2014/03/26

Country Roads - Arrive in Thailand -


先程、バンコクのスワナプーム国際空港に到着しました。今夜はバンコク市内の父のところに泊まり、明日の早朝、クラビ経由でランタ島に向かいます。ランタ島はバンコク市民でもほとんど行かないような南の秘島(?)、タイ好きの日本人にもあまり知られていないかもしれません。昨日アップしたランタ島の写真は、ブダペストのアンダンテで知り合った友人が、昨年行った際に撮影してくれたものです。


この地図の中央付近に見える半島のような部分がランタ島です。西側にはタイの有名な観光地、プーケットの名前が見えるでしょう。ランタ島には一番近いクラビから、船で渡ることになります。これほど距離があるのであれば、確かにはるか北のバンコクから訪れる人はそう多くはなさそうですね。

思えば、11月にチェコで参加したPilsen Open の初日、Lanta Open を紹介されたことが、現在こうしてタイにいるきっかけになったわけです。本当にチェスの世界では、何があるか分かりませんね。第2回開催の今年、参加者のレベルや人数はまだわかりませんが、明日から久々のFIDE 戦を再開させますので、気を引き締めてLanta Open の初戦を迎えようと思います!

2014/03/25

Country Roads - Lanta Open and BCC Open -


パタヤビーチに沈む夕日

私がタイに抱く想いというものは、このブログでは多くを語ってこなかったと思います。東南アジアのタイ王国に私が初めて連れて行ってもらったのは、4歳か5歳の頃でしょうか。最初は父の仕事の関係での渡航でしたが、母もタイ関連の仕事をするようになり、この20年、小島家にとってタイは、切っても切り離せない存在となっています。そしてとうとう明日、私の第2の故郷とも呼べるタイに、2011年のBangkog Chess Club Open 以来、3年ぶりに戻ることになります。

チェスを通してタイと関わるようになったのは、私が高校3年生の時に参加したトリノオリンピアードからです。この大会の中盤、日本チームはタイと激突し、私個人は勝ったものの、チームとしては負け。日本のチェスのレベルが、アジアの中でもまだまであることを知ったのです。2007年からはタイでも国際トーナメントが毎年開催されていることを知り、2011年までの5年間は毎年欠かさず、4月の頭にタイへ飛んで、試合をこなしていました。(おかげで大学の新歓活動はサボっていましたw)


ランタ島から臨む海, Photo by Namba

今年はバンコクで開催されるBCCO に南條くんと参加するだけでなく、Czech Tour の一環でもある、ランタ島のLanta Open に芝入さんと参加してきます。スペイン以来となる久々のFIDE 公式戦ですので、とても楽しみであることは言うまでもありません。昨年、3つ目のIMノームを獲得し、IM タイトル獲得まで、あとFIDE レイティングを39上げれば良いだけなので、ここでいくらか稼いできておきたいところですね。ここ数年、ヨーロッパから強豪GM を呼べるようになったBCCO と違い、Lanta Open はまだ今年2回目の開催で、あまり存在も知られていないため、さほど強いプレーヤーも集まらないと予想しています。まずはこちらの7R の大会で、さくっと優勝して弾みをつけ、バンコクに乗り込みたいと思います! 日本とタイの時差は2時間ですので、Lanta Open のスタートは日本時間の27日午後7時からです。BCCO の詳しい情報も、Lanta Open が終わり次第、お知らせしようと思います。


昨年の誕生日、ブダペストを去る前夜の食事

最後はおまけ。幼少期からタイで過ごすことが多かった私は、タイ料理も大好きです。ハンガリーのブダペストでは言わずもがな、アメリカでの大会中に惇多くんと行ったのも懐かしい思い出です。日本のチェス界でも、私にタイ料理に連れていかれた人は少なくないはず(笑) 私を食事に誘う際は、タイ料理が安全牌です。(先月行った、渋谷のタイ料理の写真を消してしまったのはうかつでした...)

Lanta Open Schedule and Results

03/27 17:00 R1
03/28 17:00 R2
03/29 17:00 R3
03/30 17:00 R4
03/31 17:00 R5
04/01 17:00 R6
04/02 17:00 R7

Tournament Information

Lanta Open
BCC Open

2014/03/24

全日本百傑戦 2014 Day3


百傑戦入賞者たち

1日報告が遅れましたが、今年も百傑戦が無事に終了しました。私は最終日の3日目、なんとか連勝となりましたが入賞には一歩及ばず、5位でのフィニッシュです。優勝者たちは5/6 で4人が並び、トーナメントをリードし続けた南條くんがタイブレークで1位の盾を獲得しました。入賞者の皆さん、おめでとうございます!

優勝 南條遼介 5/6 (4勝2ドロー)
2位 松尾朋彦 5/6(4勝2ドロー)
3位 桑田晋 5/6(4勝2ドロー)
4位 権田源太郎 5/6(4勝1ドロー1bye)


私は2日目の小林くんへの負けが痛かったですが、それでも3日目はなかなか面白いチェスが指せたと思っています。5R のChirs とのゲームを公開しておきます。


前日に負けたので、黒い服に戻しました(笑), Photo by Hiebert

Chirs, K - Kojima, S
Hyakketsu 2014 (5)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. h5 Bh7 8. Nf3 Nd7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bf4 Qa5+ 12. Bd2 Bb4 13. c3 Be7 14. c4 Qc7 15. O-O-O Ngf6 16. Ne4 Rd8 17. g4!?



Bd2-Bxh6 がスレットにならないため、黒がショートキャスリングをする前にgポーンを突き捨てるのは、少し早い気もします。17. Kb1 O-O 18. g4!? Nxg4 という手順であれば、Karpov のゲームで見たことがあります。

17... Nxg4 18. Qe2 O-O!?


指してから、18... Ngf6 19. Rdg1 のほうが良かったかとも思いましたが、Ke8-Kf8Rh8-Rg8 でg7 のポーンを守っても、黒はキングの位置という問題が残るので、白がポーンを捨てた代償が多少はあるでしょう。

19. Nh4 f5



試合中、他に考えた変化は、19... Ngf6 20. Rdg1 Kh8 21. Ng6+?! というものですが、これは実際にはうまく決まりませんでした。 21... fxg6 22. hxg6 Ng8! これで黒はh6 を守り、ディフェンスすることができます。

20. Ng6 Rfe8 21. f3?!


ふらりと会場に現れた羽生さんとの検討では、21. Bf4! Qa5 (21... e5!) 22. Nxe7+ Rxe7 23. Nd6+/= ならば、白に十分なポーンの代償があるのではないかということを話し合いました。

21... Ngf6 22. Ng5 Nf8!



最初は私の手持ちのコンピュータエンジンでも、この手を正確に判断できませんでしたが、これで黒はe6 への攻撃をうまく捌き、全ての危機を乗り切ることができます。22... hxg5? 23. Qxe6+ Kh7 24. Qxf5 は明らかに黒にとって良くありません。

23. Nxe6 Bd6!


さらにポイントとなる手です。eファイルを開いてe6 のナイトをピンにすることで、白の攻撃を完全にストップさせてしまいます。もしもクイーンを取り合う流れになっても、c7 のナイトは帰る場所がありません。

24. Ngxf8 Bxf8 25. Bf4 Qc8! 26. Rhe1 Nxh5



ここは26... Bb4!-+ でも単純に勝ちでした。本譜でも問題ありませんが、よりシンプルな手が見えていないのはちょっとまずいかも...

27. Bxh6 Rd6 28. Qh2 Rdxe6 29. Rxe6 Qxe6 30. Qxh5 Qxh6+ 0-1


前日は松尾さんに勝ち損ねましたが、やはりCaro-Kann Classical こそ、私の黒番での生命線だと断言できます。


5R のゲームは、羽生さんと深く検討しました。Photo by Uesugi


最終戦1B、権田-南條戦は、大熱戦のルークエンディングでした。

これで今年度の国内公式戦はすべて終了です。私はすぐにタイに飛んで新しい舞台での戦いが始まりますが、皆さんは新しい環境に身を移す人もいて、少しバタバタするかもしれませんね。少し落ち着いた頃、GW の全日本選手権でまたお会いしましょう。大学生の皆さんは、4月の新歓期、頑張って新たなメンバーを増やしてくださいね!


2014/03/23

全日本百傑戦 2014 Day2


試合前の松尾さんと私, Photo by Hiebert

百傑戦2日目は麻布の13代先輩の松尾さんにドロー、4代後輩の小林くんに負けと、イマイチピリッとしない内容です。初対戦となる松尾さんとのゲームを公開しておきます。

Matsuo, T (CM, JPN, 2195) - Kojima, S (FM, JPN, 2416) -
Hyakketsu 2014 (3)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Kb1 Qb6 14. Ne5 Rd8 15. f4?



まさか松尾さんが、早い段階でこうしたポーンの落ちるミスをするとは予想外でした。罠ではないことを確認してポーンを取りにいきます。

15... Nxe5 16. fxe5 Rxd4 17. Qf3 Nd7 18. Bc3 Rxd1+ 19. Rxd1 Qc7?!


ここは19... Nc5 と指すべきだったのではないかと、試合後に松尾さんに指摘されました。確かに、白の最大の反撃である、Ng3-Ne4 は防いでおくべきでした。

20. Ne4 O-O 21. Nf6+!



この手を見落とすとはひどかったです。マテリアルは1ポーンアップのままですが、キング前を崩されて勝つのが難しくなります。

21... Nxf6 22. exf6 Bxf6 23. Bxf6 gxf6 24. Qxf6 Kh7 25. a3 Rg8 26. Rd2 Rg7 27. Rd8 Qh2 28. Rd7 Qxh5 29. Rxb7 Qd1+ 30. Ka2 Qxc2 31. Rxf7?!


ここは間違いなく、31. Rxa7 と指すべきです。松尾さんはクイーン強制交換のアイディアを見落としていたようです。

31... Qxg2 32. a4 Rxf7 33. Qxf7+ Qg7 34. Qf4



34. Qxe6? Qg8! はクイーン交換から黒勝ちのポーンエンディングです。本譜のように指せば、白は2ポーンダウンながら、どのように黒が勝てばよいのかはっきりしません。

34... Qd7 35. b3 Kg7 36. Qg4+ Kf7 37. Qf4+ Ke7 38. Qxh6 Kd8


私が唯一勝てる可能性があると考えたのは、hポーンを捨ててキングをクイーンサイドに逃がすプランです。パペチュアルチェックを防ぎつつ、すべてのポーンを守りきることはできません。

39. Qf8+ Kc7 40. Qf4+ Qd6 41. Qf7+ Kb6 42. Qf2+ c5 43. Qf6 c4?!



しかし、これが早計でした。43... a6 からゆっくり手を作れば、まだ黒が勝つチャンスもあったでしょう。

44. bxc4 Qd2+ 45. Kb3 Qd1+ 46. Kb2 Qd2+ 47. Kb3 Qd3+ 48. Qc3!


時間を使い、クイーンを交換した後のポーンエンディングがドローになると、きっちり読み切ってくるところはさすがだと感じました。

48... Qxc3+ 49. Kxc3 Kc5 50. a5! a6 51. Kd3 Kb4 52. Kd4 Kxa5 53. Kc5!



ポーンエンディングが分かっている人にとっては当然の一手ですが、この手が見えずに48. Qc3! を指せないプレーヤーも多いのではないかと思います。白は黒キングをa5 から近づけないようにしつつ(ショルダリングと呼ぶんでしょうかね)、cポーンを進めるマスを確保しにいきます。

53... e5 54. Kd5 Kb6 55. c5+ Kc7 56. Kxe5 1/2-1/2


この後の小林くんとの試合は、まるで良いところなく敗れました。彼も強くなりましたね。これで私が一歩半後退し、全勝の南條くんを松尾さんが止めに行く最終日となります。全日本の権利も決まりますので、皆さん最後はピシッと締めて良いゲームができるように頑張りましょう!


打ち上げは万豚記で。

2014/03/21

全日本百傑戦 2014 Day1


盛況の会場, Photo by Uesugi

今週末の今日から3日間は、全日本選手権の東京予選である、全日本百傑戦です。参加者は77名で、すでにシード権を持っている上位陣以外の10人が、全日本選手権への参加資格を得ることになります。私は初日の今日、なんとか連勝したものの、内容はお見せするのが恥ずかしいほどひどかったです。

Kojima, S (FM, JPN, 2416) - Shioguchi, T (JPN, 2037)
Hyakketsu 2014 (2)

1. Nf3 e6 2. c4 Nf6 3. Nc3 d5 4. d4 c6 5. e3 Bd6 6. Qc2 Nbd7 7. Bd3 O-O 8. O-O e5!?



Anand - Gelfand のマッチで、Anand が黒番で採用した堅い変化です。数日前にたまたま見直していたのはラッキーでした。

9. cxd5 cxd5 10. e4 exd4 11. Nxd5 Nxd5 12. exd5 g6?1 13. Nxd4 Bxh2+?! 14. Kxh2 Qh4+ 15. Kg1 Qxd4 16. Rd1 Qh4 17. g3


黒が黒マスを弱めてくれたことで、白には十分なアドバンテージがあると考えましたが、この辺りはどう指すべきかよくわかりませんでした。17. g3 はクイーンを追い返しますが、白マスを弱めているとも考えられます。

17... Qf6 18. Bf4 Nb6 19. Be4 Bg4 20. f3 Bxf3 21. Bxf3 g5 22. Bc7?!



今日の調子の悪さを示すかのような1手でした。ここはじっと我慢して、クイーンをf4 に利かせるぐらいが良かったでしょう。1ポーンダウンでもdファイルのパスポーンに期待して、本譜は進みます。

22... Qxf3 23. Rd3 Qg4 24. Bxb6 axb6 25. d6 Rac8 26. Qd2 Rfd8 27. d7 Rc4 28. Rc1!


28. Re1? Rxd7! が汐口くんの狙いでしたが、私のこの手を見落としていたようです。ルークを1組交換すれば、黒はd7 のポーンに縛られてやや指しづらい状況が続くでしょう。それでも、最善を尽くせばドローはあり得るポジションです。

28... Rxc1+ 29. Qxc1 Qf5 30. b4 h6 31. Qe3 Kg7 32. Rd6!?



勝負をかける1手です。勝ちにいくためには重要でないaポーンを捨て、黒キングにプレッシャーをかけにいきます。

32... Qb1+ 33. Kh2 Qxa2+ 34. Kh3 Qc4?


白が丁寧に揺さぶりをかけた甲斐があり、ようやく黒に決定的なミスが出ました。34... Qa1! 35. Qe7 Qf1+ 36. Kg4 h5+ 37. Kxg5 Qb5+ 38. Kh4 Qc4+ 39. Kxh5 Rh8+ 40. Kg5 Qb5+ 41. Kf4 Qf1+ 42. Kg5 Qb5+ ならばドローでしょう。

35. Qe5+ Kg8 36. Qf6 g4+ 37. Kh4 Qc7 38. Qxh6?



しかし、時間もある状況で、なぜかこれでメイトになると勘違い... 今日はとことんひどかったです。38. Qe7! h5 39. Rh6+- これでメイト受けなしです。

38... Rxd7 39. Qg5+ Kf8 40. Rh6 f6??


汐口くんは残り数秒で正解を見つけることができませんでした。私も40. Rh6 で気づきましたが、40... Qc3! なら白の攻めはなく、形勢はイコールです。

41. Qxf6+ 1-0



試合後は品川で寿司の食事会でしたが、私としたことが写真を撮り忘れてしまいました。うかつ!

ハンデが取れる明日の3Rは、南條くん、私、山田くん、松尾さんらの上位勢に、下位の連勝組が挑む形となります。私は慶應の後輩、三重野くんに黒番ですので、どれほど成長しているか見せてもらおうと思います。

2014/03/19

Alexander Motylev - A New European Champion -


最終戦を終え、金メダルを受け取るGM Motylev, Chess News より

今月はCandidate が一番の目玉だと思われますが、他にも気になるビッグトーナメントが2つ、すでに終了しています。1つはアイスランドで毎年開催されている、Reykjavik Open、そしてもう1つがアルメニアで開催された、European Individual Championships です。後者はJudit のFacebook 投稿でハンガリーの上位勢も参加することを知り、トーナメント序盤からゲームをチェックをしていました。強豪GM が集うこの大会での優勝者、ヨーロッパチャンピオンは大変名誉のあるタイトルでしょう。

そして今年のEuropean Individual Championships を制したのは、ロシアのGM Alexander Motylev です。(発音はモティリョーフでしょうかね。) 4連勝中だったロシアの新鋭、Artemiev に黒番でストップをかけ、そのままの勢いで終わってみれば7勝4ドロー。2位に1ポイント差をつける独走の優勝でした。

Motylev, A (GM, RUS, 2656) - Riazantsev, A (GM, RUS, 2689)
European Individual Championships (6)

1. e4 c6 2. Nc3 d5 3. Nf3 Bg4 4. h3 Bxf3 5. Qxf3 e6 6. d3 Nf6 7. Bd2 Bd6 8. g4 Bb4 9. a3 Ba5 10. g5 Nfd7 11. d4 O-O 12. O-O-O e5 13. dxe5 d4 14. Ne2 Bxd2+ 15. Rxd2 Qxg5 16. Nxd4 Qxe5 17. Nf5 Nf6 18. Qg2 g6 19. Qg5 Re8 20. f3 Kh8 21. Rg1 Ng8 22. Nd6 Qxg5 23. Rxg5 Re7 24. Re5!



24... Rc7 25. Re8 b5 26. Nf5 1-0


同国のCaro=Kann スペシャリスト、Rizantsev を鮮やかに退けました。b8 のナイトが...

Motylev はロシアの2700軍団からは一歩退いた位置にいるGM ですが、この大会で高いポテンシャルを見せたことで、今後はどうなるかわかりませんね。ヨーロッパチャンピオンとして君臨するこれから1年、どのようなゲームを見せてくれるか楽しみにしておきます。今大会のMotylev の全ゲームは、こちらからチェックしてみてください。

2014/03/17

The Highest Level Training in Japan in March 2014


帰国してから4回目となる、月の一度の羽生さんとのトレーニングの日です。今日もいつも通り、25/10 で白黒1回ずつ、計2回のラピッドを行いました。午前の試合は最終ポジションだけを、さらりとご紹介しておきます。


Habu, Y (FM, JPN, 2415) - Kojima, S (FM, JPN, 2361)
Position After 28. Bf3

両者1分を切る時間切迫で、e2 のパスポーンと黒マスビショップを生かす手を見つけ、勝負を仕掛けます。

28... b3!? 29. axb3?!


29. a3 Bxa3! 30. bxa3 b2 (これは2つ目のパスポーン出現で黒にチャンスが来たと思いましたが、ぎりぎりの受けがありました。) 31. Bxe2 Bxe2 32. Rb1 Bf3 33. Nd3 Ra5

29... Bh6?!



b4-b3 をいかすのであれば、最初に思い付いた通りのb4 のマスを利用すべきでした。素直に、29... Bb4! 30. Rxe2 Bxe2 31. Nxe2-/+ と進めば、黒に勝ちのチャンスがあることは明白です。

30. Rxe2?


ここは羽生さんが、e2 を取るピースを間違えます。30. Nxe2 Bd3! (30... Bd2? 31. Rd1 Bxe2 32. Bxe2 Rxe2 33. Kf1!+- この手が両者の読み落としでした。) 31. Kf1 Rb5 ならば、ドローが関の山でしょう。

30... Bxf4 31. Rxe5 Bxe5 0-1



ここで羽生さんの持ち時間が無くなりましたが、ポジションも黒勝ちです。午前の捩じり合いを何とか制したことで、ひとまず胸をなでおろし、お昼ご飯休憩へ。


いつも通りの昼焼肉。

昼食の最中は、いつも通りの今後のチェスと将棋の予定や、電王戦の話、他には変わり種として、王将戦の中継内で流れた羽生さんのバレンタインネタの話などもしました(笑)

そして午後の試合の時間となり、何を指すべきか悩みます。羽生さんには今年、白で連敗中。勝ち負けよりもゲームの内容が重要なのですが、百傑、タイとこれから大切な大会が続きますので、勝って弾みをつけたいところです。

Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Habu, Y (FM, JPN, 2415)
Training (2)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 c6 5. e3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. Bd3 O-O 8. O-O dxc4 9. Bxc4 b5 10. Be2 Bb7 11. e4 e5 12. dxe5 Nxe5 13. Nd4!?



Semi-Slav Anti-Meran は私の十八番ですが、この試合で初めて10. Bd3 ではなく、よりオーソドックスな10. Be2 を指し、昨年の夏に羽生さんとも少しだけ研究した、最新のラインを使います。

13... Neg4 14. g3 Bxg3 15. hxg3 Qxd4


これで黒は1ポーンアップですが、黒マスビショップを消しているために黒マスを弱めています。これは私の得意としている、10. Bd3 からNf3-Ng5 と指し、h2 をビショップを取らせてるラインにアイディアが似ています。

16. Qd1! Qxd1 17. Rxd1 Rfe8 18. f3 Ne5 19. Be3 a5 20. Kf2!?N



これまでの試合では、20. Rc1 と指しているようですが、このようにキングを中央に向かわせるアイディアも悪くないはずです。1ポーンダウンでクイーンも交換していますが、黒マス全体が弱く、c5 のマスを抑えられている黒は、b7 のビショップの活用に頭を悩ませます。

20... a4 21. Bc5! Bc8 22. Bd6!


これは良いアイディアだと自画自賛です。黒マスを抑え込んでb5-b4 を止めつつ、e5 のナイトをアタックすることで、Bc8-Be6 の組換えを防ぎます。

22... h5!? 23. Rac1 Ng6 24. a3!? Be6 25. e5 Nd7 26. f4 h4 27. Bf3+/=



この試合、ようやく形勢が白に傾き始めたことを確信します。白マスビショップをb7 から使い直すのは黒としては当然の判断ですが、そのためにc6 がターゲットとなります。

27... Rac8 28. Ne2! hxg3+ 29. Kxg3 Bc4 30. Nd4 c5 31. Nf5 Bb3 32. Rh1


黒のh7-h5-h4 は悪くないアイディアでしたが、将来的には白のhファイルからのアタックに気を配らなくてはならなくなります。

32... Nb6 33. Bxc5 Nc4 34. Nd6 Nxd6 35. Bxd6?!



前にもこうしたミスがあったような気がしますが、パスポーンを作っておくほうが簡単に決まっています。35. exd6 Nf8 36. Rh5!+-

35... Bc2?!


35... Ne7! 36. Bg4!? Be6 37. Bxe6 fxe6 38. Bxe7 Rxc1 39. Rxc1 Rxe7 40. Rc8+ Kf7 41. Rb8 g5 42. Rxb5 Kg6 こうして1ポーンダウンのエンドゲームを受け入れるのが、黒としてはベストでした。

36. Rh2 Bf5 37. Bc6 Red8 38. Rc5 Bd7 39. Rhc2 Bxc6 40. Rxc6 Rxc6 41. Rxc6 Nf8 42. Rc5 Ne6 43. Rxb5+-



ようやく1ポーンアップになりました。ビショップ対ナイトですし、a4 の弱いこの形はなんとか勝てそうです。

43... Rc8 44. Rb4! Rc2 45. f5 Nc5 46. Bxc5!?


ここは純粋なルークエンディングにしても勝てると踏み、マイナーピースは消してしまいます。

46... Rxc5 47. Rb8+


47. Rxa4 Rxe5 48. Kf4+- このような2コネクテッドパスポーンをルークで止めるのは難しいため、ポーンを交換しても白勝勢でした。

47... Kh7 48. Kf4 Rc2 49. e6 fxe6 50. fxe6 Rf2+ 51. Ke5 Kg6 52. e7 Re2+ 53. Kd6 Rd2+ 54. Ke6 Re2+ 55. Kd7 Rd2+ 56. Ke8 Rh2 57. Rb6+ 1-0



私のスタイルと、Anti-Meran はとてもしっくりくるのかもしれません。羽生さんとのトレーニングは昨年の夏から数多くこなしていますが、白黒両方での勝ちは初めてです。今週末からは持ち時間の長いチェスが続きますので、そこではより丁寧なプレーを心がけたいと思います。

2014/03/15

第一回日吉公式例会 & 第三回電王戦第一局 - 菅井五段 vs. 習甦 -


今日は私はチェス、将棋の二足の草鞋です。まずは午後の早い時間、日吉キャンパスで初開催となる公式例会に足を運びました。2008年の春にチェスサークルを立ち上げて以来、このキャンパスには数えきれないほど通ってきました。そんな慶應のサークルが、公式戦を開催するというのは非常に感慨深いものです。

12時20分からの1R に参加したのは、私を含めて12名です。私はカペルから帰国したばかりの尚広くんと。日吉のキャンパスでは、最も試合をした相手の1人かもしれません。

Nakamura, N (JPN, 2127) - Kojima, S (FM, JPN, 2416)
Hiyoshi Training (1)

1. Nf3 d5 2. c4 c6 3. e3 Nf6 4. Nc3 a6 5. Be2 e6 6. O-O Nbd7 7. b3?!



私はセンターを黒に抑えられては、白としての面白味はあまりないと考える派です。ここはオーソドックスに、7. d4 と指しておくべきだと思います。

7... e5 8. cxd5 cxd5 9. d4 e4 10. Ne5 Bd6 11. f4 exf3 12. Nxf3 O-O=


黒はすでにスペースが狭いという典型的なオープニングの問題を解決し、満足なポジションです。白はできそこないのFrench Tarrasch のような形ですね。

13. Qd3!? Re8 14. Bd2 Nf8 15. Rae1 Ng6 16. Ng5!



これは指されてみて面白い手だと思いました。先日送ったチェス通信の原稿でも、こうしたFrench のアタックが決まった好例を紹介し、まだ油断のならないポジションだと気を引き締めます。16... h6? 17. Nxf7! Kxf7 18. Bh5! があり、このナイトは簡単に追い返せないのがポイントです。

16... Qc7?!


白はe3-e4 からアウトポストとバックワードポーンという2つの弱点を解消すれば、多少指しやすくなると感じました。そこで大人しい手を避けたのですが、16... Bd7 17. e4 dxe4 18. Ncxe4 Nxe4 19. Nxe4 Bxh2+ 20. Kxh2 Qh4+ 21. Kg1 Qxe4 22. Qxe4 Rxe4 23. Bc4 と進むぐらいで、黒は満足すべきだったようです。

17. Kh1!? Bxh2



ここは他にうまい手が見つからず、白の誘いに乗ることにします。

18. Rxf6! gxf6 19. Nxd5 Qd6?


19... Qd8! 20. Ne4 Rxe4 21. Qxe4 Bg3 22. Qf3! (22. Rf1? f5! 23. Rxf5 Bxf5 24. Qxf5 Qh4+ 25. Qh3 Kg7=/+) 22... Bxe1 23. Nxf6+ Kg7 (23... Qxf6?! 24. Qxf6 Bxd2 25. Qd8+ Kg7 26. Bg4! Bxg4 27. Qxa8 Bxe3 28. Qxb7+- これは3ピースクイーンですが、d4 のポーンが取れないため、黒が苦しく見えます。) 24. Nh5+ Kg8 25. Bxe1+/-

20. Ne4!



恥ずかしながら、この手が見えていませんでした。これで黒はエクスチェンジを返すほかなく、苦しいポジションを強いられます。

20... Rxe4 21. Qxe4 f5 22. Qe8+ Kg7 23. Bb4!?


これは面白試みだと思います。d5 のナイトも強いですが、あえてh2 のビショップと交換することで、白はダブルビショップを得るととともに、f8 への狙いを作ります。

23... Qxd5 24. Kxh2 f4 25. Bf3!?



私が試合後に尚広くんに指摘したのは、もう1つのダイアゴナルでビショップを使うアイディアです。 25. Bc4! Qf5 26. Kg1! (こうしたキングを早めに逃がして安全にしておくアイディアは、予防の手として有効です。) 26... b5 27. e4 Qd7 28. Qxd7 Bxd7 29. Be2+/- こうしたポジションは私が避けたかった類のもので、白はクイーンを交換してもダブルビショップとセンターのパスポーンで、かなり優位に試合を進められるでしょう。(おそらく、ほぼ白勝ちです。)

25... Qg5 26. exf4??


この手は黒に大逆転を許すあまりにお粗末な1手でしたが、代わりに正着を指せと言われると難しいものです。例えば、26. d5? (a1-h8 のダイアゴナルを開く、検討のメインのアイディアですが、黒はパペチュアルチェックの狙いを作れます。) 26... Qg3+! 27. Kg1 Bg4!! 28. Qe4 (28. Qxa8 Bxf3 29. gxf3 Qh3+=) 28... Re8 29. Qd4+ f6= これは非常に難しいポジションになりそうです。

正解は、26. Re2!! と指して、g2 をあらかじめ守っておくアイディアです。a8 のルークは慌てなくてもどこにも逃げません。以下、26... Qg3+ 27. Kh1 fxe3 28. Bc3+- と進んで白が勝てそうです。

26... Qxf4+ 27. Kg1 Qxd4+ 28. Re3 Qxb4-+



こうしてチェックを絡めながらビショップを取り、勝負ありです。白からはもう恐ろしいスレットはありません。

29. Bd5 Be6!? 30. Qxa8 Qd4 31. Kf2 Qd2+ 32. Re2 Qxd5 33. Qb8 Qd4+ 34. Kg3 Qh4+ 0-1


尚広くん、今回はだいぶ優位なポジションを作りましたが、私への初白星はまたまたお預け。百傑、全日本で当たるようであれば、またよろしくお願いします。


午後4時からの2R では、南條くんや弘平くんも駆けつけてボード数が増えましたが、私は一足早く日吉を後にします。次なる今日の目的は、六本木のニコファーレで行われている第三回将棋電王戦の第一局、菅井五段 - 習甦の中継、解説の観戦です。解説役は私と同い年で、王座戦で羽生さんに挑戦した中村大地六段。夕食休憩後は、昨年の電王戦でも解説役で見かけた鈴木大介八段も加わりました。


朝の10時から始まった対局は、夜の8時20分頃、コンピュータプログラム、習甦に軍配が上がりました。昨年の第二回電王戦では、コンピュータ側で唯一の負けを喫していたため、開発者の竹内さんとしては雪辱を晴らせたと言えるでしょう。対局前のインタビューで、阿部光瑠さんは昨年、本当に強いプログラムに勝ったのだと証明したいとコメントしていたことが、私にとっては印象的でした。

プロ側がリベンジを果たしたい今回の第三回電王戦ですが、初戦がプログラムの白星となったことで、残り4局がどうなるか、ますます注目されるでしょう。来週は百傑でニコファーレには来られず、それ以降はタイに行ってしまいますが、なるべく結果は追い続けていきたいと思います。

2014/03/14

FIDE Candidate Tournament 2014 - The Road to Carlsen -


現在、名実ともに世界最強と言われる世界チャンピオン、Carlsen に挑戦するプレーヤーを決定すべく、Candidate Tournament がロシアのハンティマンシスクで始まっています。たった1つの挑戦者の椅子を争うのは世界トップの8名、レイティング順に、Aronian(アルメニア)、Kramnik(ロシア)、Topalov(ブルガリア)、Anand(インド)、Karjakin(ロシア)、Svidler(ロシア)、Mamedjarov(アゼルバイジャン)、Andreikin(ロシア) となっています。

今夜は2R が行われており、すでに4局ともに終わっています。Aronian - Mamedjarov、Svidler - Andreikin、Kramnik - Karjakin が白勝ち、Topalov - Anand はドローとなっています。ちなみに私は公式HP で、エンジンを入れずにゲームを見ています。

FIDE Candidate Tournament 2014 Live Games

今日、決着がつく試合が多いのは、様子見かと思われた昨日の初戦で、Anand が世界ランキング2位のAronian を破ったことが、他のプレーヤーの刺激になっているためではないでしょうか。最終戦でVan Wely に敗れたものの、Tata Steel で鬼のような強さを見せたAronian に初戦から土がついたことは、多くのチェスファンを驚かせたでしょう。もう一度挑戦者として、Carlsen の前に立とうというAnand の決意が見えたようなゲームだったと思います。

Anand, V (GM, IND, 2770) - Aronian, L (GM, ARM, 2830)
Candidates 2014 (1)

1. e4 e5 2. Nf3 Nc6 3. Bb5 a6 4. Ba4 Nf6 5. O-O Be7 6. Re1 b5 7. Bb3 O-O 8. h3 Bb7 9. d3 d5 10. exd5 Nxd5 11. Nbd2 Qd7 12. Nxe5 Nxe5 13. Rxe5 Nf6 14. Re1 Rae8 15. Nf3 Bd6 16. Be3 Re7 17. d4 Rfe8 18. c3 h6 19. Ne5!?



Anti-Marshall h3 で始まったゲームは、よくある流れで白が1ポーンアップしましたが、Anand はここでポーンを返す決断をします。狙いは言わずもがな、白がダブルビショップを持つ有利なエンドゲームに持ち込むことです。

19... Bxe5 20. dxe5 Rxe5 21. Qxd7 Nxd7 22. Red1 Nf6 23. c4!


私が昨夜ライブをチェックした時、まさにこのポジションでした。白にチャンスがあるのは明らかですが、黒はAronian ですので、そう簡単ではないだろう... そうした私の予想を覆し、Anand は丁寧なプレーでAronian に何もさせませんでした。

23... c6 24. Rac1 R5e7 25. a4!



ブラジルのGM Milos の解説では、この時点ですでに黒が負けなのではないかとのことです。実際に進めてみてどういった変化、黒の粘りがあるかは、皆で検討してみたいポジションですね。

25... bxc4 26. Bxc4 Nd5 27. Bc5 Re4 28. f3 R4e5 29. Kf2 Bc8


29... Ne3?! 30. Bxf7+! Kxf7 31. Rd7+ Kg8 32. Rxb7+- でも白勝ちになりそうです。

30. Bf1 R5e6 31. Rd3 Nf4 32. Rb3 Rd8 33. Be3 Nd5 34. Bd2 Nf6 35. Ba5+-



この辺りのビショップの組換え方は、非常に勉強になります。当然ながら白はダブルビショップを残し、a6, c6 にプレッシャーをかけてチャンスを広げます。

35... Rde8 36. Rb6 Re5 37. Bc3 Nd5 38. Bxe5 Nxb6 39. Bd4 Nxa4 40. Rxc6 Rd8 41. Rc4 Bd7 42. b3 Bb5 43. Rb4 Nb2 44. Bxb5 axb5 45. Ke3 Re8+ 46. Kd2 Rd8 47. Kc3 1-0


最後はきれいにナイトが捕まり、ゲームセットです。明日以降も好カードが続きますので、またライブから目が離せない生活に突入しそうですね。ちなみにChess News では、このゲームを解説している記事が2つ出ており、好手のポイントなどが少し違っていますので、そういった点を見比べて棋譜を並べてみるのも面白そうです。

Candidates Rd1: The Madras Tiger breaks Aronian

Providing Anand for Anand fans

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.