2013/07/25

Memories of Hungary Vol.7 - What I study in Hungary -


3月に帰国して以来、「小島さん、変わりましたね」と周囲から言われることが、しばしばあります。そしてそれは、チェスのプレーに関することではありません。ハンガリーでの9ヶ月は、もちろんチェスの勉強がメインの目的であったわけですが、それ以外にも私がハンガリーの生活の中で学んだことは、たくさんあるはずです。自分で自分の変化を考えるのは少し難しいですが、ハンガリーを振り返るシリーズの締めくくりとして、このテーマで記事を書いてみようと思います。

これまでの記事で書いてきた通り、私はハンガリーで多くの人と交流を持ちました。それはブダペストで勉強する留学生であったり、ハンガリーや近隣諸国で働く日本人たちであったり、少しの間ハンガリーに立ち寄った旅人であったり、私同様、チェスが好きで好きでしょうがないチェスプレーヤーたちであったりします。その中には、これまで私が関わることのなかった種類の人たちも多く、日本の狭いチェスの世界ばかりにいた私には、様々な新鮮な発見がありました。

例えば小さなことですが、私はアンダンテでの生活に入る前、一人でコーヒーメーカーでコーヒーを作ってみたり、から揚げを作るために鶏肉の下処理をしたり、外国で日本人の友人を作ったりしたことがありませんでした。人にとっては当たり前のことでも、私のこれまでの生活には必要ない、もしくは自分にはできないと思っていたためです。しかしこれらは全て、やろうと思えばそう難しいことではなく、なぜ今まで自分でやろうとしなかったのか、首を傾げたくなるようなことばかりです。


アンダンテでは、他のお客さんと協力して料理を作ることもありました。(ほとんど人任せでしたけどね!)

逆に私に対しては「チェスできるなんてすごいね!」という声が、アンダンテのお客さんからはよく寄せられました。しかし、私はチェスができることをすごいと思ったことはないですし、教えたお客さんの多くは1時間もあればルールをマスターしてしまいます。大学を卒業してから、チェスの道に進もうと思ったのも、ハンガリーでの留学を決めたのも、結局は自分がどうしようもないほどチェスが好きで、もっともっとチェスがしたかったからです。

そんな私にはブダペストで日本人宿を経営することや、ブダペストの大学に籍を置くことや、世界中を一人で旅することのほうが、自分がやっていることよりも、よっぽどすごいことで、自分には全く真似できないことに思えました。しかし彼らに言わせれば、それも私同様、好きだからやっているものなのかもしれません。結局のところ、誰しもが自分にできることは大したことではなく、他人にできることはすごいと、思い込みがちなのでしょう。


チェスを教えたお客さん同士が、対戦することもありました。

これまで頭では分かったつもりでも、きちんと理解できていなかったこと。それは人にとって当たり前のことや、できることが、他人にとってはそうではないということです。こんな小さなことを、多くの人との交流の中で再確認できたことが、ハンガリーの生活の中で学べた、最も大切なことなのかもしれません。それと同時に、自分のコンプレックスを見て卑下する必要などないと、少し肩の荷が下りました。

ちなみにこれは、自分の未熟な部分を無視しても良いということではありません。自分がどうしても気になる点は、自分で改善に取り組むべきでしょう。私が言いたいのは、他人と自分を比べて、隣の芝生を羨んでばかりいても仕方がないということです。それよりも、自分ができることを伸ばし、自分ができないと思っていたことにも、一度チャレンジしてみるべきでしょう。意外とあっさりできてしまうかもしれません。こうしたことに気づいてから、私がどう変わったか。自分や他人に対して寛容になったか、実のところはよくわかりません(笑) でも、そういう自分でありたいという気持ちは、ハンガリーから戻った今も持ち続けています。

そして、これからまたどうしていくかということですが、まだ迷い中です。しかし、まずはハンガリーに忘れてきた最後のIM ノームを取ることを、当面の目標にします。「結局そこに戻るんだな!」と突っ込まれそうですが、まずは自分の出来ることを一歩ずつです(笑) 試合の少ない日本の生活で腕が鈍っており、3ヶ月かけてもノームを取れなかったらどうしようか... という不安もありますが、そこは皆さんの応援でカバーできればと思います! そのようなわけですので、引き続き、私のことを温かく見守っていただければと思います。

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