2012/09/01

Istanbul Chess Olympiad 3rd round - Japan vs. Finland -


大会3日目は強豪国、フィンランドとの対戦です。フィンランドを代表するGM と言えば、若いながら2600を超える実力を持つ、Tomi Nyback が挙げられます。私は彼とは、2008年に北京で開催されたWMSG で対戦しており、Blitz、Rapid 両方で良いところなく敗れています。今回はリベンジのつもりで試合に臨みましたが、なかなか2600代からポイントを奪うのは難しかったです... それでは棋譜の前に結果から。

Finland - Japan 2 : 2


38.1 GM Nyback, Tomi 2638 - FM Kojima, Shinya 2282 1 - 0
38.2 IM Agopov, Mikael 2429 - CM Nanjo, Ryosuke 2316 ½ - ½
38.3 FM Sipila, Vilka 2431 - FM Watanabe, Akira 2278 0 - 1
38.4 FM Ebeling, Daniel 2350 - Averbukh, Alexander 2211 ½ - ½



そんなわけで私以外の3人が奮闘し、フィンランドとは引き分けでした。特にライブ中継でゲームをご覧になっていた人は、暁さんのファイティングにしびれたでしょう。そちらの棋譜はBehind でチェックしてください。

私のゲーム内容については、皆さんの判断にお任せします(笑)それではTomi Myback 戦の解説です。

Nyback, T (GM, FIN, 2638) - Kojima, S (FM, JPN, 2282)
40th Chess Olympiad (3)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. e3 g6 5. Nc3 Bg7 6. Be2 O-O 7. O-O dxc4 8. Bxc4 Nbd7 9. Bb3 Nb6 10. h3 Nbd5 11. Re1 Bf5 12. Nd2 Nxc3 13. bxc3 Ne4 14. Nxe4 Bxe4



黒はe4 を抑えつつ、2ピースを交換して、白にセンターを取られても負担が少なくなるように指します。

15. Ba3 Re8 16. Qg4 Bd5 17. c4 Be6 18. Qf3 Qa5!


e7 をルークで守ったのは、クイーンを早めにフリーにするためです。ビショップをアタックするテンポで、もう片方のルークもセンターの回す時間を得ます。

19. Bb2 Rad8 20. Red1 Qb4!?



私はこの手を、c4 をアタックするだけでなく、b7 を守ることでc6-c5 と突けるようにすること、そしてa5 を空けることでa7-a5-a4 と突けるようにすること、3つのアイディアを織り交ぜて指しました。それは良かったのですが、本譜でやや不正確な変化に跳び込んでしまいます。

21. Rac1 c5?!


この試合で初めての疑問手。より厳しい手をチョイスすべきでした。21... a5! 22. Bc3 Qa3! 23. d5!? (私は試合中、この手をずっと恐れていましたが、実際には問題なかったようです。) 23... Bxc3 24. dxe6 (24. Rxc3 Bf5 25. e4 Bxe4! 26. Qxe4 a4 27. Rcd3 axb3 28. dxc6 Rxd3 29. Qxd3 bxc6= この変化を問題なしと読み切ったうえで21...a5 は少し難しいです。) 24... Bf6 25. c5 fxe6 26. Bxe6+ Kg7=

22. Bc3 Qb6 23. d5 Bd7 24. e4 Bxc3 25. Qxc3 e5



白からのe4-e5 を防ぐためには、黒からブロックエードするしかないでしょう。しかし、これで白にはプロテクテッドパスポーンが生まれ、それを何らかのヘビーピースで止めなければいけないことが、多少の負担になります。

26. Bc2 Bc8 27. Rb1 Qc7 28. a4 Re7 29. a5 Qd6


白はまず、クイーンサイドから手を作ります。b7-b6 はなるべく突きたくないので、キープしていると...

30. Rf1!?



今度はキングサイドから手を作りにきます。

30... f5!?


何かしら反撃が必要だと思い、キングサイドを自分からこじ開けることにしました。この後、黒はうまくアタックを作っているように見えますが、時間のない中、彼の受けは見事でした。

31. exf5 gxf5 32. Rbe1 Rf8 33. Re2 Rff7 34. Rfe1 e4 35. f3 Qg3



互いに残り1分ほど、何かチャンスはあるだろうと思いましたが...

36. Rf1 Rg7 37. Qe1! exf3


2ピースルークにするのは面白いのではないかと思ってトライ。別の変化は白が順当に勝ちます。37... Qxh3 38. fxe4 fxe4 39. d6!+-

38. Qxg3 fxe2 39. Qb8!



この手を見ていませんでした。a7 とc5 が落ち、d6 にパスポーンがある状態では、黒はとても戦えません。

39... exf1=Q+ 40. Kxf1 Re8 41. Qxa7 f4 42. Bd1 Bf5 43. Bh5 Rc8 44. Qb6 Re7 45. Qf6 Bd3+ 46. Kf2 1-0



最後はe6 とf7 のマスを抑えつつ、ルークを逃がす手がないのでリザイン。もちろん白はBh5-Bg4-Be6 でも勝ちです。粘ったつもりでしたが、終盤は相手の指し方がうまかったと感じました。

そして女子はと言えば、バルバドス相手に初勝利!おめでとうございます。オリンピアードで初めて大将を務める石塚さんは、体調不良でいまだ勝ち星に恵まれていないので、次こそ期待しましょう。

Barbados - Japan 1 : 3


52.1 Howard, Corrine 1720 - Ishizuka, Mirai 1839 1 - 0
52.2 WCM Ramsay, Sheena 1631 - WCM Nakagawa, Emiko 1798 0 - 1
52.3 Murray, Donna 0 - Kikuchi, Arisa 0 0 - 1
52.4 Mason, O'Shara 0 - Hoshino, Karen 1640 0 - 1

最後に、この日は会場の写真を取る余裕が全くなかったので、ホテルの食事をアップしておきます。


昼食と夕食は必ずこのサラダから入ります。


次はメインのプレート。毎日、肉料理が二種、魚料理が一種置いてあります。


そしてデザート。ティラミスうまうまです。

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