2015/09/19

17th IVL Tournament Report


4R で、スウェーデンのFM Frisk Kockum Antonさんと対戦する羽生さん

クラブ選手権前日の今日、表参道で17th IVL が開催されました。参加者はレイティング順に、私、羽生さん、Antonさん、唐堂くん、中村くん、汐口くんの6名です。5R のIVL で、参加者が6名になるのは珍しく、久々のラウンドロビンでした。


Kojima, S (IM, JPN, 2465) - Habu, Y (FM, JPN, 2415)
17th IVL (2)
Position After 45... Qf3

リストはレイティング通りにしたため、私と羽生さんは2R から激突です。7段目までパスポーンを伸ばした私は、後は相手のパペチュアルチェックを防ぎ、プロモーションすれば簡単に勝ちでした。ところが...

46. d8=N+?


アンダープロモーション自体珍しいですが、それが悪手になるというさらに珍しい例です。ここは48. Qd2! h4 49. d8=Q で勝ちでした。黒はパペチュアルチェックができません。

46... Ke8 49. Qd2 h4 0-1


このポジションで、どうしたものかと頭をひねっていると、気づけば私の時間が落ちていました。おそらくh4 を取っても、ドローが関の山でしょう。実にもったいない黒星でした。

Kojima, S (IM, JPN, 2465) - Tang, T (JPN, 2195)
17th IVL (4)

1. d4 d5 2. c4 c6 3. Nf3 Nf6 4. Nc3 a6 5. a4 e6 6. g3 Nbd7 7. Bg2 dxc4 8. O-O Bd6? 9. Nd2! Nb6 10. a5 Nbd5 11. Nxc4 Bb4 12. e4!



この日、マスターらしいチェスを見せられたのは、4R の唐堂くんとの試合くらいです。私は黒のピースの展開の遅れに着目し、駒を多少捨てても、黒キングをセンターに縛ることにします。

12... Nxc3 13. bxc3 Bxc3 14. Ba3!


a1 のルークを逃がさず、a3-f8 のダイアゴナルを抑えてしまいうのがポイントです。Nc4-Nd6-Nxf7 の狙いがある白は、いずれエクスチェンジを取り返すことができるでしょう。

14... Qxd4 15. Nd6+ Kd7 16. Rc1 Bb2 17. Nxf7! Ke8 18. Nd6+ Kd7 19. Nc4! 1-0



最後はしっかりと、なるべく黒が続けられなさそうな変化を選ぶことができました。f7 を取ってからナイトが戻り、ピースアップになれば完全に白勝ちでしょう。多少苦手意識のある唐堂くんを、アウトプレーできたのは久しぶりです。


最終戦の検討をする羽生さんと唐堂くん

そして5R を終えての最終結果は、羽生さんが4勝1ドローでの優勝でした。中村くん、私、汐口くん、Antonさん相手に4連勝した羽生さんは、最終戦で4連敗中の唐堂くんと対戦し、苦しい局面でしたが、なんとかドローに持ち込みました。これで羽生さんは、全勝優勝こそ逃したものの、3回連続3回目のIVL 優勝です!

私が羽生さんのプレーで最も感心するのは、これだけ勝つこともそうですが、不利なポジションでも、なるべく相手にとって勝つのが難しいエンドゲームを素早く正確に判断し、実際にそれに持ち込めることです。今回は2ポーンダウンのルークエンディングながら、相手のポーンがfファイルとhファイルに分かれている形に持ち込みました。相手のhファイルのパスポーンをキングでブロックしていれば、理論上はドローですが、私はGM が間違えて負けた試合も見たことがあります。持ち時間のほとんどない中、唐堂くん相手にこのf,h ポーンのルークエンディングに持ち込み、負けを回避したことは、羽生さんの高い実力を示すものだと思っています。さらに試合後には、黒の正確なディフェンスのアイディアを確認しています。

今回のIVL は、クラブ選手権の直前であることや、急なキャンセルによって人数が減ってしまいましたが、また次回は10名の参加者を目指したいですね。20回目の開催も見えてきましたので、そこでは何か企画も考えるかもしれません。今後もIVL をよろしくお願い致します。

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