8! ならば、黒が優勢です。私も羽生さんも、ルークはdファイルで突入する手しか見えておらず、34... Re8 という指摘されればシンプルな手を見落としていました。
さて、ここからゲームはどう進行していくでしょうか。この後も互いのミスによって形勢は二転三転するのですが、それもまたとても勉強になる内容でした。難解なミドルゲームの後半、そして終盤は、また次回の更新に回そうと思います。
Vol.3 へ続く。
4 件のコメント:
リアル車将棋は角換わり腰掛け銀の展開になりましたが後手が桂馬を跳ねていない形の場合先手は仕掛けないという選択もありそうすると千日手になってしまい今回の企画の場合だと大騒ぎになるので豊島さんが無理攻めと分かってて突っ込んだのかどうなのかとかそのあたりの解説や感想戦のとこは見なかったのでわかりませんが・・・お疲れさまでした▼o・~・o▼ 汗
将棋の定跡は詳しくないですが、プロ同士でもよく指される形だったそうですね。AWAKE の形勢評価は細かく揺れており、終始面白い対局でした。
Ivanchuk missed mate in one という動画▼o・~・o▼ (相手: Anand)
https://www.youtube.com/watch?v=RtSPhginkNQ
棋譜はこちら▽o・~・o▽
http://www.chessgames.com/perl/chessgame?gid=1018510
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