2023/05/17

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第19回予告

5月のOPENREC の講座案内です。今月は今週末の日曜日、5/21 20時からスタートです。

5月のOPENREC の講座テーマは『Common Mistakes』 です。チェスの試合では、頻出するミスのパターンというものが存在します。個人の悪い癖である可能性もありますが、特定のポジションでどう指すべきか、またはどう指すべきではないかという知識不足が要因であることが多いと私は考えています。今回はチェスのロジックとあわせて、そうした試合中のよくあるミスを見ていこうと思います。冒頭30分の無料視聴は可能ですので、サブスク登録がまたのかたはこの機会にぜひよろしくお願いいたします。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第19回『Common Mistakes』| 2023.05.21
NCS サブスク登録 (OPENREC)

2023/05/09

Japan Chess Championship 2023 Day5 Tournament Report

5日間に渡る全日本選手権も、無事に最終戦を迎え閉幕しました。9試合を終え、8勝1敗となった南條くん、Tuさんの2人でしたが、タイブレークの本当にごくわずかの差で南條くんが優勝を決めました。もし直接対決の結果がタイブレーク上位に用いられていれば、南條くんに直接勝っているTuさんの優勝でした。本当にどちらが優勝でも全くおかしくなかった、大接戦の全日本選手権となりました。各セクション含め、入賞者の皆さん、おめでとうございます!

1st Place Nanjo Ryosuke 8/9
2nd Place Tran Thanh Tu 8/9
3rd Place Kojima Shinya 7/9
4th Place Aoshima Mirai 6.5/9
5th Place Matsuo Tomohiko 6.5/9

Japan Chess Championship 2023 Final Standings


私は最終戦、Alexとの試合を白番で制し、7Pで並ぶわずかな可能性にかけましたが、上位2名もきっちり勝ち、3位でにフィニッシュでした。最終戦の結果は順位に直結しますが、入賞した上位5名は全員が最終戦を勝っているんですね。また今大会の振り返りを細かくし、力をつけて次のビッグトーナメント、ジャパンチェスクラシックスに備えたいと思います。

Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Averbukh, A (CM, JPN, 2153)
Japan Chess Championship 2023 (9)

1. Nf3 e6 2. c4 f5 3. g3 Nf6 4. Bg2 d5 5. O-O Be7 6. d4 Ne4 7. b3 Nc6 8. Bb2 h5!?

Alexとの試合ではこれまで何試合かStonewall Dutchを指しており、今回もそうなる可能性はあると思っていました。黒がキャスリングを放棄、もしくはクイーンサイドキャスリングを見据えてhポーンを伸ばしてくるのは少し驚きでした。しかし、実戦例もいくつかあるようです。黒は将来的なキングの安全性とアタックのスピード、全体のバランスをとるのがなかなか難しいと思います。

9. Nc3 h4 10. e3 hxg3 11. hxg3 Bf6?!


e5のマスを受けるアイディアは分かりますが、少し消極的に見えます。検討戦では11... Bb4! 12. Ne2 Qf6 13. a3 Bd6 と進む変化を考えましたが、これはコンピュータ評価は黒が良いようです。e2-e3からe2のマスにナイトを退くアイディアは、キングサイドのカバーやNc3-Ne2-Nf4-Nd3と使いますが、本譜ではe2にクイーンを上げてルークを連携することにしました。

12. Qe2 a6 13. Rfd1 Qd7 14. Ne5!

ここは十分準備もでき、ナイトを跳びこんでセンターを開く良いタイミングだと感じました。黒のプランであるg7-g5からh7にクイーンを振ってキングサイドを攻めるのは理解できますが、キングを危険なまま、a8のルークを置き去りにしたままやるほどの価値があるプランだとは思えません。

14... Bxe5 15. dxe5 Qf7


早々にd5のポーンを諦めてきたのには驚きました。15... Nxc3 16. Bxc3 Ne7 17. Bb4 c6 18. Rac1+- でも白のアドバンテージは十分で、黒はe7のナイトのせいでクイーンを7段目から横に振るというオリジナルの作戦が使えません。ただし本譜の形勢もかなり厳しいものです。

16. cxd5 exd5 17. Nxd5 Be6 18. Nf4 g5 19. Nxe6 Qxe6 20. Rac1+/-

白は1ポーンアップ+ダブルビショップで、ルークも両方活用できています。唯一気にすべきはhファイルからの反撃ですが、最悪クイーンを先頭にh2のマスでチェックされても、f1に逃げたキングに追撃はありません。

20... Kf7 21. Qc2!


この手は最初はe4を取ってさらにポーンアップするつもりでしたが、g2のビショップが抜けることでキングの守りが薄まることが気になります。指すことを決める直前で、g3-g4からf5のポーンを崩し、e4のナイトを不安定にする狙いと組み合わせることで、21. Qc2は力をはっきりすることに気づき、自信をもって指すことができました。

21... Rh6 22. g4! Rh4 23. f3 Ng3 24. Qf2 f4 25. exf4 gxf4 26. Qd2

g3にナイトをおびき寄せ、生命線となるf4のポーンを落とせばナイトは逃げ場がなく、勝負は決まると考えました。h1でのチェックは気になりますが、再びクイーンがf2から離れたことでKg1-Kf2と逃げられるようにもなっているので、最悪hファイルに2つヘビーピースを重ねられても怖くはないでしょう。

26... Kg6 27. Rc4! Rf8 28. Re1!


この手はe2のマスを守ることでNg3-Ne2+の反撃を防ぎ、f4のポーンを落とすのが第一の狙いです。(今大会e2でのナイトフォークを見落とし、中原くんとの試合では大変な目に合うところでした) 第二の狙いはe5のパスポーンを後ろから支え、クイーンがどいた際にe5-e6と進めるようにすることです。黒はf4のポーン、g3のナイトを連続で取られるか、eポーンが進むことを許すかどちらかです。

28,,, Qf7 29. e6 Qh7 30. Qd3+ Kg5 31. Rc5+ Kh6 32. g5+ 1-0

5/3 10:30 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Karmalkar, D (IND, 1848) 1-0
5/3 15:30 R2 Nagataki, K (JPN, 1965) - Kojima, S (IM, JPN, 2334) 0-1
5/4 09:30 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Okabe, Y (JPN, 1900) 1-0
5/4 14:30 R4 Tran, TT (CM, JPN, 2412) - Kojima, S (IM, JPN, 2334) 1-0
5/5 09:30 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Otsuka, S (JPN, 2137) 1/2-1/2
5/5 14:30 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Nakahara, K (CM, JPN, 2095) 1-0
5/6 09:30 R7 Aoshima, M (FM, JPN, 2343) - Kojima, S (IM, JPN, 2334) 1/2-1/2
5/6 14:30 R8 Yonemitsu, K (JPN, UR) - Kojima, S (IM, JPN, 2334) 0-1
5/7 09:30 R9 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Averbukh, A (CM, JPN, 2153) 1-0

最後になりますが、大会運営とスポンサー、そしてGWO含め、参加されたプレーヤーの皆さん、5日間お疲れ様でした。そしてありがとうございました。また次のトーナメントでお会いできることを楽しみにしています。

2023/05/06

Japan Chess Championship 2023 Day4 Tournament Report


全日本選手権4日目です。この日は午前中、青嶋くんに黒で当たり、難しいルークエンディングでしたが最終的にはフィリドールポジションまで指してドロー。評価値を見ても勝ちのチャンスは無かったようです。続く午後のラウンドは話題の新星、米満くんとの試合になりました。全日本選手権初参加でFIDEレイティングはありませんが、ここまでパフォーマンスは2150近くになっています。

Yonemitsu, K (JPN, UR) - Kojima, S (IM, JPN, 2334)
Japan Chess Championship 2023 (8)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nf3 e6 5. Be2 Ne7 6. O-O Bg6 7. Nh4

この手は昔、弘平くんに少し違うタイミングで指されて勉強しました。黒はビショップナイトの交換はあまり気にならず、d4の守りが薄くなったことをついてすぐセンターに反撃します。

7... c5 8. Nxg6 hxg6


このポーンストラクチャーは白のナイトがNb1-Nd2-Nf3まで行ければさほど問題ありませんが、その暇がなければ開いたhファイルからのプレッシャーは怖く見えます。

9. dxc5 Nd7 10. Bb5 Nc6 11. c4 dxc4

11... a6! 12. Bxc6 bxc6 13. cxd5 cxd5=/+ このタイミングでaポーンを突くのは見落としていました。d5の守りが厚くなれば、白のc2-c4はさほど怖くなく、黒はゆっくりc5,e5を取り返して指しやすい局面になるでしょう。

12. Be3 Qh4 13. h3 Ndxe5 14. Na3 Be7 15. Qa4 O-O


白のクイーンがf3のマスの守りから離れたのはかなり驚きました。c6取りがチェックになるうちはNe5-Nf3+は決め手にならず、本譜のキャスリングかキング避けかかなり悩みました。15... Kf8!? 16. Rfd1 (16. Rfc1? Nd4! 17. Nxc4 (17. Bxd4 Nf3+! 18. Kf1 Qxd4 19. gxf3 Bxc5 20. Rc2 Rxh3 21. Qxc4 Qxc4+ 22. Rxc4 Bxa3 23. Kg2 Rh5-+)) (16. Nxc4?? Nf3+ 17. Kh1 Qg4!-+ は黒が期待するメイト受け無しの形です) 16... Nd4 17. Nxc4 この局面は形勢不明ですが、Ne5-Nf3+を絡めてd4にナイトが跳びこめれば黒は面白いでしょう。

16. Nxc4 Nxc4 17. Qxc4 Qxc4 18. Bxc4 Rac8

時間を使って悩んだ末、シンプルにピースを消してエンドゲームに持ち込むことにしました。一見するとダブルビショップを持ち、クイーンサイドにポーンマジョリティを持つ白が良さそうですが、黒はナイトとビショップの組み合わせでd4のマスを抑える作戦があり、白がうかつにクイーンサイドを伸ばせばそのポーンがターゲットになる可能性もあります。ここでは早めに白のb2-b4を警戒する18... a5もあったようです。

19. Rac1 Rfd8 20. Rfd1 Bf6 21. Rb1?


この手はポーンを守っているようで守れていません。b2を捨てた後のルークbファイルに回る反撃は、b7を取った際にNc6-Na5が返しになります。21. b3 Bd4 と進め、黒マスビショップを交換してd4のマスを抑えるナイトvs.白マスビショップの構図で戦うのが私の読みでした。

21... Rxd1+ 22. Rxd1 Bxb2 23. Be2 Rc7=/+

7段目を守り、c5のポーンも弱いのでポーンの代償は不十分でしょう。ここからルーク、ないしは黒マスビショップ交換ができれば黒は局面を改善し、勝ちに近づくことになります。

24. Bf3 Kf8 25. Kf1 Ke7 26. g4 f5?


しかし、ここはうっかりしていました。f5,e5にポーンを並べる形が良いと思い、白のg4にぶつけるようにfポーンを伸ばしましたが、黒マスビショップの行き場がなくなることを失念していました。26... Rd7 27. Rb1 Be5くらいで焦らず進めるべきです。

27. Be2?


27. Bxc6! bxc6 28. Rb1 Be5 29. f4 Bc3 30. Rb3 Ba5 31. Ra3= 白マスビショップを手放すのは抵抗がありそうですが、狙いは黒のポーンストラクチャーを乱すことではなく、黒マスビショップの行き場を限定し、ルークで追いかけまわすことです。

27... Rd7 28. Rb1 Bd4 29. Kg2 Bxe3 30. fxe3 e5

黒マスビショップを交換したうえでポーンを伸ばせたので、かなり黒は良い形になってきました。白のポーンはバラバラで、どれもターゲットになりうるでしょう。

31. Kg3 Nd8!


b7を守りつつ、c5を狙いやすくします。白キングがg5に侵入を見せてきた際、必要であればNd8-Ne6と指すことも頭にあります。

32. Bc4 Rc7 33. Kh4 Rxc5 34. Bb3 Rc3 35. gxf5 gxf5 36. Rg1 Rxe3

36... Kf6 37. Kh5 e4 としてe5にキングの逃げ場を作る手は見えていませんでした。いずれにせよe3が落ちれば黒の2コネクテッドパスポーンを止める方法はありません。

37. Rxg7+ Kd6 38. Rg1 Nc6 39. Rg6+ Kc5 40. Rg3 Kd4!


すでに残り1分でしたが、白のhポーンは反撃に遅いと感じてルーク交換を受け入れることにしました。ビショップが黒のパスポーンを止めつつ、黒のナイトがhポーンを止めにいく妨害ができるかどうかがポイントです。

41. Rxe3 Kxe3 42. Kg5 f4 43. h4 f3 44. Bc4 e4


この手はfポーンだけに頼らないことだけでなく、Nc6-Ne5のチャンスを作ることも狙いになっています。ナイトを切ってhポーンを消してしまえば、2つのパスポーンはビショップに止められることなく黒勝ちです。

45. Kf6 Kd4! 46. h5 Kxc4 0-1

Nc6-Ne5が防がれても、キングが下がる手がビショップに当たるテンポを取りつつ、eポーンも進める準備になるため黒の勝ちです。これで6/8となり、最終日の9Rを迎えます。

Japan Chess Championship 2023 R9 Pairings
Japan Chess Championship 2023 R9 実況解説(Youtube)
Japan Chess Championship 2023 ボード中継(Chess.com)

5/3 10:30 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Karmalkar, D (IND, 1848) 1-0
5/3 15:30 R2 Nagataki, K (JPN, 1965) - Kojima, S (IM, JPN, 2334) 0-1
5/4 09:30 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Okabe, Y (JPN, 1900) 1-0
5/4 14:30 R4 Tran, TT (CM, JPN, 2412) - Kojima, S (IM, JPN, 2334) 1-0
5/5 09:30 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Otsuka, S (JPN, 2137) 1/2-1/2
5/5 14:30 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Nakahara, K (CM, JPN, 2095) 1-0
5/6 09:30 R7 Aoshima, M (FM, JPN, 2343) - Kojima, S (IM, JPN, 2334) 1/2-1/2
5/6 14:30 R8 Yonemitsu, K (JPN, UR) - Kojima, S (IM, JPN, 2334) 0-1
5/7 09:30 R9 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Averbukh, A (CM, JPN, 2153)

最後はAlexに白を持つことになりました。これまで全日本選手権を始め、様々な国内大会で対戦してきた相手です。ここを勝って1PリードしているTuさん、南條くんに追いつくチャンスを少しでも作りたいと思います。

2023/05/05

Japan Chess Championship 2023 Day3 Tournament Report


今日は手ごわい大学生との連戦でした。中継ボードに上がった3Bでの大塚さんとの試合は、中盤のミスでまずい局面にしてしまいましたが、なんとか異色ビショップでドローにしました。連日異色ビショップの負けにならなくて良かったです。続く6Rは4Bに下がり、中原くんとの試合を迎えます。

Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Nakahara, K (CM, JPN, 2095)
Japan Chess Championship 2023 (6)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 Be7 5. Bf4 c6 6. e3 O-O 7. Qc2 Qa5? 8. Nd2!

QGD Bf4ラインの少し変わった形になりました。何回か早いQd8-Qa5は経験していますが、Nf3-Nd2と退いておく手が良く、e4のマスをカバーしておきつつ、c4を取られた際にナイトで取り返し、クイーンをアタックするテンポを取れるようにします。

8... Nbd7 9. Bd3 c5 10. O-O


ここはd5,c5を連続で取って黒に孤立ポーンを作る判断もありますが、本譜のように進めても展開の早さで白が大きく有利なポジションです。

10... cxd4 11. exd4 dxc4 12. Nxc4 Qh5 13. Rfe1 a6 14. Re3 g6 15. Rae1!?

ここはすでに勝負所で、白は黒クイーンの危険な位置を利用し、一気にゲームを決めるチャンスだと感じました。しかし、30分以上考えても最も良い変化が分かりませんでした。15. Rh3 Qg4 16. Bh6 Nd5 (次にf2-f3でクイーンを追い、d4を取らせてBh6-Be3と戻る手がクイーントラップになります。これは読めていたのですが、黒がエクスチェンジを諦めた際に自信がありませんでした。) 17. Ne3! Qxd4 18. Ncxd5! exd5 19. Nf5! Qf6 20.Bg7!+- こんなクイーンの捕まえ方があるんですね。d4を捨てる変化は考えましたが、Nc4-Ne3-Nf5が分かりませんでした。

15... Qg4 16. Rf3!


この手はビショップを守るだけでなく、e3のマスをナイトのために空け、クイーンを追う狙いがあります。

16... b5 17. Ne3 Qh4 18. Ne2! Nh5 19. Bh6!?

h6のマスにビショップ、ナイトのどちらを運ぶか悩みましたが、ナイトがよりシンプルだったようです。19. Rh3 Qf6 20. Ng4! Qh8 21. Nh6+ Kg7 22. Rxh5! gxh5 23. Qc6+-

19... Rd8 20. Rh3 Qf6 21. Ng4


試合後に21. g4! でナイトが落ちていたことを指摘されました。これは恥ずかしながら気づいていなかったのですが、私はすぐの駒得よりもクイーンを隅に追いやって満足だと考えていました。

21... Qh8 22. Qc7 f5 23. Qc6

f7-f5は読み通りの手で、e6が弱くなったことを利用してメイトスレットとルーク取りのダブルスレットを仕掛けます。コンピュータの示す変化はさらに驚きで、23. Re3! fxg4 24. Rxe6+- でビショップの逃げ場がなく、ピースを取り返して白勝勢というものです。

23... Nf8 24. Qxa8 fxg4 25. Re3


これでエクスチェンジアップになり、白の勝勢なのですが、事件の起こりそうな瞬間が1回だけありました。

26... Qf6 26. Qe4 Qh4 27. Bf4 Nf6 28. Qc6 Nd5 29. Re4 Nb4 30. Qc3 Bb7 31. Bg3 Qh6 32. Rxg4 Rc8 33. Qb3 Qh5 34. h3 Bd5 35. Qd1 Bxa2 36. Nf4 Qh6 37. Bb1 Bc4 38. b3 Bd5 39. Nxd5 Nxd5 40. Be5 Bb4 41. Rf1 Nd7 42. Be4 Nc3 43. Qd3 Kf7 44. Qf3+ Ke7 45. Rf4??

センターに寄ってきたキングに迫れると思い、時間のない中で指してしまいました。45. Bf4! ならば何もなく白勝勢のままです。

45... Ke8??


45... Nxe5! 46. dxe5 Qxf4! 47. Qxf4 Ne2+-+ なんとクイーンを切ってからナイトフォークでクイーンを取り返せます。ルークを丸々取られては駒数が完全に逆転し、黒勝勢でした。

46. Bb7 Nxe5 47. dxe5 Qxf4 48. Qxf4 Ne2+ 49. Kh2 Nxf4 50. Bxc8+-

キングを先に逃げてしまった黒は遅れてクイーン切りからのナイトフォークに気づきましたが、白もルークを当てていたので単に交換が進み、白がエクスチェンジアップのまま勝てそうなエンドゲームに突入しました。

50... a5 51. Rd1 g5 52. Bd7+ Kf8 53. Bxb5 Bc3 54. Rd7 Bxe5 55. g3 Nd5 56. Rxh7 Bg7 57. Rh5 Bf6 58. Bc4 Kf7 59. Bxd5 exd5


ルークがつかまることもないため、ピースを消してしまえば白勝ちとなります。

60. Kg2 Kg6 61. g4 Be5 62. h4 Bf4 63. Rxg5+ Bxg5 64. hxg5 d4 65. f4 1-0

最後はエクスチェンジを返して、勝ちのポーンエンディングにすることでゲームを終わらせました。大塚さんとのドローは痛かったですが、ここで勝てたので残り3試合に望みを繋げて、引き続き頑張ろうと思います。

Japan Chess Championship 2023 R7 Pairings
Japan Chess Championship 2023 R7 実況解説(Youtube)
Japan Chess Championship 2023 ボード中継(Chess.com)

5/3 10:30 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Karmalkar, D (IND, 1848) 1-0
5/3 15:30 R2 Nagataki, K (JPN, 1965) - Kojima, S (IM, JPN, 2334) 0-1
5/4 09:30 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Okabe, Y (JPN, 1900) 1-0
5/4 14:30 R4 Tran, TT (CM, JPN, 2412) - Kojima, S (IM, JPN, 2334) 1-0
5/5 09:30 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Otsuka, S (JPN, 2137) 1/2-1/2
5/5 14:30 R6 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Nakahara, K (CM, JPN, 2095) 1-0
5/6 09:30 R7 Aoshima, M (FM, JPN, 2343) - Kojima, S (IM, JPN, 2334)
5/6 14:30 R8
5/7 09:30 R9

3日目は白連続だったため、明日の青嶋くんとの試合は黒を持つことになりました。上位に食らいついて大会を盛り上げていきたいですね。

2023/05/04

Japan Chess Championship 2023 Day2 Tournament Report

全日本選手権2日目です。午前の試合ではユースチャンピオンの岡部くんとの対戦となりました。

Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Okabe, Y (JPN, 1900)
Japan Chess Championship 2023 (1)

1. Nf3 Nf6 2. c4 g6 3. Nc3 Bg7 4. d4 O-O 5. g3 d6 6. Bg2 Nc6 7. O-O Bg4

この変化は11年前にLondon Chess Classic で指した際に勉強しました。

8. d5 Na5 9. Nd2 c5 10. h3 Bd7 11. Qc2 a6 12. b3 b5 13. Bb2 Rb8 14. Rab1 e5 15. e4?!


記憶の中でe4,e5で互いにポーンがぶつかっている形だったため、Bg7-Bh6は気になりつつ、ここもポーンをぶつけるべきだろうと考えました。15. dxe6と取るのが正しかったようですが、a5のナイトがc6経由で戻れるのが気になります。

15... Qc7?!


15... bxc4 16. bxc4 Bh6! 17. f4 Nh5 18. Ne2 f5は黒も面白い展開です。f2-f4がつければ良いかと思っていましたが、g3が弱くなることに黒はつけこんでチャンスを作れそうです。

16. Ne2!

11年前の試合は14... Qc7 15. e4 e5でこの試合と合流しました。その試合では16. Nd1?! と指しましたが、16. Ne2 からf4.g3をカバーし、f2-f4を狙うほうが良い手であると学びました。

16... Ne8 17. Bc3 b4 18. Bb2 f5 19. f4 Nf6


このf4,f5でのポーンのぶつかり合いは、取られた際にナイトが好位置にいける白のほうが基本的には良いと考えます。黒がa5のナイトの位置を改善する前に白はなんとかしたいところです。

20. Rbe1 Rbe8 21. Kh2

白からf5を取る手はどちらで取られても嫌かと思っていましたが、コンピュータは難しい変化を示します。21. exf5 Bxf5 (21... gxf5 22. Nf3 e4 23. Ng5 h6 24. Ne6 Bxe6 25. dxe6 Rxe6 26. g4!+/- これは典型的な形ながら、e6で先にポーンを捨てるのは勇気がいります) 22. Qd1 Nb7 23. g4 Bd3 24. fxe5 dxe5 25. Rxf6 Bxf6 26. Nc1!+/- これでビショップがトラップになります。

21... Nb7 22. Nc1?!


e2のナイトはf4を取られた際に取り返す要員でしたが、局面を動かすためにNe2-Nc1-Nd3の組み替えに踏み切りました。

22... Qc8?

22... exf4! 23. gxf4 fxe4 24. Nxe4 Nxe4 25. Bxe4 Qd8! と進んだ際、Qd8-Qh4が反撃として十分です。f4が孤立になることはさほど気にしていませんでしたが、こうなるとd3に組んでもf4を守っているだけで少し消極的に感じます。

23. fxe5! dxe5 24. Nd3 Nxe4 25. Nxe4


ここはどちらで取り返すか悩みましたが、ビショップはキングの守りとして残すことにしました。キングの守りを気にしないのであれば、ビショップを手放してe4のアウトポストにナイトを残す作戦もありえます。25. Bxe4 fxe4 26. Rxf8+ Rxf8 (26... Kxf8 27. Nf2!) 27. Nxe4 Bxh3 28. Nxe5+- e4にナイトが残れば、Nb7-Nd6を一時的に止めているのが大きいです。

25... fxe4 26. Rxf8+ Kxf8

e5を捨てる判断は難しいですが、少し進んだ局面で白が勝てるかあまり自信がありませんでした。26... Rxf8 27. Nxe5 Nd6 28. Nxd7 Qxd7 29. Bxg7 Qxg7 30. Bxe4 Re8 31. Re2 Qc3! 32. Bd3 Qxc2 33. Rxc2 この局面は検討でもでてきました。黒はナイトでd6をブロックしたうえ、eファイルを抑えて抵抗します。

27. Nf2!?


h3を気にしてゆっくりポーンを取り返すことにしましたが、h3を取らせてもタクティクスですぐ取り返せます。27. Bxe4 Bxh3 28. Qf2+! Kg8 29. Bxe5! Bxe5 30. Nxe5 Rxe5 31. Bxg6!+- このメイト狙いのディスカバードアタックは気づきませんでした。

27... Nd6 28. Nxe4 Nxe4 29. Qxe4 Bf5 30. Qe3

これでパスポーン+c5,e5と2つのターゲットを持つ白は十分有利だと感じました。しかし、1つ落とし穴がありました。

30... Qc7 31. a3! a5 32. axb4 axb4 33. Ra1?


aファイルを開き、そこからルークを活用するのが勝つための自然なプランだと感じました。しかし、ここは33. Be4!と先にポーンをブロックしておく必要があります。

33... Kg8?

33... e4! 34. Bxg7+ Kxg7 35. Ra6 Qe5!= e5-e4の押し込みは警戒していたつもりでしたが、これでQe5-Qd4を狙われると厄介です。

34. Ra6! Bf8 35. Rc6 Qa7


もう1つのクイーンの位置ならば、ポーン捨てからd5のマスを空けてチャンスがあります。35... Qb8 36. d6! Bxd6 37. Qd2 Bf8 38. Qd5+ Kg7 39. g4 Bc2 40. Rc8!! Qxc8 41. Bxe5+ Kh6 42. g5+ Kxg5 43. h4+ Kh5 44. Bf3+ Kh6 45. Qd2+ g5 46. Qxg5#

36. d6 e4 37. Rc7 Qa2


37... Qa6 38. d7 Rd8 39. Bxe4+-も問題なく白勝ちです。

38. Qd2 Bxd6 39. Rg7+ Kh8 40. Re7+ 1-0

この試合は良かったのですが、次にトップボードでTuさんと当たり、エンドゲームを間違えて負けてしまいました。こちらは分析もなかなか難しいので、また別の機会に回そうと思います。1つ負けてしまいましたが、昨年はドロー2つで3/4スタートでしたので、気を取り直して明日からも頑張ろうと思います。

Japan Chess Championship 2023 R5 Pairings
Japan Chess Championship 2023 R5 実況解説(Youtube)
Japan Chess Championship 2023 ボード中継(Chess.com)

5/3 10:30 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Karmalkar, D (IND, 1848) 1-0
5/3 15:30 R2 Nagataki, K (JPN, 1965) - Kojima, S (IM, JPN, 2334) 0-1
5/4 09:30 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Okabe, Y (JPN, 1900) 1-0
5/4 14:30 R4 Tran, TT (CM, JPN, 2412) - Kojima, S (IM, JPN, 2334) 1-0
5/5 09:30 R5 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Otsuka, S (JPN, 2137)
5/5 14:30 R6
5/6 09:30 R7
5/6 14:30 R8
5/7 09:30 R9

負けても中継ボードにはなんとか残りました。4連勝の3人の行方を見守りつつ、私も追撃したいですね。折り返しとなる明日もよろしくお願いいたします。

2023/05/03

Japan Chess Championship 2023 Day1 Tournament Report

昨日お伝えした通り、今日から5日間の全日本選手権がスタートしました。上位3ボードが中継されるため、私はぎりぎり中継外での初戦です。日本の国内大会でリスト4以下は、もしかすると10年以上経験していないかもしれません。初戦はインドのKarmalkarさん相手に面白いゲームができました。

Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Karmalkar, D (IND, 1848)
Japan Chess Championship 2023 (1)

1. Nf3 Nc6 2. d4 d5 3. Bf4 Bg4 4. e3 e6 5. c4 Nf6 6. Nc3 Bb4 7. Rc1 Ne4

このChigorin Defenceの変化は何回か経験があります。2013年の全日本選手権のAlexとの試合では、7... Qe7 8. Bg5!? h6 9. Bxf6 Qxf6 10. cxd5 exd5 11. Be2 と進み、白が満足なポジションになりました。

8. h3 Bf5 9. Qb3?!


f5にビショップを下がられた手が意外で、どう指せば良いか悩みました。d5を早く交換する手はクイーンで取られるのが嫌だったのですが、9. cxd5 Qxd5 10. Bd3! と進め、a2 を捨てても展開の早さで白OKというのがコンピュータの評価です。

9... Bxc3+?

クイーンサイドのポーンの形だけ見ればQGD Ragozin などでありそうですが、黒はまだキャスリングしていません。ビショップを放棄してクイーンサイドを抑え込むには準備が足りていません。

10. bxc3 Na5 11. Qb4


最初はクイーンの位置としてa4を考えていましたが、いずれにせよ黒がcポーンを突くしかないのであれば、a3-f8ダイアゴナルを抑え、キャスリングを妨害するほうが得策であると気づきました。

11... c5 12. Qb5+ Kf8 13. cxd5 a6 14. Qb2 exd5 15. Be2

黒にキャスリングを諦めさせてだけでも満足ですが、ここからさらにどうするかアイディアを練ります。c5のポーンを取って局面を開けば、白の使いやすいルークと黒の使いにくいルークの差が顕著になります。ポーンを取るタイミングは難しいですが、黒からc5-c4と突いて固めても、展開の遅さが問題の黒は悪いだろうと考え、本譜のタイミングにしました。早いタイミングでのポーン交換は、Ne4-Nc5-Nd3を気にする必要がでてきます。

15... Kg8 16. O-O Rc8?


黒のチョイスも悩ましいですが、本譜のように進むと白がはっきり勝勢なので、16... c4 と固める最後のタイミングはここでした。

17. dxc5! Rxc5 18. Rfd1 Qc8 19. c4!

このポーン捨てからdファイルとa1-h8ダイアゴナルを開くアイディアは強烈で、h8のルークがゲームに参加できず、バックランクの弱さを抱える黒が厳しい局面になります。

19... dxc4


19... Nxc4 20. Bxc4 Rxc4 21. Rxc4 dxc4 22. Qb6 Bd7 23. Ne5+- c4で多少駒を捌いても、Qb2-Qb6が強烈なアイディアです。

20. Qb6! Bd7


白はシンプルに開いたdファイルから、d8へのルーク跳びこみを狙います。20... Nc6 21. Bxc4!+- とポーンを簡単に取り返す変化も、f7への攻撃がきつく白勝勢です。

21. Ne5! Rxe5 22. Bxe5 Nc6 23. Rxc4 f6 24. Bh2 Ng5 25. Rxc6!+-

すでにエクスチェンジアップですが、ここで一時的にエクスチェンジを返す手が決め手になります。黒はどう取り返しも、h8の閉じ込められたルークと、バックランクの弱さが問題になります。

25... Bxc6


クイーンをすぐに捨ててくるのは意外でしたが、他の手も全て白勝勢です。25... Qxc6 26. Qxc6 Bxc6 27. Rd8++-. 25... bxc6 26. Bxa6 Qe8 27. Bc4+ Ne6 28. Qc7!+-

26. Rd8+ Kf7 27. Rxc8 Rxc8 28. Bc4+ Kg6 29. h4 Be4 30. Qd4 b5 31. Bf1 Nh3+ 32. gxh3 f5 33. Qd6+ Kh5 34. Be2+ Kxh4 35. Qg3# 1-0

続く長瀧くんとの試合はCaro-Kann Classicalのメインラインから、簡単に黒が全てのマイナーピースを捌いて満足なポジションになり、そこからポーンを掠めとって勝ちました。最後はメイトになり、2試合連続でのメイト勝利という珍しいスタートでした。この調子で明日以降も頑張ります。

Japan Chess Championship 2023 R3 Pairings
Japan Chess Championship 2023 R3 実況解説(Youtube)
Japan Chess Championship 2023 ボード中継(Chess.com)

5/3 10:30 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Karmalkar, D (IND, 1848) 1-0
5/3 15:30 R2 Nagataki, K (JPN, 1965) - Kojima, S (IM, JPN, 2334) 0-1
5/4 09:30 R3 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Okabe, Y (JPN, 1900)
5/4 14:30 R4
5/5 09:30 R5
5/5 14:30 R6
5/6 09:30 R7
5/6 14:30 R8
5/7 09:30 R9

初日連勝は14人で、2日目も面白いペアリングが目白押しです。参加者の皆さん、明日もよろしくお願いいたします

2023/05/02

Japan Chess Championship 2023 Tournament Preview

昨年の全日本選手権入賞者たち

明日から5日かけ、チェスの全日本選手権が開催されます。今年は参加者67名とかつてない規模になりました。昨年の全日本選手権で優勝争いをした青嶋さん、Tuさん、私に加え、南條くんも4年ぶりの全日本選手権参加となり、上位勢の争いも激しくなりそうです。すっかりおなじみになったChess.comでの中継、および日本チェス連盟Youtubeチャンネルでの解説もありますので、参加されないかたはゴールデンウイークを各々楽しみつつ、隙間時間に観戦していただければと思います。私はリスト4のため、中継ボード外からのスタートになりますが、3日目、4日目あたりから中継に入れるようポイントを取っていきたいと思います。

Japan Chess Championship 2023 R1 Pairings
Japan Chess Championship 2023 R1 実況解説(Youtube)
Japan Chess Championship 2023 ボード中継(Chess.com)

5/3 10:30 R1 Kojima, S (IM, JPN, 2334) - Karmalkar, D (IND, 1848)
5/3 15:30 R2
5/4 09:30 R3
5/4 14:30 R4
5/5 09:30 R5
5/5 14:30 R6
5/6 09:30 R7
5/6 14:30 R8
5/7 09:30 R9

それでは参加者および運営の皆さん、明日から5日間よろしくお願いいたします。私も13年ぶりの全日本優勝目指して頑張ります!

2023/04/15

Tokai Open 2023 Tournament Preview


あと3週間ほどで全日本選手権の開催を迎えますが、その先の大会の予告をしておきます。名古屋チェスクラブが主催する東海オープンに今年は参加することを決めました。最後に参加した2020年には無事に優勝することができましたが、2021年、2022年はコロナの影響を考慮して参加を見送りました。名古屋オープン、中部快速オープンは参加していますが、それとは別に3年ぶりの東海オープンを楽しみにしています。

【日時】 2023年5月28日(日)
【会場】 名古屋市芸術創造センター (地下鉄東山線、新栄町駅)
【形式】 スイス式4R、30分+1手30秒
【参加費】 5000円、U18 4000円
【主催】 名古屋チェスクラブ

その他大会詳細は名古屋チェスクラブの大会ページをご確認ください。

エントリーリストを見ると、こちらの記事公開時点で残り参加枠は10名弱になっているようです。参加をご検討のかたは定員に達しないうちにお申し込みください。来月、名古屋でお会いできることを楽しみにしています。

2023/04/14

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第18回予告

4月のOPENREC での講座案内です。今月は今週末の日曜日、4/16 20時からスタートです。白熱中の世界選手権と一緒にお楽しみください。

4月のOPENREC の講座テーマは『Flexibility』 です。チェスでは攻め合いのスピード勝負になることもありますが、方向性をすぐに決めず、相手の手を見てから柔軟に自身の作戦を決めるほうが、選択の幅が広く残っており有効な場合も多々あります。どのような手がFlexibility(柔軟性)があり、自身のチャンスを広げるのか、逆に相手の選択の幅を狭める手はどのようなものか。これらを中心にゲームを見ていこうと思います。冒頭30分の無料視聴は可能ですので、サブスク登録がまたのかたはこの機会にぜひよろしくお願いいたします。

プロプレーヤー小島慎也のチェス講座 第18回『Flexibility』| 2023.04.16
NCS サブスク登録 (OPENREC)

2023/04/04

麻布学園チェス部春合宿2023

報告が遅くなりましたが、先月末に母校、麻布学園のチェス部春合宿にコーチとして参加してきました。2020年からの新型コロナ流行により、春合宿の開催は4年ぶりのこと。当然ながら私の参加も4年ぶりとなります。懐かしい気持ちで、2018年の夏合宿と同じ、山梨県の河口湖駅に降り立ちました。帰りはバスですが、行きは京王線、JR、富士急行線などを乗り継いで昼前に到着しました。
合宿所で前日から来ていたチェス部の現役部員たちと合流し、昼食後からチェスを始めます。初めて合宿に参加するメンバーもいる中で、久々の合宿メニューをどうするか悩みましたが、最初は「チェスは○○ゲーム」 というテーマで、○○に入るものを自由に考えてもらいました。(相手キングを追い詰める、だけは一番出やすそうなので無しにします) チェスがどんなゲームかまずは皆でイメージし、様々なアイディアを出しあうことで、その後の講座を進めやすくする狙いでしたが、「チェスは戦略立てるゲーム」 「チェスは違う特性の駒を使うゲーム」 「チェスは駒の連携が大事なゲーム」など様々な意見を出してくれて、私自身このミニゲームを楽しめました。

その後、Nimzowitsch の試合を解説し、途中途中でどう指すか質問しながら、チェスの局面の考え方、手の作り方などを説明していきました。時間が少し余ったときには、有名なスタディを2人1組で解いてもらいます。先輩、後輩が力を合わせながら、ああでもない、こうでもないとアイディアを出し合うのは、過去の合宿でもOBたちが繰り返してきたことです。夕飯前には私の講座を中断し、12人の部員同士で試合をする時間設けます。私は全6試合を見回りましたが、ちょっとした面白いポジションが現れました。
Position after 7. Bg5

白がf2-f3 と突いたのがすでに変ですが、それとBc1-Bg5 の悪さを咎めるアイディアが分かるでしょうか?

7... Nxe4! 8. Bxd8??


8. fxe4 Qxg5 9. Nf3 Qd8-+ と進めてもポーンを失った白は敗勢ですが、粘るならばメイトされる本譜ではなく、こちらを選ばなくてはいけません。

8... Bf2+ 0-1


以下、9. Ke2 Nd4# がぴったりチェックメイトになっています。色が逆ですが、Legal's Mate と呼ばれる200年以上前からあるメイトの1つです。実戦で目の当たりにするとは思いませんでした。黒もよく見逃しませんでしたね。
初日の夜はもう1つNimzowitsch の試合を見てからメニューは終了。2日目を迎えます。いつもはのんびり起きて朝食から合流していましたが、この日は集合時間を確認しておらず、早めに外に出て部員たちを探すと、ちょうどチェス部合宿伝統のゲーム、灯台守をやっているところでした。このゲームを簡単に説明すると、鬼を中心において円形で行う、だるまさんがころんだです。鬼は動いた人の名前を呼ばなければいけないため、部員同士、先輩後輩同士が顔と名前を一致させるのにもってこいのゲームとして、私が現役当初からありました。
また到着初日は曇り空で気づきませんでしたが、合宿所のすぐ裏には富士山が顔を覗かせていました。凄い迫力!

その後、2日目の午前中は恒例の同時対局を行いました。私にとってもかなり久々の対面での多面指しでしたが、なんとか12面全てを勝ち切って、コーチといての面目を保ちました。今回はそこまで部員数が多くなかったことも要因だと思います。過去の合宿では、歴代部長に結構ポイントを落としており、この合宿での同時対局は私にとってハードなメニューです。2日間で教えた内容をすぐに実戦に活かすのは難しいですが、「説明されたのはこういうことだったのか」 と腑に落ちるようなゲームがあったならば幸いです。

次はまたスケジュールが合えば、8月の夏合宿にお邪魔させていただきたいと思います。新年度を迎え、新入部員を増やして賑やかなチェス部になっていくことを願っています。また大会でも後輩たちが活躍するのを楽しみにしています!
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