2014/03/17

The Highest Level Training in Japan in March 2014


帰国してから4回目となる、月の一度の羽生さんとのトレーニングの日です。今日もいつも通り、25/10 で白黒1回ずつ、計2回のラピッドを行いました。午前の試合は最終ポジションだけを、さらりとご紹介しておきます。


Habu, Y (FM, JPN, 2415) - Kojima, S (FM, JPN, 2361)
Position After 28. Bf3

両者1分を切る時間切迫で、e2 のパスポーンと黒マスビショップを生かす手を見つけ、勝負を仕掛けます。

28... b3!? 29. axb3?!


29. a3 Bxa3! 30. bxa3 b2 (これは2つ目のパスポーン出現で黒にチャンスが来たと思いましたが、ぎりぎりの受けがありました。) 31. Bxe2 Bxe2 32. Rb1 Bf3 33. Nd3 Ra5

29... Bh6?!



b4-b3 をいかすのであれば、最初に思い付いた通りのb4 のマスを利用すべきでした。素直に、29... Bb4! 30. Rxe2 Bxe2 31. Nxe2-/+ と進めば、黒に勝ちのチャンスがあることは明白です。

30. Rxe2?


ここは羽生さんが、e2 を取るピースを間違えます。30. Nxe2 Bd3! (30... Bd2? 31. Rd1 Bxe2 32. Bxe2 Rxe2 33. Kf1!+- この手が両者の読み落としでした。) 31. Kf1 Rb5 ならば、ドローが関の山でしょう。

30... Bxf4 31. Rxe5 Bxe5 0-1



ここで羽生さんの持ち時間が無くなりましたが、ポジションも黒勝ちです。午前の捩じり合いを何とか制したことで、ひとまず胸をなでおろし、お昼ご飯休憩へ。


いつも通りの昼焼肉。

昼食の最中は、いつも通りの今後のチェスと将棋の予定や、電王戦の話、他には変わり種として、王将戦の中継内で流れた羽生さんのバレンタインネタの話などもしました(笑)

そして午後の試合の時間となり、何を指すべきか悩みます。羽生さんには今年、白で連敗中。勝ち負けよりもゲームの内容が重要なのですが、百傑、タイとこれから大切な大会が続きますので、勝って弾みをつけたいところです。

Kojima, S (FM, JPN, 2361) - Habu, Y (FM, JPN, 2415)
Training (2)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 c6 5. e3 Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. Bd3 O-O 8. O-O dxc4 9. Bxc4 b5 10. Be2 Bb7 11. e4 e5 12. dxe5 Nxe5 13. Nd4!?



Semi-Slav Anti-Meran は私の十八番ですが、この試合で初めて10. Bd3 ではなく、よりオーソドックスな10. Be2 を指し、昨年の夏に羽生さんとも少しだけ研究した、最新のラインを使います。

13... Neg4 14. g3 Bxg3 15. hxg3 Qxd4


これで黒は1ポーンアップですが、黒マスビショップを消しているために黒マスを弱めています。これは私の得意としている、10. Bd3 からNf3-Ng5 と指し、h2 をビショップを取らせてるラインにアイディアが似ています。

16. Qd1! Qxd1 17. Rxd1 Rfe8 18. f3 Ne5 19. Be3 a5 20. Kf2!?N



これまでの試合では、20. Rc1 と指しているようですが、このようにキングを中央に向かわせるアイディアも悪くないはずです。1ポーンダウンでクイーンも交換していますが、黒マス全体が弱く、c5 のマスを抑えられている黒は、b7 のビショップの活用に頭を悩ませます。

20... a4 21. Bc5! Bc8 22. Bd6!


これは良いアイディアだと自画自賛です。黒マスを抑え込んでb5-b4 を止めつつ、e5 のナイトをアタックすることで、Bc8-Be6 の組換えを防ぎます。

22... h5!? 23. Rac1 Ng6 24. a3!? Be6 25. e5 Nd7 26. f4 h4 27. Bf3+/=



この試合、ようやく形勢が白に傾き始めたことを確信します。白マスビショップをb7 から使い直すのは黒としては当然の判断ですが、そのためにc6 がターゲットとなります。

27... Rac8 28. Ne2! hxg3+ 29. Kxg3 Bc4 30. Nd4 c5 31. Nf5 Bb3 32. Rh1


黒のh7-h5-h4 は悪くないアイディアでしたが、将来的には白のhファイルからのアタックに気を配らなくてはならなくなります。

32... Nb6 33. Bxc5 Nc4 34. Nd6 Nxd6 35. Bxd6?!



前にもこうしたミスがあったような気がしますが、パスポーンを作っておくほうが簡単に決まっています。35. exd6 Nf8 36. Rh5!+-

35... Bc2?!


35... Ne7! 36. Bg4!? Be6 37. Bxe6 fxe6 38. Bxe7 Rxc1 39. Rxc1 Rxe7 40. Rc8+ Kf7 41. Rb8 g5 42. Rxb5 Kg6 こうして1ポーンダウンのエンドゲームを受け入れるのが、黒としてはベストでした。

36. Rh2 Bf5 37. Bc6 Red8 38. Rc5 Bd7 39. Rhc2 Bxc6 40. Rxc6 Rxc6 41. Rxc6 Nf8 42. Rc5 Ne6 43. Rxb5+-



ようやく1ポーンアップになりました。ビショップ対ナイトですし、a4 の弱いこの形はなんとか勝てそうです。

43... Rc8 44. Rb4! Rc2 45. f5 Nc5 46. Bxc5!?


ここは純粋なルークエンディングにしても勝てると踏み、マイナーピースは消してしまいます。

46... Rxc5 47. Rb8+


47. Rxa4 Rxe5 48. Kf4+- このような2コネクテッドパスポーンをルークで止めるのは難しいため、ポーンを交換しても白勝勢でした。

47... Kh7 48. Kf4 Rc2 49. e6 fxe6 50. fxe6 Rf2+ 51. Ke5 Kg6 52. e7 Re2+ 53. Kd6 Rd2+ 54. Ke6 Re2+ 55. Kd7 Rd2+ 56. Ke8 Rh2 57. Rb6+ 1-0



私のスタイルと、Anti-Meran はとてもしっくりくるのかもしれません。羽生さんとのトレーニングは昨年の夏から数多くこなしていますが、白黒両方での勝ちは初めてです。今週末からは持ち時間の長いチェスが続きますので、そこではより丁寧なプレーを心がけたいと思います。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

最後の56...Rh2は 白がクイーン作りを焦って 57.Kf8?? とするのを狙っていたのでしょうか・・▽o・~・o▽恐ろしい・・

Shinya_Kojima さんのコメント...

まぁ他に手も無いですしね。ルセナのアイディアを使う必要もなく、勝ちのルークエンディングです。

コメントを投稿

Copyright © 2011 Shinya Kojima All rights reserved.