つい先日、日本国内の新レイティング、S89 が公開されました。そこで新しく2000 を突破したプレーヤーがいます。それが、私の中学高校の5代上の先輩である、井上祥さんです。良い機会ですので、私が公私共に大変お世話になっている井上さんについて、今回はご紹介しようと思います。
井上さんとは私がチェスを始めてすぐ、麻布学園チェスサークルの部室で出会いました。とは言え、中学1年生のペーペーと、すでに引退して受験勉強に励む高校3年生では、ほとんど縁はありません。2003年の秋、大学生になった井上さんが、ジャパンオープンでチェスの世界に戻ってきた時からが、本格的な私たちの付き合いのスタートです。直前の東京オープンで優勝し、2000に乗るのも時間の問題だと思っていた私は、復帰したばかりのうえ、レイティングが300も下の井上さんにあっさり負け。ぽっきりと鼻を折られました。井上さんはこの後、岩崎さんと塩見さんにも勝って、Aクラスでの入賞を果たしています。
私が大学生になる直前、2007年の頭からは、私たちの付き合いが濃くなってきます。私の自宅から比較的近い場所で一人暮らしを始めた井上さんの下へ、一緒にトレーニングをやるために、私が通うようになりました。井上さんの部屋に泊まるのも当たり前で、午後4時から午前4時まで12時間、対戦と研究を続けるような日もありました。一緒にトレーニングをするようになった直後の2007年のカペルでは、井上さんは2200近いパフォーマンスを残しています。それが、この時のトレーニングのおかげだと本人から言葉を貰えたことは、私にとって大変光栄なことです。
ところが、こうしたトレーニングの中で、井上さんが国内レイティングを順当に伸ばしたかと言えば、そうでもありません。2005年には1892 まで到達したものの、その後、レイティングの上げ下げを繰り返し、1700~1900台を何年も彷徨うことになります。どうしてレイティングが2000 に到達しないのか、トレーニングに付き合っていた私も、そして当然のことながら本人も、長い期間悩んでいました。
そういった経緯もあり、2013年の今年、井上さんのレイティングが全日本での好調を受けて2000 を突破したことは、私たち2人にとって大変喜ばしいことです。麻布学園チェスサークルのOB では、東芝さんに次いで、おそらく19人目となります。井上さん、おめでとうございます。2000という数字に満足することなく、今後は2100、そしてそれ以上を目指してください!
井上さんが2000 に到達できたのは、勉強や仕事が忙しい時期でも、こつこつと時間を作ってトレーニングや研究、大会への参加や自分の試合の復習を繰り返してきた、努力の賜物だと私は思っています。2008年の秋に医学部卒業試験直前にもかかわらず、北京で開催された大会に参加したことは、医学部生にとっては信じられないことでしょう。そういった井上さんのバイタリティは、私も見習っていかなければいけないと思っています。
現在、井上さんには、私のIM へのチャレンジを応援をしてもらっているとともに、仕事のやり方や今後の方針についても、様々なアドバイスをいただいています。さらにはあまり知られていないことかもしれませんが、今週から韓国で開催されるアジアインドア&マーシャルアーツゲームズの、チェス日本代表チームの担当医師(NFドクター)も引き受けていただいています。(韓国には同行しませんが)今後も、井上さんとは長い付き合いになるでしょう。私だけがお世話になるのではなく、少しずつでも恩返しができればと思っています。
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