2013/06/27

The Highest Level Training In Japan

今月は韓国のトーナメントに向けたトレーニングとして、羽生さんと個人的に2回お会いし、ラピッドとブリッツを数試合ずつこなしています。今日の試合から1つ、ゲームを紹介させていただきます。なお、ブログの不調で画像サイズが大きく表示されている可能性がありますが、あまり気にしないでください。

Kojima,S (FM, JPN, 2385) - Habu, Y. (FM, JPN, 2404)
Training

1. Nf3 Nf6 2. c4 e6 3. Nc3 d5 4. d4 c6 5. e3 Nbd7 6. Qc2



Semi-Slav Anti-Meran はここまで7連勝中。私の大好物です。

6... Bd6 7. Bd3 O-O 8. O-O dxc4 9. Bxc4 b5 10. Bd3 Bb7 11. Rd1 Qc7!?


早めにh2 のポーンをアタックすることで、このラインの特徴であるNf3-Ng5 を防いでおきます。同じアイディアの11... Qb8!? も面白く、本譜とはまた違った流れになるでしょう。

12. Bd2! Rac8 13. b4!+/=



これがQd8-Qc7 に対して、もっとも有効だと私が考える手です。単純にc6-c5 を防ぐことで、黒の白マスビショップの働きを封じ込めます。また13... Bxb4 14. Nxb5! と進んでも、白の優勢はゆるぎないでしょう。

13... Qb8 14. a3 Rfe8 15. h3 h6 16. Rac1 a6 17. Be1 Rcd8 18. Ne4!


ゆったりと準備をしてから、ピースを捌きにいきます。

18... Nxe4 19. Bxe4 e5!?



c6 をいきなり捨ててくるとは意外でした。19... Nf6 20. Bd3 とシンプルに進めても、黒からはアクティブなカウンタープレーがなく、面白みがないだろうというのが、羽生さんの意見です。

20. Bxc6 Rc8 21. d5 e4 22. Nd4 Ne5 23. Qb3 Nd3 24. Rxd3! exd3 25. Qxd3+/-



黒のカウンターの軸であるアクティブなナイトを消してしまいます。2ポーンエクスチェンジのマテリアルで、ナイトが黒陣に食い込んでいれば、白のアドバンテージは十分だと直感的に判断しました。

25... Bxc6 26. Nxc6 Qc7 27. Bc3!


ビショップはいつまでも、e1 にいては仕方がありません。黒キングにプレッシャーをかけるように位置を改善します。

27... Qd7 28. Bd4 f5 29. Rc2 Kh8 30. Qd1 Qf7 31. Bc5 Qg6 32. Qf3?



ここまではほぼ完璧な試合運びだったはずが、終盤でやや緩手です。オープンファイルを作ることは、ルークを持つ黒にとって有利です。そのため、f5-f4 は最も警戒すべきアイディアでした。ここは焦らずに、32. Qd3 とクイーンを戻すべきだったでしょう。

32... f4! 33. Rc1 fxe3?!


試合後に羽生さんは、先にビショップを交換しておくべきだったと指摘しています。33... Bxc5! 34. bxc5 fxe3 35. fxe3 Qd3! ならば、黒は十分なカウンタープレーを作れており、形勢不明です。

34. Bxe3 Qd3 35. Bc5!




a3 を守りつつ、ここからは何度も黒マスビショップの交換を迫り、パスポーンを押し進める算段を立てます。

35... Qd2


35... Qxf3 36. gxf3 Bf4 37. Rd1 このポジションは、コンピュータではほぼイコール評価ですが、人間としてはこういったポジションを嫌がるでしょう。白はここから、残したクイーンでゆっくりとプレッシャーをかけるように指していきます。

36. Qd1! Qf4 37. g3 Qf6 38. Bd4 Qg5 39. h4 Qf5 40. Qd2 Kh7 41. Bc5 Qf6 42. Qc2+ Kh8 43. Qc3 Be5 44. Qc2 Bd6 45. Qc3 Be5 46. Nxe5!



手を繰り返した後、ナイトビショップの交換を決断します。

46... Qxe5 47. Qd3 Red8 48. Rd1 Rd7 49. d6 Rxc5


ここで黒は焦れてエクスチェンジを返しますが、d6 にパスポーンが1つ残れば、勝ちには十分です。49... Re8 50. a4!+/= でも、白はゆっくりアドバンテージを拡大していけるでしょう。

50. bxc5 Qxc5 51. Qg6 Qe5 52. Kf1 1-0



ここで黒の時間が落ちて勝ち。持ち時間が少なくなったポジションでも、相手のカウンターを許さないように指すことは、これからの課題だと感じました。

羽生さんとは2回のトレーニングで、ラピッド1つ勝ち越し、ブリッツ1つ負け越しと、なかなか良い勝負をしています(笑)他には面白いと思ったポジションを互いに持ち寄り、こういった手はどうかと意見を出し合う研究をしています。色々と自分だけでは出ないアイディアを学ぶことができ、とても勉強になりました。羽生さん、ありがとうございます! トレーニングの成果を出して、韓国は良い戦績を残せるように頑張ってきます。

2 件のコメント:

匿名 さんのコメント...

いつもより盤がデカい

Shinya_Kojima さんのコメント...

原因不明です(>_<)

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