皆さん、明けましておめでとうございます。ハンガリーも日本から遅れること8時間、無事に新年を迎えています。私が参加しているケチケメート以外でも、イングランドのHastings、羽生さんが参加しているスウェーデンのRilton Cup など、有名な年越しトーナメントはいくつかありますが、私自身、この時期も試合をしているというのは初めての体験ですので、ちょっぴり不思議な感覚です。大会によっては、大晦日や元旦はレストデイになりますが、ケチケメートは毎日1試合のスケジュールですしね!
2014年最後の試合は、フランスのIM Payen が相手となります。試合後に聞いたところ、2012年のカペルで篠田くんがお世話になったそうで、チェスの世界はとても広いようで、狭いことが分かります。IM クラスで一足先に全試合を終え、帰路についたノルウェーのジュニア、 Holm, Kristian Stuvik は、酒井くんがロンドンで初戦に試合をした相手でしたしね。私たちはチェスを続ける限り、どこかで出会って対戦をし、また思いがけない場所で再会します。
2008年のKramnik - Anand のマッチで登場し、注目を集めたラインです。結論から言えば、ここからお互いが正確に指せばドローにしかならないため、黒は勝負に行くためには、6... Ne4!? のようなポーンストラクチャーを変化させるような手を指すべきでしょう。人気の6... a6 はあまり私の好みではなく、根本的にポジションの特徴が大きく変わるわけではありません。
1ポーンを捨てることを恐れ、14... bxc6?! と指せば、白はBf4-Bd6 からc5 のマスを抑え、cファイルにルークを重ねてc6 のポーンに長期的なプレッシャーをかけるでしょう。それでは面白くないと判断した私は、Anand が指した通り、ポーンを一時的にサクリファイスします。
私が定跡を覚えていたのはここまでだったので、このポジションでアイディアを捻ります。黒は1ポーンダウンですが、cファイルに素早く重ねたルークの力により、ポーンの代償があるでしょう。そこで私が考えたプランは、白のf2-f3 が来る前にビショップを白陣に入れておき、その後でbポーンを攻撃するというものです。
黒はcファイルを取り返されてしまいましたが、a2 のポーンを確実に攻撃し、ポーンを取り返しにいきます。
黒はポーンを取り返せば確実ですが、そうでなくとも、ルークを交換して異色ビショップにすればドローは間違いありません。お互いに何事もなく、この日は1時間で試合を終え、2014年の公式戦を締めくくりました。
12/27 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438) 0-1
12/28 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Eggleston, D (IM, ENG, 2416) 1-0
12/29 15:00 Groszpeter, A (GM, HUN, 2456) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/30 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) 1-0
12/31 15:00 Payen, A (IM, FRA, 2333) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
01/01 16:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/02 15:00 Eggleston, D (IM, ENG, 2416) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/03 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Groszpeter, A (GM, HUN, 2456)
01/04 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/05 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Payen, A (IM, FRA, 2333)
+1 Kojima, Payen
0 Fominyh, Eggleston
-1 Groszpeter, Ilincic
この日はIlincic が、Eggleston との午前午後ダブルラウンドを行い、互いに白番で勝利を収めています。Eggleston は一切の妥協をせず、毎試合勝ちにいくファイティングスタイルですが、なかなか安定してポイントを取りにいくのは難しいようですね。私も彼に黒を持つ7R は、しっかり対策をして負けないようにしたいと思います。
この日の夕飯は、マレーシアのDing 母に頼まれ、自分たちで小麦をこねて、それをちぎり、麺(?)を作ってゆでて食べました。日本で言う年越しそばですが、麺(?)が中華麺や、日本のそばのように細長くないので、本来の意味である長寿の願いを込められません。そして、麺をちぎった人によって、サイズもバラバラ(笑) それでも、マイナス9度まで冷え込んだ大晦日の夜、暖かい料理はとてもありがたかったです。そして中国のFang 母が、私に料理を与えるのを嫌がっているというのは、単なる勘違いでした。
日付が変わる直前には、他のプレーヤーたちと、シャンパンで新年のお祝いをしました。ハンガリーのIM たちも、最初は交流の輪の外にいましたが、Ding 母の勢いに飲まれて、今ではすっかり溶け込んでいます。そしてなぜか、天使が下りてきそうな光の差し具合...(笑)
そして年明けの直後には、中央広場で花火が上がっていたので、寒い中、それを見に行くことにしました。ケチケメートにも、これほど多くのの人が住んでいたのかと驚くほど、新年を迎えた広場は活気づいています。一人でSlav の研究でもしているかと思っていましたが、こうした形で新年を迎えられたこと、とても嬉しく思います。海外トーナメントでの年越しも、悪くないですね。
2014年は、私にとって大きな出来事がたくさんあり、自分で言うのもなんですが、一回り成長できたのではないかと思っています。2015年も、実りの多い年にするために精進してまいりますので、今年も私とこちらのブログを、併せてよろしくお願い致します。
2014年最後の試合は、フランスのIM Payen が相手となります。試合後に聞いたところ、2012年のカペルで篠田くんがお世話になったそうで、チェスの世界はとても広いようで、狭いことが分かります。IM クラスで一足先に全試合を終え、帰路についたノルウェーのジュニア、 Holm, Kristian Stuvik は、酒井くんがロンドンで初戦に試合をした相手でしたしね。私たちはチェスを続ける限り、どこかで出会って対戦をし、また思いがけない場所で再会します。
Payen, A (IM, FRA, 2333) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
Chess in Kesckemet 2015 New Year GM (5)
1. d4 d5 2. c4 c6 3. cxd5 cxd5 4. Nf3 Nf6 5. Nc3 Nc6 6. Bf4 Bf5 7. e3 e6 8. Qb3 Bb4 9. Bb5 O-O 10. Bxc6 Bxc3+ 11. Qxc3 Rc8
Chess in Kesckemet 2015 New Year GM (5)
2008年のKramnik - Anand のマッチで登場し、注目を集めたラインです。結論から言えば、ここからお互いが正確に指せばドローにしかならないため、黒は勝負に行くためには、6... Ne4!? のようなポーンストラクチャーを変化させるような手を指すべきでしょう。人気の6... a6 はあまり私の好みではなく、根本的にポジションの特徴が大きく変わるわけではありません。
12. Ne5 Ng4 13. Nxg4 Bxg4 14. Qb4 Rxc6
1ポーンを捨てることを恐れ、14... bxc6?! と指せば、白はBf4-Bd6 からc5 のマスを抑え、cファイルにルークを重ねてc6 のポーンに長期的なプレッシャーをかけるでしょう。それでは面白くないと判断した私は、Anand が指した通り、ポーンを一時的にサクリファイスします。
15. Qxb7 Qc8 16. Qxc8 Rfxc8 17. O-O Be2!?
私が定跡を覚えていたのはここまでだったので、このポジションでアイディアを捻ります。黒は1ポーンダウンですが、cファイルに素早く重ねたルークの力により、ポーンの代償があるでしょう。そこで私が考えたプランは、白のf2-f3 が来る前にビショップを白陣に入れておき、その後でbポーンを攻撃するというものです。
18. Rfe1 Rc2 19. b3 Rb2 20. Rec1 Rxc1+ 21. Rxc1 h5
黒はcファイルを取り返されてしまいましたが、a2 のポーンを確実に攻撃し、ポーンを取り返しにいきます。
22. Ra1 Bd3 23. Bd6 Bb1 24. Ba3 Rxa2 25. Rxa2 Bxa2 1/2-1/2
黒はポーンを取り返せば確実ですが、そうでなくとも、ルークを交換して異色ビショップにすればドローは間違いありません。お互いに何事もなく、この日は1時間で試合を終え、2014年の公式戦を締めくくりました。
12/27 15:30 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Fominyh, A (GM, RUS, 2438) 0-1
12/28 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Eggleston, D (IM, ENG, 2416) 1-0
12/29 15:00 Groszpeter, A (GM, HUN, 2456) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
12/30 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) 1-0
12/31 15:00 Payen, A (IM, FRA, 2333) - Kojima, S (FM, JPN, 2356) 1/2-1/2
01/01 16:00 Fominyh, A (GM, RUS, 2438) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/02 15:00 Eggleston, D (IM, ENG, 2416) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/03 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Groszpeter, A (GM, HUN, 2456)
01/04 15:00 Ilincic, Z (GM, SRB, 2434) - Kojima, S (FM, JPN, 2356)
01/05 15:00 Kojima, S (FM, JPN, 2356) - Payen, A (IM, FRA, 2333)
+1 Kojima, Payen
0 Fominyh, Eggleston
-1 Groszpeter, Ilincic
この日はIlincic が、Eggleston との午前午後ダブルラウンドを行い、互いに白番で勝利を収めています。Eggleston は一切の妥協をせず、毎試合勝ちにいくファイティングスタイルですが、なかなか安定してポイントを取りにいくのは難しいようですね。私も彼に黒を持つ7R は、しっかり対策をして負けないようにしたいと思います。
この日の夕飯は、マレーシアのDing 母に頼まれ、自分たちで小麦をこねて、それをちぎり、麺(?)を作ってゆでて食べました。日本で言う年越しそばですが、麺(?)が中華麺や、日本のそばのように細長くないので、本来の意味である長寿の願いを込められません。そして、麺をちぎった人によって、サイズもバラバラ(笑) それでも、マイナス9度まで冷え込んだ大晦日の夜、暖かい料理はとてもありがたかったです。そして中国のFang 母が、私に料理を与えるのを嫌がっているというのは、単なる勘違いでした。
日付が変わる直前には、他のプレーヤーたちと、シャンパンで新年のお祝いをしました。ハンガリーのIM たちも、最初は交流の輪の外にいましたが、Ding 母の勢いに飲まれて、今ではすっかり溶け込んでいます。そしてなぜか、天使が下りてきそうな光の差し具合...(笑)
そして年明けの直後には、中央広場で花火が上がっていたので、寒い中、それを見に行くことにしました。ケチケメートにも、これほど多くのの人が住んでいたのかと驚くほど、新年を迎えた広場は活気づいています。一人でSlav の研究でもしているかと思っていましたが、こうした形で新年を迎えられたこと、とても嬉しく思います。海外トーナメントでの年越しも、悪くないですね。
2014年は、私にとって大きな出来事がたくさんあり、自分で言うのもなんですが、一回り成長できたのではないかと思っています。2015年も、実りの多い年にするために精進してまいりますので、今年も私とこちらのブログを、併せてよろしくお願い致します。
1 件のコメント:
あけましておめでとうございます▼o・~・o▼ 野次馬的にはIMタイトルを認定されました後はentry feeも優遇になるようですし どこぞのハードコアなトーナメントに出場されることを期待しております・・・▼o・~・o▼ 汗 主戦場が欧米ということで参加するだけでも大変なので フェンシングとかテニスの某選手みたいにスポンサーが見つかると良いのですが・・・▽o・~・o▽
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