2023/09/25

Hangzhou Asian Games Day2 Tournament Report

会場1階にはサイン入りボードが展示されています。Ding Liren(丁立人) とNana Dzagnidze以外読めません。

アジア大会のチェス個人戦は2日目を迎えました。10年ぶりの対戦となるJumabayev戦は序盤で悪くしてしまい、挽回するチャンス無く負け。調べたところ、悩みながら指した10手目はJumabayev本人が白番で指したことのあるものでした。後半の4Rは韓国のIM Ahn Hongjinとの対戦で、こちらも苦しい展開を盛り返したところで時間切迫から間違え、やはり敗れてしまいました。勿体なかったこちらのゲームをご紹介します。

Ahn, H (IM, KOR, 2125) - Kojima, S (IM, JPN, 2318)
Hangzhou Asian Games Men's Individual (4)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. h4 h5 5. Bg5!?

3... Bg5の変化に戻すことにして色々と調べていましたが、Bf1-Bd3を省いてBc1-Bg5と出る変化は忘れていました。e7-e6を妨害し、黒が早めにクイーンを動かすことを強制します。

5... Qb6 6. Bd3 Bxd3


6... Qxd4 7. Nf3 Qg4 8. Bxf5 Qxf5 9. O-Oと進む変化は1ポーンの代償が十分ありそうで、黒で指すには勇気が必要です。

7. Qxd3 e6 8. Nd2 Nh6 9. c4 Nf5 10. Ne2 dxc4?!

少しc2-c4の仕掛けが早いと思い、ナイトをc4に呼び寄せて勝負だと思いましたが、やはりc4,e4のマスを明け渡すのは少しリスクが高かったようです。10... Be7からゆっくり構える流れはありだったと思います。

11. Nxc4 Bb4+ 12. Kf1! Qa6 13. a3 Be7 14. Rh3!


h2-h4を指していてことで、ルークはhファイルから出動できることを失念していました。これだと白のキャスリングを妨害した効果があまりないうえ、Ne2-Ng3から要のディフェンスのナイトも捌かれてしまいます。

14... Nd7 15. Bxe7 Kxe7 16. Ng3 Nxg3+ 17. Rxg3 g6

g7-g6を突く手はf6,g5のマスを弱めるので極力指したくなかったのですが、他に手が分かりませんでした。17... Nb6 18. b3 Nxc4 19. bxc4 Kf8! としてキングでg7を守るアイディアはあったようです。考えてみれば白もキャスリングをあきらめてルークをhファイルから出しているので、黒がそれをできない道理はありません。試合中に思いつかなかったのが残念です。

18. Kg1 Nb6 19. b3 Nxc4 20. bxc4 Rad8 21. Rb1 Rd7 22. Qf3 Rf8


ここは一時的にf8のルークが閉じ込められても仕方ありません。22... Rhd8 23. Qf6+ Ke8 24. d5! cxd5 25. cxd5 Rxd5 26. Rf3! R5d7 27. Qg7+- だとすぐにf7を突破されてしまいます。

23. Qf6+ Ke8 24. Rgb3 b6 25. d5! Qxc4 26. d6!

試合中、ファイルを開ける26. dxc6 Qxc6とどちらを選んでくるのか分かりませんでしたが、本譜のようにパスポーンを刺し、e7のメイトスレットを作って2つのルークの動きを縛るほうが明らかに良いでしょう。上手くクイーンをぶつけて駒を捌き、1ポーンアップを主張したかったのですが、b6でのルークサクリファイスからの突破にも対応しなければいけないため、黒はクイーンも不自由です。

26... Qd4 27. Rb4 Qc5 28. a4 Rg8 29. R4b3 Rf8 30. R3b2 Rg8 31. Rb4 Rf8


Ahn Hongjinは時間切迫でどう決定的なブレイクを仕掛けるのかプランを見つけられていないようなので、私もひとまずルークの往復で待つことにします。

32. R1b2 Rg8 33. Kh1 g5 34. hxg5?

c1でのチェックが見えたので、クイーン交換のチャンスかと思い、私からg6-g5と仕掛けてみることにしました。実はこれは34. Kh2!+-くらいで無視されて苦しいのですが、これを相手が間違えて取ってきたことでチャンスが生まれます。

34... Qc1+ 35. Kh2 Qxg5 36. Qxg5 Rxg5 37. f4 Rf5 38. a5 f6!


当然、白の強力なパスポーンを崩すためにfポーンをぶつけます。このポーンをばらせれば少なくとも黒に負けはないと思っていました。

39. axb6 axb6 40. Re4?

40. Rxb6 Rxf4 41. Rxc6 fxe5 42. Rb8+ Rd8 43. Rb7 Rf7 44. Rb5 Rfd7 45. Rxe5 Rxd6 46. Rxe6+ Rxe6 47. Rxe6+ Kf7 48. Rh6 Rd5= と進んだエンドゲームはドローです。本譜は白がリスクを取ってe5を受けにきましたが、私もその後の対応を誤りました。

40... b5?


40... Rb7! 41. Ra2 c5 42. Ra8+ Kd7 43. Rh8 fxe5 44. fxe5 Kc6 45. Re1=/+ これはコンピュータ評価はまだ黒やや優勢なものの、d6のパスポーンはしぶとく実際に指してみると難しいと思います。

41. Rc2 fxe5 42. fxe5 Rg7?!

42... c5! 43. Rxc5 Rxd6! 44. Rxb5 Rd2= は一番単純な進め方で全く見えていませんでした。

43. Rxc6 Rg4


私もb6-b5の時点でc6が落ちることは気づいていましたが、すぐにg2に反撃できると思っていたのが大きな勘違いでした。43... Rf2?? 44. Rc8+ Kf7 45. Rc7+ Kf8 46. Rxg7 Kxg7 47. Rd4+- cファイルから侵入してきたルークに強制交換を仕掛けられ、g2への反撃は失敗します。

44. Rc8+ Kd7 45. Rc7+ Kd8 46. Re2 Rc4?

ここがまた大きなミスでした。解説で南條くんも指摘していましたが、46... Rf1! 47. g3 (47. Ra2 Rh4+ 48. Kg3 Rg4+ 49. Kh2 Rh4+ 50. Kg3 Rg4+= こちらはパペチュアルチェックですぐドロー) 47... h4 48. gxh4 Rff4 49. Ra2 Rxh4+ 50. Kg1 Rhg4+ 51. Rg2 Rxg2+ 52. Kxg2 Re4 53. Rc5 b4 54. Rb5 b3 55. Kf3 Rh4= としてもドローだったでしょう。パペチュアルチェックを入れるために先に1段目を抑えるアイディアに気づかなかったのがとても悔やまれます。

47. Re7 Rc5?


ここも47... Rf1! 48. g3 Rcc1 49. Rxe6 Rce1 50. Rxe1 Rxe1= とするチャンスがありましたが、ここで気づけるならば1手前でも気づきそうなものです。

48. Ra2 Rfxe5 49. Ra8+ Rc8 50. Raa7 Rc2 51. Rg7 1-0

最後はダブルルークで7段目を抑えられてメイト受け無しです。クイーン交換から挽回しただけに、最後まで上手く指せずに残念です。明日は香港のプレーヤーとの対戦ですので、上手く浮上のきっかけを掴みたいですね。

9/20 Arrival (Narita-Shanghai)
9/21
9/22
9/23 20:00 Opening Ceremony
9/24 15:00 Individual Rapid R1 Kojima, S (IM, JPN, 2318) - Sindarov, J (GM, UZB, 2607) 0-1
9/24 17:00 Individual Rapid R2 Kwong, W K (HKG, 1850) - Kojima, S (IM, JPN, 2318) 0-1
9/25 15:00 Individual Rapid R3 Kojima, S (IM, JPN, 2318) - Jumabayev, R (GM, KAZ, 2517) 0-1
9/25 17:00 Individual Rapid R4 Ahn, H (IM, KOR, 2125) - Kojima, S (IM, JPN, 2318) 1-0
9/26 15:00 Individual Rapid R5 Kojima, S (IM, JPN, 2318) - Kao, J E (HKG, 1651)
9/26 17:00 Individual Rapid R6
9/26 19:00 Individual Rapid R7
9/27 15:00 Individual Rapid R8
9/27 17:00 Individual Rapid R9
9/27 20:30 Prize Ceremony
9/28 Departure (Shanghai-Narita )

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