2014/05/31

Hiyoshi Training on 31st May

5月最終日の今日、日吉の公式例会に参加してきました。88年の同期対決が続き、初戦は弘平くんとドロー、2戦目は桑田くんに勝ちでした。両方勉強になるエンドゲームだったので、2戦目を公開しておきます。(写真は撮り忘れました...)

Kojima, S (FM, JPN, 2409) - Kuwata, S (JPN, 2141)
Hiyoshi Training (2)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 dxc4 5. a4 Bf5 6. Ne5 Nbd7 7. Nxc4 Nb6 8. Ne5 a5 9. Bg5 h6 10. Bh4 e6 11. e4 Bh7 12. f3 Be7 13. Bf2 O-O 14. Be2 Nfd7 15. Nd3 Rc8 16. O-O c5 17. dxc5 Nxc5 18. Nxc5 Bxc5 19. Bxc5 Rxc5 20. Qxd8 Rxd8 21. Rfd1 Rdc8?!



ここでdファイルを完全に明け渡してしまうのは、少しリスクがあるように見えます。21... Rcc8 と指すほうが良いでしょう。

22. Rd6 R5c6 23. Rad1 Kf8 24. Bb5 Rxd6 25. Rxd6 Nc4 26. Bxc4 Rxc4 27. Rb6


白マスビショップを抑え込むことで優位に試合を進めてきた白が、ここで駒得を確定させます。抵抗したい黒は、なんとかh7 のビショップを使えるようにしなければいけません。

27... f5 28. e5!?



ここで伸ばしたポーンが、d6, f6 を抑えることでプラスに働くか、将来的な弱点となりうるかは、判断の難しいところでしょう。28. exf5 Bxf5 29. Rxb7 Bc2 と指すほうが良いのではないかというのは、桑田くんからの指摘ですが、考え直してみてもよく分かりません。来週のトレーニングで、再び考えてみようと思います。

28... f4 29. Rxb7 Bc2 30. Rb5 Bxa4 31. Rxa5 Bc2 32. Rb5 Rd4?!


私はこの手が変だと感じました。白のキングは上がる良いマスがないため、7段目でカットオフする必要はあまりありません。それよりも黒は、32... Kf7 から、自身のキングを上げるべきでしょう。

33. h4 g5 34. hxg5 hxg5 35. Rb7 Rd2 36. b4!



bポーンが進み始めると、白にとってぐっと楽な展開になります。

36... Bf5 37. b5 Rc2 38. b6!


見落としがちなこの手で勝負を決定づけます。38... Rxc3 39. Rc7 Rb3 40. b7+- でも、黒はどうしようもありません。

38... g4 39. fxg4 Bxg4 40. Rc7 f3 41. b7 f2+ 42. Kf1 1-0



全日本のゲームを見ていても思いましたが、桑田くんは、「白ならばこれぐらいのアドバンテージで、黒ならばこれぐらいの不満で、十分に戦える」という判断が、非常にうまいプレーヤーだと思います。(序盤で小さなことにこだわりすぎて、ポジションを早々におかしくしてしまうプレーヤーは、この考え方を学んでみると良いでしょう。)それでも、このゲームではもう少し早めに、h7 の抑え込まれたビショップに対する工夫を見せなければいけませんでしたね。私も同じラインを黒で指すため、他人事ではありません。

ただ、オープニングが満足に戦えるレベルであるならば、日本のプレーヤーはしっかりとエンドゲームを勉強するべきでしょう。私も弘平くんとの試合では、時間切迫とは言え、ドローのポーンエンディングを負けにするブランダーを指しました。対する弘平くんも、自分の勝ちに気付かずにブランダーを返すというミスの応酬でした。最もシンプルなはずのポーンエンディングさえ、実際に指してみると難しいものです。6月のレクチャーテーマは、エンドゲームにするべきか思案中です。

最後に、今日の日吉例会参加者の皆さん、お疲れ様でした。主催者の厚彦くん、今日はありがとう。また機会があれば、参加させてもらいます。

2014/05/29

Japanese Team Composition in Tromso Olympiad


数日間、書くべきネタがないと悩んでいましたが、今夜はようやくこの情報をお届けできます。10日ほど前、暁さん、南條くん、私の3人で集まり、オリンピアードのボード順について話し合ってきました。私はこの1週間で選手ほぼ全員と連絡を取り、ようやく協会の了承も得て、ボード順を決定させました。よほどのことがない限り、変更はないでしょう。8月のトロムソオリンピアードは、以下のようなボード順で戦うことになります。

1. 南條遼介 2344
2. 小島慎也 2373
3. 渡辺暁 2252
4. Averbukh A 2183
5. 三ツ矢直人 2024

1. 橋本あづみ 1712
2. 星野華怜 1726
3. 雨宮杏奈
4. 長谷川愛美 1698
5. 若林ヒサ子 1449


数字は全日本を選手権を含めた、6月公開のFIDE レイティングです。事前に私から聞いてなかった人は驚いたかもしれませんが、私は初出場のトリノオリンピアード以来、4大会8年ぶりに、2番ボードでのプレーとなります。3月後半に、南條くんから「1番南條、2番小島」の提案を受けたのですが、実は私も2人の性格やチームでの役割から、同じことを考えていました。最終的には、南條くんの全日本でのプレーを見て、安心して1番を任せられるだろうと判断しています。南條くん、8年ぶりの1番ボード、よろしくお願いしますね。

女子チームも、ボード順決めには様々な提案がありましたが、全日本中に橋本さんから、1番ボードでプレーしたいという強いアピールがあったことを受け、暁さんと私で、橋本、星野というトップのボード順を決めました。前回のオリンピアードでポイントゲッターとして活躍し、WCM のタイトルを獲得した華怜には、2番ボードで2年間の成長を見せてもらおうと思います。(最年少の華怜に、1番を任せるという案もありました。)

トロムソへの出発までは、あと2か月ほど。公式HP を見る限り、開催は...大丈夫そうですかね。ボード順も決まりましたので、任された場所でしっかりとプレーできるよう、しっかりとトレーニングを続けていきましょう。

2014/05/24

Chess GYM


昨晩、今まで知らなかったチェスのサイトを発見しました。それが以下のサイト、Chess GYM です。

Chess GYM

いつ頃できたサイトなのかは分かりませんが、ランキングにさほど人数がいない以上、結構新しいような気もします。(単に人気がないサイトなのかもしれませんが...) 制限時間内に、攻撃の手筋を探すTactics: Blitz のほか、具体的な手筋はなくても、ベスト、もしくはそれに近い手を探すtactics: Positional の問題もあり、結構面白いです。

Endgame のコーナーでは、指定のマテリアルでコンピュータ相手に練習を積むことができます。エンジンは有名なソフト、Stockfish が使われており、ちょっと間違えれば厳しい手が飛んできて、あっさりと勝ちのチャンスを消されてしまいます。シンプルなルーク+ポーン vs. ルークのエンドゲームで、昨夜何回間違えてやり直したかは、私の名誉のために伏せておきましょう(笑)

ネット上のチェスの問題が解けるサイトとしては、Chess.com のTactics コーナーや、Chess tactics Server (通称CTS) などが有名ですが、このサイトもこれから候補の1つとして考えてみようと思います。実際にこのChess GYM を利用している人からの感想も、聞いてみたいところです。

2014/05/22

Japan Chess Championship 2014 FIDE Rating Calculation


今月頭に東京で開催された、全日本選手権のレポートがFIDE に送られ、昨夜には参加者のパフォーマンス、およびFIDE レイティング増減が公開されました。詳細は、以下のリンクからチェックできます。

2014 Japan Chess Championship

事前の計算通り、優勝の南條くんが+36、準優勝の私が+27 でした。初入賞で4位に入った厚彦くんも、+31 と大きく数字を伸ばしています。これら数字は、6/1 付けのFIDE レイティング更新に反映され、新しいレイティングが発表されます。

私の印象では、今年の全日本選手権は参加者48名中、38名がFIDE レイティング保持者ということで、FIDE 公式戦の割合が高かったように感じます。保持者にとって、未保持者との試合はレイティングに換算されないので、なるべく保持者と試合をしたいものです。運悪く未保持者との試合が多かったプレーヤーが、勝ち星の割にレイティングが増加しないということは、ときどきある話です。

一方で未保持者にとっても、保持者が多いことは、多くの公式戦が一大会ででき、早くレイティングの付く可能性が高くなるので、当然喜ばしいことです。例えば、私の後輩である慶應の勝田くんは、11試合の対戦相手全員がレイティング保持者であり、半分の5.5P を獲得したことで、この全日本選手権一大会でレイティングがつくことが決まっています。勝田くん以外にも、過去のFIDE 公式戦の結果も含めて、3人の新規FIDE レイティング獲得者が誕生することが分かっています。4人とも、おめでとうございます!

ちなみに補足ですが、チェスプレーヤーは最初は誰もが初心者、そしてFIDE レイティング未保持者です。当然ですが、私も最初に参加した全日本選手権では、FIDE レイティングを持っていませんでした。FIDE レイティングが欲しければ、どこかでFIDE 公式戦をしなければいけないので、未保持者の皆さんも遠慮せずに全日本選手権や、ジャパンリーグに参加しましょう。そして参加した以上は、保持者とどんどん試合をしてポイントを取り、高い新規レイティングを獲得しましょう(笑)

それでは皆さん、あらためて今年の全日本選手権もお疲れ様でした。結果をチェックして、再び一喜一憂があるかとも思いますが、また次の大会で頑張りましょう!

2014/05/21

Which Side Should Offer a Draw?


Kojima, S - Watanabe, A / Nagoya Open 2008(5)
Position After 32... Bb4

今夜の話題はドローオファーについて。私は近年、各所でこの話をしていますが、納得してもらえる場合とそうでない場合があるので、思い切ってブログのネタとして取り上げてみます。上記のポジションは、私が初めて渡辺暁さんと試合をした、2008年の名古屋でのゲームです。私は当時19歳で、この年の全日本選手権で独走で優勝し、ノリノリでした。初めての暁さんとの試合でも、オープニングでかなり良くなったはずですが、ミドルゲームでの構想が悪く、徐々に盛り返されてしまいます。そして最終的に、ゲームがどうなったかと言いますと...

33. Bd3(=) 1/2-1/2


このように、私が1手指してドローオファーし、暁さんはそれを受けました。これで互いに仲良く入賞し、賞金の分けました、というだけならば何も記事のネタにはならないのですが、私にとってこの試合後の検討で、暁さんに言われたことが非常に印象的でした。

暁さんは私に対して、「最後のポジションの形勢は、どのように考えるか?」と問いました。私は間髪入れず、「33. Bd3 からピースを交換したら、キングサイドのポーンを伸ばしすぎて、f4 も弱い白がやや劣勢でしょう」と答えます。そして暁さんから初説教の言葉、「自分が劣勢のポジションでドローオファーするな」を頂きました。

当時、若かった私はこの言葉の意味が分かりませんでした。劣勢でも、形勢が分かりづらかったり、相手の時間が少ない場合であれば、ドローの提案をするのはおかしくないことだと考えていたためです。おそらく、この記事を読んでいる読者の方の中にも、どういうことなのかよく分からない人が多いかと思います。もう少し話を続けましょう。


Rowson, J (GM, SCO, 2596) - Kojima, S (JPN, 2272) / Dresden Olympiad(6) 2008
Position After 37... Rxb2

同じ年のドイツでのオリンピアード、懐かしのスコットランド戦です。このポジションは白番なので、白はa7 のポーンを取って、誰が見ても白優勢です。ところが、私はこのポジションでドローオファーしました。7段目のルークで白キングをカットオフしているうえ、パスポーンの後ろにルークが回ったり、g3 のポーンを狙うカウンタープレーができ、白が勝つのは意外と難しいのではないかと考えたためです。

しかし、いくら難しくても、こうした明らかな劣勢のポジションでドローオファーをするという行為は、今では信じられないことですし、自分の生徒が同じことをした場合は、きちんと指導します。Rowson はこの後、New In Chess Magazine で彼が持つコラムの中で、「彼はここでドローオファーした。生意気な若者である」と書いています。はい、全くもってその通りです。

まだピンと来ない人もいると思いますので、現在の私の考えを説明します。まず明言しておくべきことは、ドローオファーは形勢に差がある場合、「優勢の側がすべきもの」です。この数年で色々と考えてきましたが、理由を以下のようにまとめてみます。

・劣勢の側は、受けてほしいという願いを込めてドローオファーしている暇があれば、なんとか挽回する方法を考えるべきである。
・劣勢であると分かったうえで(もしくは、判断するまでもなく明らかなうえで)、劣勢な側がドローオファーするという行為は、「あなたには、正しい形勢判断をする実力がない」「あなたには、この優勢なポジションを勝ち切る実力がない」と受け取られかねないため、失礼にあたる。

特に格下のプレーヤーが格上のプレーヤーに対して、劣勢のポジションでドローオファーするということは、普通に考えてありえない行為です。雑誌に皮肉を書かれても仕方がありません(笑) こうして考えてみると、形勢に差がある場合のドローオファーは、優勢な側がなんらかの理由から(手間を省く、入賞を決める、勝ち切る自信がないなど)、行うものだと言えるでしょう。勝ちとドローしかない優勢側は、わざわざ劣勢側のオファーを受ける理由はないのです。

この話題については、また色々なマスターとも話をしていきたいと思いますが、私が身を持って学んだきた経験からの結論ですので、そう簡単に覆らないでしょう。もちろん、少し違う意見を持つプレーヤーもいると思いますので、そうした声にも耳を傾けていきたいと思います。

2014/05/19

A Hope from Croatia


Croatian GM Ivan Saric, Chess News より

私がハンガリー留学中、機会があれば一度足を伸ばそうと思った国がヨーロッパにあります。それがハンガリーの南西に位置する、クロアチア共和国です。ブダペストのアンダンテにいる際も、首都ザグレブやドゥブロブニクから来た、これから行くという声を何回も聞きました。日本人旅行者に人気があるだけでなく、海に面していないハンガリーの国民にとっても、海へ行きたくなった際に足を伸ばすのは、隣国クロアチアだそうです。

もちろん、私がクロアチアに興味を持ったのは、海水浴ではなく、チェスによるものです(笑) Sicilian Alapin を勉強していた2010年頃、クロアチアと、北のスロベニアのGM の棋譜は多く並べました。かつてはユーゴスラビアという、巨大なチェス強豪国家だったこの辺りの国々は、使うオープニングや棋風が、現在も少し似ているような印象を受けます。

そして、現在クロアチアを率いるGM と言えば、最近名前を頻繁に聞くようになった、Ivan Saric です。私より2つ若い、1990年生まれで、FIDE レイティング2666、国内ランキングは1位で、2位のStevic (2010年のオリンピアードでは1番ボードを務めていたGM です。) とは、レイティングを50以上離しています。今年始めのTata Steel Challenger Class で安定した戦績で優勝し、現在は15th Poikovsky Karpov Tournament に参戦中です。

Saric, I (GM, CRO, 2666) - Eljanov, P (GM, UKR, 2732)
15th Poikovsky Karpov Tournament (4)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. h4 h5 5. Bd3 Bxd3 6. Qxd3 e6 7. Bg5 Be7 8. Nf3 Nh6 9. Nbd2 Nf5 10. Nf1 Qa5+ 11. c3 Qa6 12. Qc2 Nd7 13. Ne3 g6 14. b4 b6 15. a4 c5 16. b5 Qc8 17. Bxe7 Nxe7 18. O-O cxd4 19. cxd4 Qxc2 20. Nxc2 Nf5 21. Nb4 O-O 22. Rfc1 Rfc8 23. Kf1 Kf8 24. g3 f6 25. exf6 Nxf6 26. Rxc8+ Rxc8 27. Nc6 Ne7 28. Nfe5 Nxc6 29. Nxc6 a5 30. f3 Ne8 31. Re1 Kf7 32. Ne5+ Kf6 33. Nd7+ Kf7 34. Ne5+ Kg7 35. Nc6 Kf7 36. Ke2 Nd6 37. g4 hxg4 38. fxg4 Ne4 39. Ke3 Rh8 40. Rh1 Kg7 41. h5 gxh5 42. gxh5 Kh6 43. Kf4 Nf2 44. Rb1 Kxh5 45. Ke5 Kg5 46. Rg1+ Ng4+ 47. Kd6 Kf4 48. Kc7 e5



49. Rxg4+!+- Kxg4 50. Nxe5+ Kf5 51. Kxb6 Ke6 52. Ka7 Rh7+ 53. Ka6 Kd6 54. b6 Rh1 55. b7 Rb1 56. Nd3 1-0


おそらくSaric のレイティング、2666はクロアチアのプレーヤーとして、過去最高の数値だと思います。今後もクロアチア初の2700GM になれるか、注目は高いでしょう。私も要チェックのプレーヤーとして、今後の活躍を見守ろうと思います。

2014/05/15

Tromso Olympiad will be Checkmated?


昨晩、南條くんから知らされ、今日にはすでにTwitter で出回っている話題ですので、こちらでも取り上げようと思います。ノルウェーのニュースでは、8月1日から開催予定のトロムソオリンピアードが、現在、資金の問題で開催が危ぶまれていると報じられています。日本のチェスプレーヤーにとっても馴染み深い、Chess.com では、この問題が英語で記事にされているので、そちらをチェックするのが分かりやすいでしょう。

Tromsø Olympiad in Trouble?

今回の件は、昨年秋にFIDE World Cup をトロムソで開催したことで、オリンピアード開催に向けた資金が獲得できなくなったという話ですが、開催まで3か月を切ったこの状況で、こうした問題が表沙汰になるとはなかなか驚きです。(昨年の夏にも、イベント開催直前に資金のトラブルがありましたが...) 私の知る限り、オリンピアードが突如中止になるということは、これまで実例がなく、ノルウェーのチェス連盟も、なんとかしようと奔走しているでしょう。あまり不安を煽ってもしょうがないのですが、現状をお伝えしたうえで、うまく開催にこぎつけられるよう願うことにします。

ところで、もう1つ私が気になっていたのは、ジャパンリーグの開催時期です。全日本選手権の閉会式では、運営側から今年のジャパンリーグは中止するという旨が伝えられました。これに対して私は、自分の考えを昨夜、チェス協会にメールしたのですが、それに対する回答は、「今年のジャパンリーグは当初の予定通り、8/9-12 の日程で開催する」というものでした。当然、オリンピアードの開催時期と被っているため、私たちは参加することができません。

もちろん中止よりは、私たちオリンピアードメンバー抜きでも開催するほうが良いとは思いますが、なぜコロコロと意見が変わるのか... そして決めたらならば決めたで、HP で告知する等、なぜきちんと発表しないのか... ちなみにチェス協会のカレンダーには、8/9-12 でジャパンリーグ、9/27-28 で女子選手権を開催すると記載されています。これを見るに、女子選手権も当初の8月から、全日本選手権中に発表された7月、そして最終的に9月へと開催時期が変更されたことが分かります。大会の開催時期については、慣習を守るだけでなく、その年の海外イベントとの兼ね合いを考え、慎重に決定、発表をしてほしいですね。

少しメインの話を逸れましたが、現在一番の注目は、トロムソオリンピアードが無事に開催されるのかどうかです。私も続報には十分気を配りますので、なにか関連のあるニュースを見つけた方は、私まで知らせてくださると嬉しいです。

2014/05/12

A New Chess Blog

またこの国に1つ、すごいチェスブログが誕生してしまいました。私は公開された日、ブログのタイトルを見てひとしきり笑い、そっと閉じようかと思いました。まだ見たことのない方は、とりあえず一度、訪れてみてください。

私からは以上です。

それでは篠田くん、引き続き更新を頑張って下さい。始める以上に、継続するのが大変、そして大切です。今後もどういった記事が出るか、楽しみにしています。

2014/05/11

Preparation for the Chess Olympiad


イスタンブールで女子チームの指導をするミーシャ

例年通りであれば、全日本選手権が終了したGW 明けは、しばらくまったりするところではありますが、今年はそういうわけにもいきません。8月の頭から開催されるノルウェーでのチェスオリンピアードまで、あと2か月半ほどに迫っています。全日本の結果を受けたオリンピアード代表たちは、すでに一部で色々と動き始めています。

私はひとまず、全日本の結果をコーチのミーシャに伝え、棋譜も送っていくつかアドバイスを受け取っています。知らない人のために説明しておきますと、ミーシャことセルビアのGM Mihajlo Stojanovic さんは、2008年のドレスデンオリンピアードから日本代表チームのコーチを引き受けてくださっている、プロのチェストレーナーです。私も個人的にこの数年間、特にハンガリー留学時代にお世話になってきました。前回のイスタンブールオリンピアード以来、ミーシャとは会っていませんが、今年のトロムソでも日本チームの支えとして、頼りにしています!

そしてオリンピアードのボード順については、一応全日本の最中の話し合いで大体決めていますが、閉会式で発表の機会を逃してしまったので(と言うよりも、話す機会を与えられなかったのでw)、またオリンピアードのきちんとした記事を書く際に、こちらで公開しようと思います。オリンピアードチームメイトの皆さん、8月まで気を引き締めていきましょう!

2014/05/08

Saturday Lecture on May 10th 2014


4月のレクチャーの様子、Photo by Hasegawa

今月前半は全日本選手権があり、またもやレクチャーの告知が遅くなってしまったことを、申し訳なく思います。5月の池上でのレクチャーは、明後日、5月10日(土) の開催です。先月とは異なり、通常通り午前10時からのスタートですので、お間違えの無いよう、お気を付けください。

【日時】 2014年5月10日(土) 10:00~12:00
【会場】 チェスセンター(最寄駅:池上駅)
【形式】 レクチャー+質疑応答
【テーマ】 Japan Chess Championship 2014 Games Analysis
【テーマ詳細】

今年もゴールデンウィークの全日本選手権が終了し、日本トップレベルのプレーヤー同士による名局が、数多く生まれました。今回はそんな全日本選手権のゲームから、私が面白いものと思ったものをいくつかピックアップし、ミドルゲームとエンドゲームのアイディアを中心に解説を行おうと思います。

【参加費】 午後のサタデートーナメント参加者は午前、午後合わせて1500円、レクチャーのみは1000円
【参加資格】なし
【対象】 レイティング2000未満

2014/05/07

Japan Chess Championship 2014 Final Day


全日本選手権は無事に昨日、最終日を迎えて閉幕しました。優勝を争っていた南條くんと私は、ともに最終戦を勝ち、南條くんが10.5/11 という驚異的なスコアで優勝を決めました。私も南條くんとの5R のドロー以降、後半戦6連勝で追いすがりましたが、最後まで0.5P の差が縮まらず、単独2位でのフィニッシュです。

1st Place 南條遼介 (CM, JPN, 2308) 10.5p (0.5 小島)
2nd Place 小島慎也 (FM, JPN, 2346) 10p (0.5 南條、権田)
3rd Place Lewis A (FM, ENG, 2281) 8p (0 南條、小島 / 0.5 松尾、桑田)
4th Place 小林厚彦 (JPN, 2058) 7p (0 南條、小島、松尾/ 2 bye)


私は今年も2位に終わりましたが、10/11 というスコアは自己ベストですし、FIDE レイティングも27プラスということで、IM タイトルに再びぐっと近づきました。タイトル奪還はなりませんでしたが、オリンピアードチームメイトである南條くんが好調であることは、私にとっても喜ばしいことですので、2人でチームを牽引していければと思います。南條くん、3回目の全日本優勝、おめでとう!

それでは最終戦のゲームへ移ります。麻布の13代先輩である松尾さんとは、百傑に引き続き2度目の対戦、色も同じ黒です。前回は優勢なエンドゲームを粘られてドローにされてしまったので、今度こそ勝ちを目指します。

Matsuo, T (CM, JPN, 2251) - Kojima, S (FM, JPN, 2346)
Japan Chess Championship 2014 (11)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. Nc3 dxe4 4. Nxe4 Bf5 5. Ng3 Bg6 6. h4 h6 7. Nf3 Nd7 8. h5 Bh7 9. Bd3 Bxd3 10. Qxd3 e6 11. Bd2 Ngf6 12. O-O-O Be7 13. Kb1 Qb6 14. Ne4 Rd8 15. g4!?



たまたま百傑のChirs 戦でも、このe4 にナイトを残した形でのg2-g4 ギャンビットが登場し、黒の受けを考える良いきっかけを得ていました。個人的にはe4 にナイトを残していると、黒の典型的なディフェンスであるf7-f5 がナイトをアタックするうえ、黒はまだキャスリングしていないので、このg2-g4 は早すぎると思っていましたが、実際に試合を進めてみると、もう少し難解なポジションであることが分かります。ちなみに3年前、馬場さんと名古屋で指したゲームでは、15. Nxf6+ Nxf6 16. Qe2 c5 17. c3 O-O と進んで、黒が満足なポジションになりました。

15... Nxg4 16. Rdg1!? f5 17. Ng3!?


このナイトが戻る手は1手損になるうえ、f2 の守りがなくなるので変だと考えていました。この時点でピースをサクリファイスするアイディアもありますが、17. Qe2!? c5! (17... fxe4 18. Qxe4 Ndf6 19. Qg6+ Kd7 20. Rxg4 Nxg4 21. Qxg4 Bf6=/+ これでも駒得で黒が指しやすいですが、キングのポジションがやや不安定です。) 18. Nh4!? O-O 19. Ng6 Rfe8=/+ こうして黒は安全にキャスリングを済ませ、優位に試合を進めることができるでしょう。

17... c5!?



17... Nxf2?! 18. Qe2 Nxh1 19. Nxf5! という強烈な返しがあるので、h1 のルークを取るのが危険だと判断した私は、6段目の利きを開いて、クイーンを利用したディフェンスができるようにしました。このアイディアはもちろん悪くありませんが、17... Qb5! (d5 をアウトポストにする、Caro-Kann Classical では典型的なクイーン交換のアイディアです。) 18. Qxb5 (18. c4?! Nde5! は見つけづらい1手でしょう。) 18... cxb5 19. Re1 Nf8=/+ このようにして、ピースサクリファイスからの難解なポジションを避けることも、黒の選択肢としてありえました。

18. Nxf5!!


g3 に白がナイトを戻した以上、黒としては最も警戒すべきアイディアです。これを受けきれると読んだうえでの、c6-c5 でしたが...

18... exf5 19. Qxf5 Nxf2 20. Rg6?



これは試合をあっさり終わらせてしまう、もったいないブランダーでした。白がピースの代償を求めるのであれば、クイーンではなくキングを攻撃しにいくべきです!

20. Rxg7! Qf6 21. Rxe7+!


Analysis Diagram

私の読み筋にもありましたが、予想よりも黒のピースの連携は取れておらず、十分に白が戦えるポジションになります。21... Kxe7 22. Re1+ Kf8 23. Qd5 Qc6 (23... Re8 24. Qxd7 Ne4=) 24. Qf5+ Qf6 25. Qd5= こうなれば、白はルークをサクリファイスしたままの状態で、パペチュアルチェックに持ち込むことができました。黒がこれを避けようとすれば、f2 のナイトは諦めるほかなく、エクスチェンジの代償がありそうな難しいポジションになるでしょう。

20... Rf8! 0-1



クイーンを逃がす前に、白のクイーンを攻撃してしまえば、白にはこれ以上、ピースの代償を伴って戦う方法がありません。たった1マス、ルークを置く位置を間違える悪手でゲームが終わり、松尾さんにとっては惜しまれるゲームだったでしょう。こうして南條くんから多少遅れながらも、10P での単独準優勝を決めました。

今回、私が知る限りで最多の48人という参加者があり、各所で面白いゲームも見られました。自分のプレーについてだけでなく、試合をしていた自分の生徒たちの成長や今後の課題が見えたことも、私にとっては大きな収穫でした。満足な結果を残せた人も、そうでなかった人も、今年の後半戦、これからもまた頑張っていきましょう。

最後になりますが、参加者と運営陣の皆さん、6日間本当にお疲れ様でした! それでは次回はどこかのトレーニングや、6月の快速選手権でお会いしましょう!


スピーチ中の南條くん。10.5/11 という新記録にも触れてほしかったです。 Photo by Hiebert


池上会館の猫。次にこの会場に足を運ぶのはいつになるでしょうかね。

05/01 10:00 R1 Fukuda, T (JPN, 1915) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/01 15:30 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Shioguchi, T (JPN, 2057) 1-0
05/02 10:00 R3 Gonda, G (JPN, 2066) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 1/2-1/2
05/02 15:30 R4 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Mitsuya, N (JPN, 2040) 1-0
05/03 10:00 R5 Nanjo, R (CM, JPN, 2308) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 1/2-1/2
05/03 15:30 R6 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Kobayashi, A (JPN, 2058) 1-0
05/04 10:00 R7 Kuwata, S (JPN, 2125) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/04 15:30 R8 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Lewis, A (FM, ENG, 2286) 1-0
05/05 10:00 R9 Watanabe, A (FM, JPN, 2258) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/05 15:30 R10 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Averbukh,A (JPN, 2179) 1-0
05/06 10:00 R11 Matsuo, T (CM, JPN, 2251) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1

2014/05/05

Japan Chess Championship 2014 Day5


Photo by Uesugi

長かった今年の全日本も、ようやくゴールが見えてきました。私はこの日、イスタンブールとトロムソオリンピアードのチームメイト、暁さん、Alex との連戦でした。午前中の暁さんとのゲームでは、Caro-Kann 2.d3 の変化で1ポーンアップのエンドゲームとなり、そのままキングのポジションを良くしていって勝ち。続く午後のAlex とのゲームは、珍しく正統派オープニングの試合となりました。

Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Averbukh, A (JPN, 2179)
Japan Chess Championship 2014 (10)

1. Nf3 b6 2. g3 Bb7 3. Bg2 e6 4. c4 c5 5. Nc3 Nf6 6. O-O Be7 7. d4 cxd4 8. Qxd4



予想外なことに、私の一番得意な変化の一つ、Hedgehog になりました。ここから去年の全日本の権田さんとの試合をなぞるように、ゲームは進んでいきます。

8... Nc6 9. Qf4 d6 10. Rd1 a6 11. b3 Qc7 12. Bb2 O-O 13. Rac1 Qb8 14. h3


権田さんとのゲームでは、Qd8-Qb8 と1手でクイーンが移動したため、本譜では白は1テンポを得ています。そこで何を指そうか迷いましたが、無難に端ポーンを突くことを決めました。

14... Rd8 15. Ng5 Ne5 16. Bxb7 Qxb7 17. Nce4 Nxe4 18. Nxe4 Ng6 19. Qf3 Kf8?



次のNe4-Nf6+ のディスカバードアタックを防ぐために何を指してくるか考えていましたが、このキングがfファイルに寄る手は危険に見えます。大人しく、19... Rd7 と上がって、クイーンを守っておくべきでしょう。

20. h4! Rd7?


1手前であれば有効なディフェンスが、ここでは仇となります!

21. h5 f5


21... Ne5 22. Bxe5 dxe5 23. Rxd7 Qxd7 24. Nd6!+- 白はこの手でf7 のメイトとa8 のルーク取りをダブルスレットにできるため、エクスチェンジアップが確定します。かといって21... Nh8 と退くのも苦しいですし、本譜も全く戦えません。

22. hxg6 Qxe4 23. gxh7 Kf7 24. Qh5+ g6 25. h8=N+!



出たー、FIDE 公式戦初のアンダープロモーション(笑) こうしてピースアップとなった白は、そのまま押し切って勝ちです。

25... Ke8 26. Qxg6+ Kd8 27. Rd4 Qxe2 28. Qg8+ Kc7 29. Qxa8 Qxb2 30. Rcd1 Qxa2 31. Ng6 Bf6 32. Nf8 b5 33. Qa7+ 1-0


こうして、強敵たちを相手に今日も連勝を収めたわけですが、優勝を争っている南條くんも、今日は篠田くん、唐堂くんに勝って、9.5/10 という驚異的な数字を叩きだしています。私もここまで9/10で、全日本ではベストの戦績なのですが、私とドロー以外に全勝されてしまっては追いつけないですね。それでも、明日の最終戦、南條くんは杉本さん、私は松尾さんとの試合が残っていますので、最後まで気を抜かずに試合に臨んでこようと思います!


今日はお昼に会場近くの小洒落た定食屋へ。サラダや前菜のほか、メインに魚料理が3皿が来たのにはたまげました。

05/01 10:00 R1 Fukuda, T (JPN, 1915) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/01 15:30 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Shioguchi, T (JPN, 2057) 1-0
05/02 10:00 R3 Gonda, G (JPN, 2066) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 1/2-1/2
05/02 15:30 R4 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Mitsuya, N (JPN, 2040) 1-0
05/03 10:00 R5 Nanjo, R (CM, JPN, 2308) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 1/2-1/2
05/03 15:30 R6 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Kobayashi, A (JPN, 2058) 1-0
05/04 10:00 R7 Kuwata, S (JPN, 2125) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/04 15:30 R8 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Lewis, A (FM, ENG, 2286) 1-0
05/05 10:00 R9 Watanabe, A (FM, JPN, 2258) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/05 15:30 R10 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Averbukh,A (JPN, 2179) 1-0
05/06 10:00 R11 Matsuo, T (CM, JPN, 2251) - Kojima, S (FM, JPN, 2346)

2014/05/04

Japan Chess Championship 2014 Day4


Photo by Hiebert

全日本4日目からは、ゴールデンオープン3日コースも並行して開催されるため、会場が広い池上会館に移り、人数も増えて活気づいてきました。7R は同期の桑田くんに黒、Caro-Kann Player 同士の対戦です。

Kuwata, S (JPN, 2125) - Kojima, S (FM, JPN, 2346)
Japan Chess Championship 2014 (7)

1. e4 c6 2. d4 d5 3. e5 Bf5 4. Nf3 e6 5. Be2 Nd7 6. O-O h6 7. a4 Ne7 8. a5 Bh7 9. c4 dxc4 10. Nbd2 c5 11. Nxc4 Nd5 12. Ne3 Be4 13. Ne1 Be7 14. Bd3 cxd4 15. Bxe4 dxe3 16. Bxd5 exf2+ 17. Rxf2 exd5 18. Qxd5 O-O 19. Be3 Nc5!



ひとまずオープニングは満足に乗り切って、ここからが本番です。f7 へのプレッシャーは少し気になりますが、e5 の孤立ポーンも弱いため、黒にも主張のあるポジションでしょう。

20. Qc4 Ne6 21. Qb5 Bg5 22. Bxg5 Qxg5 23. Qxb7 Qxe5


ターゲットとして残しておきたかったポーンを交換してしまいましたが、クイーンがアクティブになりました。白のbポーンは武器になるか弱点となるか、この段階でははっきり分かりませんでしたが、うまく後者になるように指していくことができました。

24. Nf3 Qe3 25. Re1 Qc5 26. Ne5 Rab8



a7 を守った黒は、ルークをアクティブにしてbポーンを攻撃します。f2 のルークをピンにしていることが、アタックとディフェンスの両面で役立っています。

27. Qa6 Rfd8!? 28. Nxf7?


この手はやりすぎです。お互いにf2,f7 を狙う形ですが、クイーンでのピンが強力であるため、黒のほうが攻めが決まる形になっています。

28... Rxb2 29. Nxh6+ Kh7!



e6 を取られた際にチェックにならないよう、当然ここは避ける1手です。一時的に1ポーンアップにはなりますが、この後、白はどうしようもありません。

30. Ng4 Rdd2 31. Qf1 Nf4 32. Kh1 Rxf2 33. Nxf2 Rxf2 0-1


こうして重要なゲームを勝てたのは嬉しいのですが、隣のボードでは南條くんも暁さんを黒で下し、0.5P 差はなかなか縮まりません。午後の8Rも、厚彦くんが南條くんにあっさり負けたため(4手目で疑問手) 、私はLewis を相手に何が何でも勝たなくてはいけなくなりました。


Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Lewis, A (FM, ENG, 2286)
Position After 48. Bc2+

48... Kd5??


d4 とe5 は論外ですが、d5 もキングにとって逃げ込んではいけないマスでした! 残り時間の無かった私ですが、逆転を確信して勝負を決めにいきます。

49. Bb3+! Kd6 50. Bxe6 Kxe6 51. Nxc6+-



ナイトとパスポーンが協力した典型的な形です。黒はポーンを取るしかありませんが、直後にナイトフォークが入ります。

51... Rxb7 52. Nd8+ Kd5 53. Nxb7 Kc4 54. Nc5 Kxb4 55. Nd7 f5 56. Ne5 g5 57. Nf3 g4 58. Nh4 f4 59. Ng2 1-0


前日に引き続き、このゲームを拾ったのは完全にラッキーでした。明日は暁さんに黒の大一番を迎えますが、トーナメントの行方を面白くするためにも、南條くんとの差を広げないように頑張ってくるつもりです!

05/01 10:00 R1 Fukuda, T (JPN, 1915) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/01 15:30 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Shioguchi, T (JPN, 2057) 1-0
05/02 10:00 R3 Gonda, G (JPN, 2066) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 1/2-1/2
05/02 15:30 R4 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Mitsuya, N (JPN, 2040) 1-0
05/03 10:00 R5 Nanjo, R (CM, JPN, 2308) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 1/2-1/2
05/03 15:30 R6 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Kobayashi, A (JPN, 2058) 1-0
05/04 10:00 R7 Kuwata, S (JPN, 2125) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/04 15:30 R8 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Lewis, A (FM, ENG, 2286) 1-0
05/05 10:00 R9 Watanabe, A (FM, JPN, 2258) - Kojima, S (FM, JPN, 2346)
05/05 15:30 R10
05/06 10:00 R11

2014/05/03

Japan Chess Championship 2014 Day3


Photo by Uesugi

全日本も今日で前半が終わる3日目です。私は午前のラウンド、南條くんに終始押され気味ではありましたが、彼が勘違いで異色ビショップにしてくれたおかげで、問題なくドローに持ち込めるエンドゲームとなりました。これで南條くんの連勝も4で止まりますが、相変わらず私とは0.5P の差があります。

そして午後のラウンドは、中高大学の後輩、小林くんと対戦が組まれることになりました。最近はポイントを削られ気味でしたが、タイトル奪還を目指す大事な全日本では、私も気合いの入り方が違います。

Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Kobayashi, A (JPN, 2058)
Japan Chess Championship 2014 (6)

1. Nf3 g6 2. e4 Bg7 3. d4 d6 4. c4 e5 5. Be2 Nc6 6. Be3 Bg4 7. d5 Bxf3 8. Bxf3 Nd4 9. Nd2 Ne7 10. O-O c5 11. dxc6 bxc6 12. Bxd4 exd4 13. c5 dxc5 14. Rc1 Qb6 15. Nc4 Qc7 16. Qd3 Rb8 17. Rfe1 O-O 18. g3 Nc8 19. e5 Nb6 20. Re2 Rfe8 21. Rce1 Re6 22. Bg4 Re7 23. f4 Nxc4 24. Qxc4 Qa5 25. Rc1 Rb4 26. Qxc5



少し勘違いで怪しい1ポーンサクリファイスをしましたが、ようやくその分のポーンを取り返し、負けはないだろうという形に持ち込みます。

27... Qxc5 27. Rxc5 d3!?


最初は首をかしげましたが、少し考えて狙いがe5 取りであることに気づきます。異色ビショップを捌いたルークエンディングはおそらくドローになるだろうと思いつつも、他に良い選択肢もありません。

28. Rd2 Bxe5 29. Rxe5 Rxe5 30. fxe5 Rxg4 31. Rxd3 Ra4 32. a3 Ra5



これは駄目な手ではありませんが、ポーンを確実に取りにいくならば、横ではなく後ろからアタックするのが基本です。これは何か起こるかもしれないと思い、とりあえずaポーンを取りにいきます。

33. Rd8+ Kg7 34. Rd7 Rxe5 35. Rxa7 Rb5?!


またポーンを正面から攻撃してきたので、今度は明確におかしいと感じました。35... Re2! からルークをbファイルに回すアイディアが正しく、キングの動きも制限されている白に、もはや勝つ方法はないでしょう。

36. b4 c5??



考えたに考え抜いた末のブランダーであれば仕方がありませんが、小林くんはこの手を1分ほどで指してきました。少し厳しい言い方ですが、残り時間もさほど切迫していない状況でこうした手を指すということは、知識や技術ではなく、何が何でもポイントを取ろうとする貪欲さが足りていないなのだと思います。

37. Ra5!+- Rxa5


黒はルーク交換を避けてもc5 のポーンが落ち、2コネクテッドパスポーンを得た白が順当に勝つでしょう。

38. bxa5 c4 39. Kf2 1-0



お互いにパスポーンを持ちますが、プロモーションするのは白のみです。このゲームを拾ったのはラッキーでしたが、こうした運もトーナメントを勝っていくためには必要なことでしょう。明日は桑田くんなので、麻布の同期3人をコンプリートしたことになります。3人に同じ大会で当たるのは、9年前の高校2年生の引退合宿以来。長い付き合いであることを、しみじみと感じます。


6R1B の南條-松尾戦は、Ruy Lopez で白がg4!? と突く珍しい形で、南條くんが勝利を収めました。

現在、5勝1ドローの南條くんがトーナメントをリードしており、続いて4勝2ドローと4勝2bye の私と暁さんが続きます。明日の1B、渡辺-南條は後半戦の行方を占う目玉のゲームとなることでしょう! 自分のゲームに集中しながらも、1B の展開を見守ろうと思います。

05/01 10:00 R1 Fukuda, T (JPN, 1915) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/01 15:30 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Shioguchi, T (JPN, 2057) 1-0
05/02 10:00 R3 Gonda, G (JPN, 2066) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 1/2-1/2
05/02 15:30 R4 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Mitsuya, N (JPN, 2040) 1-0
05/03 10:00 R5 Nanjo, R (CM, JPN, 2308) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 1/2-1/2
05/03 15:30 R6 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Kobayashi, A (JPN, 2058) 1-0
05/04 10:00 R7 Kuwata, S (JPN, 2125) - Kojima, S (FM, JPN, 2346)
05/04 15:30 R8
05/05 10:00 R9
05/05 15:30 R10
05/06 10:00 R11

2014/05/02

Japan Chess Championship 2014 Day2


Photo by Hiebert

全日本2日目は全勝同士の対戦からスタートです。1B 南條-塩見、2B 権田-小島 3B 山田-中村(弘平くんは1.5P) の上位ボードでした。私はExchange Variation になるのを覚悟の上で、権田さんとの試合に臨みます。

Gonda, G (JPN, 2066) - Kojima, S (FM, JPN, 2346)
Japan Chess Championship 2014 (3)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. cxd5 cxd5 4. Nc3 Nf6 5. Nf3 Nc6 6. Bf4 Bf5 7. e3 e6 8. Qb3 Bb4 9. Bb5 Bxc3+ 10. bxc3 O-O 11. Bxc6 bxc6 12. O-O Ne4 13. Rfc1 g5 14. Be5 f6 15. Bg3 h5 16. h4 g4 17. Ne1 Nxg3 18. fxg3 Qd6 19. Kh2 Rab8 20. Qd1 Qa3 21. Nd3 Kg7 22. Qd2 Rb5 23. Rcb1 Rfb8 24. Rxb5 Rxb5 25. Rf1 Bxd3 26. Qxd3 Qxa2



序盤はさらりと飛ばして、ここからスタートします。ここまで黒は、Slav Exchange で勝負にいく典型的なアイディア、g7-g5 をうまく利用して、優位に試合を進めることに成功しました。そしてa2 を取って、ようやく黒が駒得します。g2 へのアタックも作れそうなので、これは勝てるかと思いましたが、パペチュアルチェックをメインの狙いとしたクイーンの反撃が、意外と厄介でした。

27. e4 Rb2 28. Rg1 Rf2


20分以上かけてこの手を指しました。他の候補として、28... dxe4 29. Qxe4 Qd5 30. Qf4 e5 31. dxe5 Qxe5=/+ この変化も考えたのですが、勝てるの確信が持てず、指すのを躊躇しました。実際には、Rf2-Rf3 からg3 を狙うより、黒が勝つチャンスは多かったかもしれません。

29. exd5 exd5 30. Qe3 Qe2 31. Qc1 Rf3



これでg3 を狙うのが私のアイディアでしたが...

32. Qa3!=


これでe7 でのチェックを狙うことで、次のQe2-Qf2 を防ぎます。黒はパペチュアルチェックを防ぎつつ、ポジションを改善する方法がありませんでした。

32... Kg6 33. Qxa7 Rxc3 34. Qb8 Qe7 35. Rb1 Rc2 36. Rb7 Rxg2+ 37. Kxg2 Qe2+ 1/2-1/2



最後は仕方なく、こちらからドローにしました。あの序盤から勝てないとは、私もまだまだ修行不足です。しかし、勉強になるゲームではありました。


お昼ご飯は近くのカフェで、ホットケーキ。このホイップクリームの山は、ホットケーキの熱であっという間に消え去ります。


午後の4R、1B は全勝対決の中村-南條です。去年はドローのカードでしたが、今年は割とあっさり黒勝ちになりました。これで南條くんが唯一4連勝と、星を大きく伸ばしています。


私は2B で三ツ矢さんと。今年の1月に松戸で敗れましたが、ここは師の貫録を見せて勝ちました(笑) これで唯一0.5P 差で南條くんを追う立場となり、明日の午前中に直接対決を迎えます。南條くんへの全日本連続黒記録は一昨年7で止まりましたが、今年はそれがまた復活です。10年で8回目の黒を引きましたが、なんとかストップをかけてこようと思います。

05/01 10:00 R1 Fukuda, T (JPN, 1915) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/01 15:30 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Shioguchi, T (JPN, 2057) 1-0
05/02 10:00 R3 Gonda, G (JPN, 2066) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 1/2-1/2
05/02 15:30 R4 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Mitsuya, N (JPN, 2040) 1-0
05/03 10:00 R5 Nanjo, R (CM, JPN, 2308) - Kojima, S (FM, JPN, 2346)
05/03 15:30 R6
05/04 10:00 R7
05/04 15:30 R8
05/05 10:00 R9
05/05 15:30 R10
05/06 10:00 R11

2014/05/01

Japan Chess Championship 2014 Day1


Photo by Hiebert

毎年恒例、GW の全日本選手権が、今年もいよいよスタートしました。昨年のチャンピオンである、オーストラリアの池田くんの姿はありませんが、イングランドのFM Andrew Lewis が初参加となり、上位勢の厚さはさほど変わっていません。私は初戦で福田さんを下し、2R では同期の汐口くんを相手に迎えます。汐口くんは9年ぶりの全日本参加で、2004年、2005年にも、私と黒番で対戦しています。

Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Shioguchi, T (JPN, 2057)
Japan Chess Championship 2014 (2)

1. Nf3 d5 2. d4 c6 3. c4 Nf6 4. e3 Bf5 5. Nc3 e6 6. Nh4



汐口くんには、百傑でAnti-Meran を指しましたが、この日は気分を変えて4. e3 のラインを指してみます。最近白番での研究はしていないものの、黒で指すためにいくつかのアイディアは抑えてあります。

6... Bg4 7. Qb3 Qb6 8. h3 Qxb3 9. axb3 Bh5 10. g4 Bg6 11. Nxg6 hxg6 12. Bg2


クイーンを交換したものの、白はわずかなピースの展開の差とスペースの広さ、そしてダブルビショップにより優位に試合を進めることができるでしょう。

12... Bb4 13. Bd2 Na6 14. Ke2 Kd7 15. Ra4 Rh4?



これは首を傾げた一手です。ビショップで守っている以上、h3 のポーンに圧力をかけるプランはあまりうまくないうえ、白のタクティクスを見落としています。15... Bxc3 16. Bxc3 g5 17. f3+/= これがコンピュータの指摘ですが、黒マスビショップまで手放してくれる展開は、白にとって願ったりかなったりでしょう。

16. Nxd5!


少し見えづらいですが、このディスカバードアタックによるタクティクスが成立します。このアイディアは実戦で見たことがあり、汐口くんがビショップをb4 に置いた時点から狙っていたのでした!

16... Nxd5


16... exd5 17. Bxb4 Nxb4 18. Rxb4+- こうしたシンプルなポーンアップになっても、もちろん白は満足です。

17. cxd5 exd5 18. Bxb4 Nxb4 19. Rxb4 b5 20. Bxd5!



一瞬、まさかルークが捕まるのかと焦りましたが、ビショップを返してしまえば問題ありません。ここで取ったポーンの分だけ、白はマテリアルのリードを得ます。

20... Rb8 21. Bxc6+ Kxc6 22. d5+!?


ここは少し迷いましたが、早めにセンターポーンを捨ててしまうことで、b4 のルークをアクティブにして戦おうと考えました。

22... Kxd5 23. Rd4+ Ke6 24. Re4+ Kf6 25. Rc1 Rxh3?



25... Rb6 26. Rf4+ Kg5 27. Rxf7+- こうして7段目にルークが侵入しても、もちろん白の勝ちですが、本譜はすぐにメイトスレットを作り、ゲームオーバーでした。

26. Rc5 1-0


g4-g5 がメイトになりますが、それを防ごうとしても、26... g5 27. Rc6# となります。こうして汐口くんとの9年ぶりの全日本でのゲームを制し、本日の連勝一番乗りとなりました!

私は一足先に会場を後にしましたが、先ほどTwitter でペアリング情報が回ってきて、3R は権田さんに黒と判明しました。昨年は初戦から6連勝を記録しましたので、今年もできる限り星を伸ばしていきたいですね。それでは皆さん、2日目以降もよろしくお願いします。

05/01 10:00 R1 Fukuda, T (JPN, 1915) - Kojima, S (FM, JPN, 2346) 0-1
05/01 15:30 R2 Kojima, S (FM, JPN, 2346) - Shioguchi, T (JPN, 2057) 1-0
05/02 10:00 R3 Gonda, G (JPN, 2066) - Kojima, S (FM, JPN, 2346)
05/02 15:30 R4
05/03 10:00 R5
05/03 15:30 R6
05/04 10:00 R7
05/04 15:30 R8
05/05 09:00 R9
05/05 15:30 R10
05/06 10:00 R11

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