2015/01/11

NCC New Year Rapid Play


ロンドンは、遠征最後の休暇のつもりで訪れましたが、ロンドン郊外のサリー州で行われたラピッド大会に、私の生徒である伊藤知希くんと参加してきました。知希くんには、去年からオンラインでのレッスンを行っていましたが、一緒に試合をするのはもちろん、会うのも今回が初めてです。サリー州までは車で1時間ほどで、参加者は上下クラスで27名でした。

Kojima, S (FM, JPN, 2384) - Varley, D (ENG, UR)
NCC New Year Rapid Play (7)

1. e4 e6 2. d4 d5 3. Nd2 Nf6 4. e5 Nfd7 5. Bd3 c5 6. c3 Nc6 7. Ne2 Qb6 8. Nf3 cxd4 9. cxd4 f6 10. exf6 Nxf6 11. O-O Bd6 12. b3 O-O 13. Bb2 Bd7 14. Ng3 Bf4
15. Ne5 Qc7 16. Re1 Rad8 17. Qc2 Qd6 18. Qe2 Rde8 19. Rad1 Nb4 20. Ba3 a5 21. Bb1 Qb6 22. Nxd7 Nxd7 23. Nh5 Bb8 24. Qg4 Rf7 25. Bc1 Nf6 26. Nxf6+ Rxf6 27. Bxh7+!+-


27... Kf8 28. Bg5 Qd6 29. g3 Rf5 30. Bxf5 e5 31. dxe5 Rxe5 32. Bf4 Rxe1+ 33. Rxe1 Qc6 34. Bg6 Ba7 35. Qf5+ Qf6 36. Re8# 1-0


この大会、白を4回引いて、2回は1. e4 を指してみました。帰国後も、多少は1. e4 を試してみたいですね。


最終結果は、私が5勝2ドローでオープンクラス優勝、知希くんは6勝1敗でU1600 クラス優勝でした! 2人ともリスト1 スタートでしたので、優勝は順当な結果ではありますが、ダブル優勝は当然嬉しいですね。


朝8時過ぎのロンドンの日の出です。(室内から撮っているので、電灯が写っていますが...) 今日、日曜日は、ノルウェーで対戦したスコットランドのIM、Andrew Greet から、4NCL というイギリスのチーム戦に誘われていましたが、会場が遠すぎるので、そちらは残念ながらパスすることにしました。今日はもう少しゆっくり知希くんと過ごし、夕方には佐野さんに会いにいきます。

2015/01/10

A Long Way to IM


暮らしなれたブダペストを離れ、昨日、ロンドンに到着しました。ケチケメートではさほどでもありませんでしたが、ブダペストを離れる際は、感慨深いものがありました。2010年の3月に、初めてFirst Saturday に参加するためにブダペストを訪れてから、5年近くの月日が流れています。4回目となる今回の単独遠征で、ようやく目標だったIM を獲得して、ハンガリーでの生活を終えることができます。

FM のタイトルを獲得した2009年、レイティングは順当に2330台まで伸び、このまま順当にいけば、IM ノームの獲得や2400 到達というのは、さはど難しくないのではないかと、20歳の私は考えていました。ところがどっこい、2010年から2011年にかけては、FIDE 公式戦であまり勝つことができず、レイティングを連続で落として2200台に戻ってしまいました。当時はそれが一時的な不調によるものだと思っていましたが、そうしてレイティングをふらふらさせることも含め、まだ経験の浅いFM の腕前だったのだと、今では理解できます。当時はIM, GM との対戦経験も少なく、そうしたマスターたちがどういったものなのか、まだ分かっていなかったでしょう。


2012年最初のFirst Saturday にて

本気でIM へのチャレンジを始めるため、2264 というレイティングで、ブダペストへの長期遠征に踏み切ったのは、2012年5月のことです。周りにはレイティングを140上げ、IM ノームを3つ取るためにブダペストに来たのだと、自分で言葉にして伝えておきながら、それは果てしなく遠い目標のように思えました。それでも、2年半で250試合以上を戦い、それを現実のものにできたのは、私を支えてくれた日本のチェスファン、家族、友人、そしてミーシャのおかげだと思っています。皆さん、本当にありがとうございます。

FIDE 公式戦を多くこなしただけでなく、アンダンテのお客さんや、ブダペストの日本人学校の子供たちにチェスを教えたこと、セーチェニ温泉や西駅でチェスを指したこと、ポルガーのチェスフェスティバルに友人たちと参加したことなども、とても良い思い出です。さらにブダペストやケチケメート、その他の遠征地では、チェスに関係ない多くの人たちとも出会い、そして別れました。そうした経験がこの数年、私を大きく成長させてきたと思っています。ハンガリーを遠征地に選び、思い切って日本を飛び出したこと、本当に良かったと今では思えます。


去り際には、空港のMemories of Hungary というお土産コーナーに、チェス(チェスと言うより、ポルガー関連グッズ?) が並んでいるのも発見しました。こうした光景も、チェスの盛んなハンガリーならではのことでしょう。多くのチェスプレーヤーに愛され、彼らを迎えてきたハンガリーを去ることは寂しいですが、またGM を真剣に目指す段階になった際、戻ってくることになるでしょう。それまでは日本でできることをこなしつつ、IM というタイトルの重さを噛みしめようと思います。

最後に、今回の記事が私のブログ開設から、ちょうど1000回目の更新となります。4年近くに渡って見守って下さった読者の皆さんに、あらためてお礼を申し上げたいと思います。今後とも、よろしくお願い致します。

2015/01/07

Going Back to Japan via London


2012年に訪れた、ウェストミンスター宮殿

すでにお伝えしている通り、13日に日本に帰国します。ただし、直接ブダペストからではなく、ロンドンに3泊寄ってからの帰国となります。私にとっては、2012年の12月、London Chess Classic に参加するために、森内さん、礼二さんと3人で訪れて以来、2年と少しぶりのロンドン行きです。その頃の記事も見直してみると、とても懐かしいですね。

1/09 ブダペスト発、ロンドンへ
1/10 CCF NEW YEAR RAPID PLAY
1/11 ロンドン観光
1/12 ロンドン発、羽田へ

非常にざっくり書くと、スケジュールはこんな感じです。ロンドン滞在中は、中高時代の先輩で、現在はロンドンで仕事をしている佐野さんと、去年から受け持っている生徒家族に会う予定です。トリノ、ドレスデンのオリンピアードチームメイトの佐野さんと、半年ぶりに会えることはもちろん、これまでオンラインのレッスンのみで、初めて顔を合わせる生徒との交流も、とても楽しみにしています。10日の日曜日には、彼と小さなラピッドトーナメントにも参加します。

それでは日本の皆さんも、私が帰国する13日以降にお会いしましょう。1月の東京の大会は終わっていますが、気軽に声をかけて下さい。日本での再会を楽しみにしています!

2015/01/06

Saturday Lecture on January 17th 2015


3年前のロンドンにて

2015年の池上でのレクチャーは、1月からの再開です。今年はなるべく、毎月開催できるようにしたいですね。2か月ぶりのチャンピオンシリーズは、Kramnik を扱います。

【日時】 2015年1月17日(土) 13:00~15:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Play Like Vladimir Kramnik
【テーマ詳細】

無敵だと思われたチャンピオン、Kasparov を2000年に破り、15年ぶりに新世界チャンピオンとなったのは、Kasparov の後輩であるKramnik でした。Karpov に近い、丁寧なポジショナルプレーで世界の頂点に立ち、現在も世界トップの1人として活躍を続けている、偉大なプレーヤーです。Kasparov が見つけた出した天才児は、どのように成長し、多くのチェスファンを魅了するプレーをするようになったのか、それを今月は見ていきましょう。

【参加費】 一律1000円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

私は13日に日本に帰国し、17日は個人以外での私の初仕事となります。皆さん、あらためまして今年もよろしくお願い致します。

2015/01/05

Chess in Kecskemet 2015 New Year GM 10th round


長く滞在したケチケメートでの、最終日がやってきました。この日は久々にハンガリーの揚げパン、ランゴーシュを食べることに。ブダペストの友人たちには、油がくどくて苦手だともっぱら評判は良くないですが、私はこれが好きで、かつてはよく食べていました。このランゴーシュを知ったのは、2年半以上前に初めて訪れた、ここケチケメートのマーケットでした。そんなことも、今では懐かしく思い返します。

さて、最終戦の相手はフランスのIM Payen です。彼はここまで1勝1敗7ドローという安定した戦績を残しており、レイティング最下位のプレーヤーとは、とても思えません。IM のタイトルも持っていますし、かつては2400 のレイティングがありましたからね。強敵を相手に、長かったハンガリー遠征の最終戦を戦います。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Payen, A (IM, FRA, 2333)
Chess in Kesckemet 2015 New Year GM (10)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 dxc4 4. e3 e6 5. Bxc4 c5 6. O-O Nc6!?



オープニングは久々のQueen's Gambit Accepted です。私もかつて黒で研究したことがありますが、IQP ポジションへの理解と、エンドゲームの知識が要求される、見た目よりも難解なオープニングです。この試合では、私はIQP を受け入れることにします。

7. Nc3 cxd4 8. exd4 Be7 9. Bg5 O-O 10. Re1 b6


シンプルなIQP ポジションは、Sicilian Alapin, Caro-Kann Panov Botvinnik などで経験済みです。この試合では、典型的なd5 のコントロールがお互いがチャンスを掴むカギとなります。

11. a3 Bb7 12. Qd3 h6 13. Bh4 Nh5!?



私もこのアイディアが好きで、黒で使います。ピースの基本的な展開が終わった黒は、黒マスビショップを捌き、Nc6-Ne7 と組んで、がっちりとd5 のアウトポストを抑えてしまおうとします。

14. Bg3!


そこで私は、ビショップナイトの交換になっても、黒マスビショップを退きます。f6 のナイトは、d5 のアウトポストを抑える重要なピースですので、これが消えれば白はd4-d5 もやりやすくなり、ビショップを失っても満足に戦えるでしょう。

14... Bf6 15. Rad1 Nxg3 16. hxg3 Ne7 17. Ba2 g6 18. Ne5 Kh7 19. Qb5



直前の黒のキングが上がる手は怪しげに見えますが、私はすぐにキングサイドを狙うのではなく、クイーンサイドでも揺さぶりをかけることにします。まずは20. Nd7 がスレットになっています。

19... a6 20. Qa4 Bg7 21. Bb1 Nd5 22. Qc2 f5!?


評価の難しい手です。黒はe5 のマスとe6 のポーンを弱めますが、その代わりにb1-h7 のダイアゴナルを守り、e4 のマスを得ます。

23. Qd3 Nxc3 24. bxc3 Qd5 25. Nf3?!



この手は少し弱気でした。ナイトを退くほうがe6 のポーンをアタックしやすくなるかと思いましたが、e5 にいるナイトは強力で、黒は自陣への跳びこみを警戒していなければいけないため、やはり残しておくべきでした。

25... b5! 26. Qe2 Rfe8 27. Ba2 Qd6 28. Qb2 Bd5 29. Ne5


ここでナイトを戻すかはかなり考えました。白はc3 のポーンを守りながら、e6 をアタックしにいっても良かったでしょう。29. Re3!? Bf8 30. Rde1 Bxa2 31. Qxa2 Qxa3 32. Qc2=

29... Rac8 30. Rd3 Be4



これは最初、コンピュータの評価も良く、白はピースを捌かれてしまうのがまずいように見えますが、進めてみるときちんと耐えていることが分かります。

31. Rde3 Bxe5 32. dxe5 Qc6 33. f3 Bd5 34. Rd3!


こうして白は先にdファイルを抑えることで、ポーンが乱れている代償を取ります。

34... Bxa2 35. Qxa2 Rcd8 36. Red1 Rxd3 37. Rxd3 Re7 38. f4 Rd7 39. Qd2 Rxd3 40. Qxd3 g5!



こうしてクイーンだけになり、d6 とf6 のマスを利用しやすく、e6 のポーンを攻撃しやすい白にチャンスが出てきたかと思いましたが、相手のディフェンスは正確でした。

41. Qd6 Qc4 42. Qe7+


42. Qxa6 gxf4 43. gxf4 Qxf4 44. Qxe6 Qc1+ 45. Kf2 Qd2+= これではパペチュアルチェックにし必ず、ドローであることは明らかです。

42... Kg6 43. Qf6+ Kh5!



少し考えていましたが、こうしてキングが上がるんですね... 43... Kh7 44. Qf7+ Kh8 45. Qg6 はh6 のポーンが落ち、白にチャンスが出てくるのが明らかとは言え、キングが5段目に上がる手は、メイトの危険が一見ありそうですので、勇気のいる決断です。

44. Kh2 gxf4 45. Qf7+ Kg5 46. Qg7+ Kh5 47. Qf7+ 1/2-1/2


結論としては、黒キングを追い詰める方法はなく、こうしてドローにするしかありません。これで最終結果は2勝3敗5ドローとなり、ハンガリーでの最終トーナメントを終えています。1つ負け越しでも、レイティングは+6で、2月の更新で私のレイティングは、2403 になる予定です!

12/27 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438) 0-1
12/28 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Eggleston, D (IM, ENG, 2416) 1-0
12/29 15:00 Groszpeter, A (GM, HUN, 2456) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/30 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) 1-0
12/31 15:00 Payen, A (IM, FRA, 2333) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
01/01 15:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
01/02 15:00 Eggleston, D (IM, ENG, 2416) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
01/03 10:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
01/03 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Groszpeter, A (GM, HUN, 2456) 1/2-1/2
01/04 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Payen, A (IM, FRA, 2333) 1/2-1/2

+2 Fominyh,
+1 Groszpeter
0 Payen
-1 Ilincic, Eggleston, Kojima


最終戦、Groszpeter - Eggleston の試合は、難しいエンドゲームを白が勝ち切りました。やはりGM たちは強いですね。ファイティングスタイルで大暴れしたEggleston は、最終的に4勝5敗1ドローで、綺麗に他全員から1つずつの黒星を貰っています。


そして私は試合後、クリスマスの雰囲気がまだ残るブダペストに戻ってきました。4回に渡るハンガリー遠征と、IM タイトル獲得については、また後日の記事でまとめたいと思います。この1ヶ月応援してくださった皆さん、ありがとうございました!

2015/01/04

Chess in Kecskemet 2015 New Year GM 8th and 9th rounds


ケチケメートの年末年始トーナメントも、いよいよ大詰めです。1/3 は昨夜降った雨によって路面が凍結し、うっかり転びそうになる朝でした。2年前は大雪だったことを考えれば、まだ過ごしやすい天候ですが、ハンガリーを離れるまでは油断できませんね。

この日はスケジュールを変更し、Ilincic と午前中にドローにして、残りの白2戦に集中することにします。Groszpeter はかつての勢いはなくとも、非常に経験豊富なGM です。前夜にしっかりと準備をし、久々となる白番での勝負を迎えます。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Groszpeter, A (GM, HUN, 2456)
Chess in Kesckemet 2015 New Year GM (8)

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. d4 d5 4. Nc3 Bb4!?



事前のデータに全くなかった、QGD Ragozin になります。彼らは何でも指すことができ、事前の準備がすぐに外されることも、しばしばです。

5. Bg5 h6 6. Bxf6 Qxf6 7. e3 c5!?


キャスリングを省いて、c7-c5 と仕掛ける変化は知りませんでした。私の好きな、オリンピアードで指したセットアップをイメージし、白の作戦が分かりやすいラインをチョイスします。

8. cxd5 exd5 9. Rc1!? cxd4



私は試合中、9... c4 も考えていましたが、これはキャスリングを済ませた後で、e3-e4 と仕掛けるのが有効そうに見えます。

10. Bb5+ Nc6 11. Nxd4


これは私の予想通りの展開になりました。白はd5 をターゲットにしやすく、ピースを捌いてもアドバンテージの残る形です。

11... O-O 12. O-O Bxc3 13. Rxc3 Nxd4 14. Qxd4 Qxd4 15. exd4+/=



ポーンストラクチャーはほぼ対称ですが、白はcファイルをコントロールしていること、そしてb7, d5, f7 といった重要なポーンが、ビショップと同じ白マスにあることで、アドバンテージを握っています。しかし、問題はここからどう指して、黒にプレッシャーをかけるかです。

15... a6 16. Ba4


Groszpeter には試合後、16. Bd3 と指すのもあるのではないかと指摘されました。確かにe4 のマスを含め、b1-h7 も抑えておいて良いダイアゴナルですが、私はダイレクトにd5 にプレッシャーをかけることを望みます。

16... Be6 17. Rfc1 Rfc8 18. Bb3 Rxc3 19. Rxc3 Kf8 20. f4!



ルークを1つ交換しても、d5 へのプレッシャーと、cファイルのコントロールで十分そうに見えますが、このようにキングが寄り始めると、そう簡単でもないことが分かります。まず、c7 へのルークの侵入は、Ra8-Rb8 から、キングをd8 まで寄られてしまし、さほど効果的ではありません。そして、d5 へのアタックも、黒は十分に守りきることができます。そこで私は、f4-f5 を見せ、キングサイドでもアクションを起こすことにします。

20... g6 21. Kf2 Rb8 22. Kf3?!


しかし、ここからがうまくありませんでした。Rc3-Rc5 からのd5 アタックは、すぐに効果的にならずとも、黒のピースの働きを縛るため、やっておくべきです。22. Rc5 Re8!? (22... Ke7? 23. Bxd5! Bxd5 (23... b6? 24. Rc7+ Kd6 25. Rb71+/- 恥ずかしながらこの手が見えず、Rc1-Rc5 は意味がないと思ってしまいました。) 24. Rxd5 Ke6 25. Re5+ Kd6 26. Re3+/= 黒のキングはアクティブですが、ポーンを取れたのは収穫です。) 23. h3 Re7 24. Kf3 Rd7 25. Ba4 Re7 26. Bc2+/= こうして多少なりともプレッシャーを維持しておくべきだったことは、後の展開を見ても明らかです。

22... Ke7 23. g4 Kd6 24. Bc2 Bd7



この手を見て、あれっ?と思いました。黒はc7 のマスを守ったため、ルークを反撃に使うことができます。Rb8-Re8-Re1 でも十分な反撃になるので、白はすでに守りのことを冠がなくてはいけません。この時点で、すでにアドバンテージが消えていることを理解しました。

25. h3 Re8 28. Re3 Rc8 29. Rc3 30. Re8 Re3 31. Rc8 Rc3 1/2-1/2


Groszpeter も難しいと言っていましたが、もう少しアイディアを捻って黒を悩ませるようなプレーをしなくてはいけませんでした。こうしたエンドゲームでのプレーも、昔よりは良くなりましたが、有効な作戦の建て方はまだ上手くありません。こうした点も、これからの課題です。

12/27 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438) 0-1
12/28 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Eggleston, D (IM, ENG, 2416) 1-0
12/29 15:00 Groszpeter, A (GM, HUN, 2456) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/30 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) 1-0
12/31 15:00 Payen, A (IM, FRA, 2333) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
01/01 15:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
01/02 15:00 Eggleston, D (IM, ENG, 2416) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
01/03 10:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
01/03 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Groszpeter, A (GM, HUN, 2456) 1/2-1/2
01/04 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Payen, A (IM, FRA, 2333)

+2 Fominyh
0 Groszpeter, Eggleston, Payen
-1 Ilincic, Kojima


そしてこの日、大熱戦となったFominyh - Eggleston のトップ対決は、白のFominyh が勝ち、黒番で敗れた借りを返す形となりました。Fominyh はこれで2つ勝ち越しとなり、この大会での優勝を決めています。この日はたまたま15年前のレイティングリストをチェックしていて、Fominyh が100位にランクインしていたことを知りました。15年で150レイティングを落としているとはいえ、まだまだ彼のテクニックは健在です。

2015/01/03

Chess in Kecskemet 2015 New Year GM 7th round


Photo by Seres, L

1/2 は起きて時計を見ると、まさかの13時45分... 寝すぎです。大晦日の夜にうまく眠れず、元旦にひどいブランダーを指したとはいえ、翌日に12時間以上眠ることになるとは思いませんでした。しかしその分、体力は戻ったので、この日はどんな内容になっても言い訳はできません。

イングランドのIM Eggleston は、正統派の1.e4 プレーヤーで、ゲームによっては2500 近い実力を発揮することもあります。今大会は、Payen と私に連敗を喫しましたが、GM 3人から白星を挙げ、じりじりと成績を戻しつつあります。

Eggleston, D (IM, ENG, 2416) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Chess in Kesckemet 2015 New Year GM (7)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Ne4 O-O!?



前回このポジションを持ったThailand Open の最終戦では、13... Nxe4 を指していますが、今回は違った変化をチョイスします。

14. Kb1 c5


私はかつて、14... Nxe4 15. Qxe4 Nf6 16. Qe2 Qd5 のラインで、元女子世界チャンピオンのXu Yuhua からドローを取ったことがありますが、現在では、その変化はややパッシヴに思えるため、指すことはありません。e4 でナイトを交換するのであれば、13手目で取りますしね。

15. g4!



しかし、私としては、このタイミングでのアグレッシブなg2-g4 が強力であることを忘れていました。c5 を突けて満足かと思いきや、まだまだ油断はできないポジションです。

15... Nxg4 16. Qe2 Qb6 17. Ne5! Ndxe5 18. dxe5 Nxe5?


試合後に、この手は危ないとEggleston から指摘されました。もちろん、私もリスクを承知で2つ目のポーンを取りにいったわけですが、私が初めて体験する、この変化特有のブローをお見舞いされます。18... f5 19. exf6 Nxf6 は指したくなかったのですが、冷静に考えてみれば、すぐに困るスレットはなく、黒は本譜より安全でした。

19. Rhg1 Kh8 20. Bc3 f6 21. Bxe5 fxe5 22. Rxg7!+-



私としては、Bd2-Bc3 によってビショップでh6 を切られる筋がなくなり、少し安心していた矢先のことでした。ビショップが無くなっても、このルークサクリファイスによってキング前のポーンをはがされてしまうと、白のアタックは決定的なものとなります。知識としては知っていても、こうして指されるの初めてのことでした。ここでリザインすることも考えましたが、もう少し続けてみます。

22... Kxg7 23. Qg4+ Bg5 24. Nxg5 Kh8 25. Nxe6?!


これは少し助かりました。25. Rd7! Qb4 26. Rh7+ Kg8 27. Qxe6+ ならばメイトです。それでも、白はe6 に残った強力なナイトで、エクスチェンジの代償を十分に持って、プレーを続けることができます。

25... Rg8 26. Qf5 Qc6 27. Qxe5+ Kh7 28. f4



白は即メイトを逃しましたが、ナイトがe6 で安定し、強力なパスポーンが進んでくれば、黒の抵抗も時間の問題です。

28... Rg2 29. a3 Rag8 30. f5 Rg1 31. Nf8+


この手を完全に見落としていたのは恥ずかしいですが、いずれにせよ白のルークを放っておけば、Rd1-Rd6 が厳しいので、ルークを跳びこむ一手でしょう。

31... Rxf8 32. Qe7+ Rg7 33. Qxf8 Qf3 34. Re1 Qf2 35. Rc1 b6 36. f6 Rg1 37. Qe7+ 1-0



チェックを挟まずにルーク交換ならば、黒にもチャンスが出てきますが、さすがにこれではfポーンがどうしようもありません。Eggleston との2戦目は完敗で、負け越しグループに落ちてしまいました。前日の負けとはまた違いますが、そろそろ立て直さないとまずいですね。

12/27 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438) 0-1
12/28 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Eggleston, D (IM, ENG, 2416) 1-0
12/29 15:00 Groszpeter, A (GM, HUN, 2456) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/30 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) 1-0
12/31 15:00 Payen, A (IM, FRA, 2333) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
01/01 15:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
01/02 15:00 Eggleston, D (IM, ENG, 2416) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
01/03 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Groszpeter, A (GM, HUN, 2456)
01/04 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/05 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Payen, A (IM, FRA, 2333)

+1 Fominyh, Eggleston
0 Groszpeter, Payen
-1 Ilincic, Kojima

7R では、ようやくリスト1 のGroszpeter がトップを走っていたPayen を破り、初白星を挙げています。今回のトーナメントでは、1つ勝ち越しから1つ負け越しの間で、各メンバーが動きあっています。私が独走した前大会と違って、最終的にどういった順位になるか、全く予想がつきません。それでも、-2 状態から4勝して上がってきたEggleston は、なかなか勢いがありますね。彼は本当に強いと思います。


最近、ラテ・マキアートにはまっています。ビスケットがサービスでつくのは、どこでも同じですが、行きつけのイタリアンレストランでは、これにチョコレートがかかっています。ティラミスにもチョコをかけていますし、この店の方針なんでしょうね。

2015/01/02

Chess in Kecskemet 2015 New Year GM 6th round


元旦のケチケメートはひっそりと静まり返り、前夜と違って人の姿をほとんど見かけません。ヨーロッパでは、クリスマスと年始は休暇ですので、基本的にどこも営業していないのです。それでも、私はブログを書ける場所を探して彷徨っていると、ショッピングモールの最上階にある、フードコートの一角だけ営業していることに気が付きました。Grill Station はこのフードコートの中でも、私のお気に入りの店です。そしてWi-Fi もゲット。

2015年最初の相手は、ロシアのGM Fominyh で、すでにこの1ヶ月で5回目となる対戦です。今年の指し初めになるべく黒星はつけたくないところでしたが...

Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Chess in Kesckemet 2015 New Year GM (6)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nc3 Nf6 4. e3 e6 5. Bd2!?



Fominyh がきっちりと前回のゲームを復習し、改善してくるプレーヤーであることが分かったので、今回は私から手を変え、Semi-Slav で勝負します。5. Bd2 は珍しいですが、この後の展開次第では、あり得ない手ではありません。

5... Nbd7 6. Qc2 Bd6 7. cxd5 exd5 8. Bd3 O-O 9. Nge2


このセットアップは少し変なのではないかと思いながらも、実はこの形、色が逆で私も指していました。中部快速で、私が東芝さんに指したCaro-Kann Exchange Variation はこれと色が逆だったのです。しかし、黒で指して十分ソリッドである形を、白で指して十分なアドバンテージが取れるかは、全く別の話です。

9... Re8 10. Ng3 Nf8 11. Nf5 Bc7 12. f3 g6 13. Ng3 Ne6 14. O-O h5!



私の好きな手で、キングサイドのポーンを伸ばして白キングにプレッシャーをかけます。この時点で黒が良さそうだということを確信し、しっかりとアドバンテージを保ち続けるプランを考えます。

15. Rf2 h4 16. Nf1 Ng7


QGD Exchange では典型的なナイトのマヌーバリングで、ナイトの位置を切り替えていきます。白から最も恐れるべき攻撃は、e3-e4 のセンターブレイクですが、d4 をしっかり攻撃していれば、そのチャンスはだいぶ抑え込むことができます。

17. Re2 Nf5!?



QGD Exchange の基本から言えば、17... Bf5! で使いづらい白マスビショップを交換してしまうべきです。ここもそのアイディアでOK ですが、私は黒が明確にキングサイドへのアタックチャンスを持つこのポジションでは、白マスビショップを攻撃のピースとして、残しておく判断も面白いと思いました。

18. Be1 Nh5 19. Qd2 Qf6 20. Bf2 Be6


これで黒は白マスビショップも展開し、ルークをdファイルにも回せるようになりました。そうなれば、白はいよいよe3-e4 が突けなくなり、窮屈な陣形で我慢せざるをえなくなります。

21. Qe1 Nhg7?!



ここまでは私の指し方に、疑問らしいところは1つもありませんでした。しかし、ここで弱気な1手です。ビショップとクイーンを重ねられ、h4 のポーンをどう守るかという判断が求められるポジションですが、ここで強気に仕掛けなかったのは失敗でした。私はナイトを退いておき、g2-g4 のポーンをフォークを避けておけば、どこかでh4-h3 と突く絶妙のタイミングが訪れると期待していました。しかし、そのタイミングこそ、まさに今でした!

21... h3! 22. g3 (22. g4? Nxd4!!


Analysis Diagram

23. exd4 Qxf3 24. Be3 Qxg4+ 25. Kh1 f5 26. Rf2 f4-+ まさかのポーンフォークを恐れず、3ポーンピースにして攻めていけば勝勢でした。確かにこうしてみれば、h3 のポーンが強力で、白を持ちたいとは思いませんが、なかなかこれを実行に踏み切る決断力がありません。) 22... Bd7-/+ このように、h5 にナイトを残したまま、白のf3 を弱めることができるのであれば、本譜のようにナイトを退くのは、キングサイドのアタックを弱めてしまうだけでした。

22. Rd1 Rad8 23. Bc2 h3


このタイミングで仕掛けますが、今度はg3 への利きが減ってしまっているため、白は満足にディフェンスができます。

24. g4 Nd6 25. Nd2 Nc4 26. Bg3 Qxf3??



さすがに疲れが出ているかもしれません。相手の守っている駒が見えず、クイーンをただで落としたのは初めてのことでした...

27. Nxf3 1-0


12/27 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438) 0-1
12/28 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Eggleston, D (IM, ENG, 2416) 1-0
12/29 15:00 Groszpeter, A (GM, HUN, 2456) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/30 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) 1-0
12/31 15:00 Payen, A (IM, FRA, 2333) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
01/01 15:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1-0
01/02 15:00 Eggleston, D (IM, ENG, 2416) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/03 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Groszpeter, A (GM, HUN, 2456)
01/04 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/05 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Payen, A (IM, FRA, 2333)

+1 Fominyh, Payen
0 Eggleston, Kojima
-1 Groszpeter, Ilincic

他の2組はドローで、再びイーブン組に落ちてしまいました。今日はEggleston とのイーブン対決ですので、お互いに勝ち越し組に上がりたいと画策しているでしょう。久々にCaro-Kann のメインになりそうなので、少し楽しみです。

2015/01/01

Chess in Kecskemet 2015 New Year GM 5th round


皆さん、明けましておめでとうございます。ハンガリーも日本から遅れること8時間、無事に新年を迎えています。私が参加しているケチケメート以外でも、イングランドのHastings、羽生さんが参加しているスウェーデンのRilton Cup など、有名な年越しトーナメントはいくつかありますが、私自身、この時期も試合をしているというのは初めての体験ですので、ちょっぴり不思議な感覚です。大会によっては、大晦日や元旦はレストデイになりますが、ケチケメートは毎日1試合のスケジュールですしね!

2014年最後の試合は、フランスのIM Payen が相手となります。試合後に聞いたところ、2012年のカペルで篠田くんがお世話になったそうで、チェスの世界はとても広いようで、狭いことが分かります。IM クラスで一足先に全試合を終え、帰路についたノルウェーのジュニア、 Holm, Kristian Stuvik は、酒井くんがロンドンで初戦に試合をした相手でしたしね。私たちはチェスを続ける限り、どこかで出会って対戦をし、また思いがけない場所で再会します。

Payen, A (IM, FRA, 2333) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Chess in Kesckemet 2015 New Year GM (5)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. cxd5 cxd5 4. Nf3 Nf6 5. Nc3 Nc6 6. Bf4 Bf5 7. e3 e6 8. Qb3 Bb4 9. Bb5 O-O 10. Bxc6 Bxc3+ 11. Qxc3 Rc8



2008年のKramnik - Anand のマッチで登場し、注目を集めたラインです。結論から言えば、ここからお互いが正確に指せばドローにしかならないため、黒は勝負に行くためには、6... Ne4!? のようなポーンストラクチャーを変化させるような手を指すべきでしょう。人気の6... a6 はあまり私の好みではなく、根本的にポジションの特徴が大きく変わるわけではありません。

12. Ne5 Ng4 13. Nxg4 Bxg4 14. Qb4 Rxc6


1ポーンを捨てることを恐れ、14... bxc6?! と指せば、白はBf4-Bd6 からc5 のマスを抑え、cファイルにルークを重ねてc6 のポーンに長期的なプレッシャーをかけるでしょう。それでは面白くないと判断した私は、Anand が指した通り、ポーンを一時的にサクリファイスします。

15. Qxb7 Qc8 16. Qxc8 Rfxc8 17. O-O Be2!?



私が定跡を覚えていたのはここまでだったので、このポジションでアイディアを捻ります。黒は1ポーンダウンですが、cファイルに素早く重ねたルークの力により、ポーンの代償があるでしょう。そこで私が考えたプランは、白のf2-f3 が来る前にビショップを白陣に入れておき、その後でbポーンを攻撃するというものです。

18. Rfe1 Rc2 19. b3 Rb2 20. Rec1 Rxc1+ 21. Rxc1 h5


黒はcファイルを取り返されてしまいましたが、a2 のポーンを確実に攻撃し、ポーンを取り返しにいきます。

22. Ra1 Bd3 23. Bd6 Bb1 24. Ba3 Rxa2 25. Rxa2 Bxa2 1/2-1/2



黒はポーンを取り返せば確実ですが、そうでなくとも、ルークを交換して異色ビショップにすればドローは間違いありません。お互いに何事もなく、この日は1時間で試合を終え、2014年の公式戦を締めくくりました。

12/27 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438) 0-1
12/28 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Eggleston, D (IM, ENG, 2416) 1-0
12/29 15:00 Groszpeter, A (GM, HUN, 2456) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/30 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) 1-0
12/31 15:00 Payen, A (IM, FRA, 2333) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
01/01 16:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/02 15:00 Eggleston, D (IM, ENG, 2416) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/03 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Groszpeter, A (GM, HUN, 2456)
01/04 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/05 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Payen, A (IM, FRA, 2333)

+1 Kojima, Payen
0 Fominyh, Eggleston
-1 Groszpeter, Ilincic

この日はIlincic が、Eggleston との午前午後ダブルラウンドを行い、互いに白番で勝利を収めています。Eggleston は一切の妥協をせず、毎試合勝ちにいくファイティングスタイルですが、なかなか安定してポイントを取りにいくのは難しいようですね。私も彼に黒を持つ7R は、しっかり対策をして負けないようにしたいと思います。


この日の夕飯は、マレーシアのDing 母に頼まれ、自分たちで小麦をこねて、それをちぎり、麺(?)を作ってゆでて食べました。日本で言う年越しそばですが、麺(?)が中華麺や、日本のそばのように細長くないので、本来の意味である長寿の願いを込められません。そして、麺をちぎった人によって、サイズもバラバラ(笑) それでも、マイナス9度まで冷え込んだ大晦日の夜、暖かい料理はとてもありがたかったです。そして中国のFang 母が、私に料理を与えるのを嫌がっているというのは、単なる勘違いでした。


日付が変わる直前には、他のプレーヤーたちと、シャンパンで新年のお祝いをしました。ハンガリーのIM たちも、最初は交流の輪の外にいましたが、Ding 母の勢いに飲まれて、今ではすっかり溶け込んでいます。そしてなぜか、天使が下りてきそうな光の差し具合...(笑)


そして年明けの直後には、中央広場で花火が上がっていたので、寒い中、それを見に行くことにしました。ケチケメートにも、これほど多くのの人が住んでいたのかと驚くほど、新年を迎えた広場は活気づいています。一人でSlav の研究でもしているかと思っていましたが、こうした形で新年を迎えられたこと、とても嬉しく思います。海外トーナメントでの年越しも、悪くないですね。

2014年は、私にとって大きな出来事がたくさんあり、自分で言うのもなんですが、一回り成長できたのではないかと思っています。2015年も、実りの多い年にするために精進してまいりますので、今年も私とこちらのブログを、併せてよろしくお願い致します。

2014/12/31

Chess in Kecskemet 2015 New Year GM 4th round


今年もいよいよ最終日、12月31日ですね。日本の皆さんは今頃、紅白歌合戦でも見ているでしょうか。こちらは変わらず、毎日試合をこなす日々ですが、街の雰囲気は完全に年末のものです。年の瀬のケチケメートでは、こうしたマスクやかつらをよく見かけます。一昨年の年越しはブダペストでしたが、そこでもヴァーチ通りでこうしたマスクが売られ、多くの人が騒ぎながら新年を迎えていたのでした。

大晦日前日、30日の相手はセルビアのGM Ilincic です。もうすっかりケチケメートでは顔なじみですの相手ですが、毎回違った試合展開で勉強させてもらっています。今大会も先に白を持てたため、トーナメントをリードするためにも、勝負を仕掛ける大事な一戦となります。

Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2434)
Chess in Kesckemet 2015 New Year GM (4)

1. Nf3 d5 2. d4 Nf6 3. c4 c6 4. Nc3 a6 5. a4 e6 6. g3 Bb4!?



なんでも指せるIlincic は、前回のDutch Defence とはうって変わり、ソリッドなa6 Slav を選択してきました。オリンピアードで指した、6... dxc4 とは違い、こちらは典型的なCatalan の形になります。

7. Bg2 O-O 8. O-O Nbd7 9. Qb3 a5 10. Rd1 Qe7 11. Bf4 h6?


ゲーム序盤、Ilincic の不用意な一手により、早々に私がチャンスを掴みます。

12. c5!



これはBf4-Bd6 の跳びこみから、エクスチェンジを取るスレットを作りながら、同時にb4 のビショップの逃げ場を無くし、Nc3-Na2 からポーンを掠め取るスレットも作っています。e6-e5 といった気になる反撃があるものの、ここは十分に白が良くなると読み、思い切ってポーンを突いてみることにします。

12... Ne8 13. Na2 e5 14. Nxe5 Nxe5 15. Nxb4 Ng6 16. Nd3 Qxe2 17. Re1


白は駒数がイコールなものの、ダブルビショップを得て優位に立っています。ここからは、黒マスビショップを返してしまっても、ピースの展開の早さ、具体的にはルークの連結の早さで押していこうと考えました。

17... Qh5 18. Be5!? Qg5 19. Re3 Qd8 20. Rae1 Nxe5 21. Nxe5 Nc7 22. Qd3!?



白は黒マスビショップを返しましたが、eファイルをルークでコントロールし、e5 に強力なナイトを得て、やはりアドバンテージを保っています。ここからのプランは難しいですが、f4-f5 といったポーン突きを軸に、キングサイドで押していこうと考えました。b7 のアタックから離れるのは、勿体ないようにも思えますが、黒はどうせ、Nc7-Na6-Nb4 とナイトを回し、b7 を守ることができます。

22... Be6


ここはさすがに、22... Na6?? 23. Nxf7! Kxf7 24. Qh7+- というトリックに引っかかる相手ではありませんでした。このビショップは、f4-f5 からターゲットにもできますが、Qd8-Qc8 を警戒し、ゆっくりとfポーンを伸ばすことにします。

23. h3 Na6 24. f4 Nb4 25. Qe2 b6 26. Ng6



私は残り時間が10分を切り、確信はなかったものの、b7-b6 を無視してキングサイドで勝負を仕掛けることにします。

26... Re8 27. f5?!


ところが、この勝負所でお互いにミスが続きます。私はこのf4-f5 からピースを交換すれば、白にチャンスがあると考えていました。しかし、実際には27. Rc1 Na2 28. Rc2 Nb4 29. Rc1= ぐらいで、白は我慢するしかありません。

27... Qf6?



27... bxc5! 私達はどうしたことか、こんなシンプルな手を見落としていました。ナイトとビショップを取り合うのは、このポーンを取る手を先に入れてからでも遅くはありません。こうされると、白はe6 をルークで取れなくなってしまいます。 28. fxe6 fxg6 29. e7 Qb6 30. dxc5 Qxc5 31. Kh2=/+ このポジションは、わずかに黒が良いとのコンピュータ評価ですが、実際にはe7 のパスポーンの存在が不気味で、正確に指すのはお互いに難しいでしょう。

28. fxe6?


ここも、白は慌ててビショップを取る必要はなく、b6 のポーンを落ち着いて取っておくべきです。私はd4 を取らせるのは、直感的におかしいと考えましたが、後でキングが避ければ、どうということはありませんでした。28. cxb6! Qxd4 29. b7 Rab8 30. Kh2!+-

28... fxg6 29. Re5



さぁここから、さらに難しいポジションになります。白はe6 のパスポーンと、e,f のオープンファイルに運命を託しますが、ビショップの働きに不満があり、どちらが良いのか全く分かりません。

29... bxc5 30. Rf1 Qd8 31. Qg4!?


31. dxc5 Qe7 32. Qe3 では面白くないと思った私は、あくまでキングにプレッシャーをかけて、1ポーンの代償を図る作戦を取ります。

31... Re7?



7段目を先に守っておく手はいかにもありそうですが、g6 のポーンがあるかないかでは、黒キングの守りの厚さに歴然とした差があります。31... Kh7! 32. Rf7 Re7 33. dxc5 Qe8 ならば、黒にチャンスがあったでしょう。

32. Qxg6 Qe8 33. Qg4 Kh7 34. h4!?


どこかでポーンを取り返したかったものの、うまい方法が思いつかず、アタック優先で頭をひねり続けます。h3-h4 の狙いは、h5 までポーンを進めてg6 のマスを抑えるだけでなく、Bg2-Bh3 と指して、ビショップを使い直すことにあります。しかし、ここでは34. dxc5!? Nd3 35. Qf5+ Qg6 36. Rxd5!!


Analysis Diagram

少しだけ考えましたが、成立しているのかまったく自信がなく、切り捨てた変化です。36... cxd5 37. Qxg6+ Kxg6 38. Bxd5 Rd8 39. Be4+ Kh5 40. Rd1 Rxe6 41. Bxd3= このポジションをエクスチェンジの代償有りで、満足に白が指せると読むのは、時間切迫ではとても無理なことです。

34... cxd4 35. h5 d3 36. Bh3 Kh8 37. Ref5!



これはもしかすると、チャンスが巡ってきたのではないかと考えました。e6 のポーンをビショップで守ったことで、白はルークがパスポーンのお守りから離れ、fファイルに重ねることができました。これにより、白の念願だったルークの7段目、8段目への跳びこみが、現実味を帯びてきます。

37... Qg8?


Ilincic は、知識や経験など、総合的に判断すれば、まだ私よりも強いでしょう。しかし、前トーナメントで私に敗れた試合でもそうでしたが、最も丁寧なディフェンスが求められるポジションで、時間をたいして使わずに適当な手を指してしまうようでは、この先もレイティングが下がってしまうに違いありません。

38. Rf7! Rae8


38... Rxf7 39. exf7! Qf8 40. Qg6+- は、次にBh3-Bf5 から、h7 のメイトスレットを作って白勝ちとなります。37... Qg8 が悪い理由は、39. exf7 の際に、クイーンがアタックされてしまうことです。黒として、白がf7 をポーンとルーク、どちらで取るかを見極めてから、g7 とh7 をディフェンスしにいくのが正解でした。

39. Qh4!+-



残りは48秒。この手を指して勝ちを確信しました。g8 とe8 のクイーン、ルークの位置は最悪で、f7 を取った際にポーンフォークになってしまいます。そして、黒のe7 のルークはどこにも逃げられず、白の決定的な駒得が確定します。

39... Rxe6 40. Bxe6 d2 41. Qd4 Rxe6 42. Rf8 Re2 43. R1f7!


クイーン対ナイトなので、何も問題なく勝てるはずだと自分に言い聞かせつつ、丁寧なフィニッシュを探します。黒にプロモーションを許しても、先にメイトにできるこの手を見つけて、ようやく人心地つくことができました。

43... Qxf8 44. Rxf8+ Kh7 45. Rf7 1-0



大晦日、今年最後の更新で、こうした白星のゲームを日本に届けることができたこと、とても嬉しく思います。この日はアンダンテで行方不明になったナイトも、なぜかシャンプーの袋の中から出てきたので、何か良いことがあると思っていました(笑)

12/27 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438) 0-1
12/28 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Eggleston, D (IM, ENG, 2416) 1-0
12/29 15:00 Groszpeter, A (GM, HUN, 2456) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/30 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) 1-0
12/31 15:00 Payen, A (IM, FRA, 2333) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/01 16:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/02 15:00 Eggleston, D (IM, ENG, 2416) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/03 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Groszpeter, A (GM, HUN, 2456)
01/04 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/05 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Payen, A (IM, FRA, 2333)

+1 Kojima, Payen
0 Fominyh, Eggleston
-1 Groszpeter, Ilincic

この日はEggleston がGroszpeter を破り、4R まででGM 全員に土がつきました。今回は完全にIMたちに勢いがあり、後半戦に入っても、私たちで上位3名を争うことになるかもしれません。

さぁそして、これから今年最後の公式戦です。初戦で勝ったリードを保ち続けているフランスのIM Payen が、前半戦最後の相手となります。試合の内容と結果もですが、明日は行きつけのイタリアンレストランが閉まるため、どこでブログを書けば良いのか、そしてあらゆる店が閉まる元旦はどうしたものか、気にしなくてはいけません(笑) それにしても、どうして会場のWi-Fi は、iPhone ではキャッチできるのに、パソコンではだめなのでしょうか...


この日は嬉しい再会がありました。昨年、ノビサドの大会で出会った、セルビアのGM Sinisa Drazic が、チェスグッズの取引のため、ケチケメートを訪れたのです。彼はGM としてプレーする傍ら、ノビサドで多くの大会を手掛けている人物です。またセルビアに足を伸ばす際は、お世話になることでしょう。

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