例年と異なり、荒れに荒れている今年の全日本選手権は、最後の最後まで誰が優勝するか分かりません。私は9R で尚広くんとドローになり、10R ではオリンピアードチームメイトのAlex との対戦になりました。たまたまですが、去年の全日本選手権でも、10R でAlex に白でした。
Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Averbukh, A (JPN, 2198)
Japan Chess Championship 2015 (10)
1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Ne5 Nbd7 7. Nxc4 Qc7 8. g3 e5 9. dxe5 Nxe5 10. Bf4 Nfd7 11. Bg2 g5 12. Nxe5 gxf4 13. Nxd7 O-O-O 14. Qd4
Qxd7 15. Qxf4 Bd6 16. Qc1 a5 17. O-O Kb8 18. Rd1 h5 19. Ne4 Bxe4 20. Bxe4 h4 21. Bg2 Qe7 22. Qc3 hxg3 23. hxg3 Rdg8 24. Rd3 f5 25. Rad1 Rh6 26. Qd2 Rgg6 27. e3 Qc7 28. Qe2 Rh8 29. Qf3 Rf8 30. Rd4 Rgf6 31. R1d3 Be5 32. Rd7 Qb6 33. Qd1 R6f7 34. Rxf7 Rxf7 35. b3 Ka7
Japan Chess Championship 2015 (10)
この試合はここからです。序盤で1ポーンアップした白は、2つ目のポーンに狙いを定めます。
36. Bh3! Qc7 37. Qh5 Qe7
g3 のサクリファイスはやりすぎなので、黒は2つ目のポーンを見捨てるしかありません。これで2ポーンアップになり、3コネクテッドパスポーンもできる白ですが、なかなか勝ちを確実にするのに手間取りました。
38. Bxf5 Qf6 39. e4 Bc7 40. Kg2 Rg7
ここで余裕を持って30分を追加し、エンドゲームで勝つプランを模索します。黒キングにはあまり有効な攻撃ができそうにないので、ルークを交換したうえで、パスポーンを押し進めることにします。
41. Rd7 Rxd7 42. Bxd7 Qd4 43. Qf5 Qd3 44. Be6 Qd4 45. Bc4 Kb6 46. Qf3 Ka7 47. Qe2 Bd6 48. Qd3 Qc5 49. f4
焦らずにピースの位置を改善してから、いよいよfポーンを進めていきます。
49... Bc7 50. e5 Bb6 51. Kf3 Qe7 52. e6 Bc5 53. Qd7 Qf6 54. Qc7 Qc3+ 55. Kg4 Bb6 56. Qe5
白としては、クイーンを交換しても勝てる異色ビショップエンディングになるため、遠慮なくクイーンをぶつけてしまいます。これで勝ちかと思いましたが、Alex もまだまだ粘ります。
56... Bd4 57. Qe2 Bc5 58. Qd3
ここで再びクイーンをぶつける手を長い時間考えましたが、今度は黒のビショップはc5 に改善されているため、勝てるのかわかりませんでした。しかし、これは勝てるようです! 58. Qe5 Qxe5 (58... Bd4 59. Qd6) 59. fxe5 Kb6 60. Kf5 Kc7 61. g4 Kd8 62. g5 Ke7 63. g6 Kf8 64. e7+! Bxe7 65. Ke6+- ここまで進めてみれば、eポーンを1つ突き捨て、キングが侵入するアイディアも見えますね。
58... Qg7+ 59. Kf3 Qh6 60. Kg2 Qf6 61. Qd2 Kb6 62. g4 Bb4 63. g5
時間がない中、今度はg ポーンを進めてみることにします。g4 のマスが使えるようになったのは大きいですが、f4 がターゲットになりやすいという問題もあります。
63... Qf5 64. Qe3+ Bc5 65. Qf3 Bd6 66. Qe3+ Bc5 67. Qg3 Qe4+ 68. Kh3 Qf5+ 69. Qg4 Qe4 70. Qd1?!
とにかく時間がなく、f4 をうまくサポートしながら、パペチュアルも回避する方法が分かりませんでした。そこでf4 を捨ててもQd1-Qd8 と跳びこむプランを考えますが...
70... Ka7?
ここはf4 を取るしかありません! 70... Qxf4 71. Qd8+ Qc7 72. Qf6! これでまだ白に勝つチャンスがあるというのが、コンピュータの私的です。(72. Qxc7+? Kxc7 73. Kg4 Kd6 74. Kf5 Ke7= この異色ビショップエンディングはドローになります。)
71. Kg4!+-
これで白キングは安全を確保し、後はeポーンを進めるのみとなります。
71... Qg2+ 72. Kf5 Qh3+ 73. Kg6 Qh8 74. Qd7 Qh2 75. e7 Qxf4 76. e8=Q Be3 77. Qee7 1-0
こうして今年の全日本最長ゲームを制し、逆転優勝への望みをわずかに繋げています。10R 終了時の順位は以下のようになっています。
7.5P 馬場、三ツ矢
7P 小島、山田
6.5P 塩見、唐堂、桑田
7P 小島、山田
6.5P 塩見、唐堂、桑田
そして最終ラウンドでも、このメンバーによる好カードが残っています。
1B 馬場 - 桑田
2B Alex - 三ツ矢
3B 塩見 - 小島
4B 唐堂 - 山田
2B Alex - 三ツ矢
3B 塩見 - 小島
4B 唐堂 - 山田
このペアリングと現在のポイントを考慮すると、最終戦の結果次第では7.5P で最大5人同時優勝がありえることになります! もちろん、半歩リードしている馬場さん、三ツ矢さんはそれを許さないでしょう。上位4ボードの結果は、最後まで目が離せません。
05/01 10:00 R1 Takada, Y (JPN, 1841) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 0-1
05/01 15:30 R2 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Mitsuya, N (JPN, 2040) 1-0
05/02 10:00 R3 Kobayashi, A (JPN, 2085) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 0-1
05/02 15:30 R4 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Lin, P (JPN, 1906) 1-0
05/03 10:00 R5 Tang, T (JPN, 2064) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1/2-1/2
05/03 15:30 R6 Baba, M (CM, JPN, 2251) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1-0
05/04 10:00 R7 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Kuwata, S (JPN, 2130) 1-0
05/04 15:30 R8 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Yamada, K (CM, JPN, 2087) 0-1
05/05 10:00 R9 Nakamura, N (JPN, 2054) - Kojima, S (IM, JPN, 2403) 1/2-1/2
05/05 15:30 R10 Kojima, S (IM, JPN, 2403) - Averbukh, A (JPN, 2198) 1-0
05/06 10:00 R11 Shiomi, R (JPN, 2138) - Kojima, S (IM, JPN, 2403)
4 件のコメント:
最初の図の前にe3と突いた手が入っていないのでなんか棋譜が変です・・・▽o・~・o▽
27手目の2手が抜けてるようですね・・・▼o・~・o▼ 汗
26手目の...Qc7が変なのでそのへんが怪しくなっている様子▽o・~・o▽ ゲーム自体は完勝でカスパロフ対羽生のイベントの解説者対決ですね・・・▼o・~・o▼汗
棋譜はチェスベースからコピーしているので、間違っているはずない... と思っていたら、間違っていました orz
ご指摘、ありがとうございます。不要な分岐を消した際に、本譜まで誤って消してしまったようですね。
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