2014/03/04

Cappelle la Grande 2014 - The First Half -


選手が滞在する町、ダンケルクの中央広場, Photo by Shinoda

3/1 からスタートしたカペルの国際大会も、すでに前半4試合が終了し、日本のプレーヤーたちはここまで健闘しています。各試合の結果は、公式サイト小林くんのブログでチェックできますので、私は4試合までのレイティングパフォーマンスと、ここまでの戦いぶりをお伝えしようと思います。

Miyazaki Motoi (1499) 3/4 1992
Sakai So (1859) 2/4 2116
Shinoda Taro (1909) 3/4 2044
Kobayashi Atsuhiko (2033) 2.5/4 2140
Nakamura Naohiro (2075) 2.5/4 2039
Noguchi Koji (2086) 2.5/4 2340
Nanjo Ryosuke (2307) 2.5/4 2492


パリに留学中で、ずっとカペルへの参加を希望していた宮崎くんは、現地で合流し無事に試合をスタートさせています。1-4R までは1600台と4連続でペアリングが組まれ、2勝2ドローとここまでは順当な滑り出し。ハンデが緩くなる後半戦、当たりも少しずつ厳しくなるでしょう。5R は初の2000台とヒットしましたので、このレベルを相手にポイントが取れるかどうか、楽しみに見せてもらおうと思います。

昨年辺りから内容の良いチェスを見せている酒井くんは、2000台、2100台を相手に日本人唯一の連勝スタート。3R でおそらく自身初の2400台との試合となり、良い勉強になったのではないでしょうか。日本では優勢にしても時間切迫で苦しむ姿をよく見かけますので、持ち時間の長い国際試合のほうが、彼の実力がよく発揮されると思います。

最近チェスに時間を割けていなかった篠田くんですが、初戦負けの後に3連勝! 特に4R では、2011年のカペルで優勢のエンドゲームを勝ち損ねた、ベルギーのVan Vliet Dennis (2093, かつて私もカペルで試合をしました。) を相手に、今度はきっちりと勝ったようです。こうして2100近い相手に勝ち星を重ね、下に極力ポイントを落とさないようであれば、篠田くんもFIDE 2000 に到達するでしょう。


閑話休題。試合会場は毎年変わらず、こんな感じです。


3R でルーマニアのIM Dumitrache Dragos-Nicolae と試合をする酒井くん, Photo by Kobayashi

年末に学生チャンピオンを獲得した小林くんは、4R でフランスの18歳、 Aubry Yannis(2231) に勝って、下にドローにした分のレイティングを取り戻しています。1800台へのドローで不満そうな様子が目に浮かびますが(笑)、カペルで実際のレイティングより100高いパフォーマンスを残すのは、立派な戦績です。次は再び2300台のマスターと対戦ですので、日本ではあまりできない勉強をしてきてください。

上智大学の部室に、「今年度はFM に3人勝つ」という目標を掲げた尚広くんは、ポーランドのFM Bartel Michal に勝って2人目を達成です。次もベルギーの若いFM が相手ですので、ここで目標を達成して、初戦で負けた分のレイティングを取り戻してきてください。チャンスはいつもあるわけではないですよ!

アジアの大会ではあまり調子が上がりませんが、ヨーロッパではマスターを相手に素晴らしいプレーを見せるのが、唯一の社会人枠、野口さんです。2R でベルギーのIM Milchev Nikolay (2469) を相手にドロー。3R は負けたものの、4R でスコットランドのFM Tate Alan(2342) に勝ちですので、ここまで見事な戦績と言えるでしょう。次はカペルの常連中の常連、フランスのIM Shirazi を相手に、白でポイントを取れるように願っています。


食堂で小さなチェスセットを広げる野口さんと南條くん

そしてここまで皆を引っ張るのは、やはり日本チームレイティングトップの南條くんです。1R でロシアのGM Kharitonov Alexandr (2554, かつて私はカペルで敗れました。)、 2R でウクライナのベテランGM Eingorn, Vereslav (2556、かつて紹介したこちらの本の著者です。)、4R でフランスのGM Lagarde, Maxime (2514、一昨年来日した、GM Vachier-Lagrave Maxime とは別人です。) とドローで、2500近いパフォーマンスを残しています。

南條くんは次に、4年前のカペルで私が対戦し、ハンガリーでもお世話になったクロアチアのGM Lalic Bogdan とペアリングが組まれており、なかなかハードな当たりが続きます。Lalic はここまでFacebook でカペルの棋譜を全て公開していますので、南條くんとの試合もすぐに出るでしょう。更新後、追加で棋譜を貼らせてもらおうと思います。カペルでは下を相手にのらりくらりとしたチェスを指し、黒ならばドローも厭わないLalic を相手に、南條くんがどのようなプレーを見せるか、楽しみにしておきましょう。


最後にカペルの食堂ごはん。こちらに飽きたら、たまには町での食事も楽しんでください。

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