今日は、来年4月に開催される電王戦 Final の記者発表会に出席するため、六本木のニコファーレに塩見さんと足を運んできました。電王戦が5対5の団体戦形式になって3回目となる今回、連敗中のプロ棋士側はなんとしても白星を挙げたいでしょうが、コンピュータ側も強豪ソフトが揃っています。
マイクを持っている平岡さんは、今回の先鋒を務めるApery の開発者です。平岡さんはHEROZ のメンバーであり、CHESS HEROZ の開発にも携わっています。先週金曜日には、一緒に三田祭に足を運び、チェスと将棋の出展に顔を出してきました。第24回世界コンピュータ将棋選手権の優勝ソフトであるApery に対するプロ棋士は、斉藤慎太郎五段です。
電王戦ではすっかりお馴染みとなった、Ponanza 開発者の山本さんとは今年の4月に知り合い、4日前のニコ生でもお世話になりました。副将のPonanza に対するのは、村山慈明七段です。他の開発者とプロ棋士が頭を下げ合う中、ファイティングポーズを取り合ったのは、粋な演出でしたね。
そして5人ずつのプロ棋士と開発者による、組み合わせ発表と挨拶が終わると、次はどちらが先手を多く持つか決める振り駒です。前回は安倍晋三首相が登場したということで、一体今回は誰が振り駒を行うのかに注目が集まる中、壇上に現れたのは...
Garry Kasparov です!
Kasparov と言えば、チェスファンならば知らぬ人はいない、伝説的な強さを持つ元世界チャンピオンです。Kramnik に敗れるまで、15年世界チャンピオンの座に君臨し、2005年に世界ランキング1位を保ったまま、現役引退を表明しました。その後は政治家としての活動を続けながら、各国で時々、エキシビジョンの対局や同時対局を行ってきました。
そしてなにより、Kasparov は、IBM の開発したチェスプログラム、Deep Blue に敗れたことで、一般の人にも知られているのではないでしょうか。それだけ20世紀末に、チェスのチャンピオンがコンピュータに敗れたことは、チェスファンにとどまらず、多くの人に衝撃を与えた出来事だったと思います。そんな経験を持つKasparov だからこそ、プロ棋士が将棋プログラムに押されつつある電王戦に関わる意義があるでしょう。今後、人間と将棋がコンピュータを介し、どのように繋がっていくべきかを伝える役割として、ぴったりの人選です。
振り駒の結果は、歩が3枚でプロ棋士側が先手を多く持つこととなりました。団体戦になって3回目の電王戦ですが、ここまでは全てプロ棋士側が多く先手を持っています。振り駒後はKasparov から「今回のイベントでの人間の勝利とは、5試合で1勝でもすることだ。なぜならば、それは人間の全力中の全力が、まだコンピュータを上回ることの証明になるからだ」とコメントしました。これを将棋ファンがどのように受け止めるかは、皆さんの判断にお任せしますが、私はそう言う考え方もあるかと納得しています。
そしてKasparov の来日目的は、当然のことながら、電王戦の振り駒だけではありません。この気になるテロップと...
この見覚えのありそうな手の映像の後に登場するのは...
羽生さんです! このKasparov と羽生さんの対局こそ、今年の日本で行われる最大のビッグチェスイベントです。後で将棋連盟の谷川会長もおっしゃっていましたが、このイベント発表時が最も盛り上がったように感じます。それだけ、羽生さんに人気は絶大ですね。
当たり前ですが、このイベントについては私も知っていましたが、ドワンゴから関係者以外、内密にと念を押されていましたので黙っていました。もっと早く知りたかった!と思ってらっしゃる日本のチェスファン、将棋ファンの皆さんには、申し訳ないです。今夜は情報解禁ということで、詳細について語りましょう。
イベント内容: Garry Kasparov vs. 羽生善治
日時: 2014年11月28日、10時~13時
ゲーム形式: 25分+1手10秒 × 2試合(色を交代して白黒1局ずつ)
解説: 塩見亮(2003全日本チャンピオン)、小島慎也(2005-2008,2010全日本チャンピオン)
聞き手: 藤田綾(女流初段)
通訳: 南條遼介(2010,2012,2014全日本チャンピオン)
電子ボード担当: 中村尚広
このような内容とメンバーでお送りします。急すぎて驚きだと思いますが、明後日金曜日の午前中からスタートです! イベント公式ページでは、私はゲストとなっていますが、1試合目を藤田さんと塩見さんにお願いし、私は2試合から解説役として加わる予定です。イベント内容や、Kasparov と羽生さんのプロフィールなどについては、以下のページをご参照ください。
Denousen Special Chess Match
【電王戦特別企画】ガルリ・カスパロフ vs 羽生善治チェス対局
今回のイベントは一般観戦は無しで、ニコ生での放送のみとなります。ご了承ください。それでは皆さん、急な発表となりましたが、今回のイベントを楽しみましょう! 明後日は3時間、よろしくお願い致します。
17 件のコメント:
「【電王戦特別企画】ガルリ・カスパロフ vs 羽生善治チェス対局」のページによれば、塩見さんは2013年チャンピオン、このブログでは2003年チャンピオンとなっています。どちらが正しいのでしょうか。
塩見さんは2003年のチャンピオンです。昨年はオーストラリアから留学できていた、池田くんがチャンピオンでした。
いにしえのPC-DOSゲーム Kasparov's gambitでチェスを始めた身としては感慨深いものがあります・・(歳がばれる)この機会に藤田綾ちゃん(またはお好みの女流棋士)にチェスを覚えてもらいましょう・・▼o・~・o▼ 汗
小島さん、回答ありがとうございました。ドワンゴには早めに訂正してもらいたいですね。
カスパロフはチェスファンにとってはレジェンドですからね。
小島さんなら知っていると思いますが1999年のカスパロフvsトパロフ
俗に"Kasparov's Immortal"と言われている最も有名な棋譜は今見ても凄すぎますよね。
そんなカスパロフと羽生さんが対局するなんてもう楽しみすぎますよ。
この際 静岡のイベントに来るPeter Heine Nielsen さんにも小島さんルートでニコ生にコネを作っていただいて次はカールセンですね・・ ▼o・~・o▼ 汗
日本将棋連盟からのお知らせは こちら▼o・~・o▼
http://www.shogi.or.jp/topics/event/2014/11/final.html
一つ前の記事でも書きましたが、将棋とチェスの交流は、今後ますます大切になってくると思います。女流棋士がチェスもやってくれるのは、確かに嬉しいことですね。
どういたしまして。こちらからも、指摘を入れておきますね。
99年はKasparov にとって、ベストレイティングを叩き出した忘れられない年だと思います。Topalov 戦については、Kasparov がどこに出しても誰に見せても恥ずかしくないゲームだとコメントしていますね!
イベント、お楽しみに。よろしくお願いします!
静岡は連盟の担当ですので、企画はそちらに任せます。私は顔も出せないですしね。
ファミリーマートのfamiポートならwebmoneyを900円分以上購入する場合1円単位で買えるので細かい金額も無駄なくお支払いできます・・・ニコ生プレミアム会員3ケ月分買ってしまいました・・・▼o・~・o▼ 汗
Please link to a video clip of the event? :)
I think you must write blog in english today... ▼o・~・o▼ 汗
いまごろ気づいたのですがNHKで放送される件は朝刊のテレビ欄に見出しで出てますね・・・▼o・~・o▼ 汗
You can check the movie on Youtube. https://m.youtube.com/watch?v=tFp8ftBUAQo
see blog in chess.com written by unknown singapore man to read detail of both games with commentary by Kasparov and Habu ▼o・~・o▼
http://www.chess.com/blog/juniortay/a-kasparov-masterclass
http://www.chess.com/blog/juniortay/a-kasparov-masterclass-part-2
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